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1. 相続財産を知ることが相続の解決のために重要
相続財産が何かわからないとき、相続財産調査をして相続財産が何かを知ってから、遺産分割をする必要があります。
後で「もっとお金があったはずだけど…?」となるとせっかく解決した相続問題も、また再燃してしまいますからね。
それに、「親がもっていた定期預金見つからない」と思っていたら、遺産相続の話し合いもできないですし・・・。
家族といえども、財産の全てを把握していることは少ないのです。また、日本には「お金の話はしにくい」という空気もまだまだあるので、なかなか亡くなる前にフランクに話ができていないということもあります。
相続財産調査をすることで、この問題は解決できます。
「でも、うちには相続するものはもうわかっているから……」このようにおっしゃっていたご家庭も、後で骨董品とか定期預金とか、別荘地などが見つかって「また遺産分割をやり直さないと・・・・」となってしまうケースがあるので、気を付けましょう。
それでは、相続財産調査を弁護士に依頼すると、何ができるのかから、詳しくお話ししていきます。
2.「相続財産調査」って何をするの?
相続財産調査は、一切の亡くなった方の遺産(相続財産)が何かを調査してもらうことです。
現金、株式、土地、家屋、保険、借金などがどのくらいあるかです。
もっとも、相続財産調査をしてから、それがどのような評価額なのかということが問題になりますが、それと財産調査とはここでは別の問題としてお話します。
個人の財産は、現金だけではありません。株式や保険、自宅、別荘、賃貸用の投資不動産、自動車、さらにはローン、消費者金融からの借入れというようなものもあるかもしれません。知人からの借入れや親族への貸金もあるかもしれません。
ローンなどはマイナスの財産ですが、これも遺産分割には重要な意味をもつ資産です。
お金だけ受け取って、あとは財産放棄、ということができないのが相続(遺産分割)ですし、返済は待ってもらえないのです。
そのため、遺産を相続することがプラスになるのか、マイナスになるのかも含めて、弁護士は相続可能な財産を調査していきます。
3. 意外な財産が見つかることもある相続財産調査
相続財産調査では調査してみて「こんな財産があったのか!」と驚く方もいらっしゃいます。
ここでは、どんな相続財産が見つかる可能性があるか、具体例を紹介します。
- 不動産
「不動」との名前の通り、土地や建物など動産と異なり動くことがない資産が不動産です。
土地や建物の所有権の他に、賃借権(厳密には法的に不動産ではありません)や地上権などの利用する権利が含まれる場合もありますので、詳細な調査をお勧めします。また、他人に貸さないといけない負担が土地についていることもあります。
不動産は評価が難しいため、公平に不動産を分ける場合には、弁護士が必要であることが多いです。裁判所の不動産鑑定を使うのがもっともその後の不満が出にくい方法ですが、費用がかかるので簡易査定とか、周りの土地の市場価格を参考にして、相続の話し合いをすることも多いです。
弁護士が銀行の取引履歴を入手し、それによって、賃料振込が確認でき、収益不動産があったことがわかることもあります。
- 動産
動産というと、貴金属、家財道具、自動車、美術品(絵画や骨董品)などになります。
価値があるものの時には、分ける前に査定が必要になるでしょう。しょう。
- 有価証券など
弁護士が弁護士照会という制度を使って、口座があるかどうかを確認して、口座のあった証券会社に相続人として残高証明をもらうことで、株式や債券などの有価証券として相続財産が見つかることがあります。為替取引や仮想通貨、投資信託、生命保険やその他保険などの金融商品も、見つかることがあります。これらは、相続財産にあたります。ゴルフ会員権や電話加入権なども含まれます。
銀行の取引履歴を弁護士が弁護士照会制度で開示してもらうことで、そこにあるお金の動きから知らなかった証券口座が見つかることもあります。ネット証券などは書面でくる報告書などが少ないため、こういった方法でないとなかなかわからないことがあります。
- 借金、ローンなど
相続にはマイナス資産もあり、借金、住宅ローン、奨学金ローン、消費者ローンなどが、相続人が今後支払って行かなければならない債務です。
しかも、これらの負債は相続人が相続したとたんにそれぞれが相続割合で払うことが法的に必要なので、送れないで返済をしないといけません。収益不動産の購入時のローンは賃料がはいってこなくて支払いが必要ですし、引き落としができないとあにとその不動産に不動産執行されてしまうかもしれませんので、迅速にローン状況を知り、金融機関から金銭消費貸借契約書の写しなど入手する必要があります。
よって、相続財産調査ではマイナス資産(借りいれ」があるかどうかは重要な調査項目です。
4. 相続財産調査の調査方法は? どのくらいの時間がかかる?
