裁判手続・紛争解決手続

民事訴訟って何?裁判の流れを弁護士が説明します。

民事訴訟の裁判は、トラブルの種類や訴訟額によっていくつかの種類があります。裁判の流れや法律に精通していな方には、通常は、弁護士が必要になります。弁護士を選ぶ際には、トラブルの案件に似た事例での経験や実績が高いベテランを選びたいものですね。

1. 民事訴訟における裁判の種類

訴訟とは、個人間・会社間のトラブルや、個人と国とのトラブルを裁判という方法で法的に解決しようという手続きです。いくつかの種類があり、民事訴訟の他には、刑事事件を扱う刑事訴訟とか行政の過ちを正す行政訴訟、憲法問題の解決のための憲法訴訟などがあります。このうち、民事訴訟は(刑事事件のように)警察が関与しない個人間のトラブルを解決するために行う裁判のことです。

最も多い訴訟形態であり、範囲は広く、交通事故などのトラブルにおける損害賠償をめぐる訴訟や、貸したお金を返還してもらうための訴訟、不動産の明け渡しなど、多岐にわたります。なお、離婚や養子縁組、養育権など家庭内のトラブルに関しては、当事者同士で解決できない場合には、人事訴訟手続法などにより家事事件として家裁での訴訟で法的に解決することができます。これは民事訴訟ではありません。

民事訴訟は大きく分類すると3種類あり、一般的な「通常訴訟」、手形小切手についての「手形・小切手訴訟」、そして60万円以下の金銭的な支払をめぐる「少額訴訟」に分けることができます。

1つ目の「通常訴訟」は人間関係のトラブルや財産をめぐる訴訟で、損害賠償などはここに分類されることが多いです。裁判においては、民事訴訟法に基づいた審理が行われます。

2つ目の「手形・小切手訴訟」は、できるだけ簡単に迅速に解決したい手形や小切手などによる金銭的な支払いについてのもので、「一期日審理の原則」が適用され、最初の口頭弁論期日に審理が終わるのが、この訴訟の特徴です。

3つ目の「少額訴訟」は、金銭の支払い要求額が60万円以下の少額の場合に適用されます。法廷で行う裁判という形式ではなく、裁判官と当事者がテーブルを囲んで審理を行うのが特徴で、原則1回の審理で終わります。ただし、トラブルの内容が複雑なために1回だけの審理では終了しないことがあるので、必ずしもすべてのケースが1回だけの審理で完了というわけではありません。

2. 民事訴訟における裁判の流れ

それでは、一般的な「民事訴訟」はどのような流れで始まり、どのような流れで裁判が進められるのかについて、説明します。

2-1 提訴

民事訴訟は、会社間や個人間のトラブルが起きて、法的に解決したいと希望する会社や人が原告となります。その原告が、裁判所へ訴状を提出することから始まります。

相手へ請求する金額によって、訴状を提出する裁判所は簡易裁判所の場合もあれば、地方裁判所となることもあり、この裁判所を管轄裁判所といいます。

2-2 弁護士の必要性

裁判所に提出する訴訟では、必ずしも弁護士を立てる必要はないですが、弁護士に依頼したほうがよいことは多いです。もっとも、明らかに原告の言い分が法律的にも正しいと認められそうな場合や、単に建物の明け渡しなどを請求する場合や損害賠償の金額が少額の場合には、原告自身が「本人訴訟」をすることも可能です。ただし、その場合でも、民法を中心とした法律に精通していることは必要となりますし、民事訴訟の流れについても熟知していることが必要です。

もしも自信がない場合には、弁護士に依頼するのが良いでしょう。弁護士によっては成功報酬を基本とする受任をしてくれますので、費用的には心配がないこともあります。

2-3 訴状の内容

裁判所に提出する訴状は、トラブルに関するざっくりとした概要を記載したものです。訴えを起こす原告の氏名や住所に加え、訴えられる被告の氏名や住所などの情報は必要不可欠ですが、何が原因で被告に対して何を求めたいのかという点を明確にします。対象となっている請求を訴訟物と言います。

その際には、訴えが正当であることを示す証拠となる書類なども合わせて提出します。そのため、民事訴訟で訴状を提出するという最初のステップにおいては、かなりの準備が必要となります。

2-4 訴状を提出してから

裁判所に訴状を提出すると、内容が確認され、それから訴状が受理されます。訴状を提出してから受理されるまでの期間はケースバイケースで異なりますが、早ければ3日程度、遅くても2週間程度で受理されます。

