養育費

お子さんの養育費について決めたい、専門弁護士に相談したい方へ

養育費は、同居していない親が同居親に対して子供のために払う金銭であり、通常は毎月送金されます。離婚時に決めていない、養育費なんて払わないと明言されているという場合や、これから離婚するがどういう決め方がよいかわからない、どこで決めるのがよいのか選択できないなど、いろいろな疑問がある方が多いでしょう。そこで、実務に詳しい弁護士が情報を提供し、1時間の(オンラインなどでの)無料相談もお受けしています。

よくあるご相談内容例

  • 養育費をどうやって決めたらよいか、わからない
  • 海外にいるが、子の養育費を日本にいる夫に払ってもらいたい
  • 私立中学に行く子のために養育費を増額したい

Advantage | 養育費の悩みにおける東京ジェイ法律事務所の強み

Advantage.01

子どもの養育費についてうまく話し合いができない

お子さんの養育費が決められていない背景事情は、離婚を急いでしまってきちんと協議していなかった、そして別居親とお子さんの関係がうまく樹立できていないことがある方も多いのではないか、と思います。離婚時にきちんとお子さんについての父母の関係をどうするのか、面会交流について決めていないので養育費も決めなかったような場合です。養育費と共に別居親と子の関係解決も一緒に考えます。

Advantage.02

わが子に会えていない。なのに養育費だけ払うのは・・・・

お子さんが私立中学に行くからというので増額請求をされているのですが、実際にお子さんと会っていないし運動会にも行けないので、そういう状態で増額だけ求められるのは納得できない、そういうことはありますよね。そもそも増額が不当な場合もあります。増額が不当かどうかは、専門的弁護士ならわかりますし、懸案であったお子さんとの交流も一挙解決できるかもしれません。お子さんに必要なのはお金だけではないはずです。

依頼者様との5つのお約束
  • Promise.01 あなたの事案をまず理解
  • Promise.02 これまでの経験から説明
  • Promise.03 お子さんのための解決を
  • Promise.04 あなたの心の問題もケア
  • Promise.05 実務をきちんと説明

About | 離婚後に子供のために払われる養育費とは?

1 養育費とは何ですか?いくら、もらえるのですか?

1-1 養育費とは?

養育費とは、離婚する夫婦の間に子どもがいて未成年である場合に、子どもを監護する親(監護親)が、子どもを監護していない親(非監護親)に対して、子どもを育てていくための養育に要する費用を請求することができる、その費用のことです。

離婚をしても、親の子に対する扶養義務は親権とは別に残りますので、親として親権を有していなくても支払い義務を負うことになります。

1-2 養育費の金額

養育費は、子どもが最低限の生活ができるための費用を払う義務ではなく、もっと厳しい責任です。

親には子に対して「生活保持義務」という義務があり、それは、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を、子にも保持させる義務なのです。

つまり、養育費は、一緒に暮らしていないが一緒に暮らしているのと同様の生活水準を保てるように支払うべき金額なのです。

もっとも、一緒に住んでいるのは同居親で、同居親に対する扶養義務はもう離婚したらないので、同居親と子の生活レベルがずれることになる・・・この説明はどうなのか・・・という気もしますが、まあ、このような説明がされています。

2 どうやったら、養育費をはらってもらえるか?

まず、離婚時にあなたがお子さんを育てるという場合に、相手の配偶者に養育費の請求をすることができますので、まずは話し合いによって養育費を決めてみましょう。

2-1 話し合いの場合

そもそも、離婚の方法にはいくつかあり、最も多いのは「協議離婚」です。これは裁判所が関与しませんので、現実には養育費を決めないで離婚だけすることも可能です。しかし、養育費は子供のためのものですので、合理的な金額を必ず決めておきましょう。

話し合いが当事者でスムーズにできそうな方は、決まった額を離婚協議書に記載しましょう。この協議書は、財産分与や慰謝料についても記載して二人の離婚条件を記載する合意書でとても重要なものですので、できるだけ専門の弁護士に作成をしてもらうのがよいでしょう。

