離婚

知っておきたい離婚の基礎知識(まずはこれだけ知っておこう)

離婚をしたいと本気で考えたときは、きっぱりと結果を出したいと考えます。そのためにある程度離婚に関する知識を蓄えておく必要があります。自分のことなので損をしない、後悔しない離婚が出来るように、その後もリスクを負わないように、基本的なことを覚えておくといいでしょう。専門弁護士が解説します。

1. 離婚の種類

1-1. 協議離婚

一般的に一番多いのが協議離婚です。夫婦で離婚について話し合い、その離婚の条件についても夫婦間で決めます。お互いの合意がされれば離婚届を提出します。この協議離婚の場合は離婚後のことを考えて、「公正証書」を作成しておくといいでしょう。公正証書で決めておくといい事項は、慰謝料、財産分与、親権や養育費、離婚後の子どもとの面会や交流について、また離婚にかかる費用や年金分割、離婚後の氏はどちらを名乗るかなどです。婚姻中に購入した家は、一方の名義になっていることが多いですが、共有財産とみなされます。そのため一方が住み、一方は売却評価額の半分を現金で受け取るか、売却して現金化し、それを二分の一に分ける方法になります。離婚の公正証書は裁判所の判決と同様の効果があります。そのため決められた慰謝料や養育費を払わない場合や、金額を守られない場合、財産分与が正しく行われない場合などに強制執行を行うことが出来ます。

公正証書は、法務大臣に任命された公証人と一緒に作成し、公証役場に提出します。印鑑登録証明書と実印が必要ですが、揃わない場合は顔写真の入った身分証明書と認印でも提出可能です。その後公証人手数料を支払うと公正証書を受け取ることが出来ます。公証人手数料は、記載する離婚契約内容に応じて変わります。

1-2. 調停離婚

夫婦での協議がうまくいかず、離婚に合意できない場合や、一方が話し合いに応じない場合などに調停で離婚をすすめます。調停委員が夫婦の間に入り、離婚や財産分与や養育費の条件について調整を行います。第三者である調停委員が介入することや、裁判実務について冷静にコメントを委員がすることがあるので、話が進みやすい場合があります。

調停をするには家庭裁判所に調停の申立を行います。申立には申立書と事情説明書、子どもに関する説明書や連絡先の届出書、照会回答書などが必要になります。費用は印紙代と相手に書類を送るための郵便代金がかかります。調停期日が決定し調停が開始されます。調停は原則本人が出頭します。しかし話し合いは夫婦の一方と、調停委員で行われ、もう一人は別室で待機します。相手の前では本音を言えない場合などを配慮して別々に行われます。特にDVなどが原因の場合は同席になる調停は行われません。

調停が1回で成立しない場合は2回、3回と成立するまで続けられます。調停で合意されると、その内容が調停調書に記載されて調停離婚が成立します。離婚成立後は、申立人が10日以内に離婚調停調書の謄本と、離婚届を市町村役場に提出します。調停離婚をした場合の離婚届には証人が要りません。また相手の署名捺印も必要ありません。また申立人が期間内に届け出が出来ない場合は、相手方が離婚届を提出する事が出来ます。調停調書も裁判所の判決と同じ効力があり、法的拘束力があるので、相手が慰謝料や養育費、財産分与などの支払いを怠った場合には強制執行が可能です。また、調停離婚が成立しない場合は離婚を諦めるか、離婚審判や離婚訴訟になります。

1-3. 審判離婚

調停離婚が不成立になった場合に、家庭裁判所が離婚を妥当と判断し離婚審判をする事が出来る制度です。この審判離婚の制度は一方から異議が出ると覆され、そのまま裁判に移行する場合が多いので利用されることは少ないです。審判離婚が成立する場合には離婚に合意は出来ているが詳細が決まっていない場合や、病気などで裁判所に出廷できない、また一方が外国人で帰国しなければならず日程が合わない場合、早々の決着を双方が望んでいる場合や親権争いで調停が成立しなかった場合などに家庭裁判所に決定を委ねられる場合があります。親権を巡る争いでは、嫌がらせで親権を譲らないという場合もあります。

