離婚の手続き

離婚したら戸籍はどうなる?戸籍や氏の変更、離婚歴についての説明します。

離婚に際して戸籍がどうなるかを確認しておきませんか?事前に、今後について弁護士に相談しておくと今後についてはいろいろ安心できます。なぜ離婚することを「バツが付く」と言うのか、離婚歴がわからないようにする方法があるのかについても解説します。

バツ1、バツ2という言葉が一般的となり、昨今では離婚自体が珍しいものではなくなってきています。昔の戸籍は、離婚をしたら戸籍の名前の欄にバツ印が付けられました。このことから、離婚歴があることを「バツが付く」と言われるようになったのです。電子化されている現在の戸籍では、離婚した人の名前にバツが付けられるということはなく、「離婚による除籍」と記されます。

1. 離婚後の戸籍はどうなるのでしょうか?

1-1. 離婚後、元の戸籍に戻るケース

離婚後は原則、結婚前の元の戸籍に戻ることになります。ただ、婚姻時における戸籍筆頭者が離婚した場合はそのまま戸籍にとどまるため、身分事項欄に離婚と記載されるだけで、戸籍が変動することはありません。婚姻によって夫の戸籍に入った妻は、離婚によって元の戸籍に戻ることとなり、これを復籍と言います

結婚によって氏を変更した人が復籍した場合は、婚姻中の姓から旧姓へと戻ります。同じ戸籍に入るには氏が同じでなくてはならないというように決められているからです。

1-2. 離婚後に旧姓で新たな戸籍を作るケース

離婚の際に元の戸籍が除籍されている場合は復籍できませんので、新たな戸籍を作る必要があります。除籍とは、結婚や死亡といった理由で戸籍から抜けることの他、戸籍内の在籍者全員がいなくなっていることという、両方の意味があります。元の戸籍に誰もいない場合は新しい戸籍を編製することとなります。

新しい戸籍を作る場合、本籍地は元の戸籍にあった住所である必要はなく、自由に選ぶことができます。本籍地を移動することを転籍と言います。離婚した後に住む場所が決まっているのであれば、そこを本籍地にしておくと、戸籍謄本、戸籍抄本などの書類が必要な際に、近くの役所で取得できるというメリットがあります。しかし、最近ではコンビニでの交付を行っている市町村が多くなっているので、ご自身の希望する本籍地と居住地を確認してから決定すれば良いでしょう。

余談ではありますが、本籍地を皇居や甲子園球場といった住所にしている方も多く、日本で一番多く使われている本籍地は、皇居である東京都千代田区千代田1番です。本籍地をそういった場所に設定したいと思っていた方は、離婚を機に検討することも可能です。

1-3. 新たに戸籍を作りつつ、婚姻時の姓を維持するケース

離婚届提出後3ヶ月以内に「婚氏継称の届出」を所在地の役所に提出すれば、結婚していた時の姓を引き続き名乗ることができます。離婚届と共に提出することも可能です。離婚の際に子供がいる場合は、婚姻時の姓を引き続き名乗る方が手続きなども必要なく、離婚の事実を周りに説明する労力も軽減されます。なお、この届出に際して、元配偶者の許可を取る必要はありません。

離婚後に旧姓に戻り、やはり婚姻時の姓に戻したいと思った時に3ヶ月が過ぎてしまっていた場合は「氏の変更許可の申し立て」を行います。この申し立ては家庭裁判所に対して行い、「やむを得ない事由」があった場合のみに認められます。従って、なんとなく婚姻時の姓に戻したいなどの理由では認められず、社会生活における不利益が生じているなどの説明が必要となります。

離婚をするには交渉が必要であり、子の親権の問題解決もあるので、弁護士に依頼して離婚するケースも一般的になっています。離婚をする前には、戸籍はどうするのか?氏はどうするのか?という考えを明確にしておくことで、慌てなくてすむでしょう。

2. 離婚後の子供の戸籍と氏はどうなるのでしょうか?

