離婚

子が連れ去られて子の住所もわからない!どうするべきか?

令和になってからも、年々増加傾向にある離婚。円満離婚ができれば問題ありません。しかし、夫婦間の仲が悪化してしまい、二度と会いたくないという憎しみが生まれた結果、虚偽DVや実子誘拐(子の連れ去り)というような、行政を巻き込む深刻な問題が浮き彫りになっています。親権争いから泥沼になることもあります。

1. 離婚の現状を知る

1-1 毎年一定数の離婚をする夫婦がいて悩んでいます

夫婦それぞれの考え方の違いや意見に食い違いなどから気持ちがすれ違い、離婚をするケースが毎年23万組もあると言われています。そして、離婚をした夫婦の約6割に、未成年の子供がいるそうです。子供への悪影響を避けた離婚をすることが大切です。

法律では、離婚をして親権がどちらかになっても、子供と親は養育に関与できますし、子の利益の観点からはそうするべきでしょう。しかし、何かしらの原因があって子どもに会わせたくないという感情が芽生える親がいて、それが虚偽DV申告や子の連れ去りという方向に進んでしまうことが日本では、あります。もちろん、本当のDVの被害者で逃げるしかない場合の人もたくさんいます。

裁判所の実務では「監護の継続性」が重視されるので、子をおいて家を出ると母親でも親権が取得できないことから、弁護士が、離婚したいのであれば子を連れ去って家を出ることを薦めることがあります。それが、子の連れ去りを増やしている原因の一つかもしれません。

また、行政において離婚をしたいという相談をすると、女性に対して、子を連れて別居することを薦める相談員も多いようです。日本では、親が双方に子に関与して、子どもを育てるべきであるという考えを持っていない人が多いことが、背景にあるのかもしれません。

子が父母の双方を求めているのに、一人の親が会わせたくないと思ったら、それで会えなくなってしまうことが、現実の日本では実際に起こってしまいます。会いたいという気持ちが募り、子を連れ去られた後、子を自分から連れ出そうとする親が逮捕されてしまうという場合すらあります。

1-2 親が子の住所すらわからなくなる現実

離婚をして親権がない親も、2026年に施行される改正民法では父母には養育義務があると定められているので、親として子に関与することは認められます。よって、定期的に子供に会う権利があるはずです。

しかし、同居する親、親権を持つ側の親から「絶対に子供に会わせたくない」という感情をもたれてしまうと現実にはそれができない事案もあります。親権争いが起きるという不安から、同居している親がDV被害であるとか、子の虐待があったという虚偽または誇張した申告をしてしまうケースもあるようです。当人はそれがDVであるとか虐待であると本当に信じているけれど、客観的にはそうではないということも、往々にしてあります。

さらには、新たな暮らしをはじめたいし、子を連れていきたいが、新たな住所を知らせるときっとすぐに押しかけられて別居の暮らしが落ち着かないという理由から、住所を秘匿したいと考えて行政上のDV等支援措置を使って自分と子供の住所を隠そうとする親もいます。

DV等支援措置は、比較的簡単に実施されるので、男性でも被害者として申告して実施をしてもらうことが可能です。その場合、裁判官が連れ去ろうとしている親の言い分と他の親の言い分を聞いて事実について認定するという手続きもありません。

親子の問題と夫婦の問題は別ですが、別居をしたい人としたくない人、親権をどうしても確保したい人がいるので、離婚を望む親が真剣に有利になるように、一方的な子の連れ去りをして、この支援措置をつかう、そして弁護士をつかって生活費の要求だけするという事件は多数見られます。

1-3 どうやって状況を打開するか?

親としてがんばってきたのに、虚偽のDVを申告されて子供と会えなくなってしまったら、自分ひとりで悩まずに、専門知識のある弁護士に相談をすることをおすすめします。

相手に弁護士がついている場合には、弁護士と弁護士の冷静に交渉をすることで、親子の交流が開始できることがよくあります。

そういった場合、親子の特定ができるような形で、SNSで相手を責め立てるようなことをすると、葛藤を高めてしまうので回避しましょう。

仮に、DV等支援措置が発動されているとそれを解除してもらうにはかなりの時間がかかったり、そもそも解除されないこともあります。前科になるのではないので、冷静に対応しましょう。行政の担当は、行政通達によるマニュアルに従って実施をするので、苦情を言ってもそれで支援措置をやめることはありません。自分がDVや虐待をしていないのに、そのように言われて責められているのであれば、冷静に家庭裁判所の手続きを迅速に使うことが最善の解決であることが多いので、専門的な弁護士に相談してください。

2. 不仲の親による子の巻き込みの問題

2-1 増えているDVや児童虐待の問題

配偶者からDVを受けている、自分の子供が他の親に虐待されているという事件が増加しています。今までもありましたが、最近はDVとか虐待という問題を意識することが増えたので、それを通報して、問題と考える親が増えているということなのかもしれません。

