財産分与

離婚の財産分与はいつまで可能?専門弁護士と迅速に解決!

離婚の財産分与は、離婚前に話し合いで合意に至らなくても、離婚後2年以内なら調停や審判で解決ができます。2026年の改正でこれが5年に延びます。迅速な解決のため、離婚後の調停・審判の申し立てをするなら、弁護士に依頼するのが賢明でしょう。

1. 財産分与をするのは離婚前?それとも離婚後?

離婚をする際に解決困難な事柄の一つに、財産分与があります。夫婦の婚姻期間中に取得もしくは維持した財産に関しては、基本的には「2分の1ルール」に基づき、両者で公平に分割しなければいけません。しかし財産の形成や維持に関しては、お互いの貢献度が異なりますし、離婚に至った原因も配慮してほしいという気持ちもあるでしょう。そのため、必ずしも財産分与では1:1の分割にはなりません。どちらがどの財産をどのように保持するかについては、両者の話し合いと合意が必要不可欠です。

それでは離婚の際の財産分与は、どのタイミングで行うのがベストなのでしょうか?

1-1. 理想的なのは離婚前

財産分与に最も適したタイミングは、離婚届に署名捺印をする前です。この時期には、夫婦共有の財産を洗い出しやすいですし、相手も話し合いに応じてくれやすいため、法的な財産分与をすっきりと済ませたうえで離婚ができます。

ただし、離婚前でも財産分与を避けるために財産の名義を変更したりする「財産隠し」をする人は少なからずいます。その場合には、弁護士に相談して法的に解決する手段も選択肢となるでしょう。

また、再婚をしたいということから、離婚を先にしたいというようなこともあるでしょう。女性の場合、妊娠ができる年齢に限界があるので離婚は早くしたいという方も多いですよね。

1-2. 離婚後でも財産分与は可能

離婚の際に公平な財産分与をしてもらうことができなかったと感じている人や、離婚してから夫婦共有の財産となるべき資産を見つけたという人は、離婚後に財産分与の調停申し立てができますし、離婚してからの話し合いでの財産分与もできます。すでに離婚しているため、相手からの反発が予想されますし、当事者間の話し合いを希望しても、簡単には応じてくれないかもしれません。そのため、離婚後に財産分与の請求をして迅速な解決を目指すなら、弁護士に依頼して法的にすっきり納得できる形で解決するのが賢明です。

1-3. 離婚後2年で請求権が失効

財産分与の請求申し立ては、離婚が成立してから2年以内に行わなければいけないと制限されています。この2年という期限は、家庭裁判所へ申し立てをして受け付けてもらえる期限です。もしも離婚後に請求するなら、いつまでという期限が設けられていることを考慮して、できるだけ早めに弁護士へ依頼することをおすすめします。

民法の改正:令和6年5月17日に民法等の一部を改正する法律が成立し、公布の日(令和6年5月24日)から2年以内に施行されることになっています。この令和6年の民法改正により,財産分与の請求期間が2年から5年に伸びています。改正法は令和6年時点でまだ有効ではないですが、令和8年春頃には施行されます。

2. 財産分与調停の方法《

財産分与は、当事者同士の話し合いによって合意に至るのが理想的です。しかし現実には、離婚前でも離婚後でも、話し合いに応じなかったり、夫婦の財産形成には自分の貢献度が多いのだから公平な分割をしたくないと考える人は少なくありません。そのため、片方が話し合いを希望してもなかなか実現しなかったり、話し合いをしても合意に至らないケースは多いのです。

また、分割ではらってもらうとか、マンションの持ち分が共有なのでそれを解決したいとかいろいろな法的に複雑なことがありえます。また、養育費も決められていないこともあり、そういう時にはまた協議は難航します。

そんな時には、弁護士に依頼して調停・審判という法的な解決方法がおすすめです。

2-1. 離婚前なら離婚調停手続きを

もしも離婚前のタイミングなら、離婚調停の手続きで解決をめざしましょう。そうすることで、財産分与を含めた離婚の条件について、間に弁護士や調停人が入って話し合いの場を確保できます。離婚の話し合いをしながら、別途で財産分与調停の申立てをする必要はなく簡単です。

離婚していたら、財産分与調停の申し立てを行うのは、離婚がすでに成立しており、2年が経過していない場合に限ります(改正後は5年です)。

2-2. 財産分与の調停は誰が申し立てる?