その場合は、審判離婚を利用するという方法もあります。代わる審判と言う制度です。審判離婚で下された判決は、裁判所の判決と同じ効果があります。ただ、2週間以内に異議申立をすると無効になり審判の効果はなくなります。

審判離婚後成立後は申立人が10日以内に、審判所の謄本と審判確定証明書と離婚届をもって市町村役場に提出します。期限の10日を過ぎると相手方でも離婚届を提出できるようになります。

1-4. 裁判離婚

調停離婚が成立しなかった場合、訴訟提訴する事で裁判になります。裁判離婚には民法で定められている離婚理由が必要で、時間もかかり費用もかかります。専門の知識がないままで挑むと離婚で損をすることになります。弁護士に相談してリスクの少ない離婚裁判が出来る事が望ましいでしょう。

2. 離婚後でも出来る事

詳細を決めないまま離婚してしまった場合、離婚後に請求出来る場合があります。話し合いもせず離婚した後で、さまざまな情報から知識を得ることはあります。そんな時、自分の離婚を振り返ってみて損をしていたなんてことはないでしょうか。まだ遅くない、あらためて請求出来るかも知れない事項がないか確認してみましょう。

 

2-1. 慰謝料

離婚成立から3年以内であれば慰謝料請求が出来る場合があります。不倫や暴力で離婚し、その行為による精神的な苦痛に対する慰謝料や、離婚したこと自体で生じる精神的苦痛に対する慰謝料です。例えば、離婚後に相手の不貞行為を知ったとします。その場合、不貞行為があったことを知ったときから3年以内に慰謝料を請求することが可能です。この場合も離婚訴訟などと同じで、不貞行為があったことを立証しなければなりません。

2-2. 財産分与

離婚成立から2年以内(2026年の改正法の施行後は5年)であれば、離婚後に隠し財産が発覚したり、離婚したい一心で財産も持たずに離婚した場合でも、請求できる可能性があります。

2-3. 年金分割

原則、離婚翌日から2年以内に請求する必要があります。

2-4. 過去の婚姻費用

離婚後の財産分与に含めて請求することで可能になります。そのため2年を経過すると請求は難しくなります。

2-5. 養育費

養育費は将来の養育費に関しては請求することが出来ます。また養育費の金額も変更出来る場合があります。基本的に養育費は子どもの権利です。これは支払う側が自己破産しても免責されることはありません。受け取る子どものために親権者がしっかり請求をしてやり、支払う側も子どもの成長のためにしっかり支払いましょう。

2-6. 親権・監護権

子どもの利益のため、親権者や監護権者を変更することが出来ます。例えば親権者が病気になって入院した、子どもが暴力を受けている場合など、子どもにとって利益にならない場合は変更が認められます。また監護権を持たない者は子どもを手元に留めておくことは出来ませんから、それを理解しておかないと法的に子どもの引き渡しを求められ、離ればなれになる可能性もあります。子どもの引き渡しを請求するには、自分に監護権を指定する手続きをするか、親権者を自分に変更する手続きをしなければなりません。

2-7. 面会交流

未成年の子どもであれば、期限の制約なく変更可能です。また子どもの利益のために必要であれば、面会交流の方法や取りやめをする事が認められています。

離婚では感情的になってしまって、有利に考えたり、冷静に考えることがむずかしいでしょう。話し合いでうまく協議離婚できる場合でも、後々のことを考えて最低限の基礎知識は学んでおくといいでしょう。

また、子どもがいる場合は、親権や養育費などより複雑になってきます。2026年からは離婚しても父母が親権を維持することが可能になるので、選択肢も増えます。専門の弁護士に相談するなどして、子どもの将来に不安を残さないようにしておくとよいでしょう。

記事監修者 弁護士 松野 絵里子
記事監修者 弁護士 松野 絵里子

記事監修者: 弁護士 松野 絵里子

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