有責配偶者

私は有責配偶者だから離婚ができないの?この不安を解消する弁護士のガイド

「私は有責配偶者なのか?」「離婚はできないのだろうか?」と、深い不安を抱えている相談者がたくさんいます。

でもそれが思い込みの場合もあります。

法は身近なものではありませんが、そのルールを知ることは、あなたの未来を切り開く確かな一歩となります。この記事では、有責配偶者の定義や具体的なケースを弁護士が分かりやすく解説して、ご自身の状況を正確に把握するお手伝いをしたいと思います。

1. 私は有責配偶者なのか不安な方へ、その定義と具体例を弁護士が解説します。

「もしかして、自分は有責配偶者なのではないか?」

このような不安を抱え、この記事にたどり着いたあなたは、きっと現状の夫婦関係に悩んで、自分が有責なのではないかと不安になってるのではないでしょうか?

しかし、「有責配偶者」という言葉の意味、それが離婚に与える影響について、正確な知識がないまま不安を抱えている場合も多いのです。

この章では、数多くの離婚問題に携わってきた弁護士が、有責配偶者の定義から具体的にどういう場合に離婚ができないのか、分かりやすく解説します。ご自身の状況を理解して、進め方を判断するための一助としてください。

2. 有責配偶者:判例の考え方

「有責配偶者」という言葉は、民法に直接明記されているわけではありません。しかし、日本の離婚実務において、裁判所が離婚を認めるかどうかの判断基準として、長年にわたり判例によって形成されてきた重要な概念なのです。

民法第770条第1項には、裁判で離婚が認められる原因として「婚姻を継続しがたい重大な事由」が定められています。有責配偶者とは、この「婚姻を継続しがたい重大な事由」を自らの行為によって作り出し、夫婦関係を破綻させた主な原因を作った側の配偶者を指します。

簡単に言えば、夫婦のどちらか一方が、婚姻関係を壊すような行為を行い、その責任が主にその一方にある場合に「有責配偶者」と呼ばれることになります。この概念は、特に、裁判所での判断では、有責配偶者からの離婚請求をできなくするという点で重要です。

有責配偶者という考えは、最高裁判例が基礎になっています。

まず、重要な判例として知っておくべきは昭和27年の判例です。この判例は「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれている最高裁昭和27年2月19日判決です。この事案は、 夫が妻以外の女性と愛人関係にあり、同棲しながら妻に離婚を求めたというもので、判決では夫からの離婚請求を棄却しました。その際、「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」という判断をしています。つまり、こんな夫からの離婚を認めたら勝手な夫のわがままを認めることになり、妻からしたら全く納得できない、あまりに不道徳であるということで離婚を認めなかったのです。この判例は、 有責配偶者(婚姻破綻の主な原因を作った方)からの離婚請求は、原則として認められないというルールを定着させたとされています。

 

しかし、最高裁昭和62年9月2日判決は、従来の判例を変更しました。仮に、有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が当事者の年齢及び同居期間と対比して相当の長期間に及んでいて、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの請求であるという理由で離婚請求が認められないということはできないという判断をしたのです。この事案ではすでに長期の別居がされており、精神的・社会的・経済的に極めて妻が苛酷な状態におかれるということはないとされて、離婚が認められました。

 この判例変更により、以下の三つの要件で有責配偶者でも離婚が認められるようになりました。

  • 夫婦の別居が当事者の年齢及び同居期間と対比して相当の長期間に及んでいること、
  • 未成熟子がいないこと、
  • 相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこ

3. どんな行為が有責配偶者とされてきたのか?具体的なケース

では、具体的にどのような行為が「有責」と判断されてきたのでしょうか。ここでは、裁判所が有責配偶者と認定してきた代表的なケースを挙げ、それぞれの詳細を解説します。ご自身の行動や相手方との関係性を振り返りながら、確認してみてください。

不貞行為 浮気や不倫の定義

「不貞行為」は、有責配偶者と認定される最も典型的な行為の一つです。民法第770条第1項第1号に「配偶者に不貞な行為があったとき」と明記されているように、法律上も明確な離婚原因とされています。

不貞行為とは、配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて肉体関係を結ぶことを指します。一度きりの関係であっても、肉体関係を伴えば不貞行為と判断される可能性が高いでしょう。世間一般でいう「浮気」や「不倫」がこれに該当します。

