子供の虐待に関するニュースが増えてきています。子の奪い合いでも、子供を夫婦の紛争に巻き込んでしまって子の利益が害されています。そこには、どのような背景があるのでしょうか?
Contents
1. 虚偽DVの実態
1-1 虚偽DVとは
離婚をする夫婦が増えていると言われていますが、その原因ももちろん様々です。円満に離婚できれば良いのですが、夫婦間の仲が悪くなり、自分の立場が有利になるようにするために、わざと自分がDVの被害に遭ったとか、子が虐待されているといった偽りを利用する事例が増えています。
実際にはDVの被害が無いのに喧嘩を大げさに説明したり、子を親が叩いた一回をもって子の虐待と通報してしまったりというようなケースです。DVは親同士の問題ですが、わざと通報しておいて後で慰謝料を請求してみて、家から出て子を連れ去るための「理由」とするために、するのです。
もちろん、DVの問題が実際にあって、夫から妻が暴力などを受けているケースもたくさんあり、離婚で少しでも良い条件を勝ち取るために、わざとDVに遭ったと弁護士に伝えるケースばかりではありません。でも、実際にはDVとはいえないレベルの喧嘩を大げさに言って、虚偽の申告をする人もいます。
1-2 どのように虚偽の申告をするのか
どうしても離婚後の条件を有利に進めたいという思いから、自分自身で身体にわざと傷を作って病院に行き、配偶者から暴力を受けたと医者に伝えて、診断書を取得するやり方もあります。
嘘をついて診断書を作成してもらい、それを利用することは許されないのですが、そういうことはあります。離婚したい、相手を貶めたいという気持ちがある場合、なにかで相当に恨みを抱えている場合には、そういった診断書を利用しようとします。
自分の身体に傷をつけるのが難しい場合、精神的虐待を訴えるケースもあります。これも、自分が精神的に追い込まれているということで適用障害の診断書をもらって出すようなケースもあります。診断書を出すかどうかは精神科の医師の判断になりますが、ネットにも様々な情報があるので、他人の真似をして自作自演を行い、精神的なDVを受けたことを正当化しようとする人がいるのも、事実です。
1-3 診断書以外で虚偽の申告をする手口
DV等支援措置というDV被害者の住所を加害者から秘匿する行政の制度がありますが、これを利用して、自分が住んでいるところがわかる住民票を配偶者が取れないようにブロックする制度を悪用する人もいます。
こうすると自分と同居の子も所在を秘匿できるので、配偶者が子に会いに来ることができなくなり、離婚をしやすくなるという考えからこういう悪用をする場合があります。あるいは、離婚したら関係を切りたいので子どもを相手に会わせたくないという確固となる考えを持っている人もいるので、そういう人は住所を秘匿したいという気持ちが強いようです。もちろん、本当にDV被害者であってこの制度を利用して守られる人もたくさんいますので悪用ばかりされているのではありません。
この申請は、市町村の窓口や暴力相談支援センター、警察署などで相談してから、市区町村においてします。申請が認められると、住民票の開示を拒否することができますし、国民健康保険にも特別に加入することができるなどのメリットがあります。また、子どもに関して保育園とか学校の転校もしやすくなるというメリットもあります。
2. 実子の誘拐
2-1 虚偽DVと関連がある子の連れ去り(実子誘拐)
日本では、これまで離婚後は単独親権制度を採用してきました。2026年の春から離婚後の共同親権は可能になりますが、文化的に離婚したら相手との縁を切りたいという考えを持つ人がいます。
海外先進国では、離婚しても父母が子を養育する方がベストであるという考えから、離婚をする際に、父母が養育分担を決めることが多いようです。また、別居している親が子と会う頻度が多く、毎週のように会っていることもよくあります。交互監護と言って毎週、父母が担当を交代する場合もあります。また、実子を誘拐することは、犯罪となっている国が多いのです。
しかし、日本ではそういった父母の共同養育は珍しく、離婚すると親のどちらか片方だけが親権者となって子を育てることが標準です。離婚をするような父母が離婚してから子育てに必要な協力はできないという考えが背景にあるのでしょう。離婚をする際に親権の合意がスムーズにいってそのあとの養育の分担も合意できる父母なら問題ありませんが、そうでないことが予想される場合、片親のほうで、虚偽であってもDVを申告して、親権判断で自分が有利になりたいという気持ちが生まれる土壌があります。また、子を連れ去っても誘拐罪として処罰されていないので、気軽にそういったことをしてしまう、弁護士がそれをむしろ薦めることもあるというような日本の実情が背景にあります。
2-2 制度の問題
