共同親権

(改正民法(離婚後の共同親権)2026年4月1日施行 / 最終更新:2026年9月22日)

共同親権とは、離婚した後も父母の双方が子の親権者であり続ける制度です。 欧米をはじめとする多くの国では、これは特別な制度ではありません。アメリカでは1970年代から共同監護(joint custody)の考え方が広がり、ドイツは1997年の民法改正で離婚後も共同親権を原則としました。フランス、イギリス、スウェーデン、韓国なども、離婚によって親の一方が子との法的な結びつきを失うという仕組みは採っていません。子の養育は離婚後も父母の共同の責任である、という考え方が国際的な流れになっていったのです。

その中で、日本は離婚後は必ず父母の一方だけを親権者と定めなければならない、数少ない国のひとつでした。親権を失えば子の重要な決定に関与できなくなるため、離婚時の親権争いは激しくなりがちで、子の連れ去りや親子の断絶といった問題も生んできました。

こうした経緯を経て、令和6年の民法改正によって離婚後の共同親権が導入され、2026年4月1日から施行されました。改正後は、父母の双方を親権者と定めることができます(民法819条1項・2項)。ただし、日本の制度は諸外国の制度をそのまま取り入れたものではありません。共同親権を原則とするのではなく選択肢として設け、子の利益を害する場合には単独親権としなければならないなど、独自の組み立てになっています。

また、共同親権になったからといって、子どもと半分ずつ暮らすわけではありません。これは海外でも同じで、一方の親と暮らし、他方の親とは頻繁に交流するという形が多数です。日々の食事や身のまわりの世話といった「日常の行為」は子と暮らす親が単独で決められますが、進学先や重大な医療といった大きな決定は、原則として父母が共同で行うことになります(民法824条の2)。この線引きをどう考えるか、意見が割れたときにどうするかが、実務では最も悩ましいところです。

このページでは、離婚後の共同親権について、弁護士 松野絵里子が改正法の条文を一つずつ取り上げ、全9回のシリーズとして解説しています。

当事務所の代表である松野絵里子弁護士は、離婚後の共同親権は日本にも必要な制度であるとの考えを、10年ほど前からX(旧Twitter)で発信してきました。令和6年の民法改正にあたっては、パブリックコメントに個人として意見を提出しています。国際的な家事事件を数多く手がけるなかで、離婚によって親の一方が子との法的な結びつきを失う日本の制度が、子にとって何をもたらしてきたかを見てきたためです。

解説にあたっては、法務省のQ&A形式解説資料や裁判所の説明をふまえつつ、条文の文言だけでは見えてこない実務上の勘どころも書き添えました。共同親権について一通り理解したい方は、ぜひ第1回からお読みください。諸外国の制度そのものにご関心のある方は、比較法シリーズもあわせてどうぞ。気になる場面が決まっている方は、下の「お悩み別の入口」からご覧ください。

1.お悩み別の入口

1-1. 共同親権は、子どものためになるのか

離婚後も父母の双方が子に関わり続けることは、子の成長にとって望ましいと考えられてきました。他方で、父母の対立が続いたまま共同親権とすれば、かえって子が板挟みになるという指摘もあります。この点は子どもの幸せを最優先にして、共同親権と共同養育をご覧ください。離婚そのものが子に与える影響については親の離婚が与える子どもへの影響・ 子どもと離婚 子どもの気持ちに配慮しながら離婚を進めるもお読みいただけます。

1-2.これから離婚する。共同親権にしたい、あるいはしたくない

裁判所が単独親権と共同親権をどう判断するのかは、第2回をご覧ください。父母がどこまで協力することを求められているのかは第1回で扱っています。

1-3. すでに離婚している。親権者を変更したい

第3回で、変更が認められる場合と認められない場合を整理しています。手続の進め方は離婚した後に親権・監護権は変更できますか?をご覧ください。

1-4. 共同親権になった後、日々のことは誰がどう決めるのか

基本のルールは第4回です。「日常の行為」として一方が単独で決められる範囲は第5回をご覧ください。

1-5. 学校のことで困っている(入学手続、行事、緊急連絡)

第6回で、学校とのやりとりの場面ごとに整理しています。

1-6. 子どもの医療をどう決めるか(手術、ワクチン、服薬)

第7回をご覧ください。急を要する場合に一方だけで決められるのかも扱っています。

1-7. 子どもと暮らすのはどちらか、子育てをどう分担するか

習い事・宗教教育・財産管理・養子縁組といった場面は第8回で扱っています。制度としての選択肢は離婚しても子どもの子育ては分担したい「監護の分掌」という選択肢・共同親権でも「監護者」を決められる?を、親権と監護権の違いそのものは離婚時に子どもの親権者と監護権者を分けることができる?をご覧ください。

1-8. 別居している親と子の交流をどうするか

第9回で、改正によって何が変わったのかを解説しています。交流の実現方法は離婚したら親権者でない親が子と交流できる?、裁判所がこれまで面会交流をどう扱ってきたかは条文なき50年間、裁判所はなぜ「面会交流」を認め続けてきたのかをどうぞ。

1-9. 諸外国ではどうなっているのかを知りたい

ドイツの離婚後の親権制度とは?・ドイツ家族法の「善行義務」とは?・イギリス法の「レジデンスオーダー」とは?・フランスの離婚後の共同親権とは?をご覧ください。

1-10. 国際離婚で、親権をどうするか

【松野弁護士による判例紹介】国際離婚の判例紹介(親権者の変更:共同親権から単独親権へ)をご覧ください。

2. 共同親権シリーズ 目次

※本記事は法務省Q&A形式解説資料(民法編)、条文、裁判所ウェブサイトの解説等をもとに、当事務所の弁護士松野絵里子が独自にかみ砕いて解説したり、意見や感想を加えたものです。個別の問題について意見を明らかにするものではありません。個別の事案については、ご自身の弁護士に確認してください。当事務所では、親権や監護権に関しての法律相談をお受けしております。

3. 関連の深掘り記事:

4. 比較法シリーズ:

5. 制度の全体像を知りたい方へ

条文ごとの解説ではなく、制度の全体像をまとめて読みたい方は、こちらの記事もご覧ください。

6. ご相談をお考えの方へ

共同親権とするかどうか、監護をどう分担するか、養育計画をどう作るか。これらは離婚後の長い期間にわたって効いてくる取り決めです。条文と実務の両方をふまえたうえでご判断いただけるよう、お手伝いします。

当事務所では、日本全国の方を対象に、初回のご相談を無料でお受けしています。オンラインでのご相談も可能です。

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ご相談の前に

ご相談をお受けする前に、ご相談内容をうかがっています。相談票へのご記入をお願いすることが多いので、あらかじめご了承ください。お子さんの年齢、別居や離婚の経緯、これまでの話し合いの状況などを整理していただくと、限られた時間でより具体的なお話ができます。

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