メールやLINEでの親密なやり取り、デートを重ねるなどの行為だけでは、原則として不貞行為とはみなされません。しかし、肉体関係の有無が曖昧な場合でも、夫婦間の貞操義務に違反し、婚姻関係を破綻させる原因となったと判断されれば、有責性が認められる可能性もあります。また、肉体関係がなくても夫婦の貞操義務の点から他の配偶者の精神的苦痛を引き起こすような性的関係がありそれが破綻を引き起こしたのであれば、有責とされる可能性があります。

悪意の遺棄 生活費を渡さないなどの行為

「悪意の遺棄」も、民法第770条第1項第2号に規定されている離婚原因の一つです。

夫婦には、同居し、互いに協力し、扶助し合う義務(民法第752条)があります。悪意の遺棄とは、正当な理由なくこの義務を怠る行為を指します。

具体的な例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 生活費を一方的に渡さない、あるいは著しく少ない額しか渡さない。
  • 正当な理由なく家を出て、音信不通になる、あるいは連絡を絶つ。
  • 病気や高齢の配偶者を放置し、必要な介護や世話を拒否する。
  • 同居していても、家事を一切せず、配偶者の生活を顧みない。

これらの行為が故意に行われ、相手方に精神的・経済的な苦痛を与え、婚姻関係を破綻させる原因となった場合に、悪意の遺棄として有責性が認められます。もっとも、このような場合が問題となることはあまりありません。というのは、悪意の遺棄をするような配偶者であれば婚姻を続ける意味がほとんどないからです。もっとも悪意の遺棄をされたが、年収が高い相手であったので高額な婚姻費用が認められていて、現実に払っているような場合には離婚請求を拒否する経済面の理由があるので有責配偶者として離婚を配偶者から拒否される例がみられます。

DVやモラハラ 精神的肉体的な暴力

「DV(ドメスティックバイオレンス)」や「モラハラ(モラルハラスメント)」は、婚姻関係を破綻させる重大な原因となり、有責配偶者と判断される可能性が高い行為です。

DVとは、配偶者やパートナーからの暴力を指し、殴る、蹴るなどの肉体的な暴力だけでなく、怒鳴る、物を壊す、行動を制限するなどの精神的な暴力も含まれます。

モラハラとは、言葉や態度によって相手の尊厳を傷つけ、精神的に追い詰める行為です。例えば、人格否定、無視、長時間の説教、相手の意見を一切聞かない、交友関係の制限などが挙げられます。

これらの行為は、被害者に深刻な精神的苦痛を与え、婚姻生活の継続を著しく困難にさせます。たとえ肉体的な暴力がなくても、長期間にわたる精神的な攻撃は、有責性を認めるに十分な理由となります。

もっとも、この種の行為は後で立証をすることが困難なことが多いです。特に精神的は支配を受けていたい方は、証拠を残すという精神的な余裕がないため、立証という点で困難な問題があることが多いといえます。

その他 婚姻関係を破綻させた行為

上記の典型的なケース以外にも、夫婦関係を破綻させるに至った様々な行為が、有責配偶者と判断される原因となることがあります。民法第770条第1項第5号の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するケースです。

具体的には、以下のような行為が挙げられます。

  • 過度な浪費、ギャンブル依存、多額の借金を作り、家計を破綻させる。
  • 正当な理由なく性交渉を拒否し続ける、あるいは性的に異常な行為を強要する。
  • 重大な犯罪行為を行い、長期間の服役を余儀なくされる。
  • 特定の宗教活動に過度に傾倒し、家庭生活を著しく疎かにする。
  • 親族との関係を著しく悪化させ、家庭に深刻な問題を引き起こす。

これらの行為は、夫婦間の信頼関係を破壊し、共同生活を維持することが困難になるほどに婚姻関係を悪化させた場合、有責性が認められる可能性があります。個々のケースによって判断は異なりますが、客観的に見て「婚姻関係がそのような事情によって破綻した」と認められるかどうかが重要なポイントとなります。

3-1. 有責配偶者に関する原則と例外があります

「私が有責配偶者だから、もう離婚はできないのではないか」と不安に思われている方もいらっしゃるかもしれません。日本の法律では、上記の最高裁判例が基礎になって、夫婦関係を破綻させた責任のある側からの離婚請求は、一定の要件がないと認められないという考え方があります。

しかし、そもそも貴方が有責配偶者となるかというのは、夫婦の破綻がどういう理由で起きたのか、双方に問題がなかったのかという点から検討される事柄です。仮に、貴方にも問題があっても双方に帰責性があることもありますので、不貞をしてしまった、暴力をふるってしまったというだけの理由で貴方が有責配偶者として離婚を請求できないということにはなりません。以下、原則の場合(離婚が認められない場合)と、例外的に離婚が認められるケースについて、弁護士が詳しく解説します。

