親権・監護権

離婚したら親権者でない親が子と交流できる?面会交流をスムーズに実現するには?

離婚時に子供がいる場合は、親権者をどちらにするか、父母ともに親権者とするのか(2026年5月より)を、離婚届に記入する必要があります。親権者でない親が子供と会うための面会交流権について、離婚届を出す前に確認しておきましょう。スムーズな解決には弁護士依頼が望ましいケースもあります。

日本の離婚率は今や35%前後となり、実に3組に1組以上の夫婦が離婚しているという計算になります。子はかすがいとは言いますが、子供がいる夫婦でも離婚することが珍しいことではなくなってきました。離婚するほどの理由があるにせよ、親の都合で両親が離婚をするという事実は、子供にとっては相当に辛いものであることが多いのです。子供の成長にとってできるだけ良い方法を選べるように、離婚届を出す前に確認しておきましょう。

1. 離婚の際に子供の親権者をどうするか?

1-1. 未成年の子供がいる場合の離婚届

協議や裁判を経て、離婚が決まったら離婚届を役所に提出します。夫婦に未成年の子供がいる場合は、離婚届に親権者を記入する必要があります。この欄が未記入のままですと、離婚届は受理されないからです。親権者をどちらにするか決めてから離婚届を記入することになりますが、この話し合いに決着がつかない場合などは、家庭裁判所に調停を申し立て、そこでも決着がつかなければ裁判へと進むことになります。

子供のことになるとなかなか譲り合いができなくなることも多いですが、感情的になりすぎず、弁護士に依頼をするなどして、できるだけ子供にとって良い選択ができるよう、お互いの妥協点を見つけましょう。2026年からは共同親権という選択ができるので、子どものためにどういう選択がよいのかよく考えてみましょう。

1-2. 親権者として選ばれやすいのは?

親権者を決定する際に、調停(協議)や裁判で親権を取得しやすいのは、母親のことが多いです。子供が小さいうちは特に母親を親権者とすることが多くなりますが、監護能力・環境、経済能力、諸事情なども考慮したうえで決定されます。

子供が15歳以上の年齢に達している場合は、法律上の義務として、子供の意向を聞くことになっています。子供の生活環境や意向なども親権者を決定する際に考慮され、10歳以上になってくると、ある程度子供の希望が尊重されやすくなります。

幼い子供の場合には子供の意向を尋ねても、両親どちらのことも大好きなので選ばせるというのは酷です。海外先進国では、子どもが親を選ぶということはなく、どういう暮らし方がよいかという観点で父母が話あうべきであるという考えから、父母の養育計画をつくるのが通常です。監護実績や今後の監護の在り方が子にとって利益となる親が、子と同居するのがよく、他の親は適宜養育に参加するというのがよいでしょう。

日本の法律でも、離婚後共同親権が認められるようになったので、離婚した両親のどちらかが未成年者の子供の親権者となることだけが選択肢ではないのです。親が離婚しても、子どものための協力はできるように誠実に話し合いましょう。

あるいは、まったく交互に養育をするというスタイルがうまくいくようなこともあります。

1-3. 離婚後に親権者を変更することはできる?

離婚届を出すときには記入するのみで親権者を決定ができますが、離婚後に親権者を変更するには、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。家庭裁判所では親権者の変更に際し、子供の福祉に適うかどうかという点で検討します。離婚後に父親、母親の事情が変わるということは起こり得ることなので、申立てのあった時点でどちらが親権者になることが子供にとって良いのかを判断するのです。

家庭裁判所では親権者を変更するかどうかを判断するにあたって、調査官が子供に聞き取りをしたり、養育環境が適切であるかを調べに家庭訪問をしたりします。そして、調停での話し合いの末、必要と認められた場合には親権者の変更が認められます。親権者の変更には回数制限は設けられていませんが、祖父母が親権者となることは認められていません。

親権者を単独から共同親権とする変更も令和7年春から法改正により、可能となります。

2. 親権者でない親が子供に会うには?面会交流権について

2-1. 面会交流権ってどんな権利?

離婚する夫婦に未成年の子供がいる場合には、どちらかの親が親権者となってその親が子と暮らすことが多いです。離婚が成立し、親権者が決定すると、子供は親権者とともに暮らすことになりますが、父母で話し合って週末は他の親と暮らすというような共同養育も可能です。離婚の際の決定事項として、監護者を決めるケースもありますが、その場合には監護者が子供と暮らすことになり、教育についてなどのかなりの権限をもちます。

面会交流権とは、子供と暮らしていない方の親が、子供と面会したり交流したりする権利とされています。しかし、この権利は離れて暮らす親だけの権利ではなく、子供のための権利でもあります。この面会交流権は、離婚前に別居している状況でも適用されます。

2-2. 面会交流権はどのようにして決められるか?

