国際離婚

フランスの離婚後の共同親権とは?日本の制度との違いも探りつつ・・・

フランスでは離婚後でも、原則として共同親権という形で、父母の両方が親権を持ち続けることになっています。日本の制度とはかなり異なるので、その違いと、その共同親権が生まれた社会的状況や背景を探っていきます。

日本における親権のあり方について考えるべき要素も取り上げて、弁護士松野絵里子がお話しします。

フランスは家族をめぐる状況は戦後、大きく変化しています。法律も大きく変化しており、日本とはかなり異なる制度・法律が設けられています。その大きな特徴のひとつは、婚姻しないカップルの増加と共同親権という考え方です。日本とどのような点での違いが見られるのかや、どのような経緯でこうした制度が取り決められたのかを考察していきます。離婚後に子供と両親がどう関わっていくのかについてのポイントもチェックすることができます。

1. フランスにおける家族を取り巻く状況

フランスは民族や言語などにおいて、多様性が見られる国です。EUの一部としてその点の規制も受ける国です。

また、アフリカを始めとする国々からの移民も多く存在する多様な社会となってます。フランスは、多様な民族や文化を受け入れる国として知られており、多文化主義を重視しているとともに、ジェンダー平等という点でも進んでいます。女性の地位向上やジェンダー平等に積極的で、家族や結婚、親子の関係についても、そういった国の姿勢が影響をしているといえるでしょう。離婚後の子供の親権を考えるにあたっては、こうしたそもそもの家族観や結婚についての見方が、日本と異なることを理解することがどうしても欠かせません。

1-1. 親の働き方

フランスでは男性と女性のどちらも働くことが多く、母親になってもフルタイムに近い働き方をしている傾向があります。特に、フランスに移民として来た人たちは、生活をまかなうため、また母国にいる家族を支えるために懸命に働いているケースが多く、父母のどちらも忙しく働いているケースがほとんどなのです。勤め先によっても違いはありますが、全体的な傾向として週35時間程度の労働が一般的でしょう。

フランス・パリ在住中のひろゆきさんのインタビュー記事

興味深いこちらの記事では、専業主婦を選んだとき、急にフランス社会は冷たくなるというお話があります。「フランスは“PACS”というパートナーシップ制度を選ぶカップルが多いのですが、これは正式な婚姻関係ではないので、専業主婦の場合、別れたらそれで終わり。日本のように、専業主婦が被扶養者として年金を積み立てられる制度などもありませんから、いきなり無収入になる可能性もあります。ある意味、「働く環境は整えていてあげたんだから、働かなかったアナタが悪いのよ」と突き放している」というコメントがあるので、ご参照ください。

多くの場合、子供の世話や家事は父母(夫婦と限らない)が共同で行うことになります。こうしたことから、離婚後の子供の世話や経済的な基盤を支えるという要素について、父母のどちらも公平な条件下にいることが分かります。日本のように経済面では多くの場合、圧倒的に父親の方が強いものの、子供の実際の世話は母親ばかりというアンバランスな状況とは違うのです。

地域による違いは見られるとはいえ、小学生までは親が学校への送り迎えが義務となっていて、課外活動の送迎も行います。そのため、父であれ母であれ日中働いているとしても、子供の送迎の時間である夕方5時から6時くらいには職場から上がってきます。

こうした状況は、当然、離婚後の監護権にも関係してきます。つまり、上記のような義務を果たせない親は、監護者として不適格になってしまうのです。もちろん、シッターを雇って送迎などをすることはできるものの、一般的な労働時間よりもずっと長い時間働いている親は、主としての監護はできないと判断されるケースが多くなるのでしょう。そこではジェンダーよりも現実の監護可能性が重要となります。

もう一つのポイントは、収入の保障制度が存在するという点です。期限を定めない雇用契約であれば、様々な事情によって働きづらくなったり育児のために休業しても、基本収入の一定割合が保障されることになっています。また、フランスには家族手当という仕組みがあって、児童手当のようなものですが所得に関係なく2人以上子供がいる家庭が受給できるのです。このような公的手当がかなり手厚いため、親がそれぞれ経済面で独立できるのです。経済面での不安が理由で離婚をためらうという心理的な負担が少なく、無理に我慢せず、離婚を決意する母親が多いという事情につながるのではないでしょうか?