訴状に不足があったり、修正した方が良いところがあったりすると裁判官から補正をするように指示があることもあります。

そして、裁判所書記官からの連絡で、第1回の口頭弁論期日を決めることになります。2、3日以内といった直近のスケジュールになることはなく、多くの場合には1ヶ月~2ヶ月ぐらい先の日程となります。

裁判所と原告との間で第1回の口頭弁論期日が決まったら、裁判所が被告側に訴状と呼び出し状が送られます。その際、原告が提出した証拠書類なども合わせて送付されることになり、被告側が受け取った時点で訴訟が正式に始まる(係属するといいます)ことになります。被告側には、その訴状を拒否するとか、口頭弁論期日の日程の都合が悪いから変えてほしいといった交渉をすることは、できません。

訴訟が成立してから実際の第1回口頭弁論期日までには約1ヶ月程度はあるので、この期間は原告側と被告側の両方が、裁判に向けた準備をする期間になります。この期間内に被告側から原告に対して答弁書が送られてきますが、その答弁書には、原告側の請求を認めるかどうか、また原告側の主張を認めるかどうかという点が記されています。つまり、原告側の訴えに対する返答が、答弁書に明らかにされるのです。

基本的に、この答弁書が送られてくるのは、第1回の口頭弁論期日の約1週間ぐらい前です。訴訟が成立した直後に送られてくることはありません。また、被告側が原告側に直接、答弁書を送るわけではなく、裁判所を通しての送付となります。

2-5 最初の期日が決まってからの準備

原告側は、被告側からの答弁書を待って証人や証拠の準備をするのでは遅すぎるでしょう。訴訟が成立してから実際の第1回口頭弁論までは1ヶ月以上の期間があるわけですから、この期間を最大限に活用して、契約書や領収書、メールのやり取り等、証拠となるものをきちんと準備したいものです。また、証人がいる場合には、証人の準備についてもこの期間内に進めることになります。

弁護士に依頼する場合には受任時にだいたいの証拠を弁護士に説明しておくべきでしょう。そうしないと勝訴に導く方法が、弁護士には具体的にイメージできないので、受けてもらうのは困難でしょう。

2-6 第一回口頭弁論期日

第1回の口頭弁論期日には原告側と被告側がどちらも出廷し、審理が進められます。しかし、口頭弁論期日を決めたのは裁判所と原告側であり、被告側の都合は一切考慮されていません。そのため、欠席する被告は多く、審理が進められないことは少なくありません。もしも被告側が欠席した場合には、裁判官が訴状通りの陳述で間違いないかどうかという点のみを確認し、次回の日程を決めるだけで終了ということも珍しくありません。代理人弁護士が双方についている場合には、次回日程をさきに書記官が調整しておくことが通常です。

2-7 その後の流れ

口頭弁論は、必要に応じて複数回行われます。何回までしか行えないとか、何回以上の口頭弁論が必要といった上限や下限は設定されていません。ただし、2回目以降の口頭弁論の際には、事前にどんな陳述をするのかを書面で準備し、証拠書類と共に裁判所へ提出することになります。これを準備書面と言います。

裁判所で提出の期日を決めるので、その期日に間に合うように準備をする必要があります。通常は期日の1週間前くらいが多いです。

民事訴訟において、裁判がどのぐらいの期間続き、何回ぐらいの口頭弁論が行われるかは、ケースバイケースで大きく異なります。お互いの主張や意見が食い違えば、裁判は必然的に長くなってしまうこともあります。複数回の口頭弁論を重ねることによって、原告側と被告側の意見や主張に加え、証拠書類や証人を全て出し終えたと裁判所が判断すると、いよいよ判決を受けることになります。

代理人の弁護士がいる事案では、弁論準備手続という口頭弁論期日ではない期日に法廷ではない部屋で争点の整理をしていくことが多いです。WEB会議方式でなされることもあります。

2-8 いつ判決が出されるか?

判決ができる時期かどうかという点については、決定するのは裁判所です。原告側と被告側とで最後まで意見や主張が食い違うことは少なくありませんが、両者が納得してもしなくても、裁判所が、判決ができる時期だと判断すれば、判決を下されます。それはお互いの主張が尽くされたという段階です。まだ、言いたいことがあると当事者が言っても裁判官から見たら主張は尽くされたと考えた時期に審理は終わります。

証人尋問が必要である場合には、争点整理がされた後で、双方がこの証人について尋問をしたいという申し出をすることになります。尋問を認めるかは裁判官が決めることになります。書証で判断ができるような場合には、尋問は認められません。尋問がある場合には、日程を決めて、双方が陳述書という尋問で証人が言いたいことの流れの書面を作ります。そして、その日程で尋問がなされます。おおむね尋問申請がされてから二か月くらいの日に尋問がされます。 

判決を言い渡す際には、裁判所から「弁論の終結」が宣言され、その上で、判決言い渡し期日が決まります。原告側の主張が認められる判決になるケースもあれば、被告側寄りの判決となるケースももちろんあります。

しかし、判決が言い渡されることで、この民事訴訟はいったん幕引きとなります。

2-9 判決に納得できない場合にはどうするか?

