相続・遺産分割

相続争いで悩んでいる方がまず、知っておくべきこと

Contents

1 増えている相続をめぐる争い。その背景事情はなに?

遺産相続をめぐる紛争は、日本では年々増加しているといわれています。

そう、貴方の悩みは他の多くの人の悩みでもあります。

もっとも、大多数の人は争うほど遺産を残してもらうことができないので、贅沢な悩みでもあります。

さて、紛争が増加しているのはなぜでしょう?

その背景には、おそらく一人一人の権利意識が高まっていることがあると思います。昔なら、長男が家を継ぐからすべてもらえばいいという考えで、実子でも女性は相続を放棄するようなこともありましたし、親を看た子がすべてもらうというのもあったでしょうが、今は相続割合に従った権利がどうであるのかを気にする人が多いようです。その上で、多少の差がついてもよいが、やはり権利としてはどうなのかを先に知ってから何ももらうかは考えたいというわけです。

そういう意味で、「兄がこういう分け方をしたいと言っているのですが、応じてよいものでしょうか?」といった相談が増えています。そういった場合、兄の提案は法定の相続分よりかなり自分が有利になっています。

2 相続争い(遺産分割の争い)の特徴は何でしょうか?

弁護士はいろいろな紛争を扱いますが、相続、遺産分割の事件は、親族間の争いという特殊性があります。離婚も家族の紛争ですが、これは家族であることをやめるプロセスの紛争ですよね。でも相続争いは、争っている前も後もやはり親族なわけです。また、離婚は成人してからの夫婦関係の問題ですが、相続は子どものころからの関係に伴うことも多く、紛争の背景の歴史が長くて、感情ももつれがちです。

また、次の特徴として基本的には相続の権利を有する人が、その財産を形成したのではないということです。形成をしたのは江戸時代の先祖であったり、二世代前の創業者であったり、親であったりしますが、いわば、棚からぼた餅、のような財産であるわけです。もちろん、亡くなった人を看取ったとか介護したという背景はあるけれど、

「介護の対価は、相続財産です!!」

と言い切る人はいないでしょう。本来、自主的におこなった介護というようなことは扶養義務としてとか、気持ちからしているもので、法律の世界では対価性はないとされています。

さらに、法律上の争点も多様であって、家庭裁判所ごとに取扱いに違いがあったり、学説の対立もあり、裁判所の判断がとうなるのか民事訴訟にくらべてはっきりしないという特徴もあります。家事事件の審判は公開されていませんので、実務的な審判例をすべて弁護士が把握できないという問題もあります。

【まとめ】 相続争いの特徴はなにか?
* 財産形成をした人ではない人が財産をもらうための紛争
* 長い歴史が背後にあって感情の問題が大きい
* 法の世界でも、明確に解決できていない論点がかなりある
 

3 感情のもつれに、弁護士は、どう対応してくれるのでしょうか?

相続の争い、遺産分割の紛争を解決するには、親族の過去の人間関係が大きく影響します。過去と言ってもかなり長いもので50年以上などの期間が影響することもあります。そのため、相続争いは、感情面のもつれがおおきく、弁護士が扱う事件でも面倒で困難な事件と考えられています。弁護士の中には当事者の気持ちへの対応が難しくトラブルになることもあることから、嫌う人もいるようです。

当事務所では、感情的なもつれについては弁護士が距離をおいて、法的にできること、できないこと、やってみないとわからないことという点を明らかにして、感情の問題の解決ではなく、財産を分けて遺してもらった財産の有効活用を依頼者ができる日がなるべく早く来ることを目標とします。

あの時はこうだったとかそういう過去は、遺産の分け方に関連しないことがほとんどですので、その問題は遺産をわけるという問題とは切り離してほしいとよくお願いするのは、そのためです。

