離婚訴訟(裁判)には弁護士が不可欠!その理由を説明します。

「離婚訴訟を起こそうと思っている」「離婚訴訟を起こされた」という方で、弁護士に依頼した方がいいのか?という疑問を持っている方もいるでしょうが、ここでは、弁護士に依頼すべ必要があることをご説明します。

1. ルールを知らないでする訴訟の大きなリスク:予想していない結果

本人で離婚訴訟の対応をする場合、たとえ証拠があって状況が有利な立場であっても、ご本人は訴訟のルールを知りません。

離婚裁判は、人事訴訟法という法律に従ってなされる手続きです。離婚や認知、夫婦や親子等の関係についての争いを解決する訴訟を法的には「人事訴訟」とよんでいます。人事訴訟のうちで、代表的なものが離婚訴訟で、離婚訴訟では、未成年の子についての離婚後の親権者を定め、財産分与や子どもの養育費などについても離婚と同時に決めていくのが通常です。また、婚姻中の財産を分けるという財産分与もここで手続きが可能ですので、当事者にとっては、要な訴訟です。加えて、離婚訴訟の際には、離婚に伴う慰謝料を求める訴訟を起こすことも一緒に起こせます。

そして、その訴訟のルールは人事訴訟法に書かれており、多くには民事訴訟法のルールが適用されています。人事訴訟法は、平成15年に成立した法律で家族法上の法律関係に関する法律で手続きについて定めているので「民事訴訟法」に対する特別法にあたります。平成15年の改正で、それまで離婚訴訟は地方裁判所で手続きがされていたのですが、第一審の管轄が地方裁判所から家庭裁判所に移管されました。そして、慰謝料という関連請求が一緒に審理できるようになりました。夫の不貞行為を理由とする離婚訴訟と不貞行為の相手方に対する慰謝料請求訴訟がひとつの事件として、家庭裁判所に提起することができるようになったのです。

この法律には、離婚訴訟での当事者の主張の意味とか、主張や証拠の出し方や尋問の方法などの手続きルールが詳細に定められています。もととなる民事訴訟法がかなり準用されているので、もとの民事訴訟法を理解しないと人事訴訟のルールも理解できません。というわけで、弁護士ではないとるルールがわからないので、武器がないまま手続きを進めるということになってしまうのです。ルールを知らなければ思わず不利になるようなことを主張したり、証拠を出してしまうということがあり敗訴とか不当な結論という結果になる可能性が高まります。

2. 離婚裁判に特別に採用されるルール

また、離婚訴訟では原則として民事訴訟法が適用されて民事訴訟法のルールにしたがって進むものの、人事訴訟でもあることから特別のルールによって運用されていく場面があります。ですから弁護士に依頼すればよいというものではなく、離婚訴訟の経験が豊富で知識がある弁護士に依頼する必要があります。

特に、重要な点は、「職権探知主義」の適用です。 私人間の法律関係については,原則として当事者の自由な意思にゆだねるべきであるという私的自治の原則から、民事訴訟では当事者が主張しない事実を裁判所が勝手に認定することは許されません。「弁論主義」と専門的には言います。

しかし、離婚訴訟の場合、夫婦関係という身分に関する事項を扱うものであって、公益性があることから私的自治がそのまま適用されず、弁論主義は採用されていません。そして、「職権探知主義」というルールが採用されているのです。

人事訴訟法20条

「裁判所は,当事者が主張しない事実をしん酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる。」

この規定はそれを示しています。裁判所は、当事者が主張していないことを証拠から認定できるのです。たとえば、裁判所は、財産分与の対象として当事者が主張していない財産も、証拠に出てきた財産が、夫婦が婚姻期間に形成した資産であると認めたら、それを分与対象とすることができるのです。

もっとも、裁判官は当事者が主張していない事実を判決の資料とするような場合には、なるべく当事者に対しその視点を持つように示唆をしたり、積極的に主張や証拠を提出するよう促して、当事者が驚くような結果とならないように努力しています。 ですから、裁判の期日で、裁判官から積極的にこれを主張してきてほしいとか、こういう証拠があったら出してほしいという釈明がされますが、釈明そのものの意味が素人にはわからないことが多く、それに従った準備書面を作成し証拠を探して出すことは、一般人には困難なのです。

また、職権探知主義が採用されているために、提訴してから、被告が答弁書も提出することなく期日に出廷することがない場合、民事訴訟であれば擬制自白(民事訴訟法159条)が成立して「欠席判決」が出されるのですが、そういうことは離婚訴訟ではできません。被告が一切出廷しない場合であっても、証拠に基づき主張を行っておかないと離婚の判決はもらえないのです。

また親権紛争が関与している場合には、ますます戦略的に主張を出していく必要が高まります。単に相手を責めると親権に不利であったり、面会交流をしていないと不利になったしますので、気を付けましょう。

 