法廷に持ち込まれて民事訴訟となるトラブルのほとんどは、原告と被告との当事者同士で解決できないレベルのものです。そのため、裁判となっても両者の意見や主張がすれ違いのままで、判決に納得できないことは珍しくありません。もしも裁判所が出す判決に対して納得できない場合には、判決が出てから2週間以内に、さらに高等裁判所に対して控訴を行うことができます。これは、既に出された判決に対する不服を訴えるもので、判決の取り消しや変更を求めるものです。

2-10 和解による解決

民事訴訟の中には、判決までに数年というような気が遠くなるほどの期間がかかるケースがあります。半年で口頭弁論が終わるようなケースもあります。

長い場合には、原告側も被告側も精神的に疲労困憊となり、弁護士に依頼している場合には、その費用もままならないことでしょう。

また、口頭弁論の中で、このまま弁論を続けるよりも、お互いに早期解決したほうが良いと考えるケースもあります。そんな時には、判決を待たずに「和解」するという選択肢があります。日本では和解で解決できることが非常に多いので、提訴することでそういう解決が早くできるというメリットはあります。民事訴訟の口頭弁論が複数回になると、裁判官が「話し合いで解決できそうですか?」と当事者に対して聞くことが何度かあり、これは正式になされると「和解勧告」と呼ばれるものですが、その前の段階で意思をきいていることもあります。裁判所が和解を勧めるだけでなく、原告側や被告側が依頼している弁護士が和解を勧めるケースも少なくありません。

和解することには、メリットもあればデメリットもあります。考えられるメリットとしては、判決を待たないで解決させるので、上訴されることがなく、早期解決ができる点が挙げられます。また、和解では原告側と被告側の意見や主張の妥協点を見いだすこともあり、どちらにとっても、主張が完全に退けられてしまうという最悪の事態を回避できるというメリットがあります。さらに、和解では原告側と被告側が納得した上での結果ですし、判決と異なって結果にびっくりするということはないわけです。判決は、裁判所が一方的に解決方法を下すのでびっくりする結果もありえますが、当事者が納得した解決方法という点で安心であるといえます。結果をコントロールできるともいえます。その後の支払いなどの手続きがスムーズに進みやすいというメリットも、あります。

それでは、和解にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?どのような案件かによって、和解することが賢明な場合もあれば、そうでないケースもあります。和解のデメリットとしては、お互いの妥協点を探すことが多く、完全勝利にならない点がデメリットと考えられます。

もちろん、和解では必ずしもお互いに妥協しなければいけないというわけではありません。場合によっては、被告側が原告側の主張をほとんど全面的に受け入れて、判決を待たなくても原告側が満足できる和解を提案してくることもあります。この場合、裁判の期間が長引くことによって、精神的にも金銭的にも負担は大きくなるため和解を求めることは多いです。仮に満足できる判決が出たとしても、さらに控訴されてしまって、弁護士費用の負担などで経済的に負担が増えることもあるので、早期和解が現実的と判断できるケースも多々あるでしょう。

日本では控訴審での和解も多いので、控訴してから和解で終わらせるという選択肢もある場合もあります。控訴審で勝訴の確信があっても、勝訴的な和解ですぐに問題を解決させるという場合もあります。

3. 民事訴訟にかかる費用はどのぐらい?弁護士は本当に必要?

民事訴訟では、必ずしも弁護士を立てなければいけないというルールはありません。もしも原告側が民法や民事訴訟に精通している人なら、弁護士を立てることなく本人が口頭弁論を行う本人訴訟も可能です。

しかし、口頭弁論においては法的な知識があることは大前提となりますし、弁論の内容や論点によっては、勝てるはずの裁判でも負けてしまうという最悪の事態が起こりかねません。そのため、少額の民事訴訟では本人訴訟をするケースはそれほどレアではないものの、請求する賠償金額が大きくなる場合には、弁護士に依頼するのが賢明です。しかし、弁護士に依頼すると着手金と報酬という費用がかかります。訴額によりますが、概ね求める請求額の5パーセント以上の着手金は必要となるでしょう。もっとも、訴額が30万円程度であれば、着手金もそれと同額位を求められてしまうかもしれません。

4. どうやって弁護士を見つけるのか?