それと同時に「こういうことを要求しても無理だ。兄は絶対に応じない。家を売ったりは絶対にしない!」というような「無理だ」という気持ちも一度捨てましょう。

これまでの相対の話し合いで無理であったことも、弁護士がついて法律のルールで解決するときは全く別です。

兄弟げんかでは声が大きい人が勝つかもしれませんが、相続・遺産分割では声が大きくても勝てません。

決まったルールがあるので、それに従ったうえで、なるべく相続人が不満を残さない方法で分けるのが法律の世界での「遺産分割」だと考えてください。そして、声が大きい人が勝つのではない、法律のルールにしたがった遺産分割を実現するには、弁護士の助力が必要なことが多いのです。

4 弁護士が関与するべき相続争いは、どんなパターンなのでしょうか?

東京の家庭裁判所(霞が関と立川です。)で解決される相続(遺産分割)事件については、財産が多額なものについてはほとんど弁護士が代理人としてついていると思われます。数千万円以上の相続財産があるような事案では、弁護士が関与して解決している事案ばかりなのではないか、という印象です。

4-1 税理士さんで解決できなくて弁護士にくるパターン

よくあるのは、当初は相続税の申告という点から親族が協議をはじめるのですが、そもそも遺産分割協議書をまとめることができなくて、税理士さんでは解決できず、弁護士に相談し、依頼をするというケースです。

4-2 遺産分割協議書をつくってもらったけれど、署名押印してもらえないというパターン

また、比較的安価に遺産分割協議書を行政書士さんにつくってもらったものの、サインを他の相続人の何人かがしてくれなくて困って相談に来られることもあります。

税理士や行政書士は争いになっている場合、協議をまとめるという仕事をすることができません。そのような資格をもっているのは弁護士のみです。

4-3 長男・長女など資料を見せないで、一方的に要求をしてきて困っているというパターン

当初から紛争が激しい場合としては、亡くなった人(被相続人)と一緒に住んでいた相続人(多いのは長男や長女)が何も教えてくれないで書類にサインだけ求めてくるとか、遺産となった家に住んでいて、居住するのは自分の権利だと主張して協議が全くできないというような事案もよく見られます。

4-4 預金など横領されているというパターン

最近多いのは、横領パターンというか、同居していた親族が何千万円もあったはずの預金を勝手に使ってしまったらしく、口座にお金がなく、どうしてよいかわからないとご相談にこられる場合もあります。

4-5 資産を管理している相続人が何も相談してこなくてどうなっているのかわからないパターン

亡くなった方と同居していたような相続人が、葬儀が終わっても何も言ってこなくて、情報も教えてくれない。どうしてよいかわからないが、どうやって協議を始めてよいのかもわからないというような方も多いです。協議をして、こじれるのが怖いというような方もいます。

4-6 自分で解決しようとしたが、相手に弁護士がついてしまって、不利になりそうで不安というパターン。

自分で解決しようと家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てたが、調停委員の言っていることもよく理解できないし、自分が不利に扱われているような気がする、自分も代理人となる弁護士をつけるべきか・・・・という悩みで、相談に来られる場合もあります。

5 弁護士が、遺産分割や相続問題をどうやって問題を解決してくれるのでしょう?

(弁護士を、相続争い、遺産分割でつかうメリットは何?)

当然、弁護士をつけると費用がかかるのですが、それでも弁護士をつけて解決する事案が増えているのは、どうしてでしょうか?メリットは何なのでしょうか?