経験値の多い弁護士に依頼すれば、提訴から判決まですべての準備書面と証拠を弁護士がだしてくれますし、親権に関する調査に対してどう対応をするべきかも、教えてくれます。もちろん、弁護士と打ち合わせをして、準備書面の内容をどうするか、証拠はどれを出すかと言う戦術を考える必要はありますから、何もしなくて良いのではないのです。しかし、負担は格段にすくなくなりますし、和解をうまくすることで、早期に離婚を成立させたり、親権などで納得できる結果が可能となることも多いのです。是非、離婚訴訟の経験の多いの弁護士にご相談ください。

また、弁護士は証拠がそろっていない場合は、調査嘱託などの方法で証拠集めをしてくれるので、その点でも、特に財産分与では有利は結果となる可能性は高まるでしょう。

3. 一切の訴状・準備書面・陳述書の作成は弁護士の専門的仕事

すでにご説明したように、裁判所が釈明をしてくる場合もありますし、訴状の記載についてそもそも戦略的な記載が必要です。単にお金を貸したから返せという訴訟ではないので、どういう経緯で夫婦が破綻したのか、相手が有責である、少なくとも自分は有責ではないという心証を裁判官に抱かせる必要があります。

これは実は、簡単ではありません。証拠もないのに相手を責めてばかりいるとそういう一方的な態度が精神的苦痛を被告に与えたという印象をもたれて、かえって不利な認定になる可能性もあります。

さらに、相手が準備書面を書いて出した場合、それに反論したり追加の主張をしていくのですが、そのときも相手の主張についてしっかり否認をしたり、争うことが重要です。その時には、単に争うのでは不十分で説得的な理由を記載していくことが有効です。

ある事実をモラルハラスメントの証拠としてだされた場合、それは相手から喧嘩を吹っ掛けられたときに咄嗟にした発言であり、その際には相手がもっとひどいことを言っていたのだというような場合、そのやり取りをビビッドに説明していく必要があるのですが、これは弁護士でないと理路整然とかつ分かりやすく、デメリットにならないように描けないでしょう。

また、離婚訴訟では双方が陳述書をだすのですが、これが経緯が書いてあるもので、それまでの準備書面と齟齬があってはいけませんし、デメリットになるようなことを書くのは控えたほうがよいです。離婚訴訟では感情的になって、相手の親族の批判などを大展開する人もいますが、親族は基本的には関係がありません。相手の親族とうまくやれていなかったことがむしろ心証として、明確になってしまって、破綻認定をされやすくなることもあるでしょう。このように提出する書面の作成には、専門的な知識が必要であり、戦略的視点が不可欠なのです。

よって、有利に裁判を進めるためにはそういった戦略的視点のある弁護士が必要でしょう。

ご自身で作成してしまうことで、記載すべきポイントを逃したりかえって不利な認定を導く記載をしてしまうというリスクがあります。また、思い悩んで調べたりすると、とても時間がかかってしまします。

仕事をしつつ訴訟対応をするような場合、膨大な事務作業まで行うのは大変でしょうし、結果もだせないでしょう。過去について振り返ることは、とても精神的なストレスがたまる作業でもありますので、一人で乗り越えるのはメンタルの面でも難しいでしょう。。

しかし、弁護士に依頼すれば、ご自身の言い分を貴殿に有利に表現してくれたり、不利な証拠は出さないように選択してくれます。ご自身の調査の時間も不要となりますし、精神的に負担が軽減し、最終的に裁判所に出すものもよいものとなるでしょう。

4. あなたのために利益を守るのが弁護士の仕事

弁護士は依頼者の利益を最大化するために、仕事をします。そのために証拠を探したり主張の構成を整えたりします。法令に違反したり、裁判官の訴訟指揮に反することはできませんが、とにかく依頼者がどうやったらより利益を得られるかをずっと考えてくれる専門家です。

特有財産と言えるような財産はないかを、聞き取りから考えたり、離婚を求める原告の代理人であれば相手が主張してきたことを基礎にうまく破綻していることを構成できないかと言うような工夫もします。例えば、被告が原告のあるところを攻撃してきたら、それはこちらもわかっており治そうとしていたが、いつも攻め立てられるので精神的に参って鬱状態になったことがあるというようなストーリーを描いて、診断書とともに出すような戦術もあり得ます。鬱状態にされたのであれば婚姻を続けるのは難しいという判断になりやすいからです。

さらに、離婚訴訟では、判決で勝敗を決める以外に、「和解』という選択肢もあります。裁判の内容によっては、和解をすると離婚が早まるので、金銭的にも権利的にも得をする場合もあります。

しかし、ご自身ではどっちがよいのか判断しにくいものなので、弁護士がいると、判決になった場合の見通しを理解しつつ進めることができるのです。具体的な和解案を検討して、和解するメリット・デメリットを教えてもらえますから、判決意外にも最善の選択を選ぶチャンスが出てきます。