それでは、民事訴訟の依頼をする弁護士はどのように選べばよいのでしょうか。弁護士が取り扱う案件は、大きく分けて刑事事件と民事訴訟に分類できます。どちらも弁護士が対応する案件ですが、弁護士によって、刑事事件に精通している弁護士もいれば、訴訟はほとんどやっていない弁護士もいますし、民事訴訟をメインに取り扱う弁護士もいます。少しでも勝訴できる可能性を高めるためには、民事訴訟をメインに取り扱う弁護士を選ぶと良いでしょう。また、民事訴訟でも分野は広くあります。経験値やスキルという点を考えると、自分が抱えている訴訟によく似た案件を過去に何回も取り扱っているようなベテラン弁護士を選ぶのがお勧めです。

弁護士は、弁論が上手な人なら誰でもOKというわけではありません。弁護士の資格を持っていて日本弁護士連合会(日弁連)に所属している弁護士を選びましょう。全ての弁護士は一通りの主要は法や訴訟法に精通していますが、それぞれの弁護士で得意分野(不動産、離婚訴訟、会社紛争、相続紛争、交通事故など)や専門分野があります。その専門分野における経験値が高い弁護士だと、過去の似たような案件について熟知していて、過去の判決例や論点などを考慮しながら口頭弁論に臨むことができます。和解をする際にも、判決まで戦い続ける場合でも、裁判の判決は過去の事例に基づいて出されるケースが多いため、関連する法律や訴訟手続きに精通しているということは民事訴訟で弁護士を選ぶ際には、必須です。社内弁護士をやっていて訴訟はあまりやったことがないというような弁護士だけで対応するのは、不向きでしょう。

それでは、対象となる案件に関して、経験値やスキルが高い弁護士はどのようにして選んだら良いのでしょうか。法曹界に精通していない素人にとっては、理想的な弁護士を選べと言われても、なかなかハードルが高い問題です。弁護士のスキルや経験値を知るためにはいくつかの方法があります。

1つ目は、その弁護士の職歴や専門性など、プロフィールをチェックするという方法があります。詳細な部分は法曹界を熟知していない素人にとっては、分かりづらいことは多いものです。しかし、その弁護士がこれまでどのような案件に携わって来て、どんな職歴があるのかという点を、弁護士事務所のWebサイトとか経歴などでリサーチすることで、ザックリとした感触をつかむことは可能です。弁護士としての能力という点では司法試験の成績が良かった弁護士を選ぶという方法もありえますが、司法試験の成績が良い弁護士が、必ずしも実務家として優秀というわけではありません。

2つ目は、身近に弁護士や法律に詳しい人がいる場合には、口コミやオススメで探すという方法があります。もちろん、同じ弁護士という立場上、他の弁護士をライバル視して、教えてくれない人はいるかもしれません。しかし、自分と違う専門分野における事案であれば、知っている人を教えてくれる弁護士は決して少なくありません。必ずしも民事訴訟を検討している人全員が活用できる方法ではないものの、もしも口コミなどで弁護士を探せるなら、ぜひ検討すると良いでしょう。

3つ目は、弁護士としての専門性を重視するという方法です。例えば、テレビや新聞などのメディアによく登場する弁護士は、知名度や人気という点では安心感をもたれるかもしれませんが、メディアに登場して社会問題について語るような能力と、実際の訴訟で実務家として証拠を精査して主張をまとめる場面では、求められるスキルや知識量が大きく異なります。

専門性で弁護士を選ぶためには、書籍など出版されているものを参考にするという方法もありますし、ブログとか書いている記事で専門性を理解することができることもあるでしょう。

弁護士によっては忙しくて、案件を依頼しても引き受けることは難しいかもしれませんので、HPなどで誰でも相談ができるか確認してみましょう。重要なこととして「丸投げされないか?」ということもあります。誰が現実に事件を担当するかは、事務所によってまちまちです。

4つ目の方法に、弁護士のポータルサイトから探すという方法があります。こうした弁護士サーチ系のサイトでは、専門分野ごとに得意とする弁護士が登録していますので、専門性はある程度わかるでしょう。もっとも、こういうサイトは通常有料であり、弁護士であればだれでも費用を払えば登録ができます。ですから、盲目的に信頼しないで現実に面談をして、質問をするなどして決めるのがよいでしょう。

