子供の問題

胎児認知ってなに?弁護士に頼るべき理由

胎児認知と言う言葉をご存知でしょうか。婚姻関係にない女性のお腹にいる赤ちゃんを、自分の子供として認知することを、胎児認知と言います。どのような場合に胎児認知が必要となるのか。胎児認知の方法やメリット、デメリットも合わせてお伝えいたします。

1. 胎児認知とは

そもそも認知とは、法律上の婚姻関係にない間の赤ちゃんの親を定める事をいいます。一般的に、自分で妊娠と出産を行う女性は自分の子であるとわかります。認知のほとんどは男性、父親を定めるために行うことが多いです。胎児認知は、まだ生まれていない胎児である赤ちゃんについて、父親が自分の子供だと認めることを言います。戸籍上の問題だけでなく、養育や相続の問題もあるため、生まれてくる子供にとっては非常に重要なものです。

2. 胎児認知が必要な場合

胎児認知が必要なケースは色々ありますが、主に次の3点が多いです。

2-1. 母親が外国籍の場合

胎児認知を必要とする方の多くは、未婚の外国籍の女性です。母親が日本人の女性なら、生まれてくる子は日本の国籍を取得できます。国籍が母国のままとなっている外国籍の女性の場合、赤ちゃんの国籍は母親の国籍になってしまいます。父親が日本人でも、生んだ場所が日本でも関係ありません。日本の国籍がないということは、赤ちゃんにも在留資格が必要になります。在留資格がなければ、不法滞在となってしまうことは、ご存知だと思います。日本の国籍がない人でも、在留資格のある外国人は受けられる行政サービスもありますが、無い場合は基本的に何も受けられません。そうした事態を防ぐためにも、胎児のうちに日本人の父親の認知を求めるケースが多いのです。

2-2. 父親がいつ亡くなるかわからない場合

日本人の母親であったとしても、胎児認知を求める場合があります。父親が病気などで、いつ亡くなってしまうか分からない時です。婚姻関係にない男女間の子供は、戸籍上母親の子でしかありません。親子関係にある子どもが、父親が亡くなった時に得られる財産などを、認知されていない子は受け取ることが出来ません。

2-3. 結婚しないと決めている夫婦の場合

近年では、金銭など事情があって結婚できなかったり、結婚や離婚に縛られたくない夫婦の、籍を入れない事実婚の夫婦が増えており、そういった方が胎児認知を行います。

3. 胎児認知のメリット・デメリット

産まれてくる我が子の父親になるかどうかは、簡単に決められることではありません。一人の命の親となるわけですから、当然責任が生じます。胎児認知をすることのメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。

3-1. メリット

先にも述べたように、出生前に父親が亡くなったとしても、胎児認知をしておけば、父親からの相続を受け取る権利を得られます。結婚していないので離婚とはなりませんが、生まれる前に両親が別れてしまったとしても、胎児認知をしておけば、父親に養育費を請求することができます。他には、生まれた時の出生届に、父親の名前を書くことができます。未婚女性の場合、認知されていない子供の出生届に書けるのは自分の名前だけとなってしまいます。生まれた後に認知すればその後子供の父親の名前は埋まりますので、これは気持ちの問題かもしれませんが、出産して体力も精神も削られた状態では、空欄一つで気持ちが左右されてしまうものです。

3-2. デメリット

もちろんデメリットもあります。一度行った認知は、なかなか取り消せないのです。これは万が一、自分の子供ではなかった時も同様で、全く関係のない子供の親になってしまいます。取り消すためにはDNA鑑定が必要で、時間もお金も掛かってしまいます。更に、DNA鑑定を受けた上で、認知無効の訴えという裁判を起こさなくてはならないので、労力もかかります。他に、自分の子供だと認知しても親権を得られないことも挙げられます。婚姻関係なく生まれた子の親権は、父親が認知していても母親にしかありません。例えば、母親が浮気や育児放棄をした場合でも、父親は子供を引き取ることが難しくなります。認知した子の親権を持つには、家庭裁判所に親権者であると指定されなければならないので、これにも時間とお金、労力がかかります。