2-1. 離婚後の子供の戸籍(氏を親権者のものへ変更する場合)

離婚届を出したとはいえ、子供の氏や戸籍が変わるわけではありません。従って、子供の親権者が旧姓に戻る場合は、親と子供の姓が異なります。親権者が子供を自分の戸籍に入れる場合は同じ氏を名乗る必要がありますので、「子の氏の変更許可」を家庭裁判所に申し立てます。この場合、親権者はもともとの戸籍に入る復籍ではなく、子供の親権者が戸籍の筆頭者となる新たな戸籍を作ることとなります。

家庭裁判所に申し立て、子供の氏の変更が認められた後も、自動的に子供が親権者の戸籍に入るということではありません。変更許可の後に、親権者は入籍届を提出する必要があります。この入籍届の提出には、氏の変更許可の審判書が必要です。この手続きを経て、親権者を筆頭者とした同じ戸籍に子供が入ることになります。

2-2離婚後の子供の戸籍(婚姻中の氏を継続する場合)

離婚後に子供の氏を変更しない場合、親権者は婚氏続称を選び、婚姻中の氏を名乗ることができます。この場合、離婚した親権者は婚姻時の戸籍から出ていますが、子供の戸籍は婚姻時のままで移動していないということになります。子供の氏を変更せず、戸籍も元の配偶者のところのままでもよければ、これ以上の手続きは必要ありません。ただこの場合、親権者と子供は同じ氏を名乗っていますが、子供とは別の戸籍に入っているという状態になります。

親権者が自分の戸籍に子供を入れる場合には、「子の氏の変更許可」の申し立てが必要になります。これは同じ氏を名乗っていても、別の氏という認識になるからです。親権者が申し立てをし、申立書に不備がなければすぐに審判書が交付されます。この審判書とともに、入籍届を役所に提出することで、親権者と子供が婚姻時の姓のままで同じ戸籍に入ることができます。

離婚をする際に、後で知らなかったということが起きないように、離婚届を提出する前に弁護士に相談すると安心でしょう。

3. 戸籍から離婚歴を消すことはできる?

結婚をする際には、夫婦の戸籍を新たに作ります。婚姻届を出す際に、夫と妻どちらの氏を使用するのか選ぶ欄があり、氏を選ぶとされた方が新戸籍の筆頭者となります。そして、離婚をすると、戸籍の筆頭者が夫の場合は、その身分事項欄に離婚と記載されます。妻は婚姻時の戸籍から除籍という形となり、そのように記されます。

戸籍上から離婚という記載を消したい場合、本籍地を移す転籍を行うことで可能となります。本籍地は居住地に関係なく、どこでも自由に選ぶことができるので、転籍を申請することで、新たに戸籍が作られることになります。この際に、離婚についての記載をしないように申し出ると、新しい戸籍には離婚の記録は引き継がれませんので、離婚歴のない新たな戸籍が作られるというわけです。

また、離婚の際に結婚前の戸籍に戻らずに、自分自身が筆頭者となって戸籍を新たに作ることによって、身分事項に離婚歴の記載がされていない戸籍を作ることができます。

しかし、現在の戸籍上に離婚歴の記載がないからといって、離婚した事実が消えるというわけではなく、過去の戸籍は調べることが可能です。転籍前の戸籍には離婚歴が記載されているからです。もし戸籍上の離婚歴を消したいという理由が再婚であるならば、過去に離婚したという事実を完全に消すことはできません。再婚に際して離婚歴を伝える義務はありませんが、再婚する相手が初婚であることを条件に結婚することを決めた場合などは、事実を隠匿していたことが詐欺に該当すると判断され、婚姻の取消や慰謝料を求められる可能性も出てきます。婚姻の取消とは、詐欺あるいは強迫による婚姻をした場合、婚姻当事者が取り消しを請求できるというものです。

なお、離婚後に再婚したいお相手が現れた場合、自分の過去を隠すというようなことをせず、離婚歴について誠実にお話しされることをおすすめします。

記事監修者 弁護士 松野 絵里子
記事監修者 弁護士 松野 絵里子

記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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