もちろん、遺産分割協議書をつくってすぐにサインできる状態なら、弁護士はほぼいらないでしょう。協議書だけ見てもらってあとはサインをもらえばよいだけです。

でも、たいていはそういうことを当事者でできない状況に発展します。

弁護士を使うメリットは、以下のようなものだと思います。

【まとめ】相続(遺産分割)事件で弁護士がいるメリット

① 当事者が委任した弁護士(裁判所では代理人と呼ばれます)を通じて、それぞれの権利や言い分を主張していくことができる
② 自分の主張が、民法上、どのような権利となるのか、そもそも法的に認められるのか、最終的に裁判所の判断をもらうとするとどうなるのか見込みを知ることができる
③ そうして、解決に向けて話し合いが進められ財産が分けられる

5-1 相続弁護士がいるメリット1:キチンと言いたいことが主張できる

まずは、自分の言い分をきちんと相手に示すことができることです。

自分だけでは理論的にそれを組み立てられなかったり、そういうことをどう言ったらよいのかわからないという方がたくさんいます。特に親族相手ではそうですよね。

また、人間関係で長男には言いにくいとか、長女は口が達者でなにも言えない、介護してくれたので遠慮してしまうがそれなりに言いたいことは言っておいて、すっきり解決したいというような方がたくさんいます。弁護士はそういう、言いたいことを言えるようにするために、あなたのそばにいるのです。

5-2 相続弁護士がいるメリット2:見通しの理解

専門的な知識がないと、先が見通せないですから、弁護士から民法上や判例動向から。自分の言い分がどういう正当性があるのか、教えてもらって、先の見通しがもてることは、大きなメリットです。

特別受益のように実務的取り扱い、判例によって影響が大きいところは、きちんと依頼者の話を聞いて証拠を集めてだすのが弁護士の仕事です。

あのひとはお葬式でこんなことを言っていた、お見舞いには自分だけ行っていてこんな交通費がかかった、などという感情面の対立ストーリーをずっと言っている方が多いですが、裁判所のほうではそういった些末なことは関連性がないと考えるものです。ですので、弁護士は依頼者にもそういう説明をして、実際に大事なポイントにフォーカスし、それによって依頼者を守ります。

そして、資料をみて見通しを伝え、リスクを説明していくことになります。

きちんと、そして早く、遺産を分けるという目標に向かって弁護士は一緒に進むプロです。そういうプロがいないと些末なことを気にして全く解決に進まないということが、相続・遺産問題ではとても多いです。

現在、東京や埼玉、千葉の家庭裁判所では、調停委員も相続の争いについて知識がある方が多く、担当裁判官も審判になる前に法的整理をしてくれる裁判官が多いので、弁護士を介在させ、きちんと裁判所の調停で話し合うことによって、相続人のストレスはかなり少なく、かつ、早い解決が可能になるでしょう。

5-3 相続弁護士がいるメリット3:早い解決

何よりのメリットは、行き詰っていた話し合いが終わって解決する。相続財産が現実にもらえるようになるということです。

何といっても、財産が「早く、現実にわけられること」はメリットです。弁護士によっては感情的対立があるから、ゆっくり解決させたほうがよいのだという考えの弁護士もいるのかもしれませんが、あまり昔の話に詳細につきあわないで、各自の法的権利をすみやかに実現させ、せっかく残してくれた遺産を有効に使えるようにするのが、相続事件において良い弁護士なのではないかと、当事務所では考えています。

当事者で3年協議していたがまとまらなかったのに、弁護士に依頼して調停で6カ月で終わったというようなことは、よくあります。

そんな場合、3年前に各自がもらえるものがもらえていたほうが、感情のこじれもなく、誰にとってもよかったはずです。3年前に調停をはじめていればよかった・・・というような感想を持たれる方が多いです。

当時者だけでの協議の場で、言ったことが感情的対立を引き起こしてしまって、かえってあとの紛争を長引かせることもあります。経験のある弁護士がつけば、感情的対立を抑えることも相続事件ではできるのです。

6 遺産分割や相続の解決にはどのくらいか時間がかるのでしょう?