2-2 養育費の合意内容

月額10万円とするなどが一般的ですが、たとえば今後の私学学費のことを決めておきたいとか、バレエの習いごとをやっているので発表会費用は70%父が負担することとしたいとか、いろいろな細かいことも合意していくことが有用です。

養育費をいつまで支払ってもらうかも、18歳とするのか、20歳までか、大学卒業までかを合意しましょう。家裁の養育費の実務では親が大卒なら大学卒業まで払えという決定がでることが多いです。

中学や高校などの進学時に一時金を支払ってほしい場合や授業料や、入学料の負担をしてほしい場合には、それらの内容も話し合いによって決めることができます。

合意ができたら、その内容で協議離婚の合意書を弁護士に作成してもらいましょう。(ご自分で作成するのであれば、専門の本などを読んで作るとよいでしょう。)

具体的には、毎月いくらの金額を、どこの振込先に振り込むかなどを書き、追加の私立学費とか習い事の約束も入れ込みます。そうすると、離婚後は、離婚協議書の内容にしたがって支払いをする義務が発生します。もっとも、それで現実に払ってもらえるかは別の話になりますので、要注意です。

協議で養育費を定める場合には、公正証書の形にしておくのがよいでしょう。公正証書は、公務員である「公証人」が作成してくれる文書で、公証役場でつくれます。「強制執行認諾条項」をつけると債務名義というものになります。そうすると、公正証書で直接相手の給料などを差し押さえることができ、養育費を支払ってもらえないとき給料、不動産、債権など財産に対して、強制執行をすることができます。

2-3 離婚調停の際に決める方法

冷静に話せないとか、どういう金額が妥当なのかでもめてしまう場合には、離婚調停で養育費をきめるのがよいでしょう。いずれかが、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることで調停を開始できます。

調停は、申し立てから1カ月くらいで最初の期日があり、双方と(ついている場合には)代理人弁護士が家庭裁判所に出向きます。午前か午後の会に分かれていて2から3時間くらいで1期日です。調停期日を数回重ねて、夫婦の双方が離婚条件について譲歩をしたり、財産分与について資料を整理していったりして、だんだんと合意をしていき、合意ができたら、その内容を「調停調書」という文書にします。そこに、養育費の支払いについても記載するのです。

調停が成立する際には、裁判官がそれを読みあげて確認して、後日、自宅か弁護士宛に家庭裁判所から完成された調停調書の正本が送付されます。それを、戸籍への反映にも使います。

離婚後、調停で決まった金額について相手が養育費の支払いをする義務がうまれますし、調停調書には公正証書と同様、債務名義となるので、養育費の支払がされないとき、調停調書を使って執行をすることができます。

調停では離婚条件を協議するので、親権、慰謝料、財産分与とともに養育費について話していきますので、時間がかかることもあります。が、相手とは直接の話をすることは不要で別室で話を聞いてもらえるのでストレスは少ないですし、そうして合意した内容を家庭裁判所の関与の下で、調停調書にするので安心です。

できれば、当事者双方が専門的な弁護士を付けて、納得できる離婚条件の合意をするのが望ましいです。

当事務所の過去の例では、将来の塾に関する負担とか、受験費用の負担を決めておいて、子どもの成長に合わせてスムーズにお金の支払いがされるようにしておいた例は、後にとても便利でした。

調停調書では弁護士・裁判官が知恵を絞ってなるべく債務名義として後に執行ができるように条項をつくるので、仮に払われなかったときでも執行がスムーズにできる可能性が高いものとなります。

2-4 裁判(離婚訴訟)で決めてもらう場合

離婚調停で、相手との間で養育費やその他の慰謝料などの離婚条件について合意ができなかったときには、調停離婚をすることができませんので、この場合、離婚訴訟を提起することになります。離婚しないと養育費をもらえず、離婚しないでは養育費を決めておけないのです。

