借地借家法は、賃貸に関する法のルールです。その内容は複雑で、判例がつくっている領域もありますので、難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、借地借家法の基礎知識から、借地権・借家権の違い、更新や譲渡、地代・家賃のトラブル、最新の判例、そして改正の動向まで、分かりやすく弁護士松野絵里子(東京弁護士会)が解説します。
これを読めば、借地人・借家人として知っておくべき権利と義務が明確になり、安心してビジネスや賃貸人の生活を送るための知識が身につきます。また、今トラブルにあっている人にも有益であると思います。
Contents
1. 借地借家法とは
借地借家法は、土地や建物を借りる借家人と貸す家主間のルールです。法律ですから国会で成立されたものです。賃貸関係を公正な関係にするため制定された法律であるともいえます。
1.1 借地借家法の目的と概要
借地借家法の主な目的は、借地借家人(借主)の居住の安定を図ることと、借地借家関係の円滑な運用を確保することと言われています。特徴としては、弱者になりやすい「借主」を保護しつつ、家主の正当な権利も守ることで、双方にとってバランスの取れた関係を築けるようにすることを目指しています。具体的には、借地権や借家権の設定、期間、更新、終了、地代・家賃の増減請求、建物の修繕といった当事者の様々な事項について規定しています。民法にも賃貸に関する条文がありますが、民法の特別法としての位置づけとなります。つまり、借地借家に関する事項については、民法よりも借地借家法の規定が優先的に適用されるのです。
1.2 借地借家法の適用範囲
借地借家法は、土地や建物の賃貸借契約全てに適用されるわけではありません。適用される場合は一定の条件を満たす場合です。なお、平成4年8月1日に借地借家法施行されており、これにより、借地法、借家法、建物保護法は廃止されています。
1.2.1 借地権と借家権の違い
借地権とは、土地を借りて建物をそこに建てて所有する権利とか土地を利用する権利のことです。土地の所有権は地主のまま借地人は地主に地代を支払って土地を利用し、契約上建物を建てることができる内容であるときに建物を建てることができます。一方、借家権とは、建物を借りてそれを使ったり居住する権利のことです。借家人は家主に家賃を支払うことで、建物を利用することができます。建物の利用方法は契約で制限ができます。借地権は土地を借りる権利、借家権は建物を借りる権利という大きな違いがあることをあたまにいれてくださいね。
借地権 | 借家権 | |
対象 | 土地 | 建物 |
権利の内容 | 土地の使用権、建物の所有権 | 建物の使用権 |
支払 | 地代 | 家賃 |
1.2.2 借地借家法が適用されないケース
借地借家法は、全ての賃貸借契約に適用されるわけではありません。例えば、事業用で借りている土地や建物、ホテルや旅館などの宿泊施設、社宅や寮などは、借地借家法の適用外となる場合があります。また、契約期間が非常に短い一時使用目的の賃貸借や、公的な機関が管理する公営住宅なども、適用外となることがあります。
2. 借地権に関する法律
借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のことです。借地権には、普通借地権と定期借地権の2種類があります。それぞれの特徴や権利関係についてご説明します。
2.1 普通借地権と定期借地権
普通借地権と定期借地権は、期間の定めがあるかないかという点で異なります。普通借地権は更新が可能であるのでいわば無期限で土地を借りることができる権利である一方、定期借地権はあらかじめ定められた期間で土地を借りる権利です。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身に合った借地権を選択することが重要です。
普通借地権 | 定期借地権 | |
期間 | 無期限(更新可能) | 定められた期間(更新不可) |
更新 | 借地人の申し出により更新可能(正当事由による拒絶あり) | 更新不可(再契約は可能) |
地代 | 契約によるが、増減請求可能 | 契約による |
メリット | 長期の安定した土地利用が可能 | 契約期間が明確で、更新がないため将来設計が立てやすい |
デメリット | 地主との関係が複雑になる場合がある | 期間満了後は更地にして返還する必要がある |
2.1.1 普通借地権の更新と建物の買取請求
普通借地権は、契約期間が満了しても借地人が更新を希望すれば、地主は正当事由がない限り更新を拒絶できないので、この点で地主にとっては弱い権利です。正当事由とは、土地の利用目的の変更など、借地人を継続させることが困難な事情をいうとされており最終的には裁判所が判断します。例えば、地主が自ら土地を利用する必要がある場合は正当事由になることがあり、借地人が地代を滞納している場合など信頼関係が破壊された場合、正当事由は認められることが多くなります。また、借地非訟事件手続法に基づき、借地人は自分がもう住まないというときには、地主に建物の買取請求をすることができます。
