※本記事は法務省Q&A形式解説資料(民法編)、条文、裁判所ウェブサイトの解説等をもとに、当事務所の弁護士松野絵里子が独自にかみ砕いて解説したり、意見や感想を加えたものです。個別の問題について意見を明らかにするものではありません。個別の事案については、ご自身の弁護士に確認してください。当事務所では、親権や監護権に関しての法律相談をお受けしております。
1. 「面会交流」という言葉が変わったことに、大きな意味がある
第1回から第8回まで、改正民法817条の12(父母の責務)と824条の2(親権の行使方法)を中心に見てきました。今回は少し視点を変えて、これまで断片的にしか触れてこなかった「親子交流」(旧称:面会交流)について、今回の改正で何が変わったのかをまとめて整理します。
法務省のQ&A形式解説資料は、親の責務・親権の行使方法についてはQ&A形式で詳細に解説していますが、親子交流そのものについては、実は専用のQ&Aセクションを設けていません。824条の2関連のQ&Aの中に、断片的に言及があるだけです。これは、親子交流に関する改正のかなりの部分が、民法本体ではなく、家事事件手続法・人事訴訟法という手続法の改正として行われたためだと考えられます。今回は、条文と裁判所の解説をもとに、この手続法上の改正も含めて整理します。
2. 呼称の変更:「面会交流」から「親子交流」へ
これまで一般に「面会交流」と呼ばれてきた制度は、今回の改正で「親子交流」という名称に変更されました。単なる呼び方の変更ではありますが、「面会」という受動的なニュアンスの言葉から、「交流」という、親子双方が能動的に関わり合う関係を示す言葉に変わったことには、一定の理念的なメッセージが込められていると考えられます。第1回で扱った通り、今回の改正は父母双方に「養育」の責務を課すものであり、親子交流をその責務を実質化するための基盤として位置づけ直す、という方向性とも整合的です。本記事では、以下「親子交流」という呼称で統一します。
3. 比較法:親子交流は「誰の」権利なのか
呼称の変更に関連して、比較法の観点から一つ触れておきたい論点があります。それは、親子交流を「誰の権利」として位置づけるか、という問題です。
国際的な出発点:子どもの権利条約9条3項
日本も批准している子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)9条3項は、父母の一方または双方から分離されている子どもが、定期的に父母双方との人的な関係及び直接の接触を維持する権利を有することを、締約国に尊重するよう求めています(ただし、それが子の利益に反する場合を除きます)。この条項は、親子交流を父母のための制度としてではなく、子ども自身の権利として位置づける国際的な出発点になっています。
ドイツ:明文で「子の権利」と規定
ドイツ民法(BGB)第1684条第1項は、「子は、それぞれの親との交流の権利を有し、それぞれの親は子との交流の義務を負い、かつ権利を有する(Das Kind hat das Recht auf Umgang mit jedem Elternteil; jeder Elternteil ist zum Umgang mit dem Kind verpflichtet und berechtigt)」と規定しています。条文の主語が「子」であり、交流を子の権利として明記したうえで、親の側には権利であると同時に義務でもあると位置づけている点が特徴的です。さらに同条第2項は、父母に対し、子と他方の親との関係を害するような行為を控える義務も課しています。
アメリカ:伝統的には親の権利、近年は子の権利という位置づけも併存
アメリカでは、歴史的には親子交流(visitation)は主に「親の権利」として発展してきました。連邦最高裁判所は、Troxel v. Granville事件(2000年)において、親が子の養育方針を決定する権利は、合衆国憲法修正14条のデュープロセス条項によって保護される基本的な自由権であると判示しています。これは、実の親の養育方針を尊重すべきだという文脈での判断ですが、親子交流を巡る議論の背景にある「親の権利」としての位置づけを支える判例です。
もっとも、近年は、親子交流を子ども自身の権利として位置づける立場も、州法・実務の双方で広がっています。例えばルイジアナ州民法典136.1条は「子は父母双方と過ごす時間に対する権利を有する(A child has a right to time with both parents)」と明記しています。ニューヨーク州の実務解説でも、「交流は非監護親の権利であるだけでなく、子どもの権利でもある」という理解が示されています。つまり、アメリカでは、親の権利としての伝統的な位置づけと、子の権利としての位置づけが、州や文脈によって併存している状況だといえます。
