※本記事は法務省Q&A形式解説資料(民法編)をもとに、当事務所の弁護士松野絵里子が独自にかみ砕いて解説したり、意見や感想を加えたものです。個別の問題について意見を明らかにするものではありません。個別の事案については、ご自身の弁護士に確認してください。当事務所では、親権や監護権に関しての法律相談をお受けしております。
参考:
1. 「子どもが熱を出した、ワクチンを打ちたい」 医療の現場は待ってくれない
第6回では学校教育の場面を扱いました。今回は、もう一つ日常的でありながら緊急性を伴いやすい医療の場面を取り上げます。風邪の通院からワクチン接種、そして生命に関わる手術の判断まで、医療は「日常の行為」に該当する幅が非常に広い一方、重大な処置になるほど父母の協議が必要になるという構造を持っています。今回は法務省Q&A(Q4-22~Q4-25)に沿って、その線引きを整理します。
2. 法務省Q&Aコメンタリー:医療の場面(民法824条の2関係)
3. まとめ
医療の場面は、「日常的な通院や服薬は単独で決められる」「生命に関わる重大な処置は原則父母の協議が必要だが、時間的余裕がなければ急迫の事情として単独でできる」という二段構えの整理で理解できます。ただし、ワクチン接種のように「日常の行為」に分類されるものであっても、その種類によっては人格尊重・協力義務との関係で単独行使が適切とは言い切れない場合があり、この当てはめは今後の裁判例の集積を待つ部分も残っています。医療機関の実務が大きく変わるわけではありませんが、重大な処置や意見の分かれやすい判断が見込まれる場合は、早めの協議と記録が重要です。お子さまの医療方針をめぐって相手方と意見が対立している場合は、お早めに無料相談をご利用ください。
参考文献
- 法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00377.html
共同親権シリーズ
- 第1回:父母は離婚後も互いの人格を尊重し協力する義務を負います。その中身を解説します。
- 第2回:裁判所が単独親権と共同親権のどちらを選ぶか、その判断枠組みを解説します。
- 第3回:一度決まった親権者を後から変えられるのはどのような場合かを解説します。
- 第4回:共同親権になった後、何を二人で決め、何を一人で決められるのかの基本ルールです。
- 第5回:転居、旅行、日々の世話。どこまでが「日常の行為」にあたるのかを線引きします。
- 第6回:入学手続や学校行事に、別居親はどう関わるのか。学校対応の実際を扱います。
- 第7回:手術やワクチン接種は一人で決められるのか。医療の場面を取り上げます。
- 第8回:習い事、宗教教育、財産管理、養子縁組。「監護の分掌」という制度も解説します。
- 第9回:「面会交流」が「親子交流」へ。改正で何がどう変わったのかを整理します。