2.1.2 定期借地権の種類と期間
定期借地権には、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権、一般定期借地権の3種類があります。事業用定期借地権は事業用建物の建築を目的としたもので、期間は10年以上50年以下と定められています。建物譲渡特約付借地権は、契約期間満了時に建物を地主に譲渡することを条件としたもので、期間は30年以上50年以下です。一般定期借地権は、住宅の建築などを目的としたもので、期間は5年以上と定められています。
2.2 借地権の譲渡と相続
借地権は、地主の承諾を得れば譲渡することができます。ただし、借地契約において、譲渡に関する特約があり制限が設けられていることが多いですので、注意しましょう。また、借地権は相続の対象となり、相続が発生した場合には相続人に借地権が承継されます。相続によって借地人が変更となる場合、地主への通知が必要です。
2.3 地代に関するトラブルと解決策
地代に関する紛争は、借地借家紛争の中でも多いものです。地代の増減請求や滞納といったものです。
2.3.1 地代の増減請求
地代の増減請求は、地主から、土地の固定資産税の増減や家賃や地価の変動などを理由として行うことができます。しかし、そういった正当な理由なく地代を増減することはできません。話し合いで増減ができないときには、地主は裁判所を利用して裁判官に判断をしてもらう方法があります。
2.3.2 地代の滞納と解除
借地人が地代を滞納した場合、地主は借地契約を解除することができます。ただし、滞納額や滞納期間によっては裁判所が地主の契約を解除を認めないことがあります。もしあなたが、地代を滞納している場合、速やかに未払分を支払うなどして地主と話し合い、解決策を見つけることが重要です。未払いが長いと建物収去土地明け渡しという命令がだされてしまうことがあります。弁護士に相談することも検討しましょう。
3. 借家権に関する法律
借家権は、建物を借りて住む人の権利を守るための重要な法律です。建物に安心して暮らすため、貸した方は借手にしっかり契約を守ってもらい法を守ってもらうため、双方が借家権について正しく理解しておくことが大切です。次には、普通借家権と定期借家権の違い、更新や譲渡・転貸、家賃に関するトラブルなど、借家権に関する法律のポイントを詳しく説明していきます。
3.1 普通借家権と定期借家権
借家権には、普通借家権と定期借家権の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った契約形態を選択することが重要です。
3.1.1 普通借家権の更新と正当事由
普通借家権は、契約期間が満了しても、借主が更新を希望し、貸主側に正当事由がない限り、更新が認められます。正当事由とは、借主が家賃を滞納している、建物を著しく破損しているなど、契約を継続することが困難な事情がある場合を指します。
正当事由の例 | |
家賃滞納 | 借主が正当な理由なく家賃を滞納して信頼関係を破壊した場合 |
建物の破損 | 借主の故意または過失によって建物を著しく破損して信頼関係を破壊した場合 |
貸主の自己使用 | 貸主が自ら居住するために建物を必要としている場合 |
建物の老朽化による建て替え | 老朽化した建物を建て替える必要がある場合 |
3.1.2 定期借家権の種類と期間
定期借家権は、契約期間が満了すると更新されることなく契約が終了する借家権です。契約期間は自由に設定できますが、公正証書で契約する必要があります。定期借家権には、一般定期借家契約と事業用定期借家契約の2種類があります。
定期借家権の種類 | 説明 |
一般定期借家契約 | 居住用として借りる場合の契約 |
事業用定期借家契約 | 事業用として借りる場合の契約 |
3.2 借家権の譲渡と転貸
借家権の譲渡とは、借家権そのものを他人に移転することを指します。転貸とは、借主が第三者に建物を貸すことを指します。いずれも、貸主の承諾が必要です。無断で譲渡や転貸を行うと、契約解除となる可能性があります。
3.3 家賃に関するトラブルと解決策
家賃に関するトラブルは、借地借家トラブルの中でも特に多いものです。トラブルを未然に防ぎ、適切に解決するために、家賃に関する法律を理解しましょう。
3.3.1 家賃の増減請求
一般的家賃の上昇や物価の変化などにより、家賃の増減を請求できる場合があります。一方的に家賃を増減することはできませんから双方の合意が必要ですが、交渉で合意が得られない場合は、調停や裁判で解決を図ることになります。家賃増減請求をする場合には、近隣の類似物件の家賃相場を立証しつつ、消費者物価指数などの立証が必要ですので、裁判所での判断をしてもらう場合には弁護士に相談しましょう。
3.3.2 家賃の滞納と明け渡し
家賃を長く滞納すると、貸主から契約を解除され、明け渡しを求められるのが通常です。滞納が数か月続く場合、裁判によって明け渡しが認められて、強制執行となる場合が通常です。明渡しを求められた場合、刑事事件になって逮捕されることはありませんが、強制執行を妨害することは犯罪です。