離婚訴訟を提起するには、相手の住所地を管轄する家庭裁判所またはご自分の住所地を管轄する家庭裁判所で提起ができます。調停と違って、自分の住所地でも提起ができ便利ですが、相手が遠方に居住しているときには移送されることもあります。

訴訟では、双方が慰謝料の主張をしたり、財産の資料をだしていって何回も期日を重ねてから、本人尋問というのをして、裁判官が最終の判決を出します。養育費のためには、お互いの収入資料をだし、お子さんの特別費用(習い事や医療費)があれば、それを主張していきます。双方の源泉徴収票や給与明細書(賞与明細書)、確定申告書などや、県民税の課税証明書などが資料となります。

裁判所が養育費を決める場合、附帯処分という方法で離婚判決と同時に言い渡しをされるのですが、毎月いくら払えというものになります。

通常、調停ではまとまらず、訴訟になるケースは婚姻費用が高くて妻側が離婚を急ぐ理由がないとか、養育費以外の親権とか慰謝料で双方の乖離が大きく、そういった点で期日が何度も何度も必要であることもあります。2年以上かかる事案もあります。

尋問を経て、判決が出たら、弁護士宛(いない場合にはご自宅宛)に、家庭裁判所から判決正本が送達され、判決を受けとったら控訴するか検討します。

自分が控訴しなくても相手が控訴すれば、判決は確定しません。

判決が確定したら確定証明書をもらって、離婚届けをだし、判決内容にしたがった養育費の支払い内容が債務名義となります。よって、それに従って相手から養育費の支払いを受けることができ、払われないときには執行ができます。

でも、執行手続きは別の手続きになるため、ご自分で行わない場合、弁護士が有料で行います。執行は提出書面が複雑で、一般の方にはなかなか難しいかもしれませんので、ある程度金額がまとまってから弁護士に依頼する、それまでは任意の履行を促すというのが現実的かもしれません。

養育費の執行は将来の分もできますので、勤務先が変わらない場合、先の養育費を確実に給与から支払ってもらうことができるので、とても有効な方法です。

3 養育費が不払いの場合はどうしたらよいのか?

3-1 まずは支払うように求めましょう!

離婚時に養育費の支払い約束をしても、離婚後に不払いになってしまうことがあります。

特に、養育費は支払期間が長いので、途中で支払いがなくなってしまうことが非常に多いです。そのようなとき、請求を諦めてしまうケースもよくありますが、離婚後に不払いになったときにはあきらめないで、任意の支払いを求め、それでもだめなら、強制執行の手続きを考えましょう。

養育費の不払いは日本ではいわば当たり前のようなところがありますが、海外ではとても厳しく取り立てがされている例も多いのです。親に扶養してもらうのは、子どもの権利ですので、監護をしている親としてはこの権利をきちんと他の親の支払いによって実現しなければならないともいえます。

ですから、支払いが遅れたら、まずすぐに、任意の履行をしつこく促してみましょう。そして、払わないなら給与を差し押さえることになるというようなことを説明して、支払うように請求しましょう。

弁護士から内容証明郵便で支払いを求めることで解決する場合もありますので、それも検討しましょう。特に、相手が不動産を保有しているような場合には、不動産執行をすることができるのでそれを弁護士が伝えると全額をまとめて支払ってもらえることもあります。

3-2 強制執行できる場合:調停離婚していたり、裁判離婚していた場合

裁判所の離婚調停で離婚した、離婚訴訟で和解離婚した、判決で離婚したというような場合、調停調書、和解調書や判決書には債務名義といって、強制執行ができるパワーがあるので、それを使って相手の給与、不動産などを差し押さえて強制執行し、払わせることができます。

また、公正証書にしていたときにも、債務名義になっていることが多く、そうであれば強制執行ができます。強制執行認諾条項を入れていた場合が債務名義になっている場合です。これを、強制執行認諾条項付きの公正証書といいます。