1-2. 婚姻と子供についての考え方

フランスでは婚外子と婚内子による法的な区別を原則としてつけていないのも大きな特徴です。これは、フランスの現状が大きく関係しています。2011年のデータではありますが、片親とだけ暮らす子供の割合は18パーセントとなっています。ここには離婚後に片親と住むようになったケースも含まれますが、もともと婚外子として生まれたというケースも非常に多いのです。そのため、フランスではそもそも「婚姻」をしないと子供をもてないと考えない層が多くなっていますし、婚姻してもしていなくても、子供をもつ人が現実にかなりの割合となっているのです。

こうした点は、日本の事情とは大きく異なります。また、現実に離婚や別居を経験する子、そもそも親が別居している子が多いという現状が、離婚制度や親権制度についても、影響を及ぼしています。

2002年に始まった新たな親権法では、両親は、婚姻の有無や同居の有無に関わらず、共同で親権を行使することとなりました。それが、民法典372条1項に明記されたのです。この改正により、離婚後も、子の利益のために、親の共同親権が保障されるようになりました。つまり、親子関係と婚姻関係は別の問題となっているのです。

フランスの法律では、そもそも結婚しているか、離婚したかなどの父母の側から見て親権を定義するのではなく、あくまでも子供の立場から親権を定義しています。親が離婚してもそもそも結婚してなくても子どもには子どもの権利があり、離婚によって経済面も含めて不利益を被るようなことがあってはならないということから、親の責任が強化されているわけです。そして、離婚も含めて親の自由についても範囲を広げると共に、子に対する共同で負うべき責任をしっかりと実現できるような制度を取り決めています。

日本では、令和6年の改正で離婚後の共同親権が選択可能となりましたが、それまで離婚すると単独親権が強制されてきました。また、そのような改正があっても、まだ一般的には離婚しても父母が子の養育義務をともに負うべきであるという社会常識があるという段階にはなっていないでしょう。

1-3. 子供の教育コストについて

特殊な私立学校などは除き、フランスでは基本的に学費は無料となっています。そして、本人・親の所得が低い場合、大学についても奨学金が無償で提供されることが多いですし、家賃補助などの援助も充実しています。さらに、子供がいる家庭に対するいわゆる上記の手当や、税金の優遇があります。そのため、子どもの教育のためにかかる費用というのは、実質的にそれほどかからないといわれています。

こうしたことから、子供が大きくなってお金がかからなくなってからでないと離婚が考えられないというようなことがあまりなくなっています。また、離婚しても学費による経済的な圧迫が少ないため、母親が単独で子供を育てることも容易になっています。

さらに、学生のアルバイトについての保障もある程度しっかりしています。日本以上に非正規雇用者の権利が強く、新型コロナウイルス感染症による収入の激減などが生じた時も、たとえ学生バイトでも一定割合が保障されてきたという現実があります。そのため、子供が大きくなり学業と並行してアルバイトをすることで、経済的な負担を和らげることができます。

もちろん、両親が2人で収入を得ている状況の方が経済的に楽なのは当然ですが、1人親となったとしてもそれほど苦しい状況に追い込まれるわけではないのです。特に、子供の教育の機会を離婚によって制限することがないように、という考えが強いのが特徴です。

2. 両親が離婚した場合の法律について

2002年に改正された親権法では、両親が離婚した場合の親権のあり方や、具体的にどのようにそれぞれが親権を行使するのかなどについて説明しています。この法律について、民事上の裁判の例や実際に離婚後の監護がどのようになされているのかを見ながら、ご説明を進めていきます。

2-1. 共同親権が基本

フランスでは、離婚後も共同親権が基本となります。これは、法的に両親が結婚していても、婚姻届を出していない事実婚であっても同じです。ただし、事実婚の場合、子供が認知されていることが条件となります。

*フランス法での子の認知

子どもが生まれたとき、母も父も、認知するかどうか選択ができます。母は父親の認知を拒否する手続きができ、出産後に子どもの父が認知するように裁判所に求めることもできます。認知を求める場合、父が出廷しなかったり、DNA検査を拒否すると父であると決定され、子どもの18歳までの養育費が義務づけられるという厳しい仕組みになっています。認知する父は、実は、生物学的父である必要性はないそうで、子どもが成長してから認知を求め新たに親権者を得ることもあるシステムです。

また、フランスでは「民事連帯契約」という形の婚姻関係があり、これは、1999年に民法改正によって生まれた制度で、異性であっても同性であっても成人2人が共同生活を送る際に、契約書を交わすことによって生まれる関係を指します。同性婚でも可能な仕組みです。その契約書は自分たちで取り交わすだけでなく、裁判所に提出して公証されることになります。これにより、事実婚をより法的に有効なものとすることができます。ある程度の制限はあるものの、民事連帯契約にある2人はかなりの程度、法的な夫婦としての権利を持ちます。それは子供についての権利も同じで、2人が共同生活を終える際には夫婦の離婚と同じような形と考えられており、共同親権が維持されます。

この共同親権という考えは、日本とは全く違うものです。日本ではあくまでも婚姻中にしか両者に親権が発生しないものとされてきました。そのため、事実婚では母親に親権があるものとされ、父親はあくまでも認知するだけとなっています。また、そもそも日本には民事連帯契約のような法制度は存在していませんので、婚姻していないと夫婦では、そして親としての共同親権が発生しません。

