共同親権シリーズ第8回:習い事、宗教教育、財産管理、養子縁組 「日常の行為」の周辺と「監護の分掌」(民法824条の2)

※本記事は法務省Q&A形式解説資料(民法編)をもとに、当事務所の弁護士松野絵里子が独自にかみ砕いて解説したり、意見や感想を加えたものです。個別の問題について意見を明らかにするものではありません。個別の事案については、ご自身の弁護士に確認してください。当事務所では、親権や監護権に関しての法律相談をお受けしております。

参考:

1. 学校・医療の次にある、細かいけれど実は重要な論点

第6回で学校教育、第7回で医療の場面を扱いました。今回は、それ以外の「日常の行為」の周辺論点(習い事、宗教教育、就職、財産管理、氏の変更・養子縁組)を整理したうえで、今回の民法改正の柱の一つである「監護の分掌」という新しい制度、そして親権者情報の把握方法について解説します。個別の論点は小さく見えるものが多いですが、実務では地味に頻出するテーマばかりです。

なお、Q4-32(親権行使者の指定)は、比較法的な観点との関連性から第4回で先取りして解説しています。本記事では、Q4-26~Q4-31、Q4-33~Q4-37を扱います。

2.法務省Q&Aコメンタリー:日常の行為の周辺論点、監護の分掌等(民法824条の2関係)

3. 法務省Q&Aコメンタリー:親権行使者の指定の手続、監護の分掌(民法824条の2・766条関係)

4. まとめ

習い事や宗教教育、就職といった論点は、これまでの回で見てきた「日常の行為」の判断枠組み(重大な影響の有無)をそのまま応用して考えることができます。一方、財産管理や氏の変更・養子縁組は、そもそも「監護及び教育に関する行為」の枠外にある問題として扱われる点に注意が必要です。また、対立が生じた際の解決手段としては、「監護者の指定」「監護の分掌」「親権行使者の指定」という3つの家事調停・審判が新旧の制度の中に用意されており、包括的に任せたいのか、役割分担を決めたいのか、一件だけを解決したいのかによって使い分けが必要です。私的な合意だけでは十分な効力を持たない場面もあるため、書面化・審判化しておくことが実務上重要です。共同親権シリーズは今回で一区切りとなりますが、個別のケースでの判断に迷われた場合は、お早めに無料相談をご利用ください。

参考文献

共同親権シリーズ

  1. 第1回:父母の責務と人格尊重・協力義務(民法817条の12)
  2. 第2回:単独親権か共同親権か、裁判所の判断基準(民法819条7項)
  3. 第3回:親権者変更が認められるケース(民法819条6・8項)
  4. 第4回:共同親権になったら、日々の子育てはどう回す?行使方法の基本ルール(民法824条の2)
  5. 第5回:「日常の行為」とは何か?転居・旅行・日々の世話の線引き(民法824条の2)
  6. 第6回:学校行事、入学手続、緊急連絡 共同親権と学校対応の線引き(民法824条の2)
  7. 第7回:手術、ワクチン、服薬 医療の場面での共同親権の線引き(民法824条の2)
  8. 第8回:「監護の分掌」とは?習い事・宗教教育・財産管理と、監護者指定・親権行使者指定との使い分け(民法824条の2・766条)
  9. 第9回:「面会交流」から「親子交流」へ今回の改正で何が変わったか

📝 監修者(最終更新日:2026年7月)

松野絵里子 弁護士|東京ジェイ法律事務所
国内最大手の渉外法律事務所にて20年以上経験を積み、離婚・財産分与・国際離婚・富裕層の資産分割など複雑案件を多数手がける。現在はオンライン対応・全国対応で離婚専門の法律相談を提供。費用の透明性にもこだわり、複雑な財産分与事案の和解的解決も得意な弁護士。共同親権の推進でも経験が多く、知名度がある。

記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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