遺言

相続分の指定とは?弁護士が徹底解説

相続割合について遺言書で指定するのが、相続分の指定です。どのように指定をしたら良いのか、どんなパターンがあるのかを確認しましょう。弁護士の助けが必要となるのはどんな難しい点が関係しているのかも知って、賢く利用しましょう。

1. 相続分の指定とは?

相続をどのように行うかについては、法律で定められた方法があります。しかし、自分でもある程度、誰にどのくらいの資産を遺すかということを指定することもできます。これが、相続分の指定と呼ばれる行為です。相続分の指定とはどんな形で行われるのか、実際の相続にどんな影響があるのかをチェックしてみましょう。その上で、自分の意思をより良く反映した遺言にしたいものです。

1-1. 遺産を分割するための取り決め

相続がなされる時、その分割の方法についてはルールが定められています。たとえば、法定相続人として配偶者と子どもが3人いるケースでは、配偶者が全体の半分を受け継ぎ、子どもはそれぞれ6分の1ずつ相続するというのが基本的なルールとなります。もし、なんの遺言もしなかった場合は、このルールに基づいて、相続人同士で話し合った後に決定されます。このように、基本的な遺産の分割の割合は決められているわけです。

被相続人が自分の意志で、誰にどのくらいの割合で遺産を渡したいかを表明するのが相続分の指定となります。つまり、上記のルールではなく、たとえば配偶者と子どもの合計4人で、25パーセントずつ均等に分けるといった形です。このように、遺言書で遺産の分割の仕方、特にその割合について指定することを「相続分の指定」と言っているわけです。

1-2. 相続分の指定はどのような形で行われるのか?

相続分の指定は、いろいろなパターンが存在します。最も分かりやすくシンプルなのは、相続人全員分の相続分を指定するというものです。つまり、「配偶者には40パーセント、長男には20パーセント、次男には15パーセント、三男には25パーセント」という形で、それぞれの割合を明示します。関係するすべての人の指定をしますので、相続人同士で決めることが少なくなります。

一方で、一部だけを指定するというパターンもあります。たとえば、「三男には25パーセント」ということだけを決めるということです。残りの分については、それぞれが持つ法定相続分で分割していくことになります。こうすることで、特定の人についてどうしても遺したい資産分を確保してあげられるというわけです。

ただし、この一部のみの指定だと、解釈に誤解が生じることもありますので注意が必要です。特に、特定の人だけ多めに分割することを指定した場合、他の相続人から異議が出される可能性が出てきます。また、残りの相続人の配分をどうするかということについても揉めて、なかなか決められないという事態になることもあり得ます。こうしたことから、前者のような、関係する相続人全てについて指定をするか、少なくとも配偶者の指定にするなど、遺言で伝えたいことを明確にすると共に、トラブルを引き起こす原因とならないように配慮することが大事です。

1-3. 借金がある場合のポイント

相続は預貯金や不動産といったプラスの資産だけでなく、ローンなどのマイナスの資産についても当てはまります。そして、相続をすることを決めたら、借金についても受け継がないといけません。プラスの資産だけをもらって、借金は回避するということはできないわけです。そして、相続分と借金の割合というのも、基本的には同じ割合でなされることになります。つまり、配偶者が遺産の2分の1を受け取ることになったら、借金については全体の半分を引き受けないといけないということです。

この原則は、相続分の指定をした時にも当てはまります。もし、相続分の指定がなされて相続できる分が増えた場合、その分借金の負担額も増えることになります。基本としては、相続分の指定によって増減された割合に従って、マイナスの資産についても計算されます。

1-4. 相続割合の指定を委任することもできる

相続分の指定は、遺言書で明確に記載して指示するのが一般的で分かりやすい方法です。しかし、これを特定の人に委任することもできます。遺言書の中に、委任する人の名前を挙げて、その人に分割割合の指定を一任すると記載するのです。こうすることで、第三者に判断を委託できるようになります。

あまり見られないパターンではありますが、子どもたちがまだ幼いとか、相続人全員が知っていて、その人の決定を支持すると考えられる場合に有効です。もしくは、信頼できる弁護士に委託するということも可能となります。

2. 弁護士にサポートを求めよう!相続分の指定にあたっての注意

明確に相続についての意思を表示するために、相続分の指定はとても大事な行為です。しかし、やり方によってはトラブルを引き起こすこともありますので、注意点を覚えておく必要があります。

2-1. 遺留分を考慮して指定

法律でそれぞれの相続割合を保証しているのが遺留分というものです。たとえば、配偶者と子どもが相続人の場合、配偶者が全体のうち4分の1、子どもが4分の1となります。遺留分として確保されるものは、資産全体の2分の1です。他にも、子どもだけが相続人であるとか、父母がいる場合など、それぞれのケースで遺留分の割合が決められています。

こうした遺留分は、最低限相続人の権利として確保されている割合ですので、これを侵害することはできません。たとえ相続分の指定をして、特定の人に非常に多くの資産を遺すとか、逆にある人には相続させないということを明示したとしても、遺留分の方が優先されることになります。遺留分侵害請求という制度で、少なくとも遺留分として本来もらえるべき分については、多めにもらっている人に対して請求できるのです。

遺留分のことを無視して相続分の指定をしても、遺留分侵害請求をされてしまうと、思ったような相続ができなくなってしまいます。余計な紛争を呼ぶ原因ともなりますので、遺留分についてあらかじめ考慮して、その範囲内で相続分の指定をした方が安心です。

2-2. 具体的な財産の指定は協議で

相続分の指定で相続割合については指定できますが、どの財産を誰に、という具体的な指定は行いません。そのため、それぞれの遺産の評価額を見ながら、分割する割合に従って、相続人同士が集まり、協議によって最終決定することになります。もし特定の資産を誰かに譲りたいということであれば、特定遺贈という形で指定をしないといけません。資産が現金のみということであれば単純ですが、多くの場合、不動産などが含まれていますので、こうした点もあらかじめ考えておきましょう。

2-3. 借金の分割について

前述の通り、相続分の指定をした場合、それによって相続割合が増減した分だけ、消極資産の割合も変動します。つまり、たくさん相続することになった人は、借金についてもたくさん負担しなければならないということです。そのため、単に資産価値だけでなく、換金できる資産なのか、相続人が負債の支払い能力があるのかということも考えて決定する必要があります。特に、不動産や美術品が多めの遺産だと、相続税や借金などの支払いを現金で行うのに苦労することがあります。すぐに売却して現金化できるような資産であれば良いのですが、そうでないと処分に困り、結局のところ、相続放棄という手段を取らざるを得なくなるかもしれません。

相続分の指定はいくつもの要素が絡んでいて、簡単に決められるものではありません。スムーズに相続ができるよう、相続のノウハウが豊富な弁護士に相談しながら進めるのがベストです。

記事監修者 弁護士 松野 絵里子
記事監修者 弁護士 松野 絵里子

記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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