4. 絶対に胎児認知が必要か

婚姻関係にない間に生まれる子を、絶対に胎児認知しなければならないかといえば、そうではありません。まず、結婚前に妊娠が発覚した場合は、胎児認知をしなくとも、胎児の状態で婚姻届が受理されていれば、出産時に父親となります。自分の子供か疑わしい時、生まれてDNA鑑定を行ってから認知するという人もいます。

5. 胎児認知をするには

認知届を、母親の本籍がある市町村役場に提出します。生まれてからの認知は父親の本籍地、住民票の住所の役場でも構いませんが、胎児の場合は母親の本籍地のみですので、気を付けてください。届出書類に母親の署名と捺印をし、父親の戸籍謄本と捺印を合わせて提出します。胎児認知の届出書類は、生まれてからの通常認知と同じ書類で行います。子の名前を書く欄がありますが、そこは胎児と書きます。既に名前を決めているからと子の名前を書きたくなるかもしれませんが、戸籍上は存在しない名前ですので、受理されません。気を付けましょう。胎児認知を行った後は、子供が生まれたら出生届に両親の名前を書いて届けます。もし胎児認知を行っていない場合、父親の欄は空欄のままにしなければなりません。胎児認知の届出は、妊娠が発覚してから行う事が可能ですが、母子手帳の交付を受けてから行う事が一般的です。

6. 父親が胎児認知を拒否したら

いくら母親が父親となる人としか関係を持っていないと主張しても、胎児の段階でそれを調べる事が難しいため、どうしても認知したくないという男性はいます。他に家庭を持っている男性であれば、離婚に発展しかねない問題ですから、なかなかデリケートな問題です。なんとか認知してもらいたくても。基本的に胎児認知を強制することはできません。生まれた子であれば、認知を訴える事ができます。子が未成年の場合は法廷代理人として親権者の母親がなるため、事実上母親から父親を訴えられます。ただ、認知されないからといってすぐに裁判とはならないので、注意が必要です。これは日本の家庭裁判所が、家族間の問題は当人同士で解決するべき、という考え方のためです。まず調停となる話し合いを行い、それでも解決しなかったという事実を持って、初めて裁判に持ち込めることを知っておきましょう。

7. 代理出産では胎児認知が不可欠

婚姻関係にある夫婦であっても、子を成す事が出来ない場合は、代理出産という選択をする場合があります。母親の卵子と父親の精子を体外受精し、代理母となる女性の子宮で育てる場合。父親の精子を代理母の卵子と体外受精して代理母の子宮で育てる場合など複数のパターンがあります。日本では、代理母の制度は認められていないため、この選択をする夫婦は海外で代理母となってくれる女性を探す必要があります。しかし先述のように、婚姻関係にない間の子は産んだ母親の国籍を取得することになるため、たとえ卵子は母親のものであっても、子供は代理母の国籍を持って生まれてくることになってしまいます。父親が胎児認知をしておかないと、せっかく生まれた子が自分たちの子となれない可能性も出てきますので、必ず胎児認知をしておきましょう。

8. スムーズな認知のために弁護士へ

子どもの認知は、非常にデリケートな問題です。特に胎児認知は、妊娠中の母親に多大な負荷をかけてしまいます。先ずは母体の安静を最優先にするため、一人で頑張ろうとせず、プロである弁護士を頼るようにしましょう。子の認知や親権問題には、離婚問題に強い弁護士を探すと、理想に近い結果を得られるでしょう。また、自分の子であれば必ず認知できるというものでもありません。例えば、結婚している女性が夫以外の男性と関係を持ち妊娠した子については、戸籍上の夫となる男性の子として生まれてきてしまいます。戸籍上の夫が嫡出を認めなかったり、子が訴訟を起こしたりしなければ父親は認知できないため、専門的な知識が必要となります。子供が大きくなってから余計な不安や心配をさせないために、弁護士に頼って問題を明確化し、確実な解決をできるようにしておきましょう。

弁護士 松野 絵里子

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