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1. 国際離婚ではまず、管轄が重要
まず、国際離婚では日本の裁判所が使えるのか…という問題があります。夫婦が、日本に住んでいるのであればこの点は問題がありませんが、相手が海外に住んでいる場合、国際裁判管轄がないということがあります。
2. 離婚慰謝料の準拠法は?
次に、離婚に伴う慰謝料の準拠法がどうなるのかという問題があります。
これは、離婚で適用される法と同じになります。
離婚についての準拠法は、通則法27条が決めていて、当事者の一方が日本に常居所地を有する日本人の場合は、日本法が準拠法となると定められています。お二人が日本に住んでいて一方が日本人なら、準拠法は日本法となります。3 離婚時の慰謝料とは?
離婚に関連してもらえる慰謝料には何種類か、あります。
離婚することになったということへの慰謝料を離婚慰謝料と言います。それ以外に、個別の行為について慰謝料を求める場合もあります。典型的なのは、浮気をされたとき浮気をした夫とか妻と、その浮気相手に求める不法行為に基づく慰謝料請求です。
3. 離婚慰謝料は、どうやって請求するのか?
離婚慰謝料は、多くの場合、配偶者へ請求をしますので、離婚交渉や調停において弁護士を介して求めることがもっとも多く、離婚が訴訟にまで進まないのであれば、この方法が最も簡単であり、迅速です。しかし、これは、離婚を決意して、離婚調停を行うような場合です。
この場合、離婚について条件がまとまらないと離婚慰謝料も離婚訴訟の中で求めるのが通常です。この離婚訴訟も、弁護士がついている事案では早期の和解ができることもよくあります。
4. 国際離婚で、離婚しないで慰謝料をもらう場合
離婚はしたくないが、不法行為に基づく損害賠償請求をしたいということはよくあります。浮気を許せないが、子どもがいるので離婚はしたくない・・・というような場合です。離婚をしないので、離婚をすることそれ自体に基づく精神的苦痛に対しての慰謝料請求、つまり離婚慰謝料は求められませんので、金額的には少額になりやすい傾向があります。離婚をしない場合。夫婦関係はやり直すのが前提なので、夫や妻に不貞の慰謝料請求をすることは考えにくいですが、不貞をしたから「有責配偶者である」ということを理由に相手からの離婚請求を認めない、ということで不貞の慰謝料を浮気相手と配偶者に求めていく場合はあります。
また、浮気相手だけに慰謝料請求をしていくこともできます。このように離婚はしない場合には、そういった浮気相手などの第三者へ慰謝料請求をするには、弁護士の交渉で行いそれがうまくいかない場合に、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟という訴訟を起こすというステップが標準的です。
このとき、浮気相手とあなたの夫(妻)は、二人で不法行為を実行したので共同不法行為をしたということになりふたりともを相手にすることもできます。
5. 国際離婚の場合の問題
不貞行為が、日本ではなくて海外で起きてきるような場合とか、準拠法が日本法ではない場合、そもそも浮気が不法行為とならない場合がありえます。
また、浮気相手が日本に住んでいないので、海外送達をする必要があり、裁判そのものを起こすのに時間がかかるとか翻訳が必要であることもあります。
不法行為を実行した場所が、日本ではない場合に日本に裁判管轄があるのか・・・という論点もありえるので、多角的な検討が必要になります。
6. 離婚慰謝料の相場
離婚慰謝料については、裁判で判決をもらう場合には相場は、100万円~300万円くらいが多いでしょう。
その場合、結婚生活の長さとか、不法行為の態様といったものが影響しますので、結婚生活が短いと低額になりやすいです。
離婚慰謝料ではない不法行為による慰謝料の場合、その時の状況で金額は上下するでしょう。不貞であれば、その長さとか態様、婚姻破綻の原因となったのかが問題です。また、破綻の原因がそれだけであったのかも検討されます。
7. 不貞による慰謝料が認められるためには・・・
慰謝料を認めてもらうには、不法行為があったことの立証が必要です。相手方の暴力や浮気などと言う不法行為を相手が認めない場合、証拠が存在しないなら、慰謝料が認められないことが通常です。弁護士に証拠を見せて、あなたの主張が裁判所で認められかを具体的に相談するのがよいでしょう。ご自身のケースで慰謝料が認められるのかどうかは、証拠にかかっています。不貞(浮気)の証拠としてよく使われるのは、
- 探偵の報告書
- SNSのやり取りのスクリーンショット
- 夫婦間で不貞を認めて、謝っているところの会話録音
浮気が不法行為となるには、配偶者と異性との間に性交渉があった場合になりますので、単に食事に行ったり、メールでやり取りをするだけでは十分ではありません。
また、よく反論としてされるのは、不貞(浮気)があったときにはすでに、婚姻関係は破綻していて、平穏な婚姻生活と言う保護に値する権利がないということから、慰謝料は発生しないという点です。もっとも、夫婦関係が破綻していたかどうかは相手が立証することであり、通常は、夫婦が完全に別居していないなら破綻の認定にはなりにくいです。さらに、不貞相手がよく主張することとして、結婚していることを知らなかったという主張があります。実際に、そういう嘘をついて浮気をする人が多く、あるいは離婚調停中であるというというような嘘をつく人もいます。そういうことを信じ切っていたことが立証できると、相手には「過失がない」ということになって、慰謝料は認められません。