事実婚であれ同棲カップルであれ、通常は片親にしか親権がなく母が持つことが多いのですが、共同生活を終えた場合、その親にしか親権がありません。婚姻した夫婦が離婚した場合、令和6年改正法によって共同親権は選択できますが、判決による離婚では原則が共同親権と言うことには、日本の制度はなっていません。

フランスはどのカップルの形であっても、基本的に共同親権となります。これにより、子供に関する決定を両親どちらも行う権利を持ちます。たとえば、どんな教育を与えるか、少なくても未成年の間のアルバイトの許可などをどちらも行えます。また、子供が持つ財産の管理や、子供をしつける権利なども両親に存在します。これは、たとえ子供とは別居している親であってもです。

こうした、父母の共同親権はフランスだけでなく、欧米各国では通常のものとなっています。また、韓国などのアジア圏でも共同親権が取り入れられている国が多く、先進国で令和6年改正まで強制的な単独道親権としてきた日本は珍しい制度枠組であったといえるでしょう。

2-2. 裁判・協議で決めること

共同親権が原則であると、たとえ別居し、離婚しても両親どちらも同じような力関係で権利を持ちます。そのため、日本のように親権や監護権を持つ親が、子の住むところや学校などを決めるというわけにはいきません。こうしたことから、離婚についての協議では子供のこれからについてもしっかりと話し合い、決める必要が出てきます。もちろん、離婚協議がうまく行かないことも多々ありますので、その際には裁判になることもあります。

こうした場で決めることとしては、まず子が住む場所があります。学校についても、教育についても2人で合意することになります。また、双方の現状での経済的な事情を確認して、どの程度の扶養料の分担をするかを決めます。

また、親子交流をいつ、どのくらいの頻度でどのくらいの期間行うかという点も協議することになります。日本では、親権がない側の親は会いたいと思っても実際にはなかなか会えないということも多く起こります。しかし、そもそも別居しても共同親権をもつという考え方が背景にあるので、別居している親であっても比較的頻繁に交流ができるのが特徴です。都市部では、毎週、交代で行き来するというケースも見られます。これが交代監護と言われます。

交代監護の中身としては、学校への送迎は親の義務となっていますので、月のうち半分は母親が送迎を行い、残りは父親が行うといった形で共同で監護を行うこともできます。このように、共同親権・共同監護が通常となっているため、フランスでは離婚の際に協議、決定すべきことが非常に多くなります。親権がどちらにもあるのだから、基本的には子供を世話する責任も両者にあるというわけです。

とはいえ、実際には協議でお互いの意見が一致しないこともありますし、決定後にどちらかが責任を全うしないこともあります。その際には、裁判官への申し立てができることになっています。裁判官はどのように親権をそれぞれが行使するのか、教育や養育の分担の割合や方法についても決めることになり専門的知識や経験が必要になります。この際、婚姻期間中の習慣や子供の年齢や感情、親として適切な感覚や能力、姿勢を持っているかなどをチェックして決めることになります。

2-3. 親権の定義と行使が焦点

フランスの親権法では、親権というのは子供の利益のために存在し、親がその目的を果たすために持つ権利であり義務であるとしています。つまり、親が子を持つ優越性のために存在するのではなく、あくまでも子供のための責任という観点で定義しているのです。そのため、両親が離婚したとしても、自分の子供として健康や教育、経済的な支えを与えるべき親としての立場は変わらないものとなり、共同親権として両者がその責任と義務を持つべきものとして行使することになったのです。こうしたことを考えると、親としての権利をどちらにも与えるべきだから共同親権は望ましいという考え方は、根本の親権のとらえ方が違っていることとなり、親権制度は、離婚し別居しているとしても、両親のどちらも責任を負い続けるという制度は、子どものニーズから見た制度であることを理解すべきなのです。

こうした親権は、日常的な責任と子供の将来に関わるような重大な責任の両方で行使されることになります。日常的な責任というのは、学校とのコミュニケーションや軽い病気の治療内容を決めること、休暇の過ごし方、一般的な保険の加入の可否などが含まれます。こうした日常的で軽いものについては、両親のどちらの合意が必要となるわけではなく、同居している親の親権に基づいて決定できるものとしています。

この仕組みは日本でも令和6年民法で取り入れられました。それまでなにを共同しなければならないのかの定めがなかったのですが、この改正で明確になったのです。

一方で、子供の将来に影響を与えるようなことで、たとえばどの学校に行くかとか、大きな手術が伴うような治療の承認などは重大な責任となりますので、両親の合意が必要となります。特に大きな手術は両親の合意がなければ、医師が手術をすることはできないと明確に定められています。もちろん、交通事故のような緊急事態については別です。また、宗教的な選択や今まで通っていた学校の変更などについても、子供の思想や将来の進路に関わる可能性があるため両親で合意することとなっています。