遺産分割事件は解決までに長期間を要するケースが多いといわれます。半年で終わる事件はすくなく、調停での解決を目指す場合には、1年程度かかるものは多いでしょう。

相続の争いがなかなか解決できないのには理由があります。まとめると以下のようになるのではないかと、思います。

【まとめ】相続争いが長引く理由:

① 長男がすべてもらえばよいというような意識は薄れており、各相続人が権利を主張することが増えたから。
②  親族間の争いは、長い歴史が背景にあり、感情的になりやすいから。
③  東京圏など不動産の価値が高い場合には、分割をすることが簡単ではないから
④  弁護士が介在していない段階では、一方が勝手なことを言い続けたり、遺言に従おうとしない相続人がいるから

①は、以前なら長男がすべてもらえばよいという考えが妹や姉にあるというようなことから、争いが起きなかったが、相続割合での権利を主張する人が多くなり、また、親の面倒を看た人とそうでない人の争いも多くなっているようにおもえます。

②は、特に、後妻がいるような場合とか、養子がいるような場合、非嫡出子がいるような場合、どうしても感情的問題が大きくなります。そういう場合は、相続が発生する前から人間関係に何か問題があるような場合ともいえます。

③は、遺産である土地建物に居住していた相続人にその不動産をあげてもよいと思う相続人が減り、相続放棄をしなくなっているため、売るなどして遺産分割をする必要があるけれども、売るとなると今住んでいる人が同意しないので、話が膠着するということが、あります。なかには、建物は長男名義、土地は遺産となっていて、簡単に売れないということもあります。

④は、どういうことかというと、弁護士が入るとだれにどんな権利があるのか、裁判所ではどういう解決がされているのか、ということを整理して伝えるようになりますので、勝手なことを言っているひとも自分の弁護士から諭されて、「こうしたいけど、そうはできないんだなあ・・・」という風に法的な権利を理解します。けれども、弁護士がいないと、例えば相続財産の実家が無償にて欲しい人は、「自分が住んできた家だからもらいたい」「それにお金を払うなんていやだ」「お金を払うにもお金がない」というようなことを言って、法的にもっている権利以上を主張するので、先に進まないわけです。

亡くなった親と最期まで住んでいた人に多少は多くあげてもよいと思っている相続人でも、法定相続分とかけはなれた結論では、なかなか納得できないでしょう。代償としてお金をもらうなど調整しないと、問題は解決できません。

また、口頭で2000万円を払うから家をくれといわれても、それをどうやってきちんとした約束にするのか、弁護士抜きでは、なかなかできません。口頭で約束してしまって後で何も払ってくれなくても、そのときはもう相続登記をしてしまっていて、何もできないということもありえます。

7 弁護士に相談するとき、どうしたらよいのでしょう?

7-1 弁護士を探す方法

弁護士に相談するとき、どうしたらよいかですが、同じように相続で悩んだ人が周りにいるなら、依頼した弁護士を紹介してもらうのも、よいでしょう。

インターネットで相続に力を入れていて相談できそうな事務所を探し、まずは相談にいくのもよいでしょう。相続の相談は無料としている事務所も最近はあります。当事務所もそうです。

でも、法律相談料が無料だからというより、話がしやすくてこれから長い関係を構築できそうな弁護士に頼むのがよいでしょう。報酬も事務所によって異なるので、それについても確認しておきましょう。選び方のポイントを、以下にまとめてみました。

【まとめ】弁護士選びのポイント

* 自分にとって話がしやすいかどうか?
* 依頼した後、打ち合わせに行きやすい場所か(打ち合わせがどうやってできるか?)スカイプ会議や電話会議が可能か?
* 相続事件を通常、取り扱っているか?
* 自分にとって耳の痛いことも言ってくれそうか?
* 相続問題を解決して、もらえるものをもらってくれるのか?

7-2 弁護士には何をどうやって説明するべきでしょうか?