財産分与の調停手続きは、離婚した元夫もしくは元妻が申立人となります。本人が申立をしても良いですし、弁護士に依頼することもできます。弁護士に依頼した場合、申し立ての手続きなどは弁護士が代行してくれるだけでなく、調停の際にも法的に自身にとって有利な話し合いを進めてくれるというメリットが期待できます。不動産があるような場合、当事者での解決は困難ですし、夫の将来の退職金がある場合、確定拠出年金がある場合など、相手に適切な財産開示を迅速に、求められるのは弁護士がいる場合です(弁護士は調停がまとまらなくて、審判に移行してもそれを担当しますので、財産の開示がされない場合、審判において法的理論を主張してくれます。)

2-3. 調停の申立てはどこで受け付けている?

財産分与調停の申し立ては、家庭裁判所が管轄裁判所です。全国各地に家庭裁判所は数多くありますが、どこでも良いというわけではありません。受け付けてくれるのは、自身が住んでいる住所を管轄している裁判所ではなく、相手の住所を管轄している家庭裁判所となります。この点は、注意しましょう。

もしも適切ではない家庭裁判所へ調停の申し立てをした場合、申し立てそのものを受け付けてもらえない可能性があります。管轄の裁判所は間違えないようにしましょう。

場合によっては、申立てがそのまま受理されるケースもありますが、その場合でも、受理されたからその家庭裁判所で調停が行われるというわけではありません。家庭裁判所が受理した申し立ては、案件ごとに管轄が確認されて、適切ではない管轄だと判明すれば、そこから適切な家庭裁判所へ案件ごと移送されます。そして、移送された家庭裁判所が申し立てを受理し、調停の準備を進めることになります。移送には時間がかかるので、管轄を間違えないようにしたいですね。

もしも離婚後2年のぎりぎりのタイミングで調停の申し立てをする場合には、期限切れとなってしまわないように注意してください。

2-4. かかる費用は?

家庭裁判所への財産分与調停申立てには、数千円の費用がかかります。どの裁判所で申し立てをしてもかかる費用は同じですが、現金やクレジットカード払いなどは受け付けておらず、収入印紙での支払いとなります。

3. 財産分与調停に必要な書類

財産分与の調停申し立てをする際には、いくつかの書類が必要です。

3-1. 申立書

調停申し立ての申請書類です。これは、家庭裁判所に置かれており、誰でも自由に取得できます。弁護士に依頼する場合には、弁護士がこうした申立書の書き方を心得ているので、任せるのが安心でしょう。

3-2. 資料

申立時には資料も添付します。財産分与の対象となるべき夫婦共有の財産が存在したことを証明するための書類です。財産分与の対象となるのは、主に預貯金や有価証券、土地や建物などの不動産が一般的です。たとえその財産が相手だけの名義だったとしても、婚姻期間中に取得及び維持したものに関しては、夫婦共有の財産とみなされます。

また、離婚のタイミングで会社名義に変更されたものなども、変更したタイミングから夫婦共有の財産かどうかを判断できますし、万が一財産分与を回避するための財産隠しであれば、実質的に夫婦の共有財産であると立証することで対象になります。

どのような財産を対象とした申し立てなのかによって、必要な書類は変わります。証拠となりそうなものは何でも提出しましょう。一般的に裁判での書類として有効となるものには、預貯金の通帳の写しや残高証明書などに加え、不動産登記事項証明書や査定書などがあります。

こうした書類は、申し立てが受理された後の調停での話し合いに使われるだけでなく、調停に相手が応じない場合とか調停がまとまらない場合に審判になった時の審理にも使われます。そのため、持っている証拠類はすべて整理して、提出しておきましょう。

3-3. 書類が不足していたら追加提出

もしも申し立ての際に提出した書類が十分ではない場合には、審理を行うために追加で書類の提出を求められることがあります。その場合には、具体的にどの書類が必要かを伝えられるため、取得して提出しましょう。

すでに離婚が成立しているため、元夫もしくは元妻が真摯に応じてくれるとは限りません。そのため、本人だけで対応しようとしても、難航することが予測されます。迅速に必要な書類を取得するためには、弁護士に依頼して、情報開示請求(調査嘱託)などをしてもらうのがおすすめです。

4. 調停で必ず解決できる?

財産分与の調停は、相手が調停に応じても応じなくても、一定の結論が出ます。

相手が調停に出頭しない場合とかまとまらない場合には、調停は不成立となってしまいますが、審判手続になるおで、裁判官が審理して結論を出してくれます。この結論には法的効力があるため、財産分与の公平な実現が可能となるでしょう。

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