遺産相続で揉めたら弁護士に相談しよう!裁判所での調停・審判・訴訟を徹底解説

遺産相続の際に相続人間で揉めるケースは増えています。そんな時は家庭裁判所の遺産分割調停・審判や必要であれば訴訟を利用して解決することができます。

しかし、不適切な対応をすると後で時効になっているなど不利になる可能性があるので、相続を得意とする弁護士に相談することをおすすめします。

1. 遺産相続は財産が多くなくても揉めるケースが多いって本当?

「遺産相続で揉めるなんて、所詮お金持ちの話でしょ?」「うちには関係ないから大丈夫」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、実際は遺産が多い方ほど生前に相続対策が行われていることもあり、遺産は少ない方が揉めるケースが多いのが事実です。一度揉めると家族間では収拾がつかなくなってしまい、裁判にまで発展してしまうことも少なくありません。相続でどのように遺産を分割するかということは、「感情」が大きく関わっていることを忘れてはいけません。

1-1. 相続財産を均等に分けられない

当然のことですが、相続財産を残されたご家族で均等に分けてみんなが納得できるなら、揉めることはありません。

しかし、「生前に同居して一番親孝行をしていた」「介護を一手に引き受けた」などの理由で多く財産をもらうべきだと主張する方が多いという話を聞いたことがありませんか。また、「家を立てる資金を援助してもらっていた」「家族に迷惑ばかりかけていた」などの理由で、自分が貢献をしてきたからとか、平等にももらえる権利がない人がいるというようなことを言って、他の兄弟姉妹に向かって財産を少なめにもらうべきだと、横やりを入れる人が出てくることも、少なくありません。

また、遺産の大部分が生前に住んでいた土地と不動産であるような場合、すぐに買い手が現れるとは限らないので、相続したタイミングで現金化するのは難しくなります。3人の相続人がいて、1人が土地と不動産を相続するとしましょう。その際は、残りの2人に土地・不動産を現金化した場合の3等分した額を渡すことになります。しかし、土地と不動産を相続した相続人に現金がなければ、解決が困難となってしまうのです。

1-2. 欲が出てしまう

遺産相続で手に入る金額が億を超えると、普段扱っている金額とは桁が違うので、すんなり納得してしまう方は多いのではないでしょうか。一方で価格が下がるほど欲が出てしまい、もう少しもらえたらいいのにと思ってしまう方が増えます。

1-3. 生前に相続対策を行っていない

相続が発生する前から相続について考える機会を設けて相続方法を伝え、綿密に計画を立てていれば、誰もが納得せざるを得ない相続ができます。最近では、自分が寝たきりになった時や亡くなった時のために早めに「終活」を始める方が少なくありません。残されたご家族のために、身辺整理を行い、いつかは訪れる相続について考える必要があるのは明白です。しかし、生前に相続対策を何も行っていないだけでなく、日頃から家族間でのコミュニケーションが希薄だった場合、兄弟姉妹が仲が悪い場合には、突然相続が発生してしまうと争いごとになってしまうのです。

2. 遺産分割調停・審判とは

遺産分割で揉めた場合、一般的に利用されるのは、遺産分割調停・審判です。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。

2‐1. 遺産分割調停

遺産相続で揉めて収拾がつかなくなった場合、家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用することができます。遺産分割調停とは、相続人のうちの1人もしくは複数人が、他の相続人全員に対して申し立てを行うものです。つまり、遺産相続に納得していない相続人が1人でもいれば遺産分割調停を起こすことが可能ですが、相続人の全員が歩み寄らなければ成立することはありません。

2-2. 遺産分割審判

遺産分割調停とよく似た名称のものに、「遺産分割審判」があります。遺産分割審判とは、裁判所が遺産分割における解決方法を示してくれるもので調停とは裁判所が決めるという点が異なります。通常は、遺産分割調停で当事者全員が歩み寄れなかった場合に、初めて審判に移行することとなります。遺産分割審判は、裁判所によって強制力のある審判を下されるものなので、最終の解決へと動き出すことができます。

