婚姻費用・養育費

大切な養育費を受け取るために!協議離婚でも弁護士は頼れるパートナー

養育費を最初から諦めていませんか。養育費は子どもの権利ですから、親であれば自分の生活水準を落としてでも支払う義務があります。法律に関する正しい知識を身につけ、離婚後に想定されるトラブルには弁護士を利用してしっかりと対処していきましょう。

離婚について考えたとき、お子様の養育費のことが一番気になるという方は多いのではないでしょうか。残念ながら日本では養育費の未払いが常態化していることが知られています。その割合はおよそ8割。これは支払い義務がある方の親が養育費を払わないことが問題であると一般的に考えられています。また、面会交流がなかなか実施できていないことも一因でしょう。

受け取る側の親が、離婚時に養育費についての話し合いを嫌がる、あるいは相手から養育費を受け取ることを最初から諦めているというケースが現実には非常に多いのです。確かに離婚時は精神的に疲労し、相手とお金に関する交渉をすることは困難なのかもしれません。

ですが養育費は親ではなく、子供の権利です。子供が本来の生活水準より低い環境で辛い思いをすることがないよう、負担になる部分は弁護士にも頼りながら、しっかりと養育費の問題を乗り越えていきましょう。

1. 離婚協議の前に知っておくべき、養育費のこと

日本は裁判所を介さずに、夫婦二人で話し合って条件などを決めていく協議離婚が子供がいても全体の8割ほどを占めている国です。余計な手間や費用がかからないことはこの制度のメリットですが、正しい知識を持たずに話し合いに臨むと、自分にとって不利益な条件で離婚が成立してしまうというデメリットがあります。特に、養育費については、前述のように子供を引き取る側の親の意識が未払いの大きな要因となっていることもありますので、親として双方が正しい認識を持つことが大切です。

まず何よりも大切なことは、養育費とは子供を引き取らない側の親にとって「子供が自分と同水準の生活ができるように支払う」ものだということです。決して自分に余裕があるから支払うものではありません。自分の生活水準を落としてでも支払うべきものなのです。離婚時に子供を引き取る側になったら、相手は収入が多くないからどうせ払えないだろうという決めつけをしないようにしましょう。

協議離婚の場合、養育費の額は当事者同士で決めることができます。けれど話し合いで決着がつかない場合は、離婚調停、さらには裁判まで持ち込まれて決定される場合もあります。離婚時に決めないでいた養育費だけを後で、調停で合意したり、審判で裁判所に決めてもらうこともあります。裁判官は、「養育費算定表」という表を用いて、その時点での双方の状況を考慮した標準的な金額を決定することが通常ですが、塾などの費用は別の扱いになり加算されています。

仕事や育児など日々やるべきことを抱えている状況で、それだけ長期に渡って話し合い、裁判などで必要な手続きを行うことは現実的ではないと感じるかもしれません。特に離婚したいと思っている相手と、お金の問題で真っ向から対立するのは精神的にも負担です。

ですが養育費は原則請求した時点から発生するもので、それ以前の分を請求することはできません。ですから離婚成立までにしっかりと取り決めをしておくことはとても重要なことなのです。子供が20歳になるまで本来受け取れるはずの養育費は総額にするとかなりの金額になります。自分でやるのが負担であれば、弁護士を頼ってでも妥協せず相手と交渉することをおすすめします。

また、離婚成立時に養育費を受け取る権利を放棄した場合も、やはり養育費が必要だと思えば後から請求することも可能です。遡って受け取ることはできませんが、離婚協議のときには相手に言い出せなかったという人も、決して諦めず一度弁護士に相談してみましょう。今更相手に言いにくいと思うかもしれませんが、弁護士が代理人としてしっかりと相手に請求してくれます。

2. 協議離婚が成立した後に起こりうる、養育費のトラブル

離婚協議で双方納得して養育費の支払い額が決まれば、ひとまずは安心といえるでしょう。ですが子供が成人するまでの長い年月には、様々なトラブルが想定されます。取り決めをしたにも関わらず相手方がきちんと支払いをしない場合、子供の私学進学、塾代、病気の治療費などで、増額が必要な場合、あるいはどちらかの再婚によって相手から減額を請求される場合などです。