公正証書でも確定金額が書いておらず、年収に応じた養育費を誠実に払うなどとなっているようなものは強制執行認諾条項付きではなく、債務名義となりません。

強制執行の手続きには、調書とか判決書などの債務名義の書類と送達証明書、執行文という書類が必要です。

この手続きは、自分でも可能なものの、かなり一般の方には面倒な手続きですので、できたら弁護士に手続を依頼したほうがよいでしょう。

当事務所では、養育費の執行は低額着手金で行っておりますので、お問い合わせください。

3-3 協議離婚で離婚し、公正証書も作成していない場合の養育費

わが国では協議離婚が多く、その場合公正証書まで作成していないことも多いでしょう。

離婚したときには養育費は払ってくれると思っていて簡単な念書で済ますということもあるでしょう。

そうなると、強制的に支払いをさせるには、家庭裁判所に養育費の調停を申し立てる必要があります。家庭裁判所で養育費の金額を話し合って合意するのです。その話し合いではお互いの年収の資料を出し合って、合理的な金額を決めるよう家庭裁判所での後押しがあるのが通常です。

それでも、相手が「面会できないから養育費を払わない」など合意ができない場合には、裁判所が審判という決定をして養育費を支払うように命じることになります。このときは、家庭裁判所の審判官(裁判官)は当事者の収入状況や子どもの年齢などの事情に応じて、算定表という表を用いて合理的な養育費金額を決めるのが通常です。

養育費の調停調書や審判書ができると、それは債務名義となり、強制執行ができる力があるため、これを用いて相手の給料や預貯金などの財産を差し押さえていけるということになります。

4 養育費を決めないで離婚してしまっていた場合

離婚時に養育費を決めていなかった、当時は払ってもらえそうもなかったが今は年収が高く払ってもらえそうだというようなこともあるでしょう。

本来は養育費と面会交流については、離婚時に協議することと民法の明文があるので決めるべきなのですが、日本では協議離婚はそれを決めていなくてもできてしまいますので、決めていない方もいるでしょうね。

4-1 まずは、話し合って決めよう

相手と連絡が取れるのであれば、話し合ってみて任意に納得できる金額を支払ってもらえるなら、そうしてみましょう。

しかし、通常は相手の年収資料も出してもらえないので、納得できる金額にするのが難しそうな気はします。

弁護士に依頼して年収資料をだすように促して、その資料をみて養育費の金額を決める方法もあります。そして、それができたら、公正証書(強制執行認諾条項付き)をつくって、払ってもらえないときに強制執行できるようにしておくのがよいでしょう。

4-2 養育費を決めていなかったので、新たに調停で決める方法

相手が資料提出をきちんとしない、話し合いを誠実にしないことが予想できることも多いでしょう。また、公証役場に来てくれるという保証がないと公正証書にもできません。

そのようなときには、家庭裁判所に養育費の調停申し立てをして、養育費の金額と支払い方法について話し合って決める方法がよいでしょう。

家庭裁判所の調停であれば相手が無視することもあまりなく、仮に調停期日に出頭しなくても裁判所の書記官が資料をだすように指導をしてくれます。出してくれない場合、裁判所の命令で、勤務先に資料を出してもらうこともできます。そうやってたいていの場合、合理的金額で合意ができ、調停調書が作成されます。

仮に、相手が来ないなどで、合意ができなくても、資料があれば裁判所は審判で養育費を決定して、支払いを命じてくれます。

審判で養育費が決まると、審判書が債務名義になるので、調停調書と同様に、それを基礎に強制執行ができるのです。

5 離婚したらいつからいつまでの養育費を請求できるか(養育費の過去の分を請求できるか)

養育費を払ってもらえていないまま、相手に請求するのが怖い、関与したくないなどの理由で離婚からかなりの時間、養育費をもらっていないということがあります。

そういうとき、過去の養育費について、子と一緒に住んでいない親に請求することができるでしょうか?