分けるべき人々が分けるべきものをどうわけるかの争いが、相続争い・遺産争いですので、まずは、誰が相続人であるか、遺贈を受けた者であるのかをきちんと説明する必要があります。

弁護士であれば、戸籍をすべてみれば誰が相続人かはわかりますが、相談時にすぐに取り寄せて見ることはできませんので、戸籍を準備するか、家系図を書いて説明するのが望ましいです。

遺言があるのならきちんと見せます。自分はみていないが、公正証書遺言があるはずだと思っているのなら、そのことも説明しましょう。

そして、分けるべきものが何かについてわかる範囲で説明しましょう。

もちろん、亡くなった方と同居していなくて遺産にどういうものがあるかわからない、同居していた者が情報を教えてくれないということも多いでしょうから、わかる範囲でかまいません。

それから、大事なこととして、債務があった方が死亡している場合、速やかに相続放棄をしたほうがよいのではないかということの検討も必要ですので、債務についての情報はなるべく早く得ておきましょう。

また、特別受益の情報も重要です。亡くなった方(被相続人)から生前贈与を受けているか、高額な学費をだしてもらっていないかなどについても、説明しましょう。

7-3  相続財産が何かがわからないときどうしたらよいのでしょうか?

亡くなった方(被相続人と呼ばれます。)が、どのような財産をもっていたのかよくわからないということは、よくありますよね。

亡くなった方のそばに他の相続人がいて、その人が情報を独占してしまって、きちんと教えてくれないというようなこともとても多いです。そういうことがあると、それだけで感情的にもつれてしまって先に進めませんよね。

弁護士を依頼した場合、資料を収集して財産の情報を集めてくれたり、他の相続人と協議をしてくれたり、情報を集めてくれることが多いです。

ですから、相談の際には、わかっているものをリストにするなどして、整理して相談にいきましょう。

また、他の相続人が一緒に住んでいたので、亡くなった方(被相続人)の情報をたくさん知っていることもありますので、他の相続人と協議する中で財産を明らかにすることができそうもなければ、遺産分割調停を申し立て、手続きの中で財産を明らかにするのが、最も早くて効果的でしょう。弁護士がついている事件では、裁判所の指揮もありますから、必要な情報開示は通常、実現できると思われます。

ある程度財産があれば、相手の当事者にも代理人弁護士がつくことが多いので、凍結されている口座や貸金庫などについては、きちんと任意に開示に応じてくれることが通常であり、また、裁判所では調査嘱託という制度が使えますので、銀行に知りたいことを教えてもらうとか、その他の第三者である法人・組織に、必要な情報を教えてもらうことができ、とても有効です。例えば、亡くなった方の過去の取引関係や銀行の口座の取引履歴も入手ができます。

相続財産がわからないときの対応のまとめ

* 弁護士に依頼して資料を集める
* 弁護士に、ありそうな財産について説明する
* 遺産分割調停をなるべく早く申立て、裁判所において必要な情報を得る

8 遺言があるときは、どうしたらよいのでしょうか?

8-1 遺言によって、どんなことが可能となるのでしょうできるのでしょう?

まず、遺言では相続分の指定がされていることがあります。できます。

誰が何をもらうかを、亡くなった方が決めておくのです。

それから、特定遺贈といって、相続人でない人に特別の不動産とか車とか株式を死んだらあげてほしいということが指定できます。

それ以外には、推定相続人廃除・取消しとか、特別受益の持戻しの免除ができます。これはあまり使われていないので、ここでは説明を省きますねしょう。

遺言をつくりたい方で、興味がおありであれば、当事務所にご相談にいらしてください。遺言作成サービスをおこなっています(お見積りいたします)。

8-2 遺言があると、ない場合とは、どう違うのか?