離婚後にこうしたトラブルが起こると、離婚成立前よりもさらに交渉は困難になることが予想されます。話し合いの場をもって自分達で解決できればよいのですが、相手にも新しい生活があり少しでも自分に有利になるように主張してくる可能性が高いでしょう。決着が着かなければ裁判所へと申し立てを行うことになり、そこで自分と子供にとって有利になる事実をしっかりと主張しなくてはなりません。

さらに厄介なのが、相手が途中で勝手に支払いを止めてしまった場合です。このパターンでは話し合いそのものを拒否され、転職・転居などにより連絡すらつかなくなるケースも少なくありません。日本には養育費の不払いに対する実効的な制度があまり無く、多くの人がこうした状況で泣き寝入りを強いられてきたのです。

こうした事例の多さから、養育費は継続的に受け取るのではなく、離婚成立時に一括で受け取るほうがいいという考えの人もいるでしょう。しかし、相手に養育費の一括支払いを強制する法律はありません。あくまでも、双方の合意の上での取り決めとなります。そして、一括受け取りの場合は利息分が引かれることになったり、税金を支払うリスクが生じたりといった問題も無視できません。

3. 離婚後の養育費トラブルには公正証書が有効

このように養育費を最後まできっちりと受け取ることは困難な道のりのように思われてきました。しかし改正民事執行法が施行され、養育費を巡る日本の状況も風向きが変わりつつあります。裁判所の強制執行による差し押さえが以前よりも容易になり、養育費を回収できる可能性はずっと高くなったのです。

不払いに対してすぐに差し押さえを行うには、債務名義が必要です。具体的には、公正証書または調停調書・審判書・判決です。

離婚時に協議で養育費について取り決めたことは、法的効果の強い公正証書にして残しておくことをおすすめします。公正証書は公証役場に保存され、紛失や偽造の心配はなく、裁判所に提出すればスムーズに執行の手続きを進めてくれます。手間と費用はかかりますが、強制執行により相手方の給与債権の2分の1まで差し押さえが可能になるので、公正証書などの債務名義はとても心強いツールです。

ただ公正証書で養育費について明確に取り決めていても、前述のように互いの状況の変化などによって額を増減させなくはならないケースもあるでしょう。その場合には相手との交渉の結果で不利益を被ることがないよう、プロである弁護士のサポートを受けることをお勧めします。弁護士は全面的に依頼人の利益のために働いてくれます。自分と子供が現在置かれている事情の中で交渉の有利となる材料をピックアップし、裁判所に対しても書面でしっかりとアピールしてくれるのです。

4. 弁護士と一緒に子供の権利をしっかり守りましょう

養育費に関する交渉では、公正証書の備えと弁護士のサポートが鍵となってきます。養育費は互いの離婚後の生活に関わる重大な問題であり、相手側も弁護士に依頼して少しでも自分の利益を守ろうとする可能性があります。そのときにもし弁護士のサポート無しに自分一人で闘おうとすれば、法律と交渉のプロを相手に不利な立場に置かれてしまうかもしれません。

こちらも弁護士に依頼すれば、弁護士は依頼人の利益のために全面的に相手側と闘ってくれます。不当な要求を突きつけられて諦めることはないのです。離婚後に予想もしていなかったトラブルが起きても、法律のプロとしてアドバイスし一緒に解決への道を探ってくれるでしょう。

一番良くないのは世間のイメージだけに囚われて、最初から闘おうとせずに諦めてしまうことです。確かに長年の間、養育費の不払いの問題に関して日本の法律は実効性に欠け、親子に寄り添ったものとはいえませんでした。しかし法整備や各自治体の対応など、養育費を巡る日本の状況は改善しつつあります。養育費は子供が得られる当然の権利。大切な子供の将来のために、まずは一度弁護士に相談してみましょう。

また、子が同居していない親と面会交流をきちんとすることで、子は親の愛情を感じられますし、養育費がスムーズに支払われることもよくありますので、面会交流ができていない場合、養育費についてとともにその交流の再開についても、子どもの利益の観点から考えてみるのもよいと思います。

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