4. 借地借家法に関するよくあるトラブル事例
借地借家法は、借地人や借家人を保護するための法律ですが、その解釈や適用をめぐって様々なトラブルが発生します。ここでは、よくあるトラブル事例を借地と借家のそれぞれについて解説します。
4.1 更新拒絶をめぐるトラブル
借地借家法では、契約期間満了時に更新を拒絶できる場合を制限しています。正当な事由なく更新を拒絶することはできません。この「正当事由」をめぐってトラブルが発生することが多くあります。
4.1.1 借地における更新拒絶のトラブル
借地の場合、地主は借地契約の更新を拒絶するために、土地の有効利用などの正当事由を示す必要があります。更新拒絶の正当事由として認められるかどうかは、個々のケースによって異なります。典型的なのは老朽化した建物の建て替えや、地主自身の住宅建設の必要がある時です。単に地代を値上げしたいという理由だけでは、正当事由として認められないでしょう。
正当事由として認められる可能性 のある場合 | 正当事由として認められない可能性 が高い場合 |
老朽化した建物の建て替え | 単なる地代の値上げ |
地主自身の住宅建設 | 借地人との個人的なトラブル(信頼関係が破壊されるまでになっていない場合) |
土地の再開発事業 | 借地人すべてに公平に対応していない場合 |
4.1.2 借家における更新拒絶のトラブル
借家の場合も、家主は借家契約の更新を拒絶するために正当事由を示す必要があります。借家の場合の正当事由としては、家主自身や親族の居住、建物の老朽化による取り壊し、賃貸経営からの撤退などが考えられます。また、借家人が家賃を滞納している場合や、近隣住民とのトラブルを起こしている場合なども、正当事由として認められる可能性があります。ただし、これらの場合でも、正当事由の有無は裁判所によって判断されますから、家主からの主張が必ずしも認められるとは限りません。
4.2 賃料・地代をめぐるトラブル
上記で説明したように、借地借家法では、賃料や地代の増減請求は、経済事情の変動など、正当な事由がある場合にのみ認められます。例えば、近隣の類似物件の賃料や地代が大幅に変動した場合や、建物の修繕などにより価値が向上した場合には、増額請求が認められる可能性があります。逆に、経済状況が悪化している場合や、建物の老朽化が進んでいる場合には、減額請求が認められる可能性があります。
4.2.1 賃料・地代の増額請求
賃料や地代の増額請求をする場合、必ず書面で行い、その根拠を明確に示しましょう。口頭での説明や合意は、後々でトラブルになりえます。また、増額を請求したいのであれば丁寧に近隣の類似物件の賃料や地代を調査して客観的な証拠を提示して誠実に説明することが重要です。弁護士からの丁寧な説明文書を渡すことが合意を実現するのに有益でしょう。
4.2.2 賃料・地代の滞納
借家人が賃料を滞納した場合、家主は催促しても支払われない場合は、契約を解除し、明け渡しを求めることができます。ただし、滞納があっても額が少額ですぐに未払が払われたような場合には、契約を解除することは認められておりません。
裁判所は、滞納の期間や金額、借家人の経済状況などを考慮して、契約解除の可否を判断します。
4.3 原状回復をめぐるトラブル
賃貸物件の退去時に、原状回復をめぐってトラブルが発生することがよくあります。借家人は、通常の使用による損耗を除いて、借りたときの状態に戻す義務があります。しかし、経年劣化による損耗は借家人の負担ではありません。例えば、壁紙の変色や畳の日焼けなどは、経年劣化とみなされるため、借家人が修繕費用を負担する必要はありません。一方、故意過失による破損や汚れは、借家人の負担となります。例えば、壁に穴を開けた場合や、タバコのヤニで壁が変色した場合などは、借家人が修繕費用を負担する必要があります。
原状回復の範囲や費用負担については、国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になります。
5. 借地借家法に関する最新判例
借地借家法は、社会情勢の変化に合わせて解釈や判例が変遷していくため、最新判例を把握することは非常に重要です。ここでは、借地権と借家権それぞれについて、近年の重要な判例をいくつかご紹介します。
5.1 借地権に関する最新判例の動向と紹介
5.1.1 地代増額や減額に関する判例
地代の増額・減額請求をめぐる判例は、常に一定程度ありますが、近年の地価変動を反映し、増額請求が増加傾向にあります。また、大規模の建物賃貸では地代の金額も大きいので裁判所に持ちこまれることも多くなります。
最高裁 平成15年6月12日第一小法廷
これは、大手スーパーを誘致して昭和62年7月に期間35年間の土地賃貸借契約を締結していた事案です。この際、大手スーパーが入居する昭和63年7月以降の地代を月額633万余円と定めて、当初地代額を3年後に15%増額し、その後も3年毎に10%ずつ増額するという地代自動改定特約が合意されていました。この当時は東京都23区内の土地の価格が急激な上昇を続けていたバブル期です。借地の地代は、特約に基づいて3年後の平成3年には15%、平成6年にはさらに10%増額されたものの、平成9年7月1日には土地の市場での価格は契約時の半額以下になっていたので、借地人は、地代をさらに増額するのはおかしいと考えて従前の地代額の支払いを続け平成9年12月には従前の地代を20%減額するよう請求したのです。