3-2. 有責配偶者からの離婚請求は原則として認められない

上記の最高裁判例(踏んだり蹴ったり判決)の後、判例が変更されていますが、日本では夫婦の一方が離婚原因を作った場合、その責任のある側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められないというルールはあります。これは、夫婦関係を破綻させた者が、自らの責任を棚に上げて一方的に離婚を求めることは、倫理的に許されないという考えを基礎にしており、信義則によって離婚を裁判所が認めないということになっています。有責配偶者からの離婚請求を安易に認めてしまうと、責任のない配偶者の利益が著しく害されてしまって不公平だからです。

裁判所は、有責配偶者からの離婚請求に対しては非常に慎重な姿勢をとっていますが、一方で、有責性が双方にないかという点も慎重に判断します。よって、個別の事情を考慮して裁判所の判断がされるのです。

3-2. 有責配偶者でも例外的に離婚が認められる3つの条件

最高裁判所の判例変更で、有責配偶者からの離婚請求であっても、上記の条件を満たす場合には例外的に離婚を認めるということとなっています。もはや夫婦としての実体がないにもかかわらず、形式的に婚姻関係を維持し続けることの不合理性を考慮したものです。具体的には、上述の3つの要素を総合的に判断して、離婚が認められるかどうかが決まります。

①長期間の別居がある場合

夫婦が長期間にわたって別居しており、夫婦としての共同生活が完全に失われている状態であれば、離婚が認められる可能性が高まります。一般的には、7年以上の別居期間が目安とされていますが、これはあくまで目安であり、個々の事情によって判断は異なります。別居期間中に、夫婦間の交流が全くない、というような場合、夫婦関係が完全に形骸化しているとされますので、離婚が認められやすくなります。

②未成熟の子がいない場合

夫婦の間に未成熟の子どもがいないことも、有責配偶者からの離婚請求が認められるための重要な要素です。未成熟の子とは、経済的・精神的に自立しておらず、親の保護を必要とする子どものことを指します。子どもがすでに成人している、あるいは経済的に自立している場合であれば、離婚が子どもの生活に与える影響が少ないと判断され、離婚が認められやすくなります。もっとも、今後は、有責配偶者に新たな家族ができていてそちらに子供ができているというような要素も、子供の利益を中心にするという点から、検討がされるかもしれません。

③相手方が離婚後の生活に困らない場合

離婚される側の配偶者が、離婚によって経済的に著しく困窮しないことも、例外的に離婚が認められるための条件となります。具体的には、離婚する有責配偶者側が、財産分与や慰謝料などを通じて、離婚される配偶者の離婚後の生活を保障できるかどうかが考慮されます。相手方が、離婚後も安定した生活を送れるだけの経済的基盤があるか、あるいはその基盤を確保できる見込みがあるかが判断のポイントです。よって、調停や裁判中にきちんとした財産分与を提案し和解的離婚を志向したかどうかも離婚が認められるメルクマールになるでしょう。

3-4. 判断方法

上記の3つの例外要件は、それぞれ単独で判断されるものではなく、裁判所はこれらの要素を総合的に考慮し、これら要件が満たされているかを判断しつつ、夫婦関係がすでに破綻しており、もはや回復の見込みがないと判断した場合には、有責配偶者からの離婚請求を認めやすくなります。つまり、夫婦としての実体が完全に失われ、婚姻関係を維持し続けることが社会通念上も不合理であると認められるかどうかが、最終的な判断基準となるのです。形式的な婚姻関係だけが残っていても、実質的に夫婦としての機能が失われている(かつ、財産分与により配偶者が離婚後に過酷な状態にならない、子の福祉という点でも離婚によって未成年者の福祉が特に害されるわけでもない)等と判断されれば、有責配偶者からの離婚も可能となる道が開かれています。

4. 有責配偶者が離婚するための具体的なステップ

「有責配偶者だと離婚できない」という原則は、多くの方にとって大きな不安の種でしょう。しかし、有責配偶者であっても、一定の条件を満たせば離婚が認められる可能性は十分にあります。ここでは、そのための具体的なステップを解説します。