3. 遺産相続における訴訟とは

遺産分割について裁判所を利用する場合、まずは相続人間での話し合いを徹底するために、遺産分割調停を利用することになります。一方で、他の法律問題が絡むケースでは、訴訟を起こすこととなります。

代表的な訴訟には6種類ありますが、どのようなものなのか、見てみましょう。

3-1. 遺産確認訴訟

遺産分割を行う前に、相続財産がどれだけあるのか、その全容を明らかにしなければなりません。そこで、亡くなった方の財産が隠されている、もしくは財産が別人の名義となっていることが分かった時に、「遺産確認訴訟」を行います。

3-2. 相続人の地位不存在確認訴訟

遺産分割では、相続財産の全容と同時に、誰が相続人となるのかをはっきりさせなければなりません。相続人の資格を失うケースや無効となる養子縁組をしているケースがないか、相続権の有無を「相続人の地位不存在確認訴訟」で決定づけます。

3-3. 遺言無効確認訴訟

遺言書が出てきても、その作成方法によっては、形式に不備があるということは少なくありません。また、ある相続人に都合が良いように偽造や改ざんの可能性が疑われるケースも珍しくないのです。そこで、「遺言無効確認訴訟」ではその遺言書が有効かどうかを争います。

3-4. 遺産分割協議無効確認訴訟

すでに行われた遺産分割協議の結果を取り消したい、もしくは無効にしたいという場合に起こすのが、「遺産分割協議無効確認訴訟」です。この訴訟で勝てば、もう一度遺産分割協議をやり直すことができます。

3-5. 損害賠償請求訴訟もしくは不当利得変換請求訴訟

相続人の一部が他の相続人の知らないところで遺産の使い込みを行っていた場合、現金の類であれば使い込んだ分の額を返す、現金でなければ失われた遺産の価値に見合う金額の賠償責任が生じます。これらの内容を、「損害賠償請求訴訟」もしくは「不当利得返還請求訴訟」において争います。

3-6. 遺留分侵害額請求訴訟

遺留分とは、相続人が最低限受け取れる相続額のことを言います。民法によって定められていますが、だからといって必ず受け取れる絶対的なものではありません。遺留分を侵害する遺産分割が行われても、この「遺留分侵害額請求訴訟」をしなければ、相続する額を変えることができないのです。

遺留分侵害額請求訴訟は、遺留分を侵害された相続人が遺産を多く引き継いだ相続人に対して行い、不足している額を補償してもらうこととなります。

4. 遺産相続に関連して、裁判をする場合は弁護士に相談しよう

遺産相続で一度揉め始めたら、家族の絆がばらばらになってしまいかねません。そこで、揉めないようにするためには、生前から相続について家族で話し合いをしておき、正当な理由と分割割合について書かれた公正証書遺言を作成しておくなどの準備が必要になります。でも、万一揉めてしまったら、遺産相続についての争いを長引かせないようにするために、信頼できる専門的弁護士に相談しましょう。

4‐1. 相続のプロに任せることで解決

弁護士にも専門分野があるのをご存知でしょうか。そのため、遺産相続でお困りの時は、相続分野を得意としていて、実績が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。相続関連訴訟や調停のプロならではの視点で問題を整理し、場合によっては裁判所の遺産分割調停・審判もしくは訴訟を利用して、問題を解決へと導いてくれます。

4-2. 正当な遺産相続額の確保ができる

遺産分割調停・審判にしろ、訴訟にしろ、何度も経験したことがあるという方は少ないはずです。多くの方が初めてなので、不安になってしまうでしょう。そんな時に不適切な対応をすると、自身にとって不利となる審判や判決が確定してしまう可能性があります。

正当な遺産相続額を早く、確保できるように、弁護士の意見を取り入れていくのが良いでしょう。

当事務所では相続の無料相談をお受けしています。また、遺産分割については標準よりも安い報酬体系を用意していますので、お問い合わせください。

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