日本はどうか:判例は権利性の判断を留保し、学説は「複合的権利説」に到達しつつある
これに対して、日本の親子交流に関する規定(民法766条、新設された817条の13)は、条文上「子の権利」あるいは「親の権利」として明記する構成にはなっていません。あくまで「父母が協議で定める事項」「家庭裁判所が定める事項」という形式で規定されており、権利の帰属主体を明示する書き方はされていません。
判例の展開:面会交流(旧・面接交渉)を巡る判例は、明文規定がない時代から積み重ねられてきました。最も古いものとして知られる東京家裁昭和39年12月14日審判は、別居親が子に会うことを、「監護そのものではないが、監護に関連のある権利」として、未成熟子の福祉を害さない限り制限・剥奪されないものと位置づけました。その後、最高裁昭和59年7月6日決定は、面接交渉を認めるかどうかは民法(監護に関する処分)の解釈適用の問題であって、憲法違反の問題は生じないと判断しています。そして、共同親権シリーズでもたびたび引用してきた最高裁平成12年5月1日決定は、面会交流を「子の監護の一内容」と位置づけ、離婚前の別居中であっても民法766条を類推適用してこれを命じることができるとしました。この決定を受けた最高裁判例解説では、面会交流権と呼ばれるものは、面会交流そのものを求める請求権ではなく、子の監護のために適正な措置を求める権利だと理解されています。
つまり、最高裁は、面会交流を「子の監護」の一部として扱うにとどまり、それが「誰の」権利か、あるいはそもそも実体的な権利といえるのかについては、正面から判断を示していません。
さらに踏み込んだ判断を示した近時の裁判例:この点を正面から争ったのが、別居親14名が国を相手取り、面会交流権の実現に必要な立法措置を怠ったのは国家賠償法上違法だと主張した事件です。東京高裁令和2年8月13日判決は、この主張を退けました。判決は、面会交流の法的性質や権利性自体について議論があり、別居親が面会交流の権利を有していることが明らかであるとは認められないと述べています。また、児童の権利条約9条3項についても、あくまで子の面会交流の権利を尊重する旨の規定にすぎず、これをもって別居親の面会交流権が保障されているとは解されないと判断しました。この判決は、まさに「面会交流は誰の権利か」という論点について、司法が現時点でも明確な決着をつけていないことを示す事例だといえます。
学説の展開:明文規定がなかった時代から、学説は面会交流の権利性を巡って豊富な議論を積み重ねてきました。1960年代後半以降、親の権利として構成する学説(親固有の権利とする説、潜在的な親権・監護権の一部とする説、憲法上の権利とする説)と、児童の権利条約を根拠に子の権利として構成する学説が、それぞれ主張されてきました。2011年の民法改正で766条に協議不調時の審判申立てが明文化されましたが、これは手続きを明文化したにとどまり、権利性そのものが明記されたわけではありません。
今日の学説の到達点としては、面会交流権を親の権利であると同時に子の権利でもあるとする「複合的権利説」が有力とされています。さらに近年は、憲法13条(幸福追求権)を根拠に、子が親を知り自己のアイデンティティを確立する人格的利益と、親が子の成長に関わる親としてのアイデンティティを持つ人格的利益の双方が、憲法上の人格権として保護されるとする学説も主張されています。一方で、面会交流を原則的に実施すべきものとして扱うことには慎重な学説もあり、面会交流は子の利益に適う場合に限って認められるべきであり、別居親の側が子の利益を主張立証して初めて認められるべきだ、とする見解も有力に主張されています。
なお、家庭裁判所実務上の運用方針としては、適切な面会交流は基本的に子の健全な成長に有益であるという理解が前提とされており、近年の裁判例には、他方の親との面会交流に協力的であることを、監護者・親権者としての適格性の判断要素として考慮するものも見られます。
紛争の類型という視点:この論点についてもう一つ付け加えておきたいのが、面会交流を求める紛争がどのような形で申し立てられるか、という類型整理です。実務・学説では、大きく分けて、①別居親が同居親に対して「子と交流したい」と申し立てる別居親申立型(最も典型的で、昭和39年の審判以来のほとんどの先例がこの型です)、②子ども自身が別居親との交流を求める子ども申立型、③同居親が別居親に対して「子と交流してほしい」と申し立てる同居親申立型(子の福祉の観点から積極的に別居親との交流を望むケース)、④別居親申立型のうち、別居親が「子と交流し監護の責任を果たしたい」という親としての責務を根拠に申し立てるもの、といった類型が整理されています。実際の公表審判例のほとんどは①の別居親申立型であり、この類型的な偏りが、面会交流権を「親の権利」として語る理論が根強く残ってきた一因になっているとの指摘もあります。