5-1 養育費の具体的金額の決まっている場合

養育費について金額や支払い時期等について具体的な取り決めをしていた場合には、過去の分についても、具体的な請求権になっていますので、請求することができます。しかし、時効にかかってしまわないように気を付けましょう。

5-2 時効による養育費の消滅

時効というのは「取得時効」と「消滅時効」がありますが、問題になるのは消滅時効です。長く何もしないで放置すると権利がなくなってしまうという制度が、「消滅時効」です。

養育費の場合、原則として5年で時効になってしまいます。養育費は支払期限が到来してから初めて債権が発生するというもので、毎月の支払期日に養育費の債権が現実に発生します。

このように定期的に支払われる債権を「定期金債権」といい、養育費や婚姻費用が典型的なものです。このような債権では、消滅時効は民法169条に定められていて、「5年間の短期消滅時効にかかる債権」となっているのです。

月々の養育費支払請求権は、行使しないで5年間たつと時効で消滅してしまいますので、気を付けましょう。

もっとも、養育費の支払いについて、家庭裁判所の調停調書があったり審判があった場合、それは10年の消滅時効に服することになります。

つまり、私的な約束でできた養育費の請求権であれば時効を援用されてしまうと、過去5年より前の請求は時効消滅でできません。家庭裁判所の調停や審判とか離婚判決で決まった養育費なら過去10年間のより前の請求権が時効にかかることになります。

5-3 具体的に金額が決まっていない養育費の場合

協議、調停、審判、判決で養育費が決まっていない場合、家庭裁判所で過去の分の養育費を請求できるかという問題になります。

養育費の請求については、家庭裁判所では調停申立がされて現実の請求がされた後の分しか認めないことが多いです。もっとも、申立ての前に現実の請求を弁護士などがしていて証拠が残っていればその請求時までは遡って認められる可能性はあるでしょう。

しかし、請求を全くしていなかった養育費について、過去の3年分を払えという命令を裁判所がだしてくれることは実務的にないようです。

しかし、養育費は子どもの権利であってすでに過去のものでも一緒に住んでいる親が負担していたのであるから、権利がなくなっているわけではない、過去の分も裁判所が命じるべきである・・・とも思えます。しかし、養育費を請求していないことで過去の分を認める請求額が大きくなるので、支払を命じるのが酷であるという考えがあるようです。

よって、未払いとなっている過去の養育費を払わせるのは困難ということになります。

ですので、養育費については離婚時に調停調書にしておくことが望ましいといえます。

6 離婚後、いつまで養育費を求めて調停ができるか

養育費は、子どもが成人するまで同居している親が請求することができます。ですので、養育費調停は子どもが20歳になるまでできますが、大学生などで経済的自立をしていない子については、子自身が親に扶養料として支払いを求めることができます。

7 子どもが大学に入ったような事情の変更がある場合、養育費の増額ができるか?

養育費の金額は、当事者それぞれ年収や子どもの年齢で異なります。

年月とともに、年収が変わりますし、子どもの教育費なども変わります。子どもが病気をして治療費がかかるようになることもあるでしょう。

民法ではそういう場合、事情変更の原則というルールがあり、決めたことの内容を事情に応じて合理的に変更することができます。

事情変更があって、養育費の増額をしたい、減額したいという場合、やはりまずは直接話しあうのが基本ですが、なかなかそれは難しいことも多いようです。

しかも、もともと、調停調書、審判、判決などで債務名義となっているのであれば、増額・減額後もそのようにしておいたほうがよいでしょう。

ですので、家庭裁判所で、養育費増額調停をするのが望ましいでしょう。

養育費増額調停では、互いに事情変更についての言い分を言い、資料を出して妥当な養育費の金額を決め直すことが通常です。

しかし、話し合いで解決出来ない場合、審判手続きとなり、裁判官が妥当な養育費の金額を決定してくれます。

協議離婚の際に、よくわからないのに算定表より高額な養育費を決めてしまっていた場合、減額できるでしょうか? 実は、これは難しいことも多いです。

事情変更の原則は、養育費を決めた当時の事情からかなり状況が変わって予想できない状況になっているような場合に適用されるのです。合意したり、審判がなされたとき、基礎とされた事情と現在の事情を比較して、予測できなかった事情の変化があるかを検討して、ある場合にのみ事情変更の原則が適用されます。