警視庁がまとめたデータでも、警察にDVや虐待の相談を受ける件数は、年々増加していると言われています。新型コロナウイルスが拡大する前から増加傾向がありましたが、コロナ禍には家にいる時間が増えたことからDVは増えたようです。

そして、最終的には離婚しなければいけない状況になり、コロナが原因で離婚する「コロナ離婚」という言い方もされました。夫婦が距離感をもって相手に対して敬意をもてなくなるとDVやハラスメントが深刻になります。片方はDVやハラスメントではないと思っていても、他方は深く傷ついてしまうこともあります。

2-2 なぜ増えているのか

テレワークの影響で自宅にいる時間が長くなっている、若い夫婦では養育に父母が共同で参加する人が増えている、そもそも子を育てることについて理想を持っている父母が多くなり双方の理想がぶつかってしまうというようなことが背景にあるのでしょう。

子を育てている親が不仲になって、相手の行為がハラスメントであると感じて耐えられなくなることが増えています。

結婚して子が生まれると、今までのライフスタイルが急に変わってしまうので、双方が子の養育を負担とも感じることも当然ですし、理想的子育てができないとストレスから夫婦が不仲になることも、当然の結果でしょう。

子育てがうまく分担できないと「ワンオペ」であるという不満がでてきて夫婦関係はより悪化します。「ワンオペ育児」は、男性でも女性でも感じることがあり、片親が家事が苦手であるようなケースに特に多く、「自分ばかりがやっている」という不満をもつようです。そうなると他の親はいない方がよいという感情が芽生えることは想像できますね。

趣味の時間が取れないことでイライラが募って、他方が趣味に没頭しているのをみてイライラするということもあるようです。

また、発達障害のあるお子さんで育てるのが難しい場合に、育て方いついて、双方が別の意見をもってしまうこともあります。学校で普通学級にいくべきか、特殊学級で手厚いサポートをうけるべきかでも衝突がありえます。

DV事案では、配偶者だけでなく、自分の子供にも暴力を振るってしまうような親もいますし、虐待と捉えられても仕方ないようなしかり方をしてしまう母親や父親がいることもあります。

2-3 子どもを連れて出ていく心理

DVを受けたと考えた方は、今すぐにでも離婚して「楽になりたい」「もう限界だ」と思っている人が多いでしょう。現状が嫌になって逃げだしたいと思っている中、現実に逃げだす人が多くいます。相手が子どもに対して執着するだろうと思うと不安になって、別居してから子ども他の親に会わせたら「子が元の家に戻りたいというかもしれない」という点で大きな不安をもつかもしれません。あるいは、子のしかり方からして、子どもの親として他の親が不適切であると感じている親もいるでしょう。

「虚偽DV」という言葉がありますが、片親があきらかに嘘をいう場合もありますが、自分はDV被害にあっているという気持ちで、被害を訴えたり、子を守るためであるという信念を持っている場合もあるでしょう。

DVがあると片親が考えても、それが現実にDV保護法の「DV」に該当するのかは、本来的に司法が判断することです。しかし、日本では子を連れて家を出ることを明確に罰していないため、DV保護命令で保護が必要ではないケースでも、自宅から、母子や父子がいなくなってしまうという事案が、多数みられます。そういった場合、子はいきなりの別居、転校、片親との断絶、同居親からの一方的な説明といった事態に直面して、大きく傷ついている事例が多くあります。

些細な夫婦喧嘩であっても、毎日続くとそれが耐えられない人もおおくいますし、些細と思っているのは一方だけで、そもそも些細と言えない喧嘩が続いていることもあります。無言やため息のように、しているほうはDVのつもりではないが、された方は気持ちが辛くなってしまうというような夫婦の問題もあります。

逃げてしまいたい、距離をおきたいと思ったときには、すでに関係が悪化していて相手にそれを伝える方法すらもうなくなっている、何を言っても決して二人では解決ができそうもない、どうしてよいかわからない、そういう心境になって、法律家に相談し、行政に相談し、悩んでから、子を連れ去る親が現実には多数いるようです。

その場合、子がある程度大きい場合には、転校の悪影響を考えて子を置いていく選択をする親もいますが、それまで養育に関与していた親は子を連れて行くという選択をすることが、日本では通常になりがちです。本来、民法では親二人で子供の住む場所を決めるというルールがあるのですが、それが日本ではあまり守られていませんし、弁護士ですらこういった民法のルールより子の監護を主として、してきた親が、子の監護を続けることが優先すると考える場合が多いのです。

3. 冷静な対応が求められる

子が連れ去られると怒りと不安と悲しみから、冷静でいられなくなるのは当然ですが、行政も警察もなにもしてくれないのが、通常です。

上記のDV等支援措置は簡単に発動されてしまって、解除が難しいですし、学校の転校も片親の言い分でできてしまう実務になっています。DV等支援措置が発動されると、住所を知るための戸籍の付票がとれなくなります。生活費を書留でおくることもできませんし、通常、SNSでの連絡も遮断されてしまいます。家を出たのが母子の場合、母子支援施設に入っていることもあります。

