離婚届を出す際に弁護士は必要か?

離婚届は夫婦の本籍地か所在地の役所に提出すればよく、提出自体は簡単です。ただし、協議離婚の場合は夫婦が離婚に合意する必要があり、離婚調停や裁判離婚の場合は追加の書類が求められる上に提出期限もありますので、注意したいところです。

1. 離婚届は弁護士なしでも出せる

離婚届を出す場所は夫婦の本籍地、もしくは所在地の役所です。所在地は住民票を置いてある市区町村という意味ではなく、他の役所に離婚届を提出することも不可能ではありません。しかし、夫婦の本籍地か、住民票を置いている市区町村の役所に離婚届を提出するのが普通です。配偶者からのDVの被害を防ぐため住民票を置いてある場所と住んでいる場所が違うなど、やむを得ない理由がある場合は居住地の役所でも対応してもらえます。

役所の窓口まで直接持っていくか、郵送することで離婚届を提出できますが、夫婦の本籍地以外の場所に離婚届を提出する場合、戸籍全部事項証明書の添付が必須なので注意が必要です。戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は基本的には同じもので、旧来の紙の形で発行されていたものが戸籍謄本、戸籍を管理しているコンピュータから出力したものが戸籍全部事項証明書です。2020年9月、東京都御蔵島村が戸籍を電子化したことにより、日本の全ての自治体で戸籍全部事項証明書を発行できるようになりましたので、夫婦の本籍地以外に離婚届を出す場合は戸籍全部事項証明書を用意するようにしてください。

もっとも、戸籍全部事項証明書は本籍地の役所以外では発行できないので、夫婦の本籍地の役所に離婚届を提出すると、手間を最小限に抑えられます。

場合によっては戸籍全部事項証明書の発行が必要ですが、離婚届を出すこと自体は非常に簡単で、無理に弁護士の力を借りる必要はありません。

ただし、離婚届には記載欄が多く、抜けや間違いがあると離婚届が受理されないので、見落としをしないよう意識したいところです。離婚届を見れば何を記載するかは大体分かるものの、分かりにくいポイントもいくつかあります。父母の氏名は実の父母の名前を書けばよいのですが、父母が亡くなっている場合も記載は必須です。また、実の父母が離婚していて、再婚により名字が変わっている場合は最新の名字で記載する必要があります。離婚後の父母が音信不通で、再婚しているか不明な場合は無理に調べる必要はなく、知っている限りの最新の情報で大丈夫です。

夫婦の職業は基本的には記載しなくてもよいものの、国勢調査の年に限っては記載する必要があります。夫婦の話し合いにより離婚を決める協議離婚の場合、2人の証人が必要ですが、証人は夫婦以外で20歳以上であれば誰でもOKです。実の両親でも、成人している実の子供でも、友人でもOKで、日本人でないといけないという規定もありません。また、夫婦がそれぞれ証人を1人ずつ用意する必要もなく、夫婦のどちらかが2人の証人を用意しても大丈夫です。

そして、未成年の子供がいる場合は、夫婦のどちらが親権を持つのかや(令和8年からは)共同親権とするのかを記載しないといけません。財産分与、慰謝料などは離婚の際につきまとう問題ですが、これらは離婚届を提出してから交渉することもできます。一方、未成年の子供の親権は離婚の際に絶対に決めなければいけませんので、どちらが親権を持つか、共同親権とするのかの話し合いは必須です。さらに、子どものための親子交流についても決めましょう。

正しい離婚届を作ることは非常に大事ですが、当然ながら離婚届を出すためには夫婦が離婚に合意する必要があり、合意なしで夫婦のどちらかが勝手に離婚届を作成し提出すると、有印私文書偽造罪や偽造私文書行使罪、公正証書原本不実記載罪が成立します。

離婚届というものは、本物かどうかを役所側が確認することはなく、形式に問題がなければ受理されるのです。そのため、夫婦のどちらかが離婚に同意していないにも関わらず、離婚届が提出されてしまい、離婚無効の調停や裁判に発展するケースもあります。

