離婚弁護士の元には「お金」に関する悩みが持ち込まれやすく、慰謝料や養育費に関する相談が定番です。また、未成年の子がいる場合には親権も大きな悩み事です。
協議離婚、離婚調停、裁判離婚のいずれであっても離婚弁護士はお金のことについて力になれるので、離婚関係のお金に関する悩みに関して、本記事では慰謝料と養育費についてご説明します。
1. 離婚弁護士と慰謝料の問題
離婚を考えている、配偶者から離婚を切り出された、このような場合は離婚弁護士に相談するのが基本です。離婚を主に扱っている弁護士に対し、どのような相談が持ち込まれるのか気になるかもしれませんが、ランキング形式にすると上位はほぼお金の問題です。
その背景には関係性の悪化があるとき、お金に関する争いだけがお悩みと言うことではありませんが、ただ、離婚の際に金銭面で揉めやすいのは間違いのない事実です。そして、離婚に伴うお金の問題が起きた場合は離婚弁護士の力を借りるのが有効です。なぜなら、離婚裁判におけるルールがあるからです。そのルールはいわば離婚のルールとなっており、権利と言ってもよいでしょう。権利はその内容を知ってしっかりと実現したいと思うのは、当然でしょう。知らないで後で悔しい思いはしたくないですよね。
ランキング上位の顔ぶれは、いつも、筆頭が慰謝料請求です。配偶者、あるいは配偶者の浮気相手に対して慰謝料を請求したいと考える人は多いです。しかし、当然ながら慰謝料を勝ち取ることは簡単ではありません。もっとも、弁護士という法律の専門家に依頼しないと慰謝料を請求できないというのは間違いで、個人でも慰謝料を請求することはできます。法律の専門家を通さず、相手と話し合った上で示談書を作成する、慰謝料請求訴訟を起こすなどの手段で慰謝料を勝ち取ることはできるものの、現実にはなかなかうまくいきません。
離婚に伴って慰謝料を請求するということは、配偶者、あるいはその浮気相手に対して相当な怒りがあるのが普通で、慰謝料を請求したい一方で顔をあわせるのは嫌だと感じるのが普通ですし、恐怖も感じるかもしれません。また、個人で動いても、相手が恐怖を感じてしまって冷静に話し合いができることはまれであり、話し合いでの決着がなかなか困難なのです。
慰謝料請求訴訟は、請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円以上の場合は地方裁判所に訴えることになりますが、代理人なしの本人訴訟はハードルが高く、裁判を進めるだけでも相当な負担です。特に、立証ができるのか・・・という点が不安でしょう。また、判決をもらうには本人尋問があるのでそれを弁護士なしで成功させるのは、相当に大変なことです。
訴状作成や証拠提出、その他の書面を適切な形で提出する必要がある上、代理人弁護士なしの場合は自ら出廷しないといけません。もっとも、慰謝料や借金などお金を巡る訴訟では本人訴訟の割合は比較的高く、絶対に駄目なわけではありません。本人訴訟の場合は弁護士費用の負担をゼロにできるので、法律の知識があり、手間を惜しまないのであれば有効な方法ともいえるのです。
ただし、本人訴訟かつ相手方に弁護士がついた場合は不利になる可能性が高いので、訴えを認めてもらうためには弁護士に依頼する人が多いでしょう。裁判で判決前に行われることが多い尋問では、原告と被告が共に裁判所に呼ばれますが、弁護士に依頼すれば尋問以外で嫌いな相手と顔をあわせる必要はありませんので、配偶者やその浮気相手に慰謝料を請求したい場合は、ぜひ離婚弁護士に相談してください。また、多くは交渉で解決しますので、迅速に解決が可能です。
慰謝料を請求したいという相談が弁護士に多く寄せられる一方で、慰謝料を請求されたので何とかして欲しいという相談も多く寄せられます。不倫、DVなどは裁判離婚の際に必要な法定離婚事由に当たり、裁判離婚では法定離婚事由に該当する原因がないと離婚は認められません。法定離婚事由を引き起こした側は有責配偶者と呼ばれ、裁判離婚に発展する場合もそうでない場合も立場は不利になり、慰謝料を請求されることも珍しくはありません。有責配偶者に当たる場合もそうでない場合も、慰謝料を請求されたら弁護士を頼るのがよく、個人で動くと逆に状況を悪化させかねません。
そもそも、不倫や明らかなDVというような明確な理由がない限り、慰謝料の支払いは裁判では認められませんし、明確な非があったとしても請求額について争う余地はあります。しかし、慌てて慰謝料を支払うことを口頭で了承してしまうと、後々までその発言が響いてきますので、まずは弁護士に相談して正当な金額を払って終わらせるというような終わらせ方を、協議するのがベストな選択でしょう。
2. 離婚弁護士と養育費に関する悩み
