離婚後も子どもにとって最善の親子関係を築きたいともしあなたがおもっているのなら、日本でも導入が実現した「離婚後共同親権」は、スムーズな離婚とともにその願いを叶える新たな選択肢となるかもしれません。
この記事では、離婚後共同親権が子どもにもたらす精神的な安定や健全な自己肯定感の育成、そして親の精神的負担軽減や子育ての喜びを分かち合うといった具体的なメリットを徹底解説します。
離婚の後も子が負担を感じない親子関係、貴方が後悔しない親子の関係を築くために、共同親権がなぜ注目され、どのような未来をもたらす可能性があるのか、その背景から成功のポイント、よくある疑問まで網羅的に理解を深められるようにご説明していきます。
Contents
1. 離婚後共同親権が注目される背景と期待
日本では令和5年の民法の改正まで、離婚後の親権は父母のどちらか一方が持つ「単独親権制度」が採用されてきました。しかし、この制度が見直され、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権制度の導入が令和5年の民法改正で実現しました。この改正の背景には、男女が育児に参加するべきであるという考えの浸透や子どもの福祉を最優先に考えるという社会の変化、世界的に離婚しても親権を父母が持つ制度が一般的であるという国際的な潮流があります。
1.1 共同親権とは何か?離婚後の単独親権との違い
親権とは、未成年の子を養育し、その財産を管理し、子を代理して法律行為を行う権利と義務の総称です。しかし、最近の考え方は権利よりも責任を重く考えるようになっています。
たとえば令和5年の東京地方裁判所の判決では以下のように、親権を特殊な職責とし「親権は、子のための利他的な権限であり、その行使をするか否かについての自由がない特殊な法的地位であるといわざるを得」ないと行っています。
【判例紹介】東京地方裁判所判決/令和元年(ワ)第31444号
(令和5年6月22日判決)
民法は、親権の効力として、監護及び教育(同法820条)、居所の指定(同法821条)、懲戒(同法822条)、職業の許可(同法823条)、財産の管理及び代表(同法824条)などを定めるが、同法820条は、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」と規定して、子の監護及び教育をする権利は、「子の利益のために」行使されなければならないこと及び親権者の義務でもあることを明記している。また、財産管理に関しても、子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には子の同意を要するものとし(同法824条但書)、親権者と子との利益が相反する行為には特別代理人の選任請求を義務付ける(同法826条1項)など、子の利益に反するおそれのある行為については親権の効力を制限している。さらに、家庭裁判所は、「親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより『子の利益を著しく害するとき』」は親権喪失の審判(同法834条)を、「親権の行使が困難又は不適当であることにより『子の利益を害するとき』」は親権停止の審判(同法834条の2)を、「管理権の行使が困難又は不適当であることにより『子の利益を害するとき』は管理権喪失の審判(同法835条)をそれぞれできるものとして、親権が適切に行使されないことにより子の利益が害されることを防ぐ制度を設けている。このように、親権は、専ら子の利益を図るために行使することが予定されている上、権利であると同時に義務であるともされており、これを行使しないという事態は予定されていない。そうすると、親権は、子のための利他的な権限であり、その行使をするか否かについての自由がない特殊な法的地位であるといわざるを得ず、親権者自身の自己実現に資するものであることを考慮しても、憲法上の他の人権とは性質を異にするものというほかない。
さて、離婚するとこの親権のあり方が大きく異なることを見てみましょう。
改正前の日本における離婚後の親権は、父母のどちらか一方が親権者となる単独親権制度が採用され、これは、離婚後の父母間の紛争が子どもに悪影響を及ぼすことを避けるため、親権者を一人に定めることで、子どもの監護養育に関する意思決定をスムーズに行うことを目的としてきました。
つまり、どうせ仲が悪くなった親二人が親権を行使することがむしろ子の利益にならないという考えが背景にありました。
一方、国際的に先進国では一般的となっている離婚後共同親権とは、離婚後も父母双方が子どもの親権を持ち続ける制度です。これは、親が離婚しても、「子どもにとっては親であることに変わりはない」という考え方に基づいています。共同親権では、子どもの養育に関する重要な事項(教育方針、医療行為の選択、子の居住地の決定など)について、父母が協議し、合意形成を図ることが求められます。