最高裁は、地代等自動改定特約において、地代等の改定基準を定めるに当たって基礎とされていた事情が失われることにより、同特約によって地代等の額を定めることが借地借家法11条1項の規定の趣旨に照らして不相当となった場合には、同特約の適用を争う当事者は同特約に拘束されず、同項に基づく地代等増減請求権の行使を妨げられないと判断しています。地価の動向が下落に転じ、当初の半額以下になった平成9年7月時点では、この特約に拘束されないということです。
これは、借地借家法11条1項との関係から地代等自動改定特約の効力を論じた初めての重要な最高裁判決であり、地代が不相当となった後、特約に基づいて増額された地代を支払った場合に、借地人が地主に対して不当利得として返還を求めることができるかという点が課題です。
返還は簡単ではないので、不当に高い地代の場合には、早く事情が変更していると主張して交渉をして、借り手として不当に高い地代を払い続けないようにする企業努力が、必要でしょう。
東京地裁 令和6年4月9日
土地の地代が不相当であるとして、地代等増額を求めた事案です。原告は令和元年10月1日(以下「第1時点」という。)以降の賃料が月額536万円である、令和4年4月1日(以下「第2時点」という。)以降の賃料が月額558万円であることの確認を求めていました。企業間の紛争でした。
月額168万9460円の賃料は昭和60年3月7日に設定されたものでした。裁判所の鑑定では、それぞれの時期において、地代は月額378万円および月額405万円が妥当と算出されていました。裁判所の判断では、令和5年5月8日付け不動産鑑定評価書(鑑定の結果)は、第1時点の相当賃料額を月額378万円と算定し、差額配分法、利回り法、スライド法の3手法を適用して求めた試算賃料を調整して決定されていること、裁判所鑑定は、裁判所が指定した中立の立場の鑑定人が宣誓の上、行ったものであるから、裁判所鑑定に特段不合理な点がない限り、これを重視して判断すべきであるとしまして、第1時点における相当賃料額は、裁判所鑑定による月額378万円とするとしました。しかし、第2時点の賃料については、地代等増額請求は、土地の地代等が、土地に対する租税その他の公課の増加、土地の価格の上昇その他の経済事情の変動、又は近傍類似の土地の借賃に比較して不相当となったときに行うことができる(借地借家法11条1項)ものとであるが、裁判所鑑定は本件土地の第1時点の価格を40億円、第2時点の価格を39億4000万円としており、割合にして約1.5%下落している(鑑定の結果)こと、第1時点と第2時点の間において、本件土地の固定資産評価額並びに固定資産税及び都市計画税の税額は上昇したものの本件土地の近隣にある本件土地と類似性の高い標準地の公示価格は下落し、これに伴い裁判所鑑定における本件土地の更地価格も下落したものであって、経済情勢を示す指標についても、上昇したものもあれば下落したものもあったので、「本件土地については、租税は増加したが、土地の価格が上昇したとはいえないのであって、経済情勢が大きく変動したともいえない」としました。そこで、第1時点の賃料である月額378万円が、第2時点において不相当であるということはできないとして378万円が相当としたものです。
これは、丁寧に2時点での賃料を判断しており参考になります。令和に入ってからの東京の土地価格上昇と経済情勢により地代をあげることができることを示した判例であると思います。
5.1.2 建物の買取請求に関する判例
借地人が建物を買取請求できる要件についても、近年の老朽化した建物に関連して、判例が蓄積されているようです。また、借地人が建物の買取請求をする際に、土地の利用状況や借地契約の内容を総合的に考慮する必要があるとされており、買取請求権の行使が必ずしも認められるわけではないのです。
東京地裁 平成13年11月26日
建物が老朽化していた事案で権利濫用によって買取が認められなかった事案です。裁判所は、建物は老朽化の傾向にあり、取壊しによって社会経済的損失が著しく大きなものになるわけではないこと、貸主が本件建物を買い取ったとしても公衆浴場として利用することは難しく、早晩自己の費用で収去せざるを得ない状況にあるから、建物の取壊しを回避するという社会経済的要請を実現できないこと、借主は、貸主のこのような事情を知った上で、前の訴訟が確定して時間を置かないで建物買取請求権を行使していること、借主が本件建物に投下した費用について借主は貸主から1億5,435万円の支払を受けており、借主の損失は実質的に填補されているということを認定しました。そこで、この事件では、借主が建物買取請求権を行使することは、借地借家法13条1項の建物買取請求権が認められた制度趣旨に照らし、権利濫用に当たるとしました。十分に補填がされたという過去の経緯を重く見たものです。
