※本記事は法務省Q&A形式解説資料(民法編)をもとに、当事務所の弁護士松野絵里子が独自にかみ砕いて解説したり、意見や感想を加えたものです。個別の問題について意見を明らかにするものではありません。個別の事案については、ご自身の弁護士に確認してください。当事務所では、親権や監護権に関しての法律相談をお受けしております。
参考:
1. 学校・医療の次にある、細かいけれど実は重要な論点
第6回で学校教育、第7回で医療の場面を扱いました。今回は、それ以外の「日常の行為」の周辺論点(習い事、宗教教育、就職、財産管理、氏の変更・養子縁組)を整理したうえで、今回の民法改正の柱の一つである「監護の分掌」という新しい制度、そして親権者情報の把握方法について解説します。個別の論点は小さく見えるものが多いですが、実務では地味に頻出するテーマばかりです。
なお、Q4-32(親権行使者の指定)は、比較法的な観点との関連性から第4回で先取りして解説しています。本記事では、Q4-26~Q4-31、Q4-33~Q4-37を扱います。
2.法務省Q&Aコメンタリー:日常の行為の周辺論点、監護の分掌等(民法824条の2関係)
3. 法務省Q&Aコメンタリー:親権行使者の指定の手続、監護の分掌(民法824条の2・766条関係)
4. まとめ
習い事や宗教教育、就職といった論点は、これまでの回で見てきた「日常の行為」の判断枠組み(重大な影響の有無)をそのまま応用して考えることができます。一方、財産管理や氏の変更・養子縁組は、そもそも「監護及び教育に関する行為」の枠外にある問題として扱われる点に注意が必要です。また、対立が生じた際の解決手段としては、「監護者の指定」「監護の分掌」「親権行使者の指定」という3つの家事調停・審判が新旧の制度の中に用意されており、包括的に任せたいのか、役割分担を決めたいのか、一件だけを解決したいのかによって使い分けが必要です。私的な合意だけでは十分な効力を持たない場面もあるため、書面化・審判化しておくことが実務上重要です。共同親権シリーズは今回で一区切りとなりますが、個別のケースでの判断に迷われた場合は、お早めに無料相談をご利用ください。
参考文献
- 法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00377.html - 裁判所「親権行使者の指定調停」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_14/index.html - 裁判所「監護の分掌調停」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_17/index.html - 裁判所「子の監護者の指定調停」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_21/index.html
共同親権シリーズ
- 第1回:父母は離婚後も互いの人格を尊重し協力する義務を負います。その中身を解説します。
- 第2回:裁判所が単独親権と共同親権のどちらを選ぶか、その判断枠組みを解説します。
- 第3回:一度決まった親権者を後から変えられるのはどのような場合かを解説します。
- 第4回:共同親権になった後、何を二人で決め、何を一人で決められるのかの基本ルールです。
- 第5回:転居、旅行、日々の世話。どこまでが「日常の行為」にあたるのかを線引きします。
- 第6回:入学手続や学校行事に、別居親はどう関わるのか。学校対応の実際を扱います。
- 第7回:手術やワクチン接種は一人で決められるのか。医療の場面を取り上げます。
- 第8回:習い事、宗教教育、財産管理、養子縁組。「監護の分掌」という制度も解説します。
- 第9回:「面会交流」が「親子交流」へ。改正で何がどう変わったのかを整理します。