参考にした文献について:以上の判例・学説の整理は、東京高裁令和2年8月13日判決の評釈である山口亮子(関西学院大学教授)「面会交流権の憲法上の権利」(『新・判例解説Watch』民法(家族法)No.127、2022年4月)を主に参考にしています。同評釈は、上記の判例・学説の展開を詳細に整理したうえで、面会交流を権利として法的に明確化することの意義について論じています。また、比較法の観点からこの論点に取り組んだ研究として、吉岡万季(朝日大学法学部准教授)『憲法上の面会交流権――親の権利の日独比較』(信山社、学術選書251、2024年)もあります。同書は、ドイツにおける憲法上の親の権利論・子どもの基本権論と日本の議論状況を比較検討しています。
さらに、紛争類型の整理や、子どもの発達心理学の知見を踏まえて面会交流の意義を論じた研究として、南方暁「親の面会交流権を改めて考える」(法政理論46巻4号29頁、2014年)があります。同論文は、面会交流を「権利」として構成することの意義について、(1)当事者の地位・立場を明確にし、適正な手続的保障につながること、(2)権利として明確化することで、家庭裁判所での紛争処理にとどまらず、国家(立法)が子の福祉にとって面会交流が重要であると認識していることを示す象徴的な意味を持つこと、(3)損害賠償請求や妨害禁止といった法的救済の根拠づけにもつながり得ること、を指摘する一方で、権利として構成することの限界(家事紛争処理手続の特性上、実体的権利というより適正な手続を求める権利という性質を持つとの理解)についても慎重に論じています。この論文が、子どもの発達にとって別居親との継続的な関わりが重要であるとする発達心理学の知見を多数引用しながら、面会交流の意義を「親の自然な感情」に矮小化しない形で論じている点は、実務家としても示唆に富むと感じられます。
松野弁護士のコメント:この論点は、単なる条文技術上の違いにとどまらない意味を持っていると考えられます。ドイツのようにBGB1684条で「子の権利」と明記されていれば、親子交流を実現するための制度設計(試行的実施を促す仕組み等)も、「子の権利をいかに実効化するか」という発想で組み立てやすくなります。日本では、最高裁が「子の監護の一内容」という位置づけを示すにとどめ、東京高裁も「議論がある」と述べるにとどまるなど、権利の帰属主体・法的性質について司法が明確な判断を避けてきた経緯があります。学説が「複合的権利説」に到達しているとはいえ、それが判例上確立した理解というわけではない、という点は正確に押さえておく必要があります。
もっとも、子どもの権利条約9条3項を批准している以上、解釈上は親子交流を子の利益に資するものとして位置づける土台はあります。ただし、東京高裁令和2年判決が示した通り、同項はあくまで「尊重する」旨の規定にとどまり、これ単独で別居親の権利を基礎づけるものではないとされている点には注意が必要です。実際、法務省Q&Aでも、親子交流に関する取り決めを正当な理由なく履行しないことが人格尊重・協力義務違反になり得るとされており(後述)、間接的には子の利益の保護という発想が反映されています。今回新設された家事事件手続法152条の3の試行的実施の制度も、「事実の調査」という位置づけにとどまっているのは、こうした判例・学説の状況とも無関係ではないのかもしれません。日本でも将来的に、親子交流の権利性・帰属主体についての議論が判例・学説の両面で深まっていくのか、注目していきたいと思います。
4. 婚姻中の別居における親子交流が明文化された(民法817条の13)
これまでの民法では、離婚後の親子交流については766条に規定がありましたが、離婚前で婚姻中の別居における親子交流については、実は明文の規定がありませんでした。実務上は766条を類推適用する形で対応されてきましたが、条文上の根拠が明確ではないという問題がありました。
今回新設された民法817条の13は、この空白を埋めるものです。同条第1項は、子と別居する父または母その他の親族と当該子との交流について必要な事項は、父母の協議で定めることとし、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとしています。第2項は、協議が調わない、または協議できないときは、家庭裁判所が父または母の請求により定める、としています。
松野弁護士のコメント:この明文化は、地味に見えて実務上は非常に重要な改正だと思えます。別居はしたが離婚はまだ、という段階でご相談に来られる方は非常に多く、この間の親子交流について、これまでは類推適用という不安定な根拠に頼らざるを得ませんでした。明文の規定ができたことで、別居中の親子交流についても、より安定した法的根拠のもとで取り決め・調停・審判ができるようになったといえます。
5. 父母以外の親族との交流にも審判の道が開かれた(民法766条の2・817条の13第4項5項)