東京地裁 平成28年2月25日
この事案は、老朽化して市場価格が認められない建物についてのものです。
裁判所は、建物買取請求権が行使された場合の買取価格は、建物が現存するままの状態における価格であると判断しました。そして、建物そのものの価値に加えて建物の存在する場所的利益を加算して決定すべきであるとしています。この建物は、朽廃したとまでは認められないものの、老朽化が相当程度進み耐用年数を超えるに至っていて、建物自体の市場価格は0円であるが、これに加算すべき場所的利益が認められるから、これに基づき算定した買取価格において買取請求が認められると判断しました。場所的な価値があるということで800万円の請求を認めています。
東京地裁 令和2年12月23日
競売により取得した者が原告となり、賃借権を承継取得している被告に、建物買取請求権を行使して、建物の売却代金を求めた事案です。原告は1391万の代金を求めたのですが、建物の時価が争点となりました。そこで、裁判所鑑定がなされたのですが、担当の裁判所が選任した鑑定士は、建物の価格については、不動産鑑定評価基準に従い積算価格を標準として決め、配分法に基づく比準価格については要因比較が適切に行い得るような取引事例の収集が困難であり、建物残余法による収益価格については建付け原価が生じており複合不動産の生み出す純収益から土地に帰属する純収益を適切に配分することができないことから,いずれも採用していませんでした。再調達原価について、最終的な積算価格を386万円とし、場所的利益については更地価格を取引事例比較法により標準画地の比準価格であると査定して、この土地との個別格差を考慮し土地の比準価格(更地価格)を2731万円と査定しました。場所的利益については建付減価修正を10%とし価値割合を10%として246万円と査定していました。よって、場所的利益を含む本件建物の価格は632万円と鑑定したものです。裁判所はこれを受けて、632万円の支払いを命じています。
このように最終的には、裁判所は裁判所における不動産鑑定を重く見ますので、問題が解決できない場合、提訴をして鑑定を経て支払額を決める方法が不動産にまつわる解決が迅速にできるといえるでしょう。
5.2 借家権に関する最新判例
5.2.1 正当事由に関する判例
普通借家契約の更新拒絶における正当事由の判断は、常に長く争点となっています。正当事由があるかは、いろいろな具体的事情を検討して裁判所が決めます。借地借家法第28条において、「建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件」が明確にされていますので、家主はこの要件がなければ更新の拒絶はできません。「正当の事由」に該当するかどうかの判断はケースバイケースですが、この判断には法律にも書かれた以下の5つの点が満たされているかが裁判所において判断されます。いわゆる立退料がそこでは双方の利益をバランスさせるために重要な機能となっています。
正当事由が認められる場合のポイント
- 物件を使用する必要性
- 賃貸借の経緯
- 物件の利用状況
- 物件の現状
- 財産上の給付(立ち退き料)
まず、大家側が使用する必要性が高いのかどうか、入居者が使用する必要性が高いのか(他の賃貸住宅への転居が難しいのか)という判断がされます。よって、大家は自分が利用する必要性を立証する必要があります。
これまでの、賃貸借の経緯では、契約・変更の経緯とか、契約がなされてから借主が信頼関係を破壊するようなことをしていないかというようなこと、家賃の未払いはなかったかという事情が検討されます。信頼を破壊するようなことがあれば正当事由は認められやすいでしょう。
物件の利用状況というのは、入居者が契約に違反したやり方で物件を利用していて信頼を破壊しているようなことがないかという点です。借り手の契約違反があると大家側の立ち退きの「正当の事由」が認められる傾向があります。また、物件を利用する頻度が少ないなら立ち退きは認められやすくなります。
4つめの物件の現状は、とても重要な要素です。たとえば、建物が老朽化が進んでいて、取り壊しの緊急性が高いならば「正当の事由」となるでしょう。補修をすれば使えるような場合、緊急性がないので「正当の事由」が認められにくくなります。
最後の財産上の給付(立ち退き料)がなにより重要となります。借地借家法の条文にも記載されている「財産上の給付」というのは、出て行ってくれるならいくら払いますという「立ち退き料」のことです。立ち退き料は、大家の提示する「正当の事由」を補完して立ち退きをしてもらいやすくなるのです。「正当の事由」が強くない場合でも、立ち退き料が高いと裁判所が正当の事由を認める可能性があります。
裁判所は、そういった要素をひとつひとつ考慮して判決を出していますが和解、調停での解決が多いので公表されている事案は本当に氷山の一角となります。