子の連れ去りの被害者は、自分が加害者であると疑われ、DV等支援措置の発動によって、子どもと相手がどこに住んでいるかも分からなくなってしまうので、パニックに陥りやすいでしょう。心情的には理解できることです。しかし、子どもを連れ戻そうとすることでDV保護命令が出やすくなることもあるので、冷静な対応が必要です。

虚偽DVや客観的にDVではないのにDVと扱われてしまう現象が増えている現実。その背景に、行政が簡単にDV等支援措置を発動することがあると思われますし、子を連れ去りが多いのは、それをしても処罰されることがほとんどなく、連れ去った親が子をもとの家に戻すよう命じられる司法制度になっていないことから、連れ去ったほうが自分に有利だと判断する親が多いことが、大きな原因でしょう。

さらに、日本では、子が他の親から切り離されたとき、迅速にその問題を解決する家事司法システムがほとんどない状況が深刻さを増すのです。

昔に比べて年々DV被害も増加している中、DV保護法が整備されてきました。暴力や虐待の被害に遭っている人にとって、自分の命と子供の命を守ることは大切なことです。しかし、制度を悪用している人がいるのも事実であって、子が連れ去りによって不幸になることも多々あります。

世界的にも日本において国内の連れ去りが問題であることは指摘されていますが、日本での実務がすぐに改善されることが見込まれていませんので、ご自分がその被害にあったときには、専門的弁護士に相談をして、問題の円満解決や親子の交流ができるように動いていくしかないようです。

4. DV等支援措置とは

住民基本台帳事務における支援措置とは「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者を保護するため、これらの行為の加害者が被害者の住所を探索することを目的として住民票の写しや戸籍の附票の写しを取得することを制限する制度」です。法律ではなく、事務処理要領という行政が作成したガイドラインのようなものを基礎にして市区町村で運営されています。

申出ができる人は、住民基本台帳に記録されている人で、以下のいずれかの状態に該当すると相談機関などが認める人です。

* ドメスティック・バイオレンスの被害者であり、暴力により生命及び身体に危害を受けるおそれがある人

* ストーカー行為等の被害者であり、更に反復してつきまとい等をされるおそれがある人

  • 児童虐待を受けた児童であり、再び児童虐待を受ける支障が生じるおそれがある人
  • その他、上記1~3に準ずる行為を受けるおそれがある人

申出の流れ:

  •  最寄りの相談機関(警察署や家庭児童相談室等)とか警察でドメスティック・バイオレンスやストーカー等の被害を相談する
  • その結果、住民基本台帳事務における支援が必要と判断された場合は、市区町村の担当に以下の書類を持参して、支援措置を申し出る

   (1)住民基本台帳事務における支援措置申出書

   (2)本人確認のできる書類(運転免許証など)

このように裁判所が事実認定をすることなく、この措置は発動されてしまいますし、他の親に意見を聞くこともなく、証拠がなくても実施がされてしまいます。

ですから、支援措置が発動されているからといって、貴方が加害者と認定されたのではありません。

実施期間:1年。しかし、延長の申出をすると延長が可能です。

効果:

  • 支援措置期間中は、申請した人の住民票の写しや戸籍の付票などを請求する人は、本人確認の書類(運転免許証など)が必要となります。
  • 弁護士・司法書士等からの職務上請求、国・県等からの公用請求、債権者(生命保険会社・金融機関等)からの請求や同一戸籍者からの戸籍の請求等不当な目的によるものでないとされた住民票の写し等の交付請求等まで拒否するものではないとされますが、加害者の代理人となった弁護士が請求しても拒否されています。
  • 加害者とされた人も、支援措置の申出をした人も、マイナンバーカードなどでコンビニ等に設置するマルチコピー機で住民票等を取得することができません。市役所窓口で申請するしかありません。
  • 支援措置は被害者自身の身体までも保護するものではないとされており、接近禁止などの効果はありません。
  • 子どもの学校との関係では、本来、市町村教育委員会が住民基本台帳に基づいて学齢簿を編製し、その学齢簿に基づき就学すべき学校を指定するのですが、支援措置を実施するような事態の場合、児童・生徒の就学の重要性から(住民基本台帳で移転をしていなくても)、子がそこに住んでいるということに基づいて学齢簿を編製して、それに基づいて学校の転校が認められているようです。つまり、離婚していない共同親権を有する親であれば、本来、父母が合意して転校を決定する必要があるのですが、一方が勝手に転校をさせてしまうことができるようになってしまっています。民法の原則と行政の行動が矛盾しているといえ、深刻な問題です。

当事務所では「子の連れ去り」「親子の断絶」といった問題に長期的に積極的に関与してきましたので、具体的な弁護士への委任をお考えの方は無料相談を申し込んでください。

info@ben5.jp

にて、ご予約を承ります。

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