1. 和解的解決は可能
できれば話し合って解決したいという場合にハーグ条約は調停手続きが可能です。
当事者双方の同意が得られる場合、調停手続に付して裁判官と2名の調停委員によって構成される調停委員会が、和解的解決を目指します。
子の返還申立ての調停手続で決めることはいろいろあります。
- 子がこれからどこに住むのか?
- 生活費などの経済的な面の解決を、どうするのか?
- 子が常居所地国に帰国する場合、残された親との子の関係をどう維持するのか?
- 子が日本に居住し続けるとする場合、海外にいる親との交流をどうするのか?
- 親子で常居所地国へ帰国する場合には帰国費用をだれが負担するのか?
- 帰国する場合、当面の間の子はどうやってどこに居住するのか、生活費用負担をどうするのか?
- 離婚事件はどの国の手続きを使うのか?
- 離婚事件の弁護士費用はだれが負担するのか?
こういったことについて、取り決めをしていきます。
2. 調停手続きとは
調停手続とは、調停委員会(3人で構成されています。)が当事者間の意見の調整をして、問題を解決するために、合意の形成を行おうとする手続です。調停委員会が当事者双方に事情を尋ね、意見を聴いて、方が納得の上で問題を解決できるように,中立・公正な立場から,助言やあっせんをします。
当事者についている弁護士も通常は、調停期日に出頭して当事者をサポートします。
調停委員会は、子の返還申立てを担当する裁判官1名と民間の良識ある人から選ばれた調停委員2名以上で構成されるので3人です。調停手続では、原則として当事者の出頭が必要ですが、海外にいる当事者の場合、代理人弁護士だけが、依頼者の意思を確認しつつ出頭するという方法も取られています。
3. 最終合意の作成(調書)
当事者双方が合意ができ、和解的に事件を解決することにすると、その合意内容を記した「調停調書」が作成されます。これは通常、代理人弁護士や裁判所がベースを作成してよく吟味して修正しつつ作っていきます。
調停調書に記載された合意事項には審判又は確定した判決と同一の効力がありますから、十分に検討する必要があります。
例えば、子の返還の合意や養育費の支払いの合意が、記録されると、この調停調書に基づいて強制執行の手続を執ることができます。ただし、常居所地国でこの合意事項の効力が後で問題になると、その解釈はその国の法律の解釈によることになるので、常居所地国の弁護士がその最終合意内容を確認することが望ましいです。

<出典:外務省> 外務省ホームページ >>
全体のながれは以下のようになります。

<出典 大阪家庭裁判所>
当事務所ではハーグ条約事件の経験が豊富ですので、具体的事案については無料相談をお申込み下さい。