近年では高齢の親と同じ敷地に住みたいという要請が高くなっており、再開発で土地が高く売れるのに借家人がいるので困っているというような事案も多々あります。老朽化した建物が危険なので壊したいというご要望もあります。借家人も転居先がみつかり転居費用が補填されて、よりより住宅の確保ができるのであれば、円満に退去に応じることが多いので、弁護士に相談して退去の交渉をすることは有用です。当事務所では、大家さんの立ち退きの交渉を、円満解決を目的として行っていますので、お困りの方は無料相談を申し込んでください。
5.2.2 家賃滞納と明け渡しに関する判例
家賃滞納の場合には、比較的裁判所の簡単に明け渡し請求を認めます。家賃滞納が一定期間継続した場合、賃貸人は正当事由なく契約を解除できるとしています。ただし、賃貸借契約は信頼関係に基づいて継続的な関係を前提としているので、1回の家賃滞納で貸主に契約解除は認められませんので、法律で明確に定められているわけではありませんが、判例では、3カ月程度の家賃滞納で貸主に契約解除事由が生じると判断しています。よって、一般的には借主が3カ月家賃滞納をすれば、貸主は借主を退去させ明渡しを求められるものと考えられます。
5.2.3 原状回復義務に関する判例
原状回復をめぐるトラブルは後を絶ちません。これは、賃貸人と賃借人の双方が法人の場合などは原状回復に関する取決めが明確に定められていることが多いものの、民間賃貸住宅の契約では不明確であるという背景があるようです。訴訟事件(少額訴訟事件を含む。)及び調停事件で建物退去時における原状回復に関する紛争が多く、以下をすることで紛争は防ぐことができそうです。
- 賃貸借契約締結時に通常損耗について具体的に明記する。
- 賃貸借契約締結時に、通常損耗は賃借人の負担である旨を特約として定めて説明をよく賃借人にする
- 賃貸人が賃借人に代わって原状回復工事を行って費用を賃借人に請求することがあるが、工事内容で結果をグレードアップするようなことをしない
- 原状回復についての国土交通省(原状回復をめぐるトラブルとガイドライン)や東京都のガイドライン(賃貸住宅トラブル防止ガイドライン)をよく理解して従う
- 賃貸借契約締結時の建物の状況を写真などで明らかにする
東京地裁 平成15年1月25日
この事件は、原状回復条項が特約として定められており「家具等の設置及び通年経過」による汚れ,変色及びくぼみ等の回復に要する費用についても賃借人の負担とする旨が明確に定められていました。
この原状回復義務に関する特約は、通常の原状回復義務に加えて、汚れ、変色、くぼみ等の生じた部分に限って、経年劣化や通常の使用に伴う毀損、汚損についても原状回復義務を課するにとどまっており、原状回復の対象が限定されていることを考慮して、この条項が公序良俗に反する無効なものであるとはいえないと判断しました。建設省住宅局民間住宅課監修の「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン」については、行政の立場から適正な賃貸借契約の内容についての指針を示すとともに原状回復をめぐる紛争を防止するという観点から公表されているが法的な拘束力を有するものではないとしています。よって、ガイドラインと異なる特約も有効としたのです。結果として、玄関口硬質クッションフロア部分及び台所フローリング部分のくぼみを回復するための各張り替え費用(8,400円及び1万5,750円)・洋室の扉の改修・塗装費用(8,400円)の計3万2,550円については特約により負担するべきとされています。
大阪高裁 平成6年12月13日
「賃借人は,本件室内の建具,壁,天井,床面その他本件貸室及びその関連する総てに対し,故意又は過失により損傷を与えているときは,別途にその損料を賃貸人に支払うものとする。」との特約があった事案ですが、この損傷には「賃借人による賃借物の通常の使用によって生ずる程度の損耗、汚損は含まれないものと解するのが相当である」として、原判決を破棄して原審に差し戻しています。
賃借したときに、特に壁を塗り替えたとか、内装を良くしたとかということはなく、前賃借人が出て行ったときのそのままの状況で入居したものであった事案でしたので、損傷箇所が賃借人の入居する以前からあった可能性も否定できない、貸室使用中に過失によって生ぜしめたものというためには前賃借人退去時の本件貸室について賃借人が損傷箇所の有無を点検したかどうか、その後、賃借するまでの間に損傷箇所を補修したり内装を全面的にやりなおしたりしたことがあるかどうか等を確かめる必要があるとも言っています。つまり、そもそも借りたときからある程度損傷があったのではないかということが疑問となり、それがなかったという立証が必要であるとしたのです。さらに、「損傷箇所の状況,その内容及び程度からすれば,むしろ,通常の使用によって生ずる損耗,汚損の程度とも考えられ,したがって,右損傷箇所が,通常の使用によって生ずる損耗,汚損の程度を超え,本件特約にいう損傷にあたるといえるか否かについては,その損傷箇所の内容,性質,程度を具体的に確かめる必要がある。」とも言っているので、貸主としては立証責任は重いものと言えます。貸主は、貸室の床Pタイル、壁面クロス及び天井全体を貼り替える工事費用として60万円を求めていたのですが、「前記損傷箇所の状況,程度,及び,右金額が被上告人自身の見積もりによるものであることからすれば,その補修に,床,壁,天井全体の貼り替えまでを要するかどうか,また,その費用額が適正妥当で,あるかどうかについて,多分に疑問のあるところである。」とも述べています。
