1. 戸籍とは
戸籍は、日本国籍の方が生まれてから亡くなるまでの、法に従って戸籍の届出(出生届、婚姻届、死亡届など)で届出られた内容が記載されている公的な記録です。
結婚したら届ける、子が生まれたらそれを届ける、といった感じで、生きているときには届をいろいろしているのでそれが記録されているのです。この届出によって、新しい戸籍が作られたり、別の戸籍にその人の記録が移ったりします。
また、届出がなくても法によって戸籍が改製(作り替え)されていることがあり、その場合は古いものも見ないと過去の届け出の記録がわからないということになります。この古い戸籍を原戸籍と言います。原戸籍(はらこせき、げんこせき)は、平成6(1994)年の制度改正以前につくられた、古い戸籍で、その正式名称は「改製原戸籍(かいせいげんこせき)」です。
ということから、出生から死亡までの戸籍謄本が必要な場合、1通で証明できる場合は、生まれてから結婚していないような場合であって限られます。通常は、複数の戸籍を取らなければならないことがほとんどです。
2. 出生から死亡までのすべての戸籍の集め方
戸籍は、その対象の人の本籍地の市区町村で、請求します。
出生から死亡までずっと本籍地が変わらなかった場合なら、1か所の市区町村役場ですべてが取得できます。
婚姻や転籍(本籍地の変更)があって、本籍地が変わっている方だと、それぞれの時点での本籍地の市区町村に請求する必要があり複数の請求が必要になります。
出生から死亡までのすべての戸籍が必要な場合は、まず、亡くなったときの本籍地に戸籍を請求します。同じ市区町村に複数の戸籍がある場合もあります。「出生から死亡まで」のすべての戸籍が必要であることを、交付請求書に書くと、便利です。
亡くなったときの本籍地が分からない場合は、本籍地の記載のある除票(除かれた住民票のことです。)をまず請求して、確認してください。
戸籍には、いつ、どのような理由でその戸籍が作られているか、その戸籍にその人が異動してきたのかが記載されています。そうすると、取得した戸籍でひとつ前の本籍地がわかるので、ひとつ前の本籍地にその戸籍を請求ができます。それより、に前の本籍地についてはまた同じようにさらに戸籍を請求できます。
こうして、「死亡から出生まで」の戸籍を取得していけるのです。
すでに持っている戸籍があるなら、これよりの前のものを請求したいという説明をするのも良いです。わかりやすいからです。
郵送で請求する場合、「請求先の市区町村で出生まですべての戸籍が取れないときには、どこへ請求したらいいのか教えてください」と交付請求書に書いておくと、担当が教えてくれることもあります。
1. 「出生から死亡までのすべての戸籍」は何のために必要?
このように、亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡までのすべての戸籍」がみつかると、法定相続人が誰なのかが、わかります。なお、提出先によっては、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍の他に、相続人全員の戸籍や住民票を求められる場合もあります。
提出した証明書は、返してくれる場合と、原本の提出を求められる場合がありますので、原本還付をしてもらえるかを、確認しておきましょう。
4. 法定相続情報証明制度を利用する方法
相続の手続きが必要な提出先がたくさんある場合、何度も被相続人の出生から死