両者の主な違いは以下の表のようになります。
| 項目 | 単独親権 | 共同親権 |
| 親権者 | 離婚後、父母のどちらか一方 | 離婚後も父母双方 |
| 意思決定 | 親権者が単独で決定 | 原則として父母双方が協議し合意形成 |
| 目的 | 紛争回避、意思決定の迅速化 | 子どもの健全な成長、父母の責任継続 |
| 現状 | 現在の日本の原則 | 欧米諸国で主流、日本で導入検討中 |
共同親権は、親が離婚しても子どもの養育に両親が引き続き関わることで、子どもが双方の親から愛されているという実感を感じられ、離婚時に喪失感を味わうことを防止して、安定した発達に資することで、子の精神的安定や成長に良い影響を与えることが期待されています。
もちろん、良いことばかりではないのですが、そのデメリットについては別の記事でお話しします。
1.2 日本における共同親権導入の動きと目的
日本で共同親権の導入が議論されるようになった背景には、主に以下の要因がありました。
1.2.1 国際的な潮流と子どもの権利意識の高まり
国際的には、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権が主流となっています。例えば、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど多くの先進国で離婚しても共同親権が可能となる制度が採用されており、日本もこの国際的な潮流に合わせるべきだという声が高まっています。また、子どもの権利条約の理念に基づき、子どもが両親から愛情を受け、養育される権利を保障すべきだという意識が社会全体で強まっていることも、共同親権導入を後押ししてきました。また、実際に父母が養育に関わる人が増えるとともに、子どもを奪い合い事件が増え、子どもの奪い合いが激烈になるという問題もあり、実際に家庭裁判所において面会交流などの事件数は増えていました。
1.2.2 子どもの福祉の最大化
離婚後の単独親権制度の下では、親権を持たない親が子どもの養育から疎外され、親子関係が希薄になるケースが少なくありません。これにより、子どもが喪失感を味わる、自分のルーツに対する理解が不十分で不安を感じる、片親からの愛情しか感じられないことによる精神的不安というような課題が指摘されてきました。共同親権の導入は、離婚後も両親が子育てに責任を持ち続けることで、子どもの精神的安定と健全な成長を促すことを最大の目的としています。
すでに、アメリカでは40年以上も前から、ヨーロッパでも30、40年前には離婚後の共同親権を取り入れてきておりました。日本では通常、親権を喪失させるためには非常に厳しい要件があって、喪失は簡単に認められないのに、離婚の場合、なんの落ち度がなくとも一方の親権が簡単に失われてしまっていたのですが、それには上記のような子どもの利益の点で、大きな問題があったといえます。しかし、長いことこの点は国民によって疑問視をされていませんでした。
1.2.3 法改正に向けた具体的な動き
日本における共同親権導入の動きは、法制審議会家族法制部会での議論が中心となっています。法制審議会は、法務大臣の諮問機関として、民法(家族法制)の見直しについて精力的に議論を進めて、2023年には、離婚後の共同親権の導入を含む民法改正案の要綱がまとめられ、国会での審議に向けた準備が進められています。この改正案で、父母の協議によって共同親権か単独親権かを選択できる制度や、協議が調わない場合に裁判所が決定する制度などが検討されました。
これらの動きは、日本の家族法制が、時代の変化と子どもの最善の利益という視点から大きく転換しようとしたことを示します。共同親権の導入は、単に親権のあり方を変えるだけでなく、離婚後の親子関係や家族のあり方そのものに大きな影響を与える可能性を秘めているのです。また、家族制度への公的介入と言う点でも大きな変化の可能性を秘めています。
法務省の法制審議会の家族法制部会の議論はこちらで見ることができます。
法制審議会を経て、令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立していますが(同月24日公布)、この法律は、「父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すもの」であると、政府は説明をしています。
2. 離婚後共同親権がもたらす子どもへのメリット