子供が未成年の場合、親権を取れなかった側は養育費を支払う義務がありますが、弁護士には養育費に関する相談も多く寄せられます。養育費関連の悩みで定番なのが、養育費の額に関して夫婦の折り合いがつかないというものです。
子供が成人するまでの養育費を一括で支払う例もあるものの、一般的なのは月々に一定額を支払う方法です。日本では夫が家計を支える立場になりやすいものの、一般的には、未成年の子供の親権争いで有利なのは妻の方です。親権を取る親は、なるべく多くの養育費をもらいたいと思い、相手はできる限り養育費の負担を減らしたいと考えることが多く、養育費の話し合いがすんなりとまとまるケースはさほど多くはありません。
日本では離婚のほとんどが協議離婚であり、協議離婚とは話し合いでお互いが離婚に合意してから離婚届を提出する離婚方法です。しかし、離婚を進めようとする夫婦は仲が悪化していることも多く、養育費などの話し合いができる状態だとは限りません。また、配偶者からDVを受けている場合など、顔をあわせての話し合いが難しいケースもあるので、何らかの理由で話し合いがうまくいかないのであれば離婚弁護士に相談してください。話し合いは離婚に必須ではなく、いきなり離婚調停で争うこともできるものの、話し合いで離婚が成立しなかった場合に離婚調停に移行するのが一般的です。
離婚調停は、調停委員が夫婦の間に立ち、裁判所で話し合う協議による離婚の方法で、裁判所で行うので証拠の提出をもとめられるというようなハードルが高い部分もあるものの、夫婦が同席する機会は極めて少なく、基本的に顔を合わすことなく話し合いを進められます。
本人訴訟と同様に、離婚調停も弁護士なしで進められますが、1人で乗り切るのはなかなか困難です。短くても3ヶ月程度、意見の衝突が起こっている場合は半年から1年近く時間がかかることもあるので、相当に負担がかかります。そして、離婚調停でも話がまとまらなければ裁判で争うこととなりますが、離婚調停での資料や発言などが後々の裁判に影響を与えることもあるので、失敗を避けるためにも弁護士の力を借りるのがよいでしょう。
調停を経ても離婚が成立しなかった場合、裁判を通し離婚を認めてもらう裁判離婚という選択肢が生まれます。もっとも、専門性のある弁護士がつけばこの裁判を回避する方策を考えてくれるので、相手が敢えて裁判まで離婚しないという作戦である場合以外には、あまり裁判にまでいくことは、ありません。
離婚裁判(人事訴訟)は、離婚の可否を争う場なので、養育費の決着を目的として裁判を起こすことはできません。ただし、裁判の中で養育費について争うことはできるので、離婚する離婚しないで揉めていて、かつ養育費についての意見も折り合っていない場合は、裁判で白黒をつけるのも手なのです。
協議離婚、離婚調停、裁判離婚の3つが代表的な離婚方法ですが、いずれの場合も養育費の問題は話題に上りやすいので、養育費について納得いかないところがあるなら、弁護士に相談してください。
そもそも、離婚を先延ばしにするなら、婚姻費用を相手に請求しつつ戦うことが最善と言うこともあるので、方法をよく考えるのが良いでしょう。
また、離婚の成立後に、養育費の減額はできないかと弁護士に相談が寄せられることもあります。
離婚方法に関わらず、養育費の取り決めを交わしたのであれば、監護権・親権をもたない親は子供が成人するまで月々の支払いを続けなければいけません。養育費の支払いは親としての法的な義務のため、基本的には避けることはできませんが、何らかの事情で養育費の支払いが厳しくなった場合、何とか養育費を減らしたいと考えるのは自然なことです。
法的な義務である以上、養育費の減額を実現させるのは難しいものの、支払う側が再婚して経済事情が大きく変わった場合や、やむを得ない事情で収入が減ったため養育費の継続的な支払いが厳しい場合など、養育費の減額が認められるケースがあります。
他に、養育費を受け取る側が十分に収入のある相手と再婚した、受け取る側が出世して収入が増えた、などの理由で養育費の減額が認められる場合もあるので、諦めてはいけません。必ずしも養育費の減額の要望に応えられるとは限らないものの、養育費の支払いで苦労している場合は、ぜひ弁護士に相談してください。
また、反対に養育費を増額できる場合もあります。子が高校生になった場合、私学に行くことになった場合、大学進学に塾の費用がかかる場合など、いろいろな子の状況の変化により増額が可能ですし、払っている親の年収があがった場合も増額が可能です。養育費の増額を求める場合にも、弁護士が求めた方が迅速に解決できることがあるので、増額で悩んでいる場合も、ぜひ弁護士に相談してください。





