生前贈与

ベストな孫への生前贈与の方法は?適切に非課税で贈与しよう!

かわいい孫に自分の財産を分けてあげたいという場合、生前贈与という方法はメリットが大きいです。やり方によって非課税にできるからです。その具体的な制度の利用法と注意点、専門家に頼るべき理由を解説していきます。

  

  

子どもだけでなく孫に自分の財産をプレゼントしたいと考える方は多くいます。この場合、相続という形で遺すこともできますが、節税効果の高い生前贈与を利用する手段もあります。特に孫への生前贈与は税制上有利になるケースもありますので、そのやり方を知っておくと大変助かります。具体的にどんな手段を取ることができるのかを確認してみましょう。

  

  

1.孫への生前贈与のメリットとは?

おじいちゃんおばあちゃんが、孫に対して生前贈与する大きなメリットは、直接財産をプレゼントできるという点です。通常だと、まずは子どもに相続し、その後孫に渡されるという形になります。2世代後ということになりますので、確実に孫に財産が行くか分かりませんし、相続税がダブルでかかりますので実質的な資産価値も下がってしまいます。しかし、直接渡せればより効率よく資産を移せますし、なによりも孫の喜ぶ顔を見られるのです。

  

  

もう一つの大きなメリットは、贈与財産の加算が適用されないという点です。これは、相続発生時より3年前までに贈与をした場合、相続財産と見なされてしまい、相続税がかかるという制度です。法定相続人の場合はこの制度が適用されるのですが、孫は対象外となりますので相続税が加算されることはないのです。結果として節税効果を生み出すことになります。

  

  

2.孫への生前贈与の方法

孫へ生前贈与する方法はいくつあり、それぞれにやり方と効果が違います。節税効果のある方法の中から、より一般的なものを押さえておきましょう。

  

  

2-1.教育資金目的での贈与

孫が教育資金口座というものを銀行などに作り、その口座について税務署に届出をします。基本的にこの口座は教育資金専用となりますので、他の生活上でかかるお金の出し入れはしてはいけません。そして、この口座に贈与する資金を振り込みます。孫はこの口座から教育資金として利用する際に引き出することができます。そして、教育機関からその金額に相当する領収書をもらい、銀行などに提出します。こうして、確実にこの口座の資金が教育目的で利用されたことを確かめるのです。

  

  

教育資金目的の贈与の場合、1人当たり1,500万円までが非課税となります。かなりの節税となりますので生前贈与の際には、選択肢の上位に入る方法となります。ただし、教育資金として使ったという証明をしないといけませんし、当然他の目的では使えないという制限があります。

  

  

2-2.暦年贈与の仕組みを使う

非課税で生前贈与をする基本的な方法として、暦年贈与があります。これは孫に限らず、1月1日から12月31日までの1年間で、110万円までの贈与であれば贈与税が課せられないという基礎控除の制度を利用したものです。そのため、毎年この制度を使って少しずつ贈与をしていけば、税金がかかりませんので、長期間続けていくことでトータルで見ると大きな額を渡せます。

  

  

暦年贈与は使用目的は問いませんので、自由度が高いのがメリットです。一方で、後述しますが贈与の仕方を注意しないと定期贈与と見なされて贈与税が発生してしまうことがあります。

  

  

2-3.結婚や子育て資金としての贈与

結婚もしくは出産・子育てを目的として孫に贈与をする場合、最大で1,000万円が非課税となります。しかも、分散する必要はなく一括での贈与が可能です。ただし、結婚資金という目的だけであれば300万円となりますので、用途によって多少の金額の違いがあることは注意しましょう。そのやり方としては、孫が結婚・子育て資金という名目で銀行口座を作ります。そして、この口座について税務署への申告を行います。口座に振り込んでもらい、実際に資金を消費する場合は、その都度領収書を銀行に提出して目的に合った利用をしているかをチェックしてもらう必要があります。

  

  

このやり方だと、一括で贈与できることがメリットとなります。また、結婚や子育て資金というのは、実際には範囲の広い用途と言えますので自由度の広い使い方ができます。

  

  

2-4.住宅購入資金としての贈与

土地もしくは住宅を購入するための資金として、孫へ生前贈与する場合も非課税となります。条件として孫の年間所得が2,000万円以下であることや、贈与をした次の年までに購入した家に住むといった点があります。住宅の種類によって非課税枠は異なりますが、1,500万円程度の枠を確保できることもありますので効果の高い方法と言えるでしょう。この制度を利用するに当たっては、贈与をした次の年の確定申告の時期に合わせて税務署に申告する必要があります。

  

   

一括で贈与できることや、使うたびに銀行に領収書を提出するといった手間がかからないのがこの方法のメリットです。

  

  

3.孫への生前贈与をする際の注意点

孫への生前贈与は非課税にできる可能性が高いので積極的に制度を利用したいものです。しかし、状況によって課税対象と見なされたり、思わぬトラブルに発展したりすることもあるので注意が必要です。

  

  

3-1.定期贈与となる可能性

暦年贈与のつもりで毎年贈与をしたら、「定期贈与」だと言われてしまうことがあります。つまり、暦年贈与の制度を悪用した税金逃れだと指摘されるわけです。特に、毎年110万円を長年贈与し続けるといった場合は、定期贈与と見なされる可能性が高くなります。こうなると通常の贈与税がかかります。

  

  

これを防ぐためには、毎年の贈与額を同じにしないことや、贈与する日付をずらすといった方法が必要です。また、時には110万円以上をあえて贈与して、その年だけでも贈与税を支払うという扱いをすることも大事です。

  

  

3-2.遺留分を考えた上で実施

孫への生前贈与の金額があまりに多いと、相続となった時に親族紛争が起こる可能性があります。配偶者は子どもが、孫への取り分が多過ぎるので、すでに孫に生前贈与した分を取り返したいと思うわけです。法律上、それぞれの相続人に一定の割合で相続財産を分割する遺留分というものが定められていますので、あまりにこの取り分を超えるような額を孫にあげることがないよう注意をすべきです。孫への愛情のつもりで生前贈与したのに、それがきっかけで親族との間で争いが生じてしまっては悲しい結果となります。

  

  

3-3.合意は必須

祖父母が贈与をしたいと言って、勝手に孫にお金をあげることはできません。生前贈与というのは両者の合意があって初めて成立するものだからです。そのため、どのケースでも贈与契約についての文書を作成した方が安全でしょう。さらに、贈与されたお金を孫自身が管理し使える状態にないといけません。口座名義は孫になっているものの、贈与者や子ども(孫の親)が実質的に管理している場合、生前贈与とみなされないのです。といっても、孫に自由に口座を使わせると、教育資金目的の口座なのに生活や遊びのために使われてしまうという危険も生じます。そうなると、課税対象となる恐れが出てきます。このあたりのバランスはしっかりと取って適切に管理させましょう。

  

  

4.専門家に相談しながら賢く贈与をしよう

孫への生前贈与は非課税にできる方法がいくつもあり、その枠も大きいのでメリットのあるやり方です。しかし、配慮が足りないと税務署に課税対象と見なされてしまうこともあります。こうしたことがないように、専門家に相談しながらベストな方法を見つけましょう。愛する孫へ資産を渡すためにより良いやり方を発見できるでしょう。