相続・遺産分割

相続財産の横領の問題。不当利得による解決のため弁護士を付けるメリット!

もし相続財産が誰かによって使い込まれたら、弁護士に使い込みの証拠をそろえてもらい、相手に不当利得返還の交渉をし、交渉に応じない場合は裁判所へ不当利得返還請求の訴訟を起こして、強制的に返金してもらうという手続きになります。

裁判例もありますので、ご紹介します。

「親と同居していた兄夫婦が、父親の財産を勝手に使い込んでいた!」と他の兄弟姉妹から疑われた状況で相続が開始されるケースがよくあります。このような財産の使い込み・不法行為に関しては、状況によって不当利得として損害賠償が問えるかもしれません。もっとも、思い違いということもあります。

もし、相続財産を勝手に使い込まれているとしたら、確かな証拠をそろえて、弁護士など専門の法律事務所に不当利得返還請求をサポートしてもらうと良いでしょう。

不安があるなら、まずは、相続財産の不正利用とその対処法については、ぜひこの機会に知っておくといいでしょう。また、知らないうちに不正利用を自分がしていないかどうかについても、確認することをおすすめします。してしまったのであれば、訴訟を提起される場合に、正当な金額を支払って解決しましょう。

1. 相続財産の使い込みとは

相続財産は相続人全員の財産ですが、相続が開始されるまでは手元で管理することが困難な場合があります。故人と近い関係にあった家族や世話人、あるいは親密な知人の誰かによって、秘密裏に使い込まれてしまうケースは、珍しくありません。

ただし、生計を共にしていた配偶者などの家族が、財産の一部を消費することは自然な行為ですし、知人の誰かが貸したお金いついて、弁済のために返金したというようなことも現実問題としてあります。

このように、故人の財産を自由に扱える人は、その財産の使い方に十分気を付ける必要があるでしょう。くれぐれも不正利用や不法行為とならないように気を付けてください。

相続財産の使い込みですが、どのようなケースが相続財産の使い込みに当たるのか、具体的な例を挙げてみます。

1-1. 個人名義の預金を引き出

故人の生前から、預金通帳を預かっていて、身の回りの世話のために預金をひき出していた場合、その人が亡くなられた際に家賃や光熱費の支払いなど生活雑費を預金でまかなうことがあります。

それらの出費がすべて亡くなった人の債務を支払ったのであれば問題ありませんが、自分のために使った場合は問題です。特に、故人の承諾なしで使ってしまえば、不当な相続財産の取得として問題になるでしょう。

もちろん、死後に預金を引き出して自分の口座に入金したとか、車を買うのに使ってしまった、家においてとってあるというようなことをして、相続開始までにすっかり口座を空にするとか、大金を自分のものにするような行為は不法行為です。

1-2. 不動産や高級品、有価証券などの売却処分

一緒に住んでいたマイホームを勝手に自分名義にしてしまうケースもあります。どうせ自分が家を継ぐのだからと、相続協議が始まる前に故人の身分証や実印を使って名義変更することがありえます。たとえ最終的に自分が相続できそうな不動産であっても、相続開始前に行うのは違法です。

また、故人の借金を故人の所有している土地や建物を売却処分して清算する行為も要注意です。高級外車などの高級品、株式などの有価証券の現金化も同様で、あくまでも遺言や相続人全員の合意をもって処分するべきだということを忘れないようにしましょう。

1-3. 保険の解約

生命保険の保険金であれば受け取りは家族の誰かになっていて、それは相続財産として他の相続人に分配する必要はありません。しかし、故人が契約して自身が受け取る保険金(解約返戻金など)については相続財産とみなされます。

そこで、個人が生前中に勝手に生命保険を解約し、その返戻金を着服するのは違法です。故人の口座を管理してきた人ならば、このようなことは秘密裏に行うことが可能で、相続トラブルにはよくあることです。

1-4. 故人が得ていた収入の着服

また、故人が株式の配当金や賃貸収入の管理を任されていてもそれを使ってよいということにはなりませんし、死亡後も自分のために使いつづけていると違法でしょう。このようなお金は本来、相続財産となるべきものであったはずです。