今回の改正では、祖父母など父母以外の親族と子との交流についても、新たに家庭裁判所が審判で定めることができるようになりました。これまでの民法には、こうした規定がありませんでした。
新設された民法766条の2は、離婚後の場面について、家庭裁判所が、子の利益のため特に必要があると認めるときは、父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができるとしています。ただし、この審判を請求できるのは、他に適当な方法で交流の定めをすることができない場合に限られ、また、請求できる親族は、子の直系尊属・兄弟姉妹を除き、過去にその子を監護していた者に限られる、という限定が付されています。婚姻中の別居の場面についても、817条の13第4項・5項に同様の規定があります。
松野弁護士のコメント:祖父母と孫の関係が、離婚や別居によって断絶してしまうケースは実際に少なくありません。この規定は、そうしたケースに新たな解決の道を開くものです。ただし、請求できる主体や場面にかなり限定がかかっている点には注意が必要です。「過去に監護していた者に限る」という要件は、単に血縁関係があるだけでは足りないことを意味しています。個別の事案でこの要件を満たすかどうかは、慎重な検討が必要です。
6. 親子交流の「試行的実施」を促す制度が新設された(家事事件手続法152条の3)
今回の改正の中でも特に実務的な影響が大きいと考えられるのが、この制度です。家事事件手続法152条の3第1項は、家庭裁判所が、子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件を除く)において、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる、と定めています。同条第3項では、裁判所が当事者に対して、試行的実施の結果の報告(実施しなかった場合はその理由の説明)を求めることができるともされています。関連する規定は人事訴訟法34条の4にも置かれています。
これは、実は全くの新制度というわけではありません。これまでも、家庭裁判所調査官が、当事者の子との交流の場面を実際に観察する「調査官調査」という形で、事実上の「試行的面会交流」が行われてきました。今回の改正は、この運用上の実務に、初めて明文の法的根拠を与えたものです。
ここで注意すべき点があります。この制度は、あくまで審判等における合意形成や判断のための「事実の調査」として位置づけられており、早期に親子を交流させること自体が直接の目的とされているわけではありません。つまり、「親子交流を実現するための制度」というよりも、「裁判所が判断するために必要な材料を集めるための調査手法」という性格が強い制度です。この点は、期待値を正しく持つためにも重要な整理だと思えます。
松野弁護士のコメント:この制度が実際にどれだけ活用され、どのような運用がされていくかは、今後の実務の集積を待つ必要があります。一点付言すると、これまでも面会交流に関する審判前の保全処分(緊急に交流を実施させる必要がある場合の制度)は存在していましたが、「強制執行を保全し、又は子その他の急迫の危険を防止する必要がある」という要件のハードルが高く、実際に認められる例は多くありませんでした。今回新設された試行的実施の制度も、あくまで事実の調査という位置づけである以上、この保全処分の要件を緩和するものではないと理解すべきです。「試行的実施を促す制度ができたから、すぐに交流が実現しやすくなる」という単純な期待は禁物で、この制度の性格を正確に理解したうえで活用を検討する必要があります。
7. 法務省Q&Aに散らばる親子交流関連の言及
ここからは、これまでのシリーズで扱ってきた法務省Q&A(824条の2・817条の12関係)の中に、断片的に登場する親子交流関連の言及を整理しておきます。
親子交流の不履行は人格尊重・協力義務違反になり得る(Q2-1関連)
第1回のQ2-1で扱った通り、父母の協議や家庭裁判所の調停・審判により親子交流についての定めがされたにもかかわらず、正当な理由なくこれを履行しない場合は、父母相互の人格尊重・協力義務に違反すると評価される場合がある行為の一つとして挙げられています。取り決めをしたら、正当な理由なく一方的に反故にしないことが求められます。
共同親権になっても親子交流の頻度が自動的に変わるわけではない(Q3-2関連)
第2回で扱った通り、父母双方が親権者になったからといって、子が父母双方の家を行き来しなければならなくなるわけではありません。親子交流の頻度や養育費の額についても、共同親権か単独親権かにかかわらず、別途、子の利益の観点から個別に定められることになります。
学校での緊急連絡は親子交流の枠組みとは別の問題(Q4-21関連)