4-1. 証拠収集の重要性

有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、単に「離婚したい」と主張するだけでは不十分であり、客観的な証拠に基づいた立証が不可欠です。特に、離婚が認められる例外条件を満たしていることを示すための証拠や有責性は双方にあるという証拠とか、破綻の原因は別にあるという証拠が有用です。そういった証拠は、調停での話し合い、交渉や離婚裁判の場で非常に重要な役割を果たします。

例えば、長期間の別居を主張するのであれば、住民票の移動履歴、賃貸借契約書など、別居期間を証明する書類が必要です。また、相手方が離婚後の生活に困窮しないことを示すためには、相手方の収入状況や資産状況、財産分与がどの程度になるかの証拠が必要です。

さらに、自身の有責性を一定程度は認めつつも、婚姻関係がすでに完全に破綻しており、回復の見込みがないことを示す証拠も重要です。これは、相手方とのコミュニケーションの記録、夫婦関係調整調停の経緯、あるいは夫婦間での話し合いの記録などが該当します。また、相手配偶者にはやり直すつもりがないということも証拠として有用です。

しかし、証拠収集にあたっては、違法な手段を用いることは避けるべきであり、法的に有効な証拠を適切に集めるためにも、専門的弁護士に相談し、どのような証拠が必要で、どのように収集すべきかアドバイスを受けることを強くお勧めします。

4-2. 和解的な離婚の可能性を探る

裁判による離婚は時間も費用もかかり、精神的な負担も大きいため、可能であれば和解的な解決を目指すことが何より望ましいです。有責配偶者からの離婚請求であっても、相手方は慰謝料の金額や財産分与の提案内容によっては離婚に応じてくれることもあります。そういう場合は、協議離婚か調停離婚で離婚ができます。

和解的な離婚を目指す場合、まず重要なのは、相手方の感情に配慮し、誠実な姿勢で話し合いに臨むことです。自身の有責性を認め、謝罪の意を示して、慰謝料を提案することが大切ですが、離婚が成立しない場合に備えて、有責性を完全に肯定することは避けるべきです。よって、交渉には法的知識が必要です。謝ることで相手方の態度が軟化し、話し合いのテーブルに着いてくれることも多々あります。

話し合いの際、慰謝料(生活を保障するような内容のもの等)、財産分与、親権や養育費といった離婚条件について、具体的な提案を書面で伝えることが大切です。特に、有責配偶者である可能性があることから、相手への支払いを多くすることで、離婚への合意を得やすくなる場合があります。というのも、相手も再婚などの新たな生活をしたいと思っていることもありますし、離婚をしたほうが公的な給付が得られやすいことがあります。居住するマンションの長期的居住を認めるなど相手が望んでいることを実現するような提案は特に、有用です。

通常は、直接の話し合いが難しいので弁護士を介して交渉を進めます。弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静かつ建設的な話し合いを進めることができます。合意に至った場合は、後々のトラブルを避けるためにも、合意内容を離婚協議書や調停調書などにして残します

4-3. 離婚調停の進め方

交渉で離婚合意に至らない場合、次のステップとして家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。離婚調停は、裁判官と調停委員が間に入り、夫婦双方の意見を聞きながら、合意による解決を目指す手続きで、有責性がある場合にも慰謝料を払う提案をすれば、裁判所として調停案を作って離婚を促進させてくれることもあります。特に、幼い子がいるような場合、紛争を終わらせる方がそういった子の福祉のためによいという判断がなされることもあります。

有責配偶者からでも、離婚調停の申し立ては可能であり、調停では、調停委員が夫婦それぞれの主張を聞き、離婚の可否や慰謝料、財産分与、親権などの具体的な条件について話し合いを進めていきます。有責配偶者である可能性があっても、相手にも有責性が認められる証拠があるのであればそれも示して双方に問題があったことを主張することも一つの戦術でしょう。

あなたは、自身の有責性を認めつつも、なぜ離婚が必要か、そして相手への配慮としてどのような条件を提示できるのかを、具体的に説明していくことも有用です。

調停委員会(裁判官が一人加わっています)では、夫婦関係が破綻している状況や、有責配偶者からの離婚請求が認められる例外条件に該当するかどうかなども考慮しながら、双方にとって納得のいく解決策で相当な解決を探ります。調停が成立すれば、その内容は調停調書として作成され、確定判決と同じ効力を持つことになります。

しかし、調停はあくまで話し合いの場であり、相手方が離婚に同意しない限り、概ね半年内で調停は不成立となります。調停が不成立となった場合、離婚を求める方が離婚裁判を提訴することになります。