調査期間は、弁護士が調査する場合、おおよそ1カ月から2カ月ほどだと思ってください。
他の相続人が調査に協力的でなかったり、弁護士会の弁護士照会の審査に時間がかかるとその期間が延びる可能性があります。
5. 預貯金の調査
預貯金を調査する場合、まず故人が利用していた金融機関を知る必要があります。これは、残された通帳やキャッシュカード、メールや郵便物などから割り出せるでしょう。
カードも通帳も見つからず、どの金融機関を利用していたかわからない場合は、弁護士が金融機関や保険会社に弁護士照会という制度で照会をかけることができます。これには、費用がかかります。
どの金融機関を使っていたかわかったら、銀行などの窓口で「残高証明書」を発行してもらいます。このときは、口座のある支店に依頼しましょう。「残高証明書」では、その金融機関が預かっている普通預金・定期預金・投資信託など全ての残高がわかるようになっています。
6. 金融機関に残高証明書を発行してもらうには?
相続人が取得する場合、口座をもっていた本人ではないので、所定の書類が必要となります。
戸籍謄本や相続人の印鑑証明などですが、書類の様式なども該当の金融機関によって求めるものが異なるので問い合わせてみましょう。手数料は1,000円以下であることが多いでしょう。
この手続きには、2週間程度はかかることを見込んでおいてください。
7. 不動産の調査
不動産の調査をする際には、亡くなった方の家にある不動産関係の書類を見つけられると、スピーディーに話が進みます。
・登記識別情報(登記済権利書)
・固定資産税の課税通知書
まずはこの2つの書類を探してみてください。
登記識別情報は、単なる紙ですが、司法書士から郵送されたりすることが多いものでカバーがついていることが多く、登記識別情報通知との記載があるはずです。
登記済権利書の場合は、単なる紙ではなく冊子状になっています(司法書士等事務所名の記載あり)。
そして、課税通知書は、毎年支払っている固定資産税に関する書類です。名称は課税通知書ではなく、課税明細書や納付書という記載の場合もあります。
8. 権利書が見つからない!所有不動産がよくわからない!というとき
「家の権利書がない」となると焦ってしまいますが、書類がなくても調査はできますので安心してください。
不動産の場合、固定資産税を払っている地域の市役所や町役場へいけば、資料が残っています。まずは市役所で「固定資産台帳」を確認するための申請をしてください(固定資産台帳は、名寄帳、資産明細、課税台帳とも呼ばれています)。個人が所有し、課税対象となっていた不動産の一覧を見ることができます。
ただし、この台帳は、市町村ごとの管理となっています。いくつかの場所に不動産を持っていた場合、全ての市町村で問い合わせが必要になりますから、自宅にある権利書などの書類を探した方が早いかもしれません。
また、非課税の不動産には、探すのが困難なものになります。非課税不動産には、私道、学校や福祉施設を設立している土地、などがありますので、心当たりがある場合は、弁護士に相談し、登記から探すことになります。
9. 不動産登記情報を調べるには?
不動産がどの市町村にあるかわかっていれば、法務局に出向くことで登記情報を簡単に調べることができます。他にも「登記情報提供サービス」を利用することでも調査が可能です。
ただ、不動産登記の地番と現在使っている住所は一致するとは限りませんので、登記を探すときには、この点に注意が必要です。
10. 株式や有価証券などの調査をするには
「上場株の取引をやっていたようだ」「投資信託の売買をしていたようだ」というような場合、株式、FX、投資信託、国債などに関する書類がないか、ご自宅をまず探してみて情報を得ましょう。
残された書類から取引のある証券会社などを見つけて「取引残高報告書」を発行してもらうことになります。この申請にも、銀行などと同じく会社ごとに所定の必要書類があります。
もし、古い株券が見つかった場合には、電子化していなくても権利がある場合があります。その株を発行した会社に連絡すれば、株主として登録されているかどうかが確認できます。
11. 借金やローンが相続財産の時
相続財産調査の中でも、マイナス資産の調査は重要です。借金の督促状や返済の明細書、消費者金融のカードなどを元に、金融機関を特定し、負債額を調査していきます。
債務整理をしていた場合、弁護士などが作成した委任状や返済計画があるはずですから、併せてその書類も探しましょう。
見落としがちなのが、引き落とされていた住宅ローンです。
住宅ローンがマイナス資産となっている場合、上記の通り相続人がそれぞれ支払う債務を負っているので、迅速に見つける必要があります。
また、誰かの借金の連帯保証人であった場合、それもマイナスの相続財産にあたります。連帯保証人契約がないかどうか、きちんと確認しましょう。生前から、保証人になっているかどうかを知っておくと、安心です。