第6回で扱った通り、災害や事故の発生時、学校が子と離れて暮らす親を含む親権者全員に連絡する義務があるわけではありません。もっとも、子と離れて暮らす親にとっても子の安否情報は重要であり、人格尊重・協力義務の観点から適切な情報提供が求められる、という整理がされています。
「監護の分掌」と親子交流は別の概念(Q4-35関連)
第8回で扱った通り、監護の分掌は、単なる交流にとどまらず、具体的な監護の内容について取り決めるものであり、親子交流とは概念上区別されます。もっとも、実際には、期間の分担としての監護の分掌と、頻度の高い親子交流との境界は、実質的にどこまで監護の権限が伴うかによって評価が分かれる部分でもあります。
施設を親子交流の場にする場合の対応(Q5-1関連)
法務省Q&Aには、各種施設を親子交流の場としたい旨の希望があった場合の対応も示されています。父母間の協議は施設の管理者を法的に拘束するものではないため、協議で親子交流の場所を定めた場合でも、その施設を提供するかどうかは、施設管理者が個別に判断するものとされています。円滑な交流のためには、あらかじめ施設側に協議の状況等を説明し、利用条件を確認しておくことが望ましいとされています。
8. まとめ
今回の改正では、親子交流について、呼称の変更にとどまらない実質的な制度改正がありました。婚姻中の別居における親子交流の明文化(817条の13)、父母以外の親族との交流の審判制度の新設(766条の2等)、そして試行的実施を促す制度の新設(家事事件手続法152条の3)です。いずれも、これまで法的な根拠が不明確だったり、運用に委ねられていたりした部分に、明文の規定を与えるものです。親子交流を巡る具体的な悩み$2014$2014拒否された場合、拒否したい場合、連れ去りが絡む場合など$2014$2014については、今後さらに掘り下げた記事で扱っていく予定です。個別のご事情については、お早めに無料相談をご利用ください。
参考文献
- 法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00377.html - 民法817条の13、766条の2、家事事件手続法152条の3、人事訴訟法34条の4:条文の正確な内容は、施行後にe-Gov法令検索等で最終確認をお願いします。
- 東京家裁昭和39年12月14日審判(家庭裁判月報17巻4号55頁)
- 最高裁昭和59年7月6日決定(家庭裁判月報37巻5号35頁)
- 最高裁平成12年5月1日決定(民集54巻5号1607頁)
- 東京高裁令和2年8月13日判決(判例時報2485号27頁、国家賠償請求控訴事件)
- 山口亮子「面会交流権の憲法上の権利」新・判例解説Watch 民法(家族法)No.127(2022年4月)
https://lex.lawlibrary.jp/commentary/pdf/z18817009-00-041272116_tkc.pdf - 南方暁「親の面会交流権を改めて考える」法政理論46巻4号29頁(2014年)
- 吉岡万季『憲法上の面会交流権――親の権利の日独比較』(信山社、学術選書251、2024年11月)
https://www.shinzansha.co.jp/book/b10106979.html - 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)第9条
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-kihon/kodomo-kenri-joyaku(こども家庭庁) - ドイツ民法(BGB)第1684条
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1684.html - Troxel v. Granville, 530 U.S. 57 (2000)
- ルイジアナ州民法典136.1条
https://www.legis.la.gov/Legis/Law.aspx?d=506495
共同親権シリーズ
- 第1回:父母の責務と人格尊重・協力義務(民法817条の12)
- 第2回:単独親権か共同親権か、裁判所の判断基準(民法819条7項)
- 第3回:親権者変更が認められるケース(民法819条6・8項)
- 第4回:共同親権になったら、日々の子育てはどう回す?行使方法の基本ルール(民法824条の2)
- 第5回:「日常の行為」とは何か?転居・旅行・日々の世話の線引き(民法824条の2)
- 第6回:学校行事、入学手続、緊急連絡 共同親権と学校対応の線引き(民法824条の2)
- 第7回:手術、ワクチン、服薬 医療の場面での共同親権の線引き(民法824条の2)
- 第8回:「監護の分掌」とは?習い事・宗教教育・財産管理と、監護者指定・親権行使者指定との使い分け(民法824条の2・766条)
- 第9回:「面会交流」から「親子交流」へ今回の改正で何が変わったか