遺言があるのとないのと違いが出るのは、訴訟や審判での法律判断が、これに従ってなされるということです。

協識や調停では、必ずしも遺言に拘束はされません。

これは不思議なことなのですが、遺産分割協議や遺産分割調停ではしかし、遺言があってもそれと別の合意をしてもよいことになっています。

でも、ふつうはせっかく残してくださった遺言なので、それを基礎にしてその上で遺産分割の協議なり調停をしていく、微調整をするというのが、普通です。

遺言ではある資産についてしか、決まっていないようなこともありますので、残りをどうするか遺産分割協議や遺産分割調停で話すことになるのです。する場合、遺言がこうなっているからなるべくそれに近い解決にしようというのが通常です。

たとえば、不動産Aは姉、不動産Bは妹という遺言があった場合に、妹がどうしても不動産をいずれもほしいと考えていたら、どうやって協議は進むでしょうか?」としても、

姉はせっかく親が残してくれたのであるから不動産Aは欲しいと考えてれば言った場合、妹はあきらめるしかないでしょうね。

なぜなら、協議がまとまらなければ、姉は自分で、遺言に基づいて相続登記をできてしまうので、やだやだと言っていても代理人弁護士が姉についていれば、「では調停もや協議はやめます、不動産Aはもらいます、登記もします・・・」と言っていってくるでしょう。

それを止めるのは、遺言が有効ならできません。そうなると、例えば遺言では書かれていなかった投資信託とか株とか現金について、調停で話をして合意をしたほうが、迅速に遺産がもらえるわけなので、妹は譲歩をして協議をすることになるでしょう。

こういうときには、調停で合意ができなければ、残りの財産について審判が下るということになります。

8-3 遺言がないときは、では、どうなるのでしょうか?

これに対して、遣言が存在しない場合、相続が開始すると、相続財産は相続人の共有となってしまいます(民法898条)。

そして、相続人間の分割の協議が調停でも協議でもできない場合(民法907条)、原則として「法定相続分に従って分割する」というのが民法のきまりです(民法900条)。

もっとも、遺言があった場合でも、一部の相続人の遺留分が侵害された場合は、遺留分減殺請求(民法1031条)(相続法の改正後は、これは金銭の請求権となります。)という権利が、その相続人にはあります。この場合、遺言があっても遺産の紛争が遺留分という形で残ることになります。

というわけで、遺言があるかどうかは、相続の問題を解決するとき重要なことになります。

8-4 遺言があるかどうか、わからないとき、どうするのでしょう?

被相続人が遣言をしている場合は、相続開始前に誰かが、それを知っていることが多いです。そこで、まずは、弁護士を介して他の相続人への問い合わせをする、あるいは、公証役場への問い合わせをします。

被相続人が懇意にしていた弁護士がいれば、遺言執行者になっているか問い合わせます。なお、遺言執行者となっている弁護士は、相続人の代理人弁護士にはなれません。弁護士を介して、質問してみましょう。

遺言が見つかったら、公正証書遺言であれば、その謄本の入手をします。

その他の遺言のときは、遺言を入手して裁判所の検認手続をすることになります。

9 弁護士に依頼する場合、依頼者として知っておくべきことは何か?

弁護士に依頼するときには、今後の進み方について理解をしておくべきでしょう。

ですので、具体的には、受任してもらう前に、以下を説明してもらいましょう。

【まとめ】 弁護士にから、委任契約前に教えてもらうべきこと

① 紛争解決のためにとりうる手段
② 事件の結果の大まかな予測
③ 解決までに要すると思われる大まかな期間
④ 解決までに要すると思われる費用や弁護士報酬についての説明

その結果、あなたが弁護士の説明に納得して、弁護士に委任することに意味があると考えたら、依頼しましょう。 複雑な財産関係がある(不動産の共有など)、話し合っても相手が法定相続以上を望んでいて不当だ(自分は譲歩したくない)、話をしてみたが特別受益(亡くなった方から以前にもらったものがあったり、多額の学費を払ってもらっていた人がいるような場合)について、どうしても意見がまとまらなかった、代償を払ってもらいたいがその金額とか支払方法が決まらない、そもそも遺産がどのくらいあるのか他の相続人が情報を教えてくれない・・・など、の場合には、弁護士なしでの解決は、ほぼ無理であろうと考えられます。