協議離婚が成立し、元夫婦間の話し合いで面会交流の頻度や日時などが決められる場合は、その都度での話し合いとなります。しかし、話し合いがこじれるような場合には家庭裁判所に調停を申し立て、そこでも決まらなければ、子供の利益を判断しながら裁判所で決定されることになります。子供を巻き込んで感情的な話し合いにならないよう、弁護士に依頼することもできます。

日本では、面会交流が子どもの権利であるという考えは確立していませんが、親権は子の利益のために行使するので、面会交流も子どもの利益となるように決めていきたいものです。

2-3. 一般的な面会交流

一般的な面会交流は、日本では月1から2回程度ですが、海外先進国では年に100日以上ということが多いです。

双方の居住地や関係性によって、日本でも頻度を増やしている父母もいますし、親権紛争になりそうな場合に、この交流時間で調整をしているカップルもいます。子供の年齢にもよりますが、面会時間も日中のみにするのか、夕飯を一緒に食べるところまでの時間にするのかなど、宿泊もするのか・・・よく協議をしておく必要があります。親子の関係性が良い場合は、夏休みには旅行に行くなどのため、宿泊を伴う面会交流をきめていることも多いです。

他にも、面会交流の歳に子どもを引き渡す場所をどうするか、連絡をメールでするのかSNSを使うのか、学校行事の参加などについても、話し合っておく必要があります。習い事をどうするかというようなことも、決めておくとよいでしょう。うまく話しができないようなら専門的弁護士に相談するのが良いでしょう。子供の成長に合わせて、学校が忙しくなって面会交流の回数が少なくなることもありますし、逆に、子がある程度大きくなって子どもの部活動のサポートをしてかえって親とのやりとりが増えるようなこともあります。

父母はともに、子の成長を助けるサポーターですから、子どもと親が一緒に成長できるような交流の計画がつくれるとよいでしょう。

3. 面会交流権を拒否できる条件

3-1. 面会交流日が子供に不都合な日程だった場合

決められた面会交流の日に子供の学校行事が入ったり、病気になったりというときには面会交流をできないと伝えて別の日程にするなどは可能です。しかし、日程変更もできないような場合には、理解を求めましょう。

3-2. 面会交流を禁止、制限できる場合

面会交流を行うことで子供を不幸にすることが明確な場合、面会交流を禁止したり制限したりするよう、求めることができます。例えば、交流中に子供を虐待したような場合ですが、相手が面会交流権を求めて揉める可能性がかなりあります。子への虐待は児童相談所にまずは相談しましょう。

4. 面会交流権と養育費の支払いについて

面会交流に際してよく起こり得る問題として、親権者が面会交流を拒否しているので養育費を払わないと言われることです。逆に、別れた元配偶者からの養育費が滞っているため、面会交流を拒絶しているという場合もあります。

いずれの場合も、家事実務ではこれらの問題は全く別のものとして捉えられています。養育費を払っているから子供に会う権利があるというのも、養育費を受け取りたいために面会交流をしぶしぶ認めるというのも、子供の価値をお金に換算しているようなことになってしまうからおかしなことです。

どちらの問題で揉めている場合も、冷静になって面会交流権はどうあるべきか、養育費はいくらが適切か、両方を切り分けて話し合いをする必要があります。

子供がいても離婚を決めたからには、いろいろな事情があったことでしょう。しかし、両親が離婚すると子供の生活は大きく変化し、強いストレスを与えることになるのです。

別れてもなお、いがみ合っていることが子供をさらに傷つけることに親が気が付いて、、子供にとってできるだけ良い方法を選べるのがベストです。そういった点で、子どもの視点をもった弁護士に事件を依頼することで、よりより解決、後悔しない解決となるでしょう。

離婚事件の解決は親の喧嘩の終わりではありますが、勝負の結果が出るというものではありません。未来への最初の一歩です。親子がこういう解決をしてよかったと、しみじみ後で思えるような解決をしたいですね。

当事務所では離婚の無料相談を行っております。お子さんのこと、親権のことで悩んでいるのであれば無料相談のご予約をなさってみてはどうでしょう?

記事監修者 弁護士 松野 絵里子
記事監修者 弁護士 松野 絵里子

記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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