このように、故人の許可がない形で故人の財産を使い込んでしまう行為は、損害賠償の対象となる不法行為にあたる可能性があるので注意してください。また、不当利得ともなります。

ここまで相続財産の不正な使い込み・着服について説明してきましたが、その行為をした人が親族である場合は、原則として刑事罰には問われません。これを親族相盗例といって、刑法244条に定められた法律です。

親族相盗例とみなされる親族の範囲は、配偶者・直系血族・同居の親族です。配偶者は法的に婚姻関係にあるもので内縁者は含まれません。次に、祖父母から孫までの直系血族です。ここには養子も含まれますが、兄弟や従妹は除外されます。さらに同居の親族も親族相盗例の範囲です。

この親族関係にある者は、窃盗や横領の刑事罰に問われません。そのためあまり考えないで不正に着服したり使い込みをする親族が非常に多いのは、困ったことです。

ただし、民事による損害賠償は適用されますので、損害賠償請求・不当利得返還請求に権利行使によって、不当に失われた相続財産を取り戻すことは可能です。その詳細については法的な手続きが必要となりますから、専門の弁護士などに相談する必要があります。

2. 相続財産の使い込みを確認する方法

どうも相続財産が少なくなっていると不審に思ったら、証拠集めをしてみましょう。相続人は故人の銀行の口座残高や取引履歴を開示してもらうことができます。弁護士を代理人としてそういう証拠を集めることもできます。

そうすれば、いつどこでいくらの現金が使われたかが明確になるでしょう。その取引が故人の用途かどうかを調べる資料となります。

また、証券口座の取引履歴も同様に証拠資料となりますし、生命保険の契約状況も調べることが有効です。なお不動産に関しては、全部事項証明書を法務局から発行してもらい、名義の移動がないかを確認してみましょう。

こうして故人の財産について詳細を調べることができますが、個人で調査するには法的知識や必要で、困難な作業となります。しかし、弁護士には「弁護士法23条照会」など、個人情報を得る正当な方法を利用できるので、事実関係をより把握することが弁護士を利用することで可能となってきます。

3. 相続財産の使い込みへの対処法

一部の相続人や身寄りの人が相続財産の使い込みをしていたと分かったら、次の手続きを行ってみてください。

はじめにするべきことは、使い込んだ当事者に事実確認をしましょう。相手が素直に使い込みを認め、返還に応じてくれればこれ以上に良い解決方法はありません。もっとも、相手が粗暴であったり話ができない場合には、安全の観点から話し合いはせず手紙などで確認してみましょう。

返金については、相手の資産状況を考慮して、丁寧に示談するとスムーズな解決が図れるでしょう。ただし、口約束の返還請求はほとんど意味がないのでしない方が良いでしょう。使い込んだ金額や日付・場所を明記した書面を作成し、返済方法も具体的に示します。この書面にサインと押印をして返還契約を交わすことが重要です。できれば公正証書にすると安心度がアップしますので作成は弁護士に依頼するのがよいでしょう。

返還請求に応じてくれない場合が多いのですがその場合、裁判所へ提訴することができます。この場合は「不当利得返還請求」か、あるいは「不法行為にもとづく損害賠償請求」の訴訟となります。

不当利得返還請求とは、第3者の不当利得のせいで、法律上で保障された利益取得に損害が生じたときに行う請求です。

相続財産の使い込みであれば、このどちらの方法でもお金が取り戻せます。ただし、返還請求権には時効があるので注意してください。基本的には相続開始から5年間、使い込み発生時から10年間とあり、その期間内で裁判を起こす必要があります。

一般的に不当利得返還請求の訴訟を起こすための証拠集めにはたいへんな時間が必要となります。また、資料開示には法的根拠を示さなければならず、そのための必要書類の作成も困難でしょう。時効をすぎないように手早く処理しなければならないことも多く、裁判を起こす場合は専門の弁護士を依頼するのが得策でしょう。

請求ができるのは、貴方の法定相続分の割合によってきまります。相続人でまとめて訴訟を提起するのが、効率的です。

当事務所ではこの種の不法行為・不当利得の訴訟をお受けしていますので、提訴などをお考えであれば、無料相談をご予約ください。

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