ハーグ条約

出国禁止命令,旅券提出命令が発令されるとどうなりますか。これらの命令に従わなかった場合,どうなりますか?

1. 出国禁止命令,旅券提出命令の概要

旅券提出の手続は、ハーグ条約に関する日本の法、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「実施法」といいます。)に定められているもので、第122条第1項,第2項に基づいて、家庭裁判所から「子を出国させてはならない」という命令がでます。「出国禁止命令」といわれています。

そのとき、子が名義人となっている旅券の提出を命じれることがありこれを、「旅券提出命令」といいます。この命令を受けると子のパスポートを外務省に提出する必要があります。

2. 提出方法

その提出先は、外務省領事局ハーグ条約室です。

外務省の窓口における提出も可能ですので、旅券提出命令を受けた方が提出しなければなりません。ハーグ条約室の職員と日時を事前に調整してから、外務省領事サービスセンター受付窓口(南庁舎1階)にいって提出します。

日程調整をするのはハーグ条約室ですが下記が連絡先となります。

(電話)03-5501-8466

(Eメール)hagueconventionjapan@mofa.go.jp

ハーグ条約室の職員は窓口で本人確認をし、旅券を受け取りますが、その際,「旅券受領証」の交付を希望するかは確認するそうです。

また、外務省に行かずに郵送による提出もできます。紛失防止のため必ず一般書留を利用することになっていますが、送付先は下記です。

【送付先】

〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 

外務省領事局ハーグ条約室 宛

「旅券受領証」の送付を希望する場合には,返信用切手(82円分)を貼った封筒に返送先を記載したものを同封することになっています。

3. 旅券を提出する際に提出・提示する書類

(窓口での提出/郵送での提出に共通)

ア 子が名義人となっている旅券(提出を命じられた旅券が複数あれば全て)

イ 別添「旅券の提出について」(提出する旅券毎に1枚)

ウ 旅券提出命令等に係る決定書の写し

エ 旅券提出命令を受けた方の本人確認のための書類(住民票の写し及び旅券法施行規則第2条第1項に規定する書類(旅券,運転免許証,顔写真付き住基カードなど))

 (郵送による提出の場合は,当該書類の写し(氏名,生年月日が記載されているもの)を提出。)

*外国籍を有する場合,旅券法施行規則第2条第1項に定めるもののほか,日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので,旅券法施行規則第2条第1項に定めるものに準ずるものを,本人確認書類として認めています。

4. 旅券を提出しなかった場合にどうなるのか?

 旅券提出命令を受けたにもかかわらず期限までに旅券の提出を行わなかった場合は、裁判所は,実施法第132条に基づき,20万円以下の過料に処することとされています。

子の常居所地国への返還に関する裁判が確定すると、出国禁止命令が失効します。それに伴って、旅券を提出した方が旅券の返還を希望される場合は,外務省は旅券を返還することになります(実施法第131条)。

記事監修者 弁護士 松野 絵里子
記事監修者 弁護士 松野 絵里子

記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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