たとえば、調停当時はわからなかったが私立中学に進学することになったとか、審判のときには幼児で審判の際、私立中学への進学は予測されず基礎事情となっていないというような場合であれば事情変更となるでしょう。

もっとも、調停で決めてしまうと当事者であれば予想できていたのではないかという論点もありえるので、実は増額・減額は判断が難しいこともあります。

さらに、養育費や婚姻費用の変更が認められるためには、事情の変更が重要で、変更しないことが当事者のいずれかに対して相当でないと認められることも必要です。

子が、バレエを習っていなかったけど習うようになったというのはそんなに重要性ある変更ではないでしょう。でも、重大な障害を負って母が自宅で介護をする必要ができたなどは年収にも影響する大きな事情変更になり、増額の理由となるでしょう。

というわけで事情変更がないなら、つい離婚のときには子供がかわいくて高額な養育費を合意してしまった・・・・貯金を崩して払ってきたがもう実際に払うのは無理だ・・・・ということだけでは減額は認められないでしょう。

よって、自分の生活が成り立たなくなってしまうような金額で合意をすることは避けるべきです。

8 養育費として支払ってもらえる金額

8-1 算定表

具体的にいくら支払ってもらえるかは、婚姻費用と似た方法で算出されるのですが、標準的な金額が裁判所が審判や判決で養育費を決めるときに用いている「算定表」という表で明らかにされてます。年収が2000万円までの夫婦の標準的な金額が子の数と年齢に応じて、わかるようになっています。

8-2 養育費の具体的な計算方法

まず、養育費を支払う側ともらう側の基礎収入を認定します。これは、総収入から所得税等などの公租公課、職業費、住居費、医療費等の特別経費を差し引いた金額です。そして、支払う側ともらう側と子のそれぞれの最低生活費を計算します。

そのうえで、支払う方が最低生活費用を超えた基礎収入があれば、養育費の負担能力はあることになります。

そして、子どもと支払う側が同居していたと仮定し、その基礎収入を、親と子の基礎収入の割合で案分します。
こうやって出てきた子どもの生活費を、支払う親ともらう親の双方の基礎収入で案分していきます。

この方法は理論的で妥当な方法なので養育費の金額を個別に認定していたのですが、時間がかかり迅速に決まらないことから、統計数値を利用して標準的な計算式を用いてこれに基づいて収入、子の数、子の年齢に応じて、標準的な婚姻費用や養育費を算出できるようにしたのが、「養育費算定表」です。

8-3 算定表による金額が必ず養育費の額となる?

養育費算定表は調停合意をするときの参考の金額であって、当事者が別の合意をすることは可能です。

たとえば、マンションのローンを夫が払っていてそこに住まわせてもらうことにして減らすなど、適宜状況に応じて決めることはあるでしょう。

また、お子さんの事情として養育費算定表において考慮されていない特別な事情がある場合には、それによって調整して決めることも多いです。

たとえば、子どもが私立中学校に通うケース。

養育費算定表では、公立の教育費を考慮しているのですが、私立学校の学費はもっと高いので養育費を増やさないといけません。そこで、収入や資産・学歴からみて支払う側に私立の学費を負担させるのが妥当な場合には、特別事情として私学学費分を足してもらうよう協議することになります。

協議でまとまらない場合、裁判所は特別事情があるかどうかを判断して、算定表を参考にしつつ必要な調整をして、養育費を認定して、審判で命じます。

他に算定表以上の金額がもらえる事情は、医療費が特別にかかる、音楽などの習い事に特別費用がかかるなどの事情がありえます。