パスポートを取るとか、休暇などで短期間外国に旅行することについては、あくまでも日常的な行為とみなされ親のどちらかだけでも決められます。しかし、両親の国籍が異なる場合などで、外国に行くことがすなわち親の国元に戻り、そちらに移住する可能性につながることもあります。これは、国外への子供の連れ去りという問題に発展しかねない状況ですので、単独では決められず両親の合意が必要です。

この点で、日本人とは大きな違いがあるのが刑法の発動です。たとえば、フランス人と結婚して子供をもうけたものの、その後離婚し自分の下で子供が生活をしているとします。自分が日本に帰りたいと思い、子供にもパスポートを取らせて、長期的に一緒に日本に来る、もしくは完全に日本に帰って移住する際には、必ずもう片方の親の合意を得ないといけないのです。合意のないまま子供を連れて行った場合、連れ去りとみなされ、誘拐と同じような扱いになり刑法に触れます。これはフランスの法律だけでなく、ハーグ条約にも違反する行為であり、実際にしてしまうと日本で申し立てがされることになります。

こうした問題は欧米などフランス以外の国でも生じますが、日本の子連れ別居は当たり前という感覚とは異なることを理解して、慎重に行うべきことなのです。

中には、様々な事情で片方の親が子供の世話を果たせないこともあります。経済的に制限があるとか、健康上の理由で何もできないといった事情です。その場合には、親権の行使が単独で行われることが多くなります。しかし、あくまでもこれは親権の行使が単独で行われるだけで、親権自体はどちらの親にも残ります。権利そのものと、その行使とは別物です。もちろんその権利を喪失したら、その親には親権はなくなります。

2-4. 交代監護について

共同親権を持つということは、上記のようにその行使も原則として両親が行っていきます。もちろん、実質的には同居している親の方が生活上の細々とした行為を行うことが多くなります。しかし、中には交代監護という形で、様々な世話を交代で行うケースも見られます。たとえば、両親共に働いていると、子供の学校の課外活動の送迎ができない週が出てきたり、学期初めにたくさんの荷物を持って登校するのが大変になったりすることがあります。そこで、学校に関する世話は1週間交代で行うことにするなど、事前に取り決めておくのです。これは、学校に限らず病院への送迎や治療費の支払いなどについても同じです。

親権を共同で行使するためには、こうした交代監護は基本的なスタイルとなるように思われますが、実際にはそう簡単には行きません。フランスでは交代監護をしているのはせいぜい10パーセント程度となっていて、ほとんどは片方が主として同居して子の監護をしているのが実情です。そして、そういう同居親は、日本と同じく母親が多いのです。

ちなみに、フランスの親権法では「監護」という用語は用いられていません。親権を共同で持ち行使するという観点から、監護者の規定をする必要がなくなっているからです。双方で子供の世話をするというのが基本となっていて、その行使の分担について柔軟に両親で決定することになります。そもそも、フランスの家庭では、父親が家事や育児をかなりすることが多いです。2014年のデータでは、日本人男性の場合、6歳未満の子供がいる家庭では育児や家事に充てる時間は1日当たり1時間7分です。一方のフランスは2時間30分程度となっていて、倍以上の開きがあります。また、日本では母親が行う家事や育児の作業が多く、父親はその補助的な役割となっていることもおおいです。しかし、フランスでは父親のすることがかなり多いようです。こうしたことから、離婚後、父親であっても、子供の養育・監護ができるケースが日本よりも多く、監護の分担という交代監護が成り立つというわけです。

交代監護をすることによって、養育費についての考え方も変わってきます。養育費の分担には様々な事情が絡み合いますが、基本的には監護をしない、つまり別居する親の側が支払うものです。自分は子供の世話をしないので、その分のコストを金銭で支払うという考えが多少なりとも存在します。しかし、交代監護をするのであれば、どちらも監護という作業をすることになります。そのため、養育費の支払いは全体的に少ない傾向にありますし、経済面での差がなく完全に近い形での交代監護がなされれば養育費がないというケースも見られます。

交代監護ではなく、定期的な交流をするケースのほうが現実には多く、毎週とか隔週、宿泊を伴う交流をするのが通常であり、バカンスでは半分ずつということが多いようです。暴力の問題がある場合には、公的な介入により親子の交流が支援されますが、このような当事者できめる自由な交代監護とか交流はあり得ません。