偽造以外の理由で離婚届が勝手に提出されることもあり、激しい喧嘩をした、お酒を飲んで気が大きくなっていたなどの理由で、よく考えないで突発的に離婚届にサインしてしまって無効を争うというケースは珍しくはありません。

もちろん、どんな理由があろうと軽々しく書類にサインをしてはいけないのですが、本気で離婚したいとは思っていないのに勢いでサインをした結果、その離婚届が役所に提出されてしまい、後々に揉めることは、あります。離婚に同意していたのに、数日後には意見が変わっているということはよくあるので、離婚届をむやみに相手に渡すのは危険です。

もっとも、有効とされるには、作成時に「しっかりとした夫婦の同意」が必要です。

話し合いによる協議離婚の場合、弁護士なしでも離婚の話を進められるものの、冷静に条件を決めたいのであれば、弁護士に依頼をしてきめていくのがよいでしょう。

なお、協議離婚の場合、離婚届の提出期限は特にないので、任意のタイミングで提出すればよいのですが、合意に至ったのであれば長々と放置しないのが基本です。たとえ合意に至っていたとしても、離婚届の提出までに時間がかかれば、やっぱり離婚したくないと相手が前言を翻すこともあり得るので、離婚するという結論が出た場合は早めに離婚届を提出するのが無難です。

2. 離婚調停や裁判離婚での離婚届の出し方

話し合いで溝が埋まらない場合や、対話を拒否されて話し合いができない場合、財産の整理をして条件を決める必要がある時、親権・監護権・親子交流でどうしても話がまとまらないとき、調停で離婚について話しあっていくこととなります。

家庭裁判所が選考した調停委員が夫婦の間に入り、裁判所で話し合いを進めることを離婚調停と呼びますが、離婚調停で離婚が決まった場合、離婚届の扱いは協議離婚と異なるので注意が必要です。

離婚調停で夫婦が離婚に合意した場合、調停離婚をするという文面が調停調書に記載されるのが一般的で、この文面が離婚の証明のようなものです。調停が成立した日が、離婚日に当たるものの、離婚届を役所に提出しなくてよいわけではありません。協議離婚では離婚届の提出期限は定められていませんが、離婚調停で離婚が成立した場合、離婚の成立から10日以内に離婚届を役所に出す必要があります。10日以内に離婚届を出さなかった場合、過料という罰金が課せられる恐れがあるので注意が必要です。

そして、離婚調停で離婚が成立した場合、離婚届以外に調停証書謄本を提出しなければいけません。この調停証書謄本は、離婚成立と同時に受け取れるわけではないので、10日間の猶予があっても提出がギリギリになるのが普通です。そういう実務があるので、遅れてしまって10日間以内に離婚届を提出できなかったとしても、過料を課せられるケースはほとんどないようです。明確な理由もないのに期限を大幅にオーバーした場合はともかく、少し遅れた程度では大きな問題は起こらないのが普通ですが、それでもできる限り早く離婚届を提出するよう心がけてください。

離婚調停でも離婚の話がまとまらず、決着を望むのであれば、裁判で離婚の可否を争うこととなります。裁判離婚では離婚を認めない判決が下されることもありますが、離婚を認める判決が出て、それが確定した場合と、和解で決着した場合は離婚が成立し、10日以内に離婚届を役所に提出しないといけません。提出期限があるのは離婚調停と同様ですが、判決と裁判上の和解では提出する書類が異なりますし、離婚成立のタイミングにも注意が必要です。

判決に納得がいかない場合、控訴することができるので、離婚を認める判決が出たとしても2週間以内に控訴されれば離婚は確定しません。離婚が確定するのは判決が出たタイミングではなく、2週間以内に控訴されず、判決が確定したタイミングで、離婚届は判決が確定してから10日以内に、判決書謄本と判決確定証明書と共に役所に提出する必要があります。

裁判になっても和解ができた場合は、和解成立が離婚成立のタイミングなので、和解成立後10日以内に離婚届を和解調書謄本と共に役所に提出しないといけません。離婚届の提出自体は難しくはありませんが、離婚調停や裁判離婚を有利に進めるためには法律的な知識が欠かせないので、離婚に強い弁護士の力を借りるのがよいでしょう。

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