当事務所が扱った遺留分の事案から、解決までの経過をご紹介します。守秘のため、地域や当事者が特定される事情は記載していません。遺留分は、どの段階で、どこを争うかによって結果が変わります。その具体的な姿をご覧ください。
事例1 交渉の段階で、金額に納得を得て解決した事案
ご相談の状況
遺言によって、他の相続人に財産の大半が渡ることになっていました。相手方は、なぜ支払わなければならないのかが理解できないという状態でした。
争点
遺産の価値をどう見るか。相手方は、こちらが示した金額に根拠がないと考えていました。
対応
遺産の内容を一つずつ確認し、それぞれの価値と、そこから遺留分の金額がどう計算されるかを、資料を添えて説明しました。請求している金額が法律上どのように導かれるかを、順を追って示しました。
結果
相手方に、提示している金額が妥当であることを理解していただき、交渉の段階で解決しました。調停や訴訟に進むことなく、支払いを受けています。
この事案について
遺言で財産を託された側は、自分にすべての権利があると考えていることが少なくありません。悪意というより、遺留分という制度が前提に入っていないのです。そうした相手方でも、根拠を示して説明すれば、理解が得られることがあります。
事例2 調停で、早期に解決した事案
ご相談の状況
当事者どうしの話し合いでは、感情的な対立から前に進まない状態でした。
対応
交渉を長く続けることは得策ではないと判断し、早い段階で家庭裁判所の調停に移りました。
結果
【マーカー】当事者だけで話し合いを続けるより、短い期間で解決しました【マーカーここまで】。
この事案について
調停は時間がかかると思われがちですが、実際には逆のことが多くあります。裁判官と調停委員が間に入ることで、法的な根拠のない主張は整理されます。期日が定まっているため、話が止まったままにもなりません。
また、調停になると、裁判所から求められる形で相手方から資料が出てきます。交渉の段階では出てこなかった資料が出ることで、金額の議論が進みます。
事例3 訴訟で鑑定を行い、評価が覆った事案(請求する側)
ご相談の状況
相続財産に土地が多く含まれていました。依頼者は請求する側です。
争点
土地の評価額です。遺留分の計算では相続開始時の時価で評価しますが、相手方が主張する評価額は低いものでした。
対応
交渉と調停では評価について合意ができなかったため、訴訟を提起しました。訴訟の手続の中で、不動産鑑定を行いました。
結果
鑑定の結果、土地は相手方の主張よりかなり高い評価となり、受け取る金額に数千万円が上乗せになりました。
この事案について
不動産の評価は、遺留分の事件で最も金額が動く部分です。相手方が提示する評価額をそのまま受け入れていれば、この差額は得られませんでした。
鑑定には費用がかかりますので、どの事案でも行うわけではありません。評価の差がどの程度あるか、鑑定によって得られる金額がその費用に見合うかを見極めたうえで判断します。この事案では、差が大きいと見込まれたため、鑑定まで進みました。
事例4 資料を示して、支払う金額を抑えた事案(請求された側)
ご相談の状況
依頼者は、遺言によって不動産を受け継いだ側です。他の相続人から遺留分侵害額請求を受けていました。
争点
こちらも不動産の評価です。相手方は、高い評価額を前提に請求していました。
対応
対象の不動産は建物が古く、賃料の水準も低いものでした。建物の状態、賃貸借の条件、収益の実態を示す資料を揃え、その不動産の実際の価値が相手方の主張より低いことを説明しました。
結果
相手方に理解していただき、当初の請求額より低い金額の支払いで解決しました。
この事案について
請求を受けた側であっても、言われた金額をそのまま支払わなければならないわけではありません。特に不動産は、評価の幅が大きい財産です。
老朽化した建物や、賃料の低い賃貸物件は、見た目の規模ほどの価値がないことがあります。こうした点は、資料を揃えて具体的に示さなければ通りません。「高すぎる」と述べるだけでは、相手方も裁判所も動きません。
4つの事案からわかること
遺留分の事件は、どの段階で解決するのが最善かが、事案によって異なります。
事例1のように、説明を尽くせば交渉で解決する事案があります。事例2のように、早めに調停へ移ったほうが早い事案もあります。事例3のように、鑑定まで進む価値がある事案もあります。
そして、事例3と事例4は、どちらも不動産の評価が争点でありながら、立場によって主張が逆になっています。当事務所では、請求する側、請求された側のいずれのご依頼もお受けしています。相手方がどう出てくるかを踏まえて方針を立てられるのは、双方の立場を扱っているためです。
ご相談ください
当事務所では、遺留分に関する無料相談を行っています。夜間のオンライン相談にも対応しています。
遺言書、不動産の登記事項証明書、固定資産税の納税通知書など、お手元にある資料をお持ちください。すべて揃っていなくても構いません。
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