2-5. 住居と面会について

共同親権では、親権は両方にあり権利の強さは同等です。もちろん、実質的には同居している親の方が生活上の責任を果たしていくわけですから、実務的な強さはあります。そこで、子供が住む場所をどうするかということがとても重要な要素となります。2002年の親権法では、その問題にも踏み込み「交替居所」という制度を設けています。これは、離婚した後に、親のどちらかのところにずっと住み続けるか、それぞれの親の家に一定期間ずつ住み続けるかを選択できるようにしたものです。

交替居所を実行することによって、上記の交代監護もかなり完全な形で行うことができます。たとえば、一年のうち半年は父親の家に住み、残りの半年を母親と一緒に住むことにすれば、日常的な行為もすべて子供と一緒に行い、時間軸で半分に分割するだけだからです。費用面でも子供と同居することによって、半分割できるわけです。ただし、これはあくまでも子供の利益にかなっている場合に限定されます。たとえば、父母のそれぞれの家がかなり離れていたら、移動するたびに転校し人間関係もリセットしなければなりません。こうした状況では子供にとっては厳しい環境となります。また、当然子供の意思も尊重すべきであり、どちらかの親元で生活したいという希望があれば、その意向に沿った決定となることが多いです。

そして、実際にはなかなか交替居所は実施されておらず、片方の親のところに住み続ける状況が見られます。それでも、別居している親も同じ親権を持っているため、面会権もしっかりと確保されます。上記の通り、交流は宿泊をともなう頻繁なもので、双方で詳細を決めるか裁判所にて決まります。特に問題がなく両親が合意しているのであれば、別居している親の家に子供が行くこともありますし、、別居している親が、子供の現住所つまり元配偶者のところに迎えに行く形も可能です。

しかし、DVのケースは別の扱いになります。

夫婦間にDVがあり離婚に伴い非常に大きな感情のもつれがあって、相手の家に行くことや来ることに拒否感がある場合は、「面会場」という規定が法律において設けられています。「面会場」というのは、民間団体が子供と別居している親の面会をする場所を設定するという制度です。こうすることで、子供に交流をする権利を保障しつつ、両親双方の安全や感情に配慮したり、トラブルを避けたりできるのです。

暴力的な行為が強いなどの、問題が深刻だった場合には、裁判所の判断に基づいて面会場に第三者の介入が指示されることもあります。つまり、子供を面会場まで連れていくのは、民間団体のスタッフであり、連れ去りなどを防止するために、そのスタッフが同じ場所に留まるといった内容です。

2-6. 住む場所について

上記のような交替居所を実行している場合には、両親の住む場所が近いケースが多いですし、両親がお互いに家を把握しているものです。しかし、別居している場合には、そうは行きません。同居している親が様々な事情で引っ越しをすることもあるでしょう。

そこで、フランスの法律では子供が住んでいる家の住所については、別居している親に対して知らせる必要があることを定めています。勝手に引っ越して元の家に住んでいないということが判明した場合、別居している親は住所開示を請求できることになっています。親権はたとえ別居していても同じく存在しているわけですから、親として子供がどこに住んでいるのかを知る正当な権利があるということです。この住居変更に通知は義務とされていて、もし別居親に伝えずにいると、親権行使の侵害とみなされることになります。これは刑事罰を伴う重い義務で、最大で6カ月の拘禁もしくは7,500ユーロ以下の罰金となる可能性があります。共同親権というのは、住む場所についての情報を共有すべき責任を伴うものであり、子供の利益を考えて、両親が同等の子のために親の権利を持つという原則が発揮されていることが分かります。

とはいえ、子供に対する虐待があった、親に対するDVがあったといったケースでは別です。裁判所の判断によって、別居した親への住居開示義務が免除されることがあります。その場合でも、上記の面会権はなくなるわけではなく、親の住所を知られない形で面会がなされます。

2-7. 離婚時の合意: 弁護士を付けることが多い

離婚手続では、夫婦は「離婚の諸効果に関する約定」を作る必要があり、夫婦に関する諸効果だけでなく、未成年の子に関する親権行使、居所、訪問権・宿泊させる権利、養育・教育の分担といったい事項について合意する必要があります。

裁判所は、その約定の内容が夫婦それぞれ及び子の利益を考慮しているかを審理する。約定が認可されなければ、離婚宣告を受けることはできないのです。両親が親権を共同行使している場合、子と非同居親との面会交流は、親権行使の態様の一つと位置付けられており合意が必要です。

面会交流に関する合意は、一義的には両親が合意により決めますが、合意が十分に子の利益を守っていないこと又は両親の同意が任意になされたものでなかったことが確認された場合を除いて、裁判所は離婚判決を求める審理の際に、合意は認可されます。 非同居親の訪問権及び宿泊権は、共同親権の場合には当然に、単独親権の場合には子の健康、道徳、安全を危うくする重大な事由がない限り、認められるものです。