相続財産の中で借金の額が大きい場合、預金や不動産を引き継いでも、トータルでマイナスになってしまうことがあります。そのため、全部の資産を相続してその中から借金を返していくか、相続を放棄するかを決めることになります。
預金だけ相続し、借金は相続しないということはできません。借金の方が多い場合は、相続放棄が必要ですが、三カ月という期限があるので、相続財産の調査を早くする必要があります。
全体でどのくらい資産があるのかわからなくて、借金などと比べることができない場合は、相続すべきか相続放棄すべきか、悩むことになりますね。簡単にはわかりませんので、プラス資産の範囲内でマイナス資産を相続する「限定承認」という方法を検討してみる必要があります。しかし、手続きが簡単ではないので、「限定承認」は弁護士に相談するべきでしょう。
ここで、債務を相続するとどうなるかということを少し詳しく説明しましょう。
たとえば、4人が相続人でみなさん25%の相続割合の場合、2000万円のローンについては、各自が500万円を返済しなければならず、それも被相続人が死亡した日から発生する負担になります。
この点、最高裁昭和34年6月19日判決は、連帯債務であった場合にいては、連帯債務は「債務者が同一内容の給付につき各独立に全部の給付をなすべき債務」であることから、その債務は「可分なること通常の金銭債務と同様」としました。
そして、連帯保証をした人が死亡して相続人が数人いるという場合には、可分債務としてローンは当然に分割され、亡くなった方の債務についてはその相続人が分割された債務を承継して、各自が承継した範囲で、本来の債務者ともに連帯債務者となるとしています。つまり、祖母の4000万円の債務の連帯保証人になっていた父が死亡したとき、相続人が子どもの4人であれば、祖母と子の子らが連帯債務を負いますが、子らが負うのは各自1000万円部分となるのです。
12. 相続財産調査をしなかったせいでトラブル?
「株みたいなものはやっていなかったし、遺産は家と貯金だけだろう」
と、きちんと相続財産を調査しないで遺産分割をするご家庭も多くあります。
ところが、後からマイナス資産などが発見されてトラブルになるケースは、けっして珍しい話ではありません。
では、しっかりと相続財産を調査していないと、どんなトラブルが起こるかについて、検討してみますね。
12-1. 相続税の計算をミスして、損害金を払うことに・・・
一定額以上の財産を相続した場合、相続税を支払う義務が発生します。しかしながら、相続財産調査をしていないと、正確な資産額がわからず、相続税の計算を間違えてしまう可能性があります。適正に相続税を納付しなかった場合、足りない分に加えて、延滞税を支払う必要が出てくるケースもあるのです。
また、相続税を少なく申告してしまうと「過少申告加算税」がかかりますし、申請期限を過ぎても申告しないと「無申告加算税」がかかります。
税務署からお知らせが来てしまうこともありますから、最初の申告を正確に行うことが大切です。
12-2. 相続が終わってから、借金が発覚すると債務だけ負う人も・・・・
相続人の間で遺産を分け終わってから、新たにローンとか借り入れが発覚したらどうなるでしょうか?
そもそも、マイナス財産(ローン、借入)は相続人はそれぞれがどのくらい支払わなければならないこのかについては、深刻な問題があるのです。
マイナス財産は、遺産分割手続により分割されるのではなくて、法定相続分にしたがって共同相続人間でなにもしなくても自然に分割されてしまいます。
というわけなので、亡くなった方のローンであっても、亡くなった方が例えば親族の債務の連帯保証人になっていても、そういう債務はすべての相続人が負担しなければならないのです。なにももらわない相続人も、債務だけ負うのです!
しかも、借金だけの相続放棄ができない以上、相続人として遺産をもらうのをあきらめて相続放棄するか、限定承認するかという見極めは早くしなければなりません。
なぜなら、相続放棄については「被相続人の相続開始を知ってから3カ月以内に行う」という原則があるからです。残された財産に債務・ローンがある場合には迅速に調査をしましょう。
13. 相続財産調査を頼みたいときは誰に依頼すればいい?
相続財産は、もちろん自分で調べることができますが、時間的な問題とか、網羅的にできるという点、そして、特に弁護士照会という制度が使える点で、弁護士に依頼するのがベストだろうと思われます。
家族が亡くなってすぐには、遺産のことは考えられないという方も多いと思いますが、弁護士という専門家に相続財産調査を依頼して、遺産の全体像を把握することは、自分を守ることでもあり、相続を早く終わらせるということでもあります。しかもそうすれば、心身共に負担を軽くすることができるでしょう。