離婚は、親にとっては新たな人生のスタートとなる一方で、子どもにとっては大きな環境の変化を意味します。単独親権制度とともに面会交流も豊かなものとできない場合、子は片親を喪失する結果となりえます。
しかし、離婚後共同親権の導入により、子どもたちがこの変化を乗り越え、より健やかに成長できるための制度的な強力な支えができるという可能性を秘めています。
ここでは、共同親権が子どもたちにもたらす具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
2.1 両親から愛される実感 子どもの精神的安定と成長
子どもにとって、両親から継続的に愛情を注がれることは、何よりも大切な心の栄養といえるでしょう。離婚してから単独親権となる場合、非監護親との関係が希薄になりがちで、子どもが「自分は見捨てられたのではないか」といった不安や寂しさを感じてしまうことがあります。また、同居親自身がよほど他の親との関係性を維持しようという意識が強くないと他の親と子の関係について、尊重をすることも簡単ではないでしょう。
しかし、離婚後共同親権では、両親が協力して子にとって重要な事項について関与し、子育てにも関わることで、子どもは「自分は両親から変わらず愛されている」という実感を持つことができます。
この安心感は、子どもの精神的な安定に大きく寄与します。精神的に安定した子どもは、学業への集中力が高まったり、友人関係を良好に築けたりと、様々な面で良い影響が現れることが期待されます。両親が互いに尊重し、子どものために協力する姿勢は、子どもに協調性や問題解決能力を育む手本ともなるでしょう。
2.2 健全な自己肯定感を育む環境
自己肯定感とは、「自分には価値がある」「自分は大切な存在だ」と感じる心の状態を指します。健全な自己肯定感は、子どもが困難に直面したときに立ち向かう力や、新しいことに挑戦する意欲の源となります。
離婚後共同親権のもとでは、子どもは両親双方から肯定的な言葉や態度で接される機会が増えます。例えば、父親からは励まされ、母親からは抱きしめられるといったように、異なる視点からの愛情と承認を得ることで、子どもはより多角的に「自分は愛されている」と感じることができます。これにより、子どもは「自分は両親にとってかけがえのない存在だ」という強い確信を抱き、自信に満ちた健全な自己肯定感を育むことができるでしょう。
2.3 教育や医療など重要事項の共同決定による安心感
子どもの成長には、教育方針や医療に関する決定など、多くの重要な選択が伴います。単独親権の場合、これらの決定は主に監護親が行うため、非監護親の意見が反映されにくく、場合によっては子ども自身が戸惑いを感じることもあります。
離婚後共同親権では、子どもの進路、習い事、治療方針といった重要事項について、両親が話し合い、合意形成を行うことが求められます。これにより、子どもは自分の将来に関わる決定が、両親の協力と熟慮の上でなされたものであると理解し、より大きな安心感を得ることができます。また、両親が協力して子どもの最善の利益を追求する姿勢は、子どもにとって「自分は大切にされている」というメッセージとなり、心の安定に繋がります。
具体的な共同決定の例と、それによる子どものメリットを以下の表にまとめました。
| 共同決定の対象 | 子どもへのメリット |
| 教育・進路(学校選択、塾、習い事、進学先など) | 両親の異なる視点から最善の選択肢が検討され、子どもの個性や能力に合った教育環境が提供されやすくなります。 |
| 医療・健康(治療方針、予防接種、持病の管理など) | 両親が子どもの健康状態を共有し、適切な医療判断を行うことで、子どもの身体的・精神的な健康が守られます。 |
| 生活環境(転居、生活習慣、交友関係など) | 子どもの生活基盤が両親の合意のもとで安定し、環境変化によるストレスが軽減されます。 |
| 精神的ケア(カウンセリング、心理療法など) | 子どもの心の状態に対する両親の共通理解が深まり、必要に応じた専門的支援をスムーズに受けられます。 |
このように、共同親権は子どもの健やかな成長を多方面からサポートし、離婚というマイナスになりがちな経験を乗り越え、未来へと羽ばたくための確かな土台を築くことを可能にするものです。
3. 親にとっての離婚後共同親権のメリット
離婚後共同親権は、子どもの健やかな成長に寄与するだけでなく、親自身にとっても多くのメリットをもたらします。離婚によって親子の関係が途絶えることなく、親としての役割と喜びを継続できることは、精神的な安定や負担軽減に繋がるでしょう。
3.1 子育ての責任と喜びを分かち合う
単独親権の場合、子育ての責任は原則として一方の親に集中しがちです。しかし、共同親権では、両親が共に子どもの養育に責任を持つことになります。これは、片方の親に過度な負担が集中する状況を避け、育児の物理的・精神的な重圧を分かち合うことに繋がります。