このように、離婚に伴う親権の行使については、両親で決めることが非常に多くあります。離婚をする時点で、夫婦としての関係が破綻していて感情的にも強い葛藤が生じている可能性が高いわけです。それに加えて、子供がどちらと一緒に住むかなどの難しい問題を決める必要が出てきます。

それぞれに不利な協議とならないよう、離婚をする際には弁護士を付けるのが一般的となっています。以前は必ず裁判所で離婚協議を行い、弁護士は必須となっていました。弁護士費用をまかなうことができない場合には、それぞれの経済的な事情に応じて割安価格で利用できたり、場合によっては無料となったりすることもあります。こうして、それぞれの意見をしっかりと主張し、不利な条件での離婚や親権行使とならないようにすることができるのです。

なによりも、親権行使については子供の利益を重視して考慮されます。両親がお互いの希望をぶつけるというよりも、現実的な必要や子供の意思を重視して決定がなされます。そして、決定事項については書面に残し取り交わすことによって、その協議内容を確実に残すと共に、それぞれの責任と義務をしっかりと果たすことが期待できます。それを、さらに裁判所が確認して認可をするという制度になっておりますので、離婚と言うのは単に勝手に合意をすればできるというものではないのです。

3. 子供と元配偶者への関わり方

離婚に至るまでには、ほとんどの場合夫婦の間に深刻な問題が生じ、生活に関することや経済的なトラブル、感情の問題などが絡み合ってきます。時には、非常に深刻な事態となってしまうこともあります。そのため、共同親権によって離婚後も父母の双方が子供に関われると言っても、それが新たな問題となるリスクがあるのも事実です。そこで、フランスでは様々な事態を想定した規定も設けられています。

3-1. DV被害のある場合

夫婦の間でDVが見られた場合、「急速審理」という被害者を保護するために裁判所がすぐに審理を行える手続きを利用できます。これにより、裁判官は緊急に夫婦が別居するよう命じることができます。この場合、基本として被害者が元の家から退去することになり、その家には立ち入りができなくなります。また、加害者への接近の禁止や、連絡の禁止、武器の所持の禁止などを命じることも可能です。

離婚後については、被害者は基本的に子供への面会権を持ちます。しかし、被害者の自宅への訪問はできないので、上記のように面会場で行うことになります。また、通常は別居した親は、転居する際には別の親にも新しい住所を伝える必要があるのですが、DV被害が見られたケースでは免除されます。また、夫婦の共通財産が元の家にあるなどのケースでは、その財産について保全措置を取ることが認められています。さらに、DV被害が元配偶者だけでなく子供にも及んでいた場合や、離婚後の面会で連れ去りが起きそうになった場合などには、面会権が制限されることもあります。同じように、面会だけでなく子供を自宅などに宿泊させる権利も裁判所によって制限されることがあります。

3-2. 子供の意思の確認

離婚そのものや親権の行使について、当事者は両親だけでなく子供も含まれます。特に親権の行使については、最も影響を受けるのが子供です。そのため、手続きをしていく中で、子供の意思を確認し尊重することが重視されています。民法では、ある程度の判断能力を持っていれば、年齢に関係なく子供の意見を聴けるようになっています。この際、裁判官もしくは裁判官が指定した人が、状況によっては弁護士の同席の下意見を聞くことになります。もし、ヒアリングを子供が拒否した場合は、その理由を確かめることになっています。不都合なことをしゃべらせたくない親が、子供に禁止している可能性もあるからです。

子供は自分の感情や意見を伝えることができ、判断できる状況であれば両親の離婚後の扱いについて要望を伝えることも可能です。こうした子供の意思は重視される傾向にあり、裁判官が後に行う裁定に大きく影響します。

3-3. 子供の連れ去り

フランス刑法では、子供と同居する人から未成年の子供を連れ去ることを禁じていて、1年の拘禁刑もしくは15,000ユーロほどの罰金刑が課されることになっています。これは、別居している親が子供が住んでいる家に行って、子供を連れていくという形で事件になることがあります。また、面会に来た時にそのまま子供を引き留めて、自宅に帰らせないという行為も違法となります。連れ去りをした行為自体が犯罪とされていて、刑事罰を受けることになるのがポイントです。たとえば、同居している親に連絡もせずに、気楽な気持ちで子供を連れだして遊びに行ったということも、犯罪として摘発される可能性があるのです。

逆のパターンもあります。未成年者の不引き渡し罪というものです。これは、同居している親が、面会したいと言っているもう片方の親に合わせることなく、自宅から出さないとか子供に行くことを禁じるという行為です。たとえ別居していても面会権があり、それを侵害するのは犯罪となるのです。これは、子供は離婚し別居しても、親に会う必要があるという考えがベースにあるからです。