5. 離婚裁判での和解の進め方

離婚調停が不成立となり、離婚裁判へと移行した場合でも、裁判の途中で和解が成立するケースが非常に多いのが、日本での離婚訴訟の特徴です。

裁判官は、訴訟の進行状況や双方の主張・証拠を検討して、判決であればどうなるかを見据えつつ、和解による解決が適切と判断して、和解を勧告することが通常です。

裁判上の和解は、当事者双方にとって、判決による解決よりも柔軟な内容で合意でき、計画的な内容とできるメリットがあります。例えば、判決では認められないような細かな条件や、今後の関係性に関する取り決めなども和解であれば盛り込むことが可能です。今住んでいる住居に住むことを認めつつ、財産分与を将来支払うというようなアレンジもできますし、退職金をもらってから多額の金額は払うというアレンジもできます。

また、判決まで待つよりもずっと早く解決できるため、精神的・経済的負担の軽減にもつながります。控訴しあうことがないので、弁護士費用も安くなります。

有責配偶者として裁判上の和解を目指す場合、相手の有責性も強く訴えるのか、自身の有責性を踏まえつつ、相手方への誠意ある態度を示すのか、それは戦略的によく考えたほうがよいでしょう。相手を怒らせてしまうと和解が進められないことも考えたほうがよいものの、最終的な判決をもらう可能性もあるので自分だけが有責ではないケースでは、主張はきちんと維持しておくことも重要です。

具体的な離婚条件(慰謝料の額、財産分与の割合、親権や養育費など)について、貴方が譲歩の姿勢を見せて慰謝料も払うことで、相手配偶者は和解に応じやすくなるでしょう。

弁護士は、裁判官からの和解勧告の内容を分析し、あなたの利益を最大限に守りつつ、現実的な和解条件を提示するためのサポートを行って、早期の解決を目指します。和解が成立すれば、その内容は和解調書として作成され、裁判上の判決と同じ効力を持つことになります。その和解の期日が離婚したい日となります。

6. 離婚裁判での主張・立証の方法

和解が成立せず、判決による解決を目指す場合、有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、法律が定める例外条件を満たしていることを裁判官に納得させるだけの主張と立証が必要です。あるいは、貴方だけが有責ではないことの主張・立証が必要です(この場合には、あなたはいわゆる有責配偶者ではないという判断になります)。

上述した例外の3条件を満たすことを主張するのであれば、客観的な証拠に基づき、論理的に主張することが求められます。弁護士は、あなたの状況を詳細に分析し、貴方のために最も効果的な主張内容を検討して裁判を進めていきます。

また、必要な証拠の収集をサポートし、裁判所に提出する書面(訴状、準備書面など)の作成、証人尋問の準備、そして裁判官への説得力のある弁論を行います。

有責配偶者からの離婚請求は決して成功させるのは簡単ではありませんが、適切な戦略と弁護士のサポートがあれば、離婚を成立させることは十分に可能です。現実に訴訟では有責と主張されている人の6割以上は和解離婚ができていると思われます。

7. 有責配偶者と慰謝料・親権などの関係

離婚を考える際に、ご自身の有責性が慰謝料や財産分与、そして何よりもお子様の親権にどう影響するのかは、多くの方が抱える大きな不安ですね。それぞれの項目について、以下、具体的に解説します。

7-1. 慰謝料請求では、有責配偶者は不利なのか?

慰謝料とは、離婚の原因を作った側が、相手に与えた精神的苦痛に対して支払う賠償金のことです。 あなたが有責配偶者であると認定された場合、原則として、慰謝料を払わないとならない立場になります。 不貞行為や悪意の遺棄、DVやモラハラといった行為は、相手方に大きな精神的苦痛を与えるため、慰謝料の支払い義務が生じる可能性が高いでしょう。しかし、双方が有責であるという場合には、双方が払わないということもありますし、片方が有責性が強いので払うということもあります。

有責配偶者であるあなたが、相手方に慰謝料を請求することは、 原則としてできません。しかし、自らが婚姻関係を破綻させた原因を作ったといえない場合には、相手への慰謝料請求もできます。例えば、相手方にも婚姻関係を破綻させるような暴言、不貞行為、暴力などがあった場合は、あなたの精神的苦痛も認められるからです。

貴方にも悪いところがあれば、相手方からの慰謝料請求は認められるでしょうが、相手の有責性から減額されることがありえます。ですが、これはあくまで例外的なケースであり、基本的には有責配偶者は、慰謝料を払うことになると理解しておくべきです。