例えば、子どもの学校行事への参加、習い事の送迎、病気の際の看病など、日々の細やかな育児から、進学や将来に関する大きな決断まで、両親が協力して取り組むことが可能になります。これにより、親は孤独な育児から解放され、子育ての喜びを他の親と分かち合うことが可能となります。子どもの成長を共に喜び、困難を共に乗り越える経験は、親としての充実感をもたらし、離婚後も健全な親子関係を維持する上で非常に重要です。
3.2 精神的負担の軽減と親としての役割の継続
離婚は親にとっても大きな精神的ストレスを伴いますが、共同親権は、その負担を軽減する可能性があります。単独親権では、子どもに関する全ての意思決定を一人で行う重圧や、育児の全てを一人で抱え込む孤独感が生じやすいものです。共同親権では、重要な事柄についてもう一方の親と相談し、協力して決めることで、この精神的負担が軽減されます。(もちろん状況によっては、他の親との交流を断てないことが親にとって負担となることもあります。そういったデメリットについては別の記事で説明します。)
また、共同親権は、離婚後も両親が等しく子どもの親であり続けることを法的に保障します。これにより、非同居親は子どもとの関係を継続し、親としての役割を失うことなく、子どもの成長に関わり続けることができます。これは、親自身のアイデンティティを保ち、精神的な安定を維持する上で極めて重要です。子どもにとっても、両親が離婚後も自分を大切に思い、協力し合っている姿を見ることは、安心感に繋がり、親自身の精神的な健康にも良い影響を与えます。
3.3 養育費や面会交流の安定化に繋がる可能性
離婚後の共同親権は、養育費の支払いと面会交流の実施をより安定させる可能性を秘めています。共同親権の理念は、両親が離婚後も子どもの養育に共同で責任を負うという考え方に基づいています。この認識が共有されることで、養育費の支払いがより確実になり、面会交流も計画的かつ安定的に行われることが期待されます。
3.3.1 養育費の安定化への寄与
養育費は、子どもの生活を支える上で不可欠なものです。共同親権の枠組みの中で、両親が子どもの養育に関する情報を共有し、協力関係を築くことで、養育費に関する話し合いが円滑に進みやすくなります。これにより、養育費の滞納リスクが低減し、子どもが安定した生活を送るための経済的基盤が強化される可能性があります。
| メリット | 共同親権がもたらす効果 |
| 責任感の共有 | 両親が共に子どもの養育責任を認識し、経済的負担の分担意識が高まる。 |
| 情報共有の促進 | 子どもの養育状況や必要な費用について、両親間で定期的な情報共有が行われやすくなる。 |
| 合意形成の円滑化 | 養育費の算定や見直しに関して、対立よりも協調的な話し合いが促される。 |
3.3.2 面会交流の安定化への寄与
面会交流は、子どもが非同居親との関係を維持し、精神的な安定を得るために非常に重要です。共同親権の下では、両親が子どもの最善の利益を考慮し、協力して面会交流の計画を立てることが期待されます。これにより、面会交流が中断することなく、子どもが両親双方と定期的に交流できる環境が整いやすくなります。
| メリット | 共同親権がもたらす効果 |
| 子どもの権利尊重 | 子どもが両親双方と関わる権利が明確に認識され、尊重される。 |
| 協力体制の構築 | 面会交流の日程や場所などについて、両親が協力して柔軟な調整を行いやすくなる。 |
| 対立の減少 | 親同士の不必要な対立が減り、面会交流が感情的な問題に左右されにくくなる。 |
ただし、これらの安定化は、あくまで両親間の協力とコミュニケーションが前提となります。共同親権が導入されても、自動的に問題が解決するわけではなく、両親が子どものために歩み寄る努力が不可欠です。
4. 離婚後共同親権を成功させるためのポイント
離婚後共同親権は、単に法制度として存在するだけでなく、親同士の継続的な協力と努力によって初めてその真価を発揮します。子どもの健やかな成長を最優先に考え、親としての責任を果たし続けるためには、いくつかの重要なポイントを押さえることが不可欠です。
4.1 円滑なコミュニケーションと合意形成の重要性
離婚後共同親権の成功は、何よりも親同士のコミュニケーションにかかっています。感情的な対立を避け、子どもの利益という共通の目標に向かって建設的に話し合う姿勢が求められます。
4.1.1 子どものための建設的なコミュニケーション
