相続で相続において不動産鑑定(不動産鑑定士による評価)を使うという場合は、「遺産分割協議・遺留分で揉めているとき」「相続税を安く抑えたいとき」の2つの理由があります。
1. 遺産分割協議・遺留分で揉めているとき
遺産の中に不動産がある場合、トラブルにはなりやすいです。というのも、不動産は現金と違って簡単に分けられないし、いくらと考えるのかという評価金額の基準を巡って争いになりやすいのです。
ある人が5000万円だ!といっても、他のひとはそんなにやすくない!という意見をもつことがあるのです。
この問題を解決するためや、不公平感をなくしたいときに、適正な市場価値を出すために不動産鑑定士が作成した不動産鑑定を使います。ただし、このときには鑑定士さんが出した鑑定に相続人が従うことを先に約束していないと無駄になるでしょう。そういった約束をしておく場合には弁護士にご相談下さい。
さらに、遺産分割調停に発展したときは、家庭裁判所では、不動産会社が作った無料の「査定書」で解決することもありますが、いろいろな査定金額があって評価額で合意ができないということがあります。そういうとき、専門家である不動産鑑定士が作成する「不動産鑑定評価書」は裁判所への強力な証明資料(エビデンス)になります。
もっとも、各自が不動産鑑定士に依頼してお金をかけて鑑定評価書をもらっても他の人が「この鑑定士の評価は不当である」といって争うこともあるので、裁判所は裁判所が選任した中立の不動産鑑定士に鑑定を依頼することがあります。これは、裁判所が職権で不動産鑑定をさせるという場合です。裁判所で不動産の評価額でもめているときも弁護士に相談したほうがよいでしょう。
さらに、遺留分を請求されたときも、不動産の正確な評価額が必要なので不動産鑑定を依頼することがあります。
2. 相続税の納税額を下げたい(節税したい)とき
税務署が指定する計算ルール(路線価など)で算出した評価額が、実際の市場価値よりも高くなってしまう場合には、不動産鑑定をつかうことがあります。特殊な形状とか特殊の規制がある土地を相続したような時が多いでしょう。間口が狭くて建物がなかなか立てられないとか、形が著しく歪(いびつ)、崖地(がけち)が含まれている土地である、私道が通っているなどで、いろいろ市場では売却しにくい要素がある土地のようなときです。
通常の税金計算ではかえって不公平であるとき、不動産鑑定士が「個別の事情」として考慮し、評価額を引き下げるために不動産鑑定をしてもらって、それを証拠に相続税を大幅に減らせるということがあります。路線価が時価(実際の売却可能額)を上回っているときというのは、その場の過疎化が進んでいたり、不動産景気が著しく悪化しているようなときにおきます。そういうとき不動産鑑定書を添付して申告することで、現実の市場での価格(時価)ベースでの納税が認められる場合があるのです。
しかし、不動産鑑定の依頼には、一般的に数十万〜百万円以上の費用がかかりますから、「鑑定費用を支払っても、それ以上に相続税が安くなるか」という点から検討をするべきでしょう。