7-2. 財産分与と有責性

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚時に公平に分け合う制度です。 この財産分与においては、どちらが離婚の原因を作ったかという有責性は、原則として影響しません。 なぜなら、財産分与は、夫婦が共同で形成した財産の清算を目的とするものであり、夫婦の協力に対する貢献度を評価するものだからです。

したがって、あなたが有責配偶者であったとしても、婚姻中に夫婦で築いた預貯金、不動産、自動車、退職金、年金といった共有財産は、原則として貢献度に応じて公平に分与を請求することができます。 ただし、相手方が財産を隠していたり、あなたが財産形成に全く寄与していない特有財産であると主張されたりする場合には、その分与割合や対象財産について争いになることもあります。

7-3. 親権や養育費への影響

お子さんがいらっしゃる場合、親権や養育費についても有責性が影響するのかという点は、最も気になることの一つでしょう。 結論から言うと、親権者の決定や養育費の算定において、有責性は直接的な影響を与えないのが原則です

親権者の決定においては、裁判所は「子の利益」を最優先に考慮します。 どちらの親が、お子様にとってより良い環境を提供できるか、これまでの監護状況、親と子の関係、お子様の意思(年齢に応じて)、そして親の経済力や健康状態、親子交流への考えなどが総合的に判断されます。 あなたが有責配偶者であったとしても、それが直接的に「お子様の監護に不適格である」と判断されるわけではありません。 ただし、DVやモラハラといった有責行為や不貞相手との同居が、お子様への虐待や監護能力の欠如につながると判断されるような特殊なケースでは、間接的に親権者の判断に影響を及ぼす可能性はあります。

養育費についても、その算定は、お子様が健やかに成長するために必要な費用であり、親の扶養義務に基づくものです。 そのため、親の有責性とは切り離して考えられます。 養育費の金額は、親それぞれの収入や、お子様の年齢、人数などに基づいて算定されるのが一般的です。 あなたが有責配偶者であったとしても、お子様に対する養育費の支払い義務は変わらず発生しますし、逆にあなたが親権者となった場合には、相手方に養育費を請求することができます。

8. 離婚における弁護士のサポート

8-1. 経験のある弁護士であれば、あなたの状況を正確に判断できます

「私は有責配偶者なのだろうか?」という疑問や不安は、一人で抱え込まず、専門家である弁護士に相談することが非常に重要です。有責配偶者かどうかの判断は非常に複雑であり、相手との関係や相手の有責性、個別の行為に関する証拠状況、婚姻期間、夫婦関係の破綻状況など、多岐にわたる要素を総合的に考慮して判断されます。

経験豊富な弁護士は、あなたの個別の状況を正確に把握し、法的な観点から客観的に判断することができます。どのような行為が有責とみなされるのか、どの程度の証拠があれば認められるのかなど、法律の専門知識に基づいて具体的なアドバイスを提供し、あなたの不安を軽減する手助けとなるでしょう。また、相談内容は秘密厳守であるため、安心して胸の内を話すことができます。

8-2. 適切な戦略を考えましょう

有責配偶者からの離婚請求は原則として認められないとされていますが、上述のように、離婚が認められるケースも存在します。弁護士は、これらの法的な原則と例外を熟知しており、あなたの状況において、どのような主張が有効か、どのような証拠が必要かなど、離婚を実現するための適切な戦略を共に考えてくれます。

例えば、長期間の別居や、相手方の離婚後の生活状況、未成熟の子の有無など、具体的な事情を踏まえた上で、調停や裁判においてどのように交渉を進めるべきか、どのような主張を展開すべきかをアドバイスしてもらいましょう。

慰謝料、財産分与、親権、養育費といった離婚に伴う諸問題についても、あなたの状況に合わせた最善の解決策を導き出すためのサポートを経験のある弁護士は提供してくれるでしょう。

8-3. 結論:あなたが明るく生きるために!

離婚は人生における大きな転機であり、特に有責配偶者であるかもしれないという不安を抱えている方にとっては、精神的にも大きな負担となります。しかし、新たな一歩を踏み出すために、専門家のサポートは不可欠です。

あなたの明るい未来のために、まずは現状を正確に把握し、法的な選択肢を理解することが大切です。専門家である弁護士は、あなたの味方となり、法的な知識と経験を活かして、あなたが安心して新しい人生を歩み出せるよう、全力でサポートします。一人で悩まず、ぜひ弁護士にご相談ください。

作成者: 弁護士 松野 絵里子

記事監修者 弁護士 松野 絵里子
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記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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