共同親権下でのコミュニケーションは、過去の夫婦関係の問題を引きずらず、子どもの現在の状況や将来に関する情報共有に徹することが大切です。例えば、子どもの学校での出来事、健康状態、友人関係など、日々の細かな情報も共有することで、両親が子どもの成長を共に見守ることができます。感情的になりがちな話題であっても、冷静さを保ち、事実に基づいた話し合いを心がけましょう。
4.1.2 重要事項の合意形成プロセス
子どもの教育方針、進学、医療に関する判断、習い事の選択、長期休暇の過ごし方など、共同親権では多くの重要事項について両親の合意が必要です。これらの決定に際しては、事前に十分な話し合いの機会を設け、お互いの意見を尊重し、最終的に子どもの最善の利益となる選択肢を見出す努力が求められます。書面での合意書を作成しておくことは、後々の認識のずれを防ぎ、円滑な共同養育を進める上で非常に有効です。
4.2 専門家や第三者機関の活用
親同士の話し合いだけでは解決が難しい場合や、より専門的な知識が必要となる場面では、第三者機関や専門家のサポートを積極的に活用することが、共同親権を成功させる鍵となります。
| 専門家・機関の種類 | 提供される主なサポート内容 |
| 弁護士 | 法律的な観点からの助言、共同親権に関する合意書の作成支援、養育費や面会交流の取り決めに関する交渉代理、家庭裁判所の手続き(調停・審判)の代理など。 |
| 家庭裁判所 (調停委員) | 離婚後の子の監護に関する調停(養育費、面会交流、共同親権の取り決めなど)を通じて、中立的な立場で親同士の話し合いを促進し、合意形成をサポートします。 |
| 家族カウンセラー | 親同士のコミュニケーションの改善、感情の整理、対立の解消に向けた心理的なサポートや具体的な対話スキルの指導を行います。 |
| 面会交流支援団体 | 親と子の面会交流が円滑に行われるよう、場所の提供、子どもの送迎支援、面会交流時の見守りなど、連絡調整など、具体的な支援をします。カウンセリング的機能をもっている場合もあります。 |
| 児童相談所・児童福祉施設 | 子どもの養育環境に関する相談、子どもの福祉の観点からの助言、必要に応じて一時保護などの緊急対応も行います。 |
これらの専門家や機関は、親が抱える具体的な問題に応じて、客観的な視点と専門知識を提供し、より良い解決策を見つける手助けをしてくれます。感情的になりやすい問題だからこそ、第三者の介入が冷静な判断を促し、子どもの利益を最優先した決定へと導くことがあります。共同親権は、実践は簡単ではないので面会交流支援機関などを利用しておくと、長期的な安心は得られるでしょう。
4.3 子どもの意見を尊重する姿勢
共同親権は、親が共同で子どもの養育にあたる制度ですが、その中心にいるのは子どもです。子どもの意見を尊重し、彼らの声を聴く姿勢、親が関係性を安定化してそれだけの余裕を持つこと、それが共同親権を円滑に進める上で非常に重要です。
4.3.1 子どもの意見表明権とは
子どもの権利条約においても、子どもには自分に影響を及ぼす事柄について意見を表明する権利が認められています。日本の法律においても、家庭裁判所が子の監護に関する処分を決定する際には、子どもの年齢や発達段階に応じて、その意見を聴き、考慮することが義務付けられています。共同親権においても、親が子どもの意見を聴き、それを尊重する姿勢が求められます。
4.3.2 子どもの意見を聴く際の配慮
子どもの意見を聴く際には、子どもに心理的な負担をかけないよう細心の注意が必要です。親のどちらか一方に肩入れさせるような聞き方は避け、子どもが安心して自分の気持ちを話せる環境を整えることが大切です。直接的な質問だけでなく、子どもの行動や言動から気持ちを推し量る努力も必要になります。年齢が幼い場合は、絵や遊びを通して気持ちを表現してもらう方法も有効です。意見を聞き取る場合、親を選ばせるような形にならないように勤めましょう。
4.3.3 意見の尊重と最終決定
子どもの意見を「尊重する」ことは、必ずしも子どもの言う通りにするという意味ではありません。子どもの意見を真摯に受け止め、その背景にある気持ちを理解しようと努め、最終的な決定においては子どもの最善の利益を考慮に入れるということです。決定に至った理由や経緯を子どもに分かりやすく説明し、彼らが納得できるように努めることで、子どもは両親に大切にされていると感じ、精神的な安定に繋がります。この最終決定は親として冷静に子のためにする必要があります。ここで親が揉めると子には大きな心の傷になります。
5. 離婚後共同親権に関するよくある疑問と現実
5.1 共同親権のデメリットや課題への向き合い方
離婚後共同親権の導入が議論される中で、そのメリットだけでなく、懸念される課題やデメリットについても多くの声が上がっています。これらの疑問に真摯に向き合い、現実的な解決策を模索することが制度が定着していくには不可欠です。