面談で弁護士としての姿勢を見て決めることはどういうルートで面談をする場合にも重要です。初回の相談は無料で対応してくれるという弁護士もあります。多くの場合、初回の無料相談でも担当する弁護士が対応してくれることが多いのですが弁護士が忙しい事務所の場合には、そのあとでその事件をその弁護士本人が対応するのは難しいかもしれません。しかし、やはり依頼する側としては、誰が本当に担当するのかは気になるでしょうから、それはきちんと相談のときに確認したほうが、安心できるのではないでしょうか。

また、お互いが言いたいことが言えるのか、という点も、大切なチェックポイントです。横柄な態度や偉そうな態度の弁護士に依頼しても、依頼者の意志や主張を尊重してくれないリスクが懸念されますし、依頼者が不安になったときにきちんと質問ができたり、不利なこともきちんと教えくれて、依頼者にとってベストな解決策を考え、それに向けて裁判所で戦ってくれる弁護士を選ぶことが、失敗しない弁護士選びと言えます。

選択方法として、かかる費用が安いところで選ぶという方法があります。弁護士に依頼する際には、だいたいの相場がありますが、素人にとってはどのぐらいが相場なのかを知ることは難しいですし、弁護士によっては着手金はかなりの差があるのが最近の実態です。費用が高くついてしまうのではないかという不安があったり、すぐにお金が用意できない場合には、弁護士にきちんとそういった事情も説明しましょう。そういう場合には、選び方のポイントとしては、完全成功報酬制が可能かどうかも質問してみたらよろしいかと思います。

相談料が無料の弁護士は、ネットなどで探してもたくさん見つけることができます。相談料が毎回完全無料という弁護士は少ないかもしれませんが、初回の相談が無料とか、最初の30分が無料など、明確にどの範囲までが無料なのかという点が明確になっている弁護士なら安心です。

成功報酬制で受けてくれる弁護士は、案件によってはそれほど多くはないかもしれません。また、成功報酬制だと勝てそうな案件しか受けないという姿勢の弁護士が通常で報酬率があがりますので、成功報酬制が依頼者にとってベストというわけではないでしょう。しかし、費用面で弁護士への依頼が困難な人にとっては、成功報酬制の弁護士、もしくは損害賠償の中から弁護士費用を差し引く形で実質無料なら、金銭の面で大きな安心感となります。

弁護士へ依頼する際には、最初におおよその見積もりを出してもらったり、契約書の案を見せてもらえる事務所を選ぶと良いでしょう。実際にどのぐらいかかるかは、契約によって計算するので、おおよその金額が契約を理解するとわかります。

かかる費用は、案件ごとにもちろん異なりますが、どんな項目にいくらかかるのかという点も明朗会計になっている事務所が安心でしょう。費用の内訳の中には多様な項目があり、例えば裁判所へ支払う手数料や郵便切手代、弁護士やパラリーガルが調査のために使う交通費やコピー代などがあります。これらは実費で請求されるケースが多く、どの弁護士に依頼してもかかる費用です。

その他には、弁護士に契約書に記載されている着手金と事件が終了した時の報酬金や日当などがあります。こちらは、どの弁護士に依頼するかによってかかる金額は異なります。相談料は1回いくらという料金設定の事務所がある一方で、1時間当たりいくらという請求となる事務所もあります。着手金や報酬金については、案件ごとに大きな差がありますし、完全成功報酬制でない場合、着手金でも最低でも数十万円程度がかかるケースが多いでしょう。

5. どうやって弁護士を使うか?裁判の前にも裁判を回避するために弁護士が使えます

普段の生活の中や事業の中で、どんなトラブルに巻き込まれるかは誰にも予測することはできません。しかし、万が一トラブルに巻き込まれたら、民事裁判の方法や流れを理解しておくことで、今後、当事者で解決できない時には裁判所で解決できる選択肢があるということを知ることが、精神的に、大きな安心感にもつながるかと思います。

以上が、裁判の流れと弁護士の選び方のご説明です。

しかし、仮に、裁判にまでいかない、いかせたくない場合、早い段階で和解交渉を弁護士に依頼することもとても有用です。そうすることで自分が被告になって訴えられることを回避できることもありますし、また、訴訟という正式なルートを使わないで比較的短期間に損害賠償が認められて支払いをしてもらえることもあります。あえて原告になると証拠を精査したり、尋問に出たりといろいろ精神的苦痛も感じるプロセスが待っているので、早めに弁護士に依頼して早めの解決をするというのも有益でしょう。