離婚をする際に虚偽DVを申告することで、その人は被害者と見なされて、DV等支援措置が適用されえます。そうなると、相手は加害者とされてしまって、配偶者と子供の住民票の写しや戸籍などの交付を制限されてしまいます。
何も悪くない、子の親である配偶者が子に会うこともできず、手紙を出すこともできなくなって、どこの学校に行っているのかもわからず、放置すると自分の子供が元気なのかどうかもわからないまま関係が断絶されてしまうので、この制度には、残された親に酷であるという、問題があることは、明らかです。
2-3 断絶にならないように
しかし、状態を放置すると、実子が誘拐されて、裁判所からの命令も何もないまま、親子関係が断絶されるという結果になりえます。もちろん子を連れて行った配偶者から、離婚の請求があるなど、何らかの連絡があることが通常ですが、そういう場合も金銭的な要求があるだけで、子どもには会えないまま弁護士との交渉をしなければならないことも往々にしてあります。「離婚するまで、子には会せません」というというようなことすら、弁護士から言われることもあります。そのようなことは実際に起きないと信じられないかもしれませんが、日本では実際に起きています。
3. 親として子供に会いたい!という場合
3-1 面会交流
基本的には離婚をして親権がなくても、別居していても、親には定期的に子供と会うことができる面会交流権があります。これが「親の権利」なのか、「子の権利」なのかといったことは日本では明確ではないのですが、家庭裁判所には面会交流調停という制度があり、別居する親が子に会うための合意をするための制度があります。もっとも、同居親の反対があると最終的に手紙を渡すだけしか認められないという、驚くべき結果となることもあります。
3-2 子どもの意見
面会交流の事件では、他の親と一緒に生活をしている子供の意見が尊重されることが多く、家庭裁判所の調査官が子に面接をして聞き取りをすることが通常あります。子どもが別居親に会うのを嫌がっていたり、すでに再婚をして、新しく向かい入れた親を慕っているから会わなくてよいなどというと面会交流ができないこともあります。
実親に会いたくないという子の状況そのものが子どもが親を知るという児童の権利条約で認められた権利からすると、子どものために最善の養育環境でないのではないか・・・という疑問が生じます。しかし、現在の家裁の実務で子が面接をした際に、別居親には会いたくないというとそれが理由が明確ではなくても、重視されてしまうのです。
時間がたっていると、子どもは同居親が辛い感情を持っているなどを理解して、別居親に会いたくないと言い出す可能性が、高まってしまいます。同居親が交流をすることをよく思っていない場合、子はそれを理解して気を使ってしまうことも往々にあります。
あるいは「親の喧嘩」に巻き込まれてしまうのが怖いとか、もうどうでもいいからほっておいてほしいという子供の気持ちがでてきていることもあります。あくまでも子どもが楽しめるような交流を実施しなければならないのですが、子どもの心を傷つけてしまうと実施が難しいことがあるのが現実です。
3-3 早い段階に弁護士に相談することの意義
親子関係が断絶されると、早い段階での解決を試みることが、よい結果に結びつきやすいものです。
ですので、専門的弁護士に相談することをおすすめします。経験が多い弁護士であれば、その事案にあった対応をするために、動いてくれます。もっとも、現実には、面会交流が困難となっている事案、同居親が拒絶している事案では、すぐにあきらめてしまう弁護士もいるでしょう。
まずは、これまで親としてあなたが子とどういう関係であったのか、それを立証できる資料を準備しましょう。また、同居親と対立せず解決する方法がないか模索してみましょう。面会交流ができないと、ずっと子供と会えなくなってしまい、後で親子関係を構築するのは困難となります。それを防ぐために、交渉でも、法的手続でも、適切な方法で問題の打開をするようにしましょう。
3-4 葛藤を避けるには
同居親に、子供を絶対に会わせたくないという強い意思や思いがあると、それが邪魔をして、家庭裁判所では思うように話がまとまりません。その場合は、家事審判で裁判所から交流を命じてもらう方法があります。弁護士が仲介することで、そういった決定をもらう前に、一定の交流がはじめられることも多いですし、代理人間の協議でそういうことができることが期待できますので、経験値の高い弁護士に依頼することが解決の第一歩となるでしょう。
当事務所では「親子の断絶」といった問題に長期的に積極的に関与しており、モラハラが原因で離婚したい場合でも子供との断絶を回避する方法を模索し実現してきました。具体的な弁護士への委任をお考えの方は無料相談を申し込んでください。
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