国外への連れ去りについては、刑法で別に定められています。正当な理由なくして、国外で子供を拘束した場合、3年の拘禁刑並びに45,000ユーロの罰金となります。このように、単なる連れ去りよりも国外への連れ去りは重い刑罰が課されるのです。これは親が子供と旅行に行くケースであっても、慎重に考慮すべきポイントです。というのも、片方の親に知らせずに国外に出ることで、移住したと誤解されてしまう恐れがあるからです。こうした事態を防ぐために、ヨーロッパ諸国では片親とだけ出国する子供がいる場合、空港などでかなり厳しくチェックされます。国籍が異なる夫婦であったり、離婚したりしている状態だともう片方の親の同意書がないと出国が認められないケースさえ存在します。無理に出国すると、民事的な訴訟を起こされるだけでなく刑事罰を受ける可能性もあるので十分な注意が必要です。

日本にも「未成年者略取・誘拐」という罪名があり、離婚した後に別居している親が子供を無断で連れ去ることで適用されることがあります。しかし、日本では当初の別居時では適用がされていないことが原則です。そのため、同居している親の了承を得なくても、別居するために子供を連れていくのなら、罪に問われないわけです。一方で、フランスではたとえ子供が喜んでいるとしても、同居している親の同意を得ない状態で連れ出した場合、連れ去り罪として起訴される恐れがあります。こうした違いは、大きな違いです。

3-4. 扶養料の均等化

日本では扶養料、養育費の負担はほとんどの場合、経済的に有利な立場にいることが多い父親が払うという感覚が強いです。また、母親が親権を持ち同居するため、別居する父親が子供の世話を行わないため、その代わりに金銭的な負担をするという考えもあります。もちろん、フランスでも同居する親は母の方が多いです。しかし、扶養料については、お互いにとって公平なものとなるように考慮するケースが多いです。

たとえば、交代で監護をしたり交替居所を利用したりする場合には、子供の世話はお互いにするため、それほど負担の割合が変わらないこともあるわけです。また、上述のように女性が働く割合が高く、経済的に自立できる環境が整っています。こうしたことから、父親が扶養料を支払うのが当然という風潮はなく、事情によっては全く扶養料の支払いがないこともあります。支払いが生じる場合は通常別居する父親が払うのですが、日本に比べるとその額は少ない傾向です。

日本では養育費の計算に、生活費の他に高額になりがちな教育費を考えることが多いです。しかし、すでに説明した通り、フランスでは教育費が無料であることや、支援制度も充実していることから、教育コストはかなり低いです。これも扶養料の金額を下げる一つの要因となっています。このように、共同親権の仕組みやそもそも子供を取り巻く環境の違いによって、離婚してからは経済的に自立して子供を育てていく母親が多いのが現状です。

4. 親権や子供への関わりについて日仏の違いは大きい

今まで見てきたように、フランスは共同親権を法律によって定め、それに伴いいくつもの規定や権利に関する他の法律が存在します。日本とは根本的に異なる考え方や法律となっていますので、比較するとその差に驚かされることがあります。

それは、日本において離婚後の共同親権を導入した時に、フランスとは異なる問題が出てしまう可能性を示しています。具体的にどんな点で日本の共同親権導入に関する壁があるのかを考えてみましょう。

4-1. 父母が公平に監護を負担するか

日本ではこれまで離婚すると単独親権となってきたため、フランスのように共同親権を求める声も挙がり、民法改正がされました。しかし、フランスの共同親権は親の権利というよりも、子供の利益を最優先し子供のためにその責任を果たすこと、婚姻と関係なく子の利益を守ることを重視した考えであることは見逃せません。日本でも共同親権を選ぶ夫婦は、父母がともに、子供に対する義務と責任を果たすという考えがベースになければうまくいかないでしょう。

日本では、そもそも婚姻中であっても子供の世話については母親への負担が大きい傾向にあるので、離婚後に共同親権となった場合、果たして父親も同じように現実に子供に関われるのか、どういう夫婦であればそれができるか、という問題が出てきます。よく考えないまま共同親権を選んで紛争がかえって長くなることは、子どものために避けたいものです。

専門家の意見も聞いて、子が困らない離婚後の父母の関係を構築していく必要があります。

4-2. 公的な支援

公平に父母が責任を果たすという意味では、経済的な支援や子供の教育などについての支援制度が必須となります。フランスでは学費無料や子供手当の充実によって、それほど教育費への不安が高くありません。そのため、経済的な心配をあまり抱えずに子供を育てられる環境が整っているわけです。しかし、日本では子供手当などがあるとはいえ、教育のためのコストが高いと感じる親が多い傾向にあります。もちろん、上手に学校を選んだり将来負担の少ない奨学金を利用したりすることはできます。とはいえ、誰もが利用できるわけではなく、実質的には経済的な問題で進路が限定されてしまうといった問題を抱えています。