このように判例を見ると、上述の通り、契約時の負担の明確性がなによりもトラブル回避につながると思われます。
5.2.4 家賃の増額・減額請求に関する判例
東京地裁 令和6年2月14日
本件はサブリースの事案です。建物について1か月37万3189円、駐車場について1か月2万6400円で賃貸していたが、貸主は、氏令和4年5月26日に賃料増額請求の意思表示をして借地借家法32条に基づき、同月27日以降の賃料が本件建物につき月額42万4800円、本件駐車場につき月額3万6960円であることの確認を求めたものです。借主はサブリース事業者であり、貸主はその勧誘を受けて建物を建てた地主のようです。裁判所は、サブリース契約についての賃料増額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべきであり、同契約において賃料額が決定されるに至った経緯、とりわけ、当該約定賃料額と当時の近傍同種の建物の賃料相場との関係(賃料相場との乖離の有無、程度等)、賃借人の転貸事業における収支予測に関わる事情(賃料の転貸収入に占める割合の推移の見通しについての当事者の認識等)、賃貸人の借入金の返済の予定に関わる事情等をも十分に考慮すべきである(最高裁平成15年10月21日第三小法廷判決・民集57巻9号1213頁参照)としました。ここでは、最高裁の判断を引用しています。この事案では、賃貸借契約の賃料額は、原告らの金融機関に対する毎月の返済額に加え、近隣の賃料相場も踏まえて決定されたものと認められました。また、賃貸借における適正賃料を判断するにあたっては、従前の経緯を踏まえた継続賃料によることが相当であるといえ、賃貸事例比較法のみを用いて新規賃料を算出した本件報告書の試算を採用することは相当でないと判断しました。原告らは、適正継続賃料について裁判所鑑定の申請をしないため、原告らが主張する一括賃貸料は、いずれも適正な賃料額であるとは認めがたいということ、原告らの収支が悪化したり、融資の返済に支障が生じているような事情が見当たらないこと、建物の現行の一括賃貸料が近傍同種の建物の賃料相場に比較して少なくとも大幅に乖離しているとは認められないことにも照らして、賃貸借契約における本件建物の一括賃貸料を増額すべき事情は見当たらないとして増額を許しませんでした。
鑑定を申請しないと適正賃料が判断できないという点が増額を認められなかったポイントであるように思われます。コストはかかりますが増額を求めるなら、鑑定の費用を負担する覚悟は必要であるように思われます。
最高裁 平成17年3月10日
(減額が認められると最高裁が判断した事案)判決
大型スーパーストアを建築して賃貸するという事案で、借主が貸主に対して賃料減額請求した事案です。この事案では、契約書に、将来に渡って安定した賃料収入を得ること等を目的として、3年ごとに賃料を増額するものとし、初回改定時は賃料の7%を増額し、その後の改定時は最低5%以上を増額する旨の特約があったのです。よって、貸主は増額を求めました。
判決は、借地借家法第32条第1項の規定は、強行法規であり、賃料自動改定特約等の特約によってその適用を排除することはできないものであるとし、上記特約があっても借主の賃料減額請求の行使を認めました。ここでは、賃料の相場を著しく離れていたことから減額が認められたのです。
東京地裁 平成29年10月11日
住居用建物の賃貸借契約の例です。テナントは料理店経営者で客として訪れていた建物の所有者が、その経済的余裕のないテナントに配慮して安い賃料で建物を貸していたという経緯がありました。特約により後に増額されることが想定されていたので、賃料月額10万円から月額13万9000円への増額を認めています。裁判所が鑑定を行っており差額分配方式・利回り法及びスライド法という3手法で賃料の試算を行っていますが、そのうえで月額13万9000円が相当な賃料であると判断しました。もとから設定された賃料が通常より安く、それの改定が予定されていたことが大きな要素となって増額されたものといえるでしょう。
東京高裁 平成20年4月30日
これは、商業ビルの1フロアの建物賃貸借契約でしたが、この事案では賃貸借契約締結当時に賃貸人が賃借人の事情を配慮して他の賃借人より低額の賃料としていたことが認定されています。そのあと賃貸人が3年経過してから、賃料の増額を要請していたのですが、裁判所は、賃料月額58万3800円から月額89万2000円という大幅な増額を認めました。これは、経済情勢にあった賃料を賃借人に合わせるのが公平であるという判断であったものと解されます。
6. 借地借家法改正の動向