5. 心の余裕が生まれ、よりよい選択・結果につながる

自身1人で戦うと、自分のやったことを悔いて、つい事実を単に認めて謝ってしまうということもあるでしょう。しかし、冷静に一緒に走ってくれる専門家弁護士がいれば、たんに謝るのでなくて、事実をどういう形で準備書面に落とすのがよいのかを考えてくれますし、自分のみで考える必要がないため、精神的余裕が生まれます。そうすると、結果もより良いものが期待できます。

一人で訴訟をして、法的にわからないことや不安なことがあっても裁判官は教えてくれませんし、どうしたら有利になるかは自分で考えるしかありません。分からない、不安が多いと、訴訟がとても大きな精神的な負担になるでしょう。裁判の進め方にも、不安を持ってしまうと、かえって冷静な対応ができなくなっていくこともあり、「尋問」の前に慌てて弁護士をさがす方がいますが、その段階ではもう「手遅れ」と言うことになるでしょう。そこから、急いで過去の記録を読んで、自信をもって受任してくれる弁護士を探すのは大変でしょう。

最初から弁護士がいたら、そのときそのときで検討してベストの選択をしていくことになるので、不安も減り、後から後悔することも少なくなるでしょう。ベストを尽くしても自分の思ったとおりにはいかないものですが、その理由が弁護士からの説明でわかるので、自分としても納得しやすいでしょう。

6. 弁護士を頼むのが不可欠なら、それにはいくらかかるのか?離婚裁判で必要な弁護士費用とは?

弁護士費用は、決まったルールは、今はありません。そのため、事務所により金額が大きく違います。ここでは、離婚裁判を弁護士に依頼した場合、必要になる4つの費用や、その標準的場合をまとめました。

弁護士費用は主に4つあります。弁護士費用は主に4つのものから成り立っています。支払うタイミングもそれぞれで違ってきますので、注意しましょう。

1) 相談料

相談の際に支払う費用になります。主に、事件処理の依頼をせず相談だけするという場合に発生し、依頼を受けた後の相談は都度料金を取らないという事務所が多いです。基本的に、30分や1時間単位で料金を決めている事務所が多いですが、無料相談ができる事務所もあります。当事務所でも離婚については無料相談をしています。

2)着手金

弁護士に事件処理を依頼する際に支払うお金です。名前のとおり、弁護士が事件処理に『着手』するためのお金なので、支払わないと事件を進めてもらえません。これは、希望の通りの結果にならなかった場合でも、返金を求めることは基本的にできませんので注意しましょう。調停から引き続き依頼する場合、事務所によっては通常より、低額になったりすることもあります。

3)成功報酬

問題が解決した際に支払う費用です。多くの場合、獲得した金額に対し計算されます。また、離婚が認容されることにも発生します。事務所や弁護士によって計算方法や『成功』の定義が違いますので、あらかじめ確認しておくことが大切です。

4)日当・実費

実費には、以下のようなものがあります。

  • 交通費
  • 切手代
  • 収入印紙代
  • 調査会社などを利用した際の調査費用(証拠集めなど)

事前にお金を預ける場合もあれば、後からまとめて清算ということもあります。

日当は、地方への出張などがあった場合のみに発生するという事務所もありますが、裁判所への出廷1回ごとに、出廷日当という日当がかかる事務所が多いでしょう。日当がかさむと、最終的な弁護士費用が高額になってしまうという可能性もあるので、期日を効率的に進める必要があります。

5. 標準的な弁護士費用金額

これらの4つの費用の相場は、一般的な目安としては以下のような感じです。

相談料:

無料または1時間で1万円から3万円

着手金:

離婚についてのみであれば30万~50万円

親権争いや財産分与と言うような別の争いがあれば追加があるのが通常です。

成功報酬:

離婚の認容については40から100万円程度が多いでしょうが事案の困難さにもよります。財産分与の獲得金額の概ね10~20%が多いです。

(200万円を獲得した場合20万~40万円、3000万円であれば300万円)

当事務所では、財産分与については一般的形態より安い5%から3%という低い割合(安い弁護士費用体系)となってます。

3000万円の財産分与を得ると300万円が成功報酬となる場合が多いのですが、当事務所では250万円となります。6000万円であれば600万円と言う事務所が多いのですが、当事務所では400万円となりますので、熟年離婚の方で財産分与が多い方にご好評を得ています。

日当:

3万~5万円/1回 

このほか、慰謝料・親権・養育費といった事項が、争点となると個別の追加報酬があります。養育費であれば月額2から4倍程度でしょう。

当事務所では受任時に詳細な契約書で報酬の説明をいたします。財産分与については、2000万円を超える部分が5%(調停であれば3%)という非常に安い金額レベルになってます。お気軽にお問い合わせください。無料離婚相談も致しております。

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