特に指摘されるのは、親同士の対立が続く場合、子どもの精神的負担が増大するのではないかという点が深刻です。さらに、ドメスティック・バイオレンス(DV)や児童虐待の加害者である親にも親権が与えられることがありえることへの懸念もありますが、単独親権が加害者に合意で与えられることもありえます(脅迫され、恐怖から同意するような場合)ので、それは共同親権制度の問題ではないでしょう。
課題に対処するため、新たな民法では以下のような配慮がなされています。
| 懸念される課題 | 対応策など |
| 親同士の意見対立と子の負担 教育方針、医療、居住地など、重要事項に関する意見の相違が子の利益を損なう可能性。 | 子の利益を最優先とする原則が明文化され、親が共同して子の監護に関する事項を決定できない場家庭裁判所が子の意見を聴取し、子の利益のために判断する仕組みが導入されます。 ADRやカウンセリングといった紛争解決支援の活用も重要です。 |
| DV・児童虐待の加害者への親権付与 被害者である親や子が、加害者との関わりを強制されることへの安全性と精神的負担の懸念。 | DVや児童虐待がある場合には、家庭裁判所が共同親権とせず、単独親権とすることと明記されています。 また、共同親権とする場合でも、面会交流については自由ではなくしっかりした取り決めによるべきであり、子の監護に関する事項の決定方法の指定など父母の不仲で、子の安全と福祉が害されないような措置が新設されています。 親は不安であれば、支援機関を利用した面会交流をすることも対策になりえます。 |
| 養育費や面会交流の実効性 共同親権となっても、養育費の不払い問題や面会交流の実施が不安定になる可能性。 | 共同親権は親としての責任を明確にするものであり、養育費や面会交流の安定化に繋がる期待もあります。しかし、実効性を高めるためには、家庭裁判所の履行勧告をこえた強制方法の施策、法定養育費制度の活用など、既存の法制度や支援をより積極的に活用しつつ、法制度としてはさらなる不十分な面の改善が重要です。 |
これらの課題に対し、法は単なるルールブックではなく、人々の生活や関係性をより良くするための道具として機能します。制度が導入された後も、社会状況や実態に合わせて柔軟に見直し、改善していく姿勢が求められるでしょう。
5.2 共同親権を巡る法改正の最新動向
日本における離婚後共同親権の導入は、長年にわたる議論を経て、いよいよ現実のものとなろうとしています。法改正の動きは、親と子の関係、家族のあり方に大きな影響を与えるため、その最新動向を理解することは非常に重要でした。
法務省の法制審議会において、家族法制の見直しに関する議論が重ねられ、2021年には「中間試案」が公表されました。これを受けて、2024年4月には「民法等の一部を改正する法律案」が国会に提出され、5月に立法されました。
この法では、離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を原則とすることを明記しており、以下のような内容が盛り込まれました。
- 共同親権の選択:離婚後も父母双方が子の親権を持つことが可能となる。父母の合意がない場合や、子の利益のために必要と認められる場合には、家庭裁判所が単独親権を定めることができる。
- 子の意思の尊重:子の監護に関する事項を定める際には、子の年齢及び発達の程度に応じ、その意思を考慮する。
- DV・児童虐待への対応:父母の一方がDVや児童虐待を行った場合など、共同親権が子の利益に反すると認められる場合には、家庭裁判所が単独親権と決定する。
- 養育費制度の見直し:養育費制度の実効性を高める。
法は、社会の変化に対応し、常に進化していくものですが、この法改正は現代の家族の多様なあり方に対応し、何よりも子どもの健やかな成長と福祉を確保するための大きな一歩になることが期待されていますが、課題もまだまだあります。
6. まとめ
離婚後の共同親権は、「離婚」という子にとって大きな喪失の局面で、子どもが両親から等しく愛されていると感じつつ、精神的に安定して成長するための重要な「親の選択肢」です。その選択においては、慎重かつ冷静な判断が必要です。
親の視点からは、子育ての責任と喜びを父母が離婚しても分かち合い、精神的負担を軽減しながら親としての役割を継続できるメリットがあります。
しかし、円滑なコミュニケーションができないとかえって子供には負担になりますし、父母が子どもの意見尊重をしつつそのメリットを感じられることが成功の鍵となるでしょう。
父母が離婚しても、続けて親子の関係を築いていくための新たな道となることが期待されています。