そもそも、日本では離婚後の子供の養育、そのための労働法制の整備、手当の整備といった、子育てへの実際的な支援制度が進んでいません。フランスでは社会の中で婚姻や離婚についての考え方や状況が変わってきたことを受け、大胆な法改正を行ってきました。共同親権を導入するにしても、それを支える法律と制度がしっかりとなされていかないと難しいものがあるわけです。

4-3. 子供の権利

共同親権の行使において詳細を決める際にフランスの裁判所では基本的に子供の意見を聴取し、それを尊重することになっています。むしろ子供の意見が聞けないケースは例外であり、何らかの圧迫を受けているのではないかという見方も持っています。日本では親権をどちらにするかという協議の際に、子供の感情を聞く場が設けられることもありますが、全体としては少ないケースです。

また、共同親権の行使は、子供の年齢や成熟度が上がるにつれて、子供が決められる部分を大きくしていくことも定められています。こうした柔軟な親と子供の関わり方、子供の権利が段階的に強くなっていくという考え方が子供の将来の利益につながっていくと考えるからです。こうした見方をせずに、未成年者という一括りであてはめてしまうと親子関係にひびが入ったり、片方の親との関係断絶などが起こりやすくなったりします。

あくまでも共同親権の制度がうまく機能するには、子供の利益のために存在するというベースを認識することが重要なのです。また、子供の権利として、父と母のどちらとも会ったりコミュニケーションを取ったりすることができるという考えも必要です。たとえ、別居していても親権は対等にあり、面会する権利が損なわれることがないという制度は、その子供の権利を守るためでもあります。

4-4. 取り決めが守られない場合の対応

フランスの法制度では、共同親権が侵害された場合のルールも明確になっています。しかも、民事上の問題として終わらせることなく、刑事罰を科すという形で非常に重い問題として捉えているのです。別居している子供を連れ去るという点では、日本ではその行為だけでは犯罪とはなりませんが、フランスでは刑事罰の対象となります。逆に面会をさせないことも犯罪として扱われます。こうしたルールを守らないケースに厳しく当たることにより、共同親権の実効性が守られるわけです。

日本でも共同親権を導入しており、これを意味のあるものとするのであれば、取り決めが守られるような制度を導入する必要があります。現状では、親権のない親による子供への権利についてあまりにあいまいで、それが元でトラブルに発展することもあります。

さらには、国籍の異なる父母についての対応も非常に明確になっているのがフランスの制度の特徴です。国外への連れ去りを重く見ているのがその一つの現れです。日本でも外国人との結婚、その後の出産というケースがとても多くなっています。日本人の親が離婚後に子供と一緒に帰国して、それが国際問題に発展してしまうという事例も起きています。少なくても日本国内では、こうした例に関する認識やルールがあいまいであり、これからの課題点となっているわけです。

5. 日仏の違いを理解して改善を図る

日本とフランスでは、婚姻してもしなくても親は共同親権を持つかという点で大きな大きな違いがあります。

日本のように離婚して父母が別れたら基本は単独親権と考える場合、裁判所は一人の親を決めればよいので負担がありません。父母の対立のために、公的な支援を必要とすることもないのです。しかしこういった先進国はなく、今後の日本の在り方を考える場合、フランスが共同親権をスムーズに導入できている背景も考える必要があります。

そもそも親の権利ではなく子供の利益と将来を優先する態度がベースにあることや、結婚中の家事や育児の公平な分担をしているといった状況が共同親権を無理のないものとしているわけです。さらに、女性が働きやすく子供の教育コストが低いといった社会制度についても理解しておくべきです。共同親権を確実に実行して、それを意味のあるものにできる基盤が整っているのがフランスなのです。

一方で日本は家庭内の実情や公的制度などの点で、フランスとは異なる点がいくつも見られます。これはどちらが優れている劣っているということではなく、文化的な背景や習慣も関係していますが、共同親権制度がワークするには日本の仕組みを変える必要があります。

また、DVのケースでは通常のケースとは全く別の配慮が必要ですが、日本ではまだ線引きがきちんとされていません。この状態でフランスと同じ共同親権の制度を導入してワークさせようとしても、子が混乱するだけ、DV被害が続くだけというケースが出てくるでしょう。

そのため、親権や離婚そのものを取り巻く状況、家族に必要な制度を理解して迅速に実施する必要があります。また、日本の実情に合った共同親権のあり方を理解し、のための合意形成の場を構築する必要があります。

日本においても、父親の子育て参加は進んでおり、婚姻や子供の育て方についての考えが変化していますから、時代に沿った法制度や公的支援、そしてDV支援もこの視点から構築することが、期待されていると思います。

弁護士 松野 絵里子

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