借地借家法は、社会情勢の変化や時代のニーズに合わせて改正が行われてきました。近年では、特に借家人の保護を強化する方向で改正が進んでいます。過去には、定期借家契約の導入や敷金返還ルールの明確化などが行われ、借家人の権利意識の高まりとともに、更なる改正が期待されています。ここでは、近年の改正内容とその背景、そして今後の改正動向について解説します。
6.1 近年の借地借家法改正のポイント
近年の借地借家法改正は以下のようなものがありました。
改正時期 | 改正内容 | 背景・目的 |
平成29年(2017年) | 敷金返還に関するルールの明確化 | 敷金トラブルの増加を受けて、原状回復義務の範囲や敷金の返還時期などを明確化し、借家人の保護を強化。 |
平成19年(2007年) | 定期借家契約の更新に関する規定の整備 | 定期借家契約の普及に伴い、更新拒絶に関するトラブルが増加したため、更新拒絶の要件などを明確化。 |
6.2 今後の改正動向と注目点
今後の借地借家法改正において注目すべき点は、以下の通りです。
6.2.1 賃貸住宅の管理業務の適正化
賃貸住宅の管理業務の質の向上や透明性を高めるための法整備が検討されています。例えば、管理会社による家賃の不正受領や修繕の不適切な対応などを防ぐための規制強化などが考えられます。
6.2.2 高齢者・障害者への対応
高齢化社会の進展に伴い、高齢者や障害者が安心して暮らせる住環境の整備が求められています。バリアフリー化の推進や、高齢者・障害者向けの賃貸住宅の供給促進のための法整備などが検討されています。
6.2.3 空き家対策との連携
増加する空き家問題への対応として、借地借家法を活用した対策が検討されています。例えば、空き家の賃貸化を促進するための税制優遇措置や、空き家の適切な管理を義務付ける制度などが考えられます。
6.2.4 技術革新への対応
スマートロックやIoT機器の普及など、技術革新が進む中で、借地借家法にも対応が求められています。例えば、スマートロックの設置に関するルール整備や、IoT機器を活用した賃貸管理の法的な位置づけなどが検討課題となっています。
これらの改正動向を注視することで、借地借家に関するトラブルを未然に防ぎ、より良い住環境を実現できる可能性が高まります。今後の動向に注目し、必要に応じて専門家への相談も検討しましょう。
7. 専門家への相談
借地借家法に関するトラブルは、法律の専門知識が必要となる場面が多く、当事者間での解決が難しいケースが多いようです。トラブルを早期に・有利な条件で解決するためにも、専門家への相談は不可欠です。当事務所は家賃増額等の事件について常にご相談をお受けしています。増額は今後の収入の増加に大きく寄与しますので、交渉や裁判所での解決は有益であることが多々あります。
7.1 弁護士への相談
弁護士は、借地借家法に関する紛争解決のプロフェッショナルであり、的確なアドバイスを受けられるだけでなく、代理人として交渉や訴訟手続きを代行してもらうことが可能です。
7.1.1 弁護士に相談するメリット
弁護士は、訴訟代理権を持ち、裁判所での手続きを行うことができます。複雑な事案や交渉が難航している場合すみやかに弁護士に依頼することで、よりよい内容の解決を期待できます。また、示談交渉や調停といった裁判外紛争解決手続(ADR)においても、代理人として活動するので自分ではなにもしなくてよいということから不安を軽減できるでしょう。
7.1.2 司法書士ができること
司法書士は、簡易裁判所における訴訟代理や、裁判外での和解交渉などを代理で行うことができます。比較的少額の紛争や、手続きが簡易な事案の場合、司法書士に依頼することで、費用を抑えながら専門的なサポートを受けることができます。また、不動産登記の専門家でもあるため、借地権や借家権の設定・移転・抹消に関する手続きもスムーズに行えます。当事務所には司法書士もおります。
それぞれの専門性を理解し、ご自身の状況に合った専門家を選ぶことが重要です。
弁護士 | 司法書士 | |
訴訟代理 | 可能(全裁判所) | 可能(簡易裁判所のみ、140万円以下の訴訟に限る) |
交渉・調停 | 可能 | 可能 |
不動産登記 | 一部可能 | 可能 |
8. まとめ
借地借家法は、私たちの生活に密接に関わる法律です。賃貸住宅に住んでいる人、土地を借りて事業を営んでいる人など、多くの人がこの法律の保護下にあります。本記事では、借地借家法の基礎知識から、借地権・借家権の種類、更新や譲渡、地代・家賃に関するトラブル、最新の判例や改正の動向まで、幅広く解説しました。
借地権と借家権はそれぞれ異なる性質を持ち、更新や譲渡、地代・家賃の増減請求などについても異なるルールが適用されます。特に、普通借地権と普通借家権は更新に関して更新拒絶には正当事由が必要となるので法の仕組みをよく理解しておくことが重要です。また、地代や家賃の滞納があれば回収をするか、契約解除に向けて早く動くことが重要です。
借地借家法は、時代の変化に合わせて改正が行われる分野なので、常に最新の情報を確認し、自身を守るために必要な知識を身につけておきましょう。不動産の借地・借家の紛争、地代や家賃の増額については無料相談を行っていますので、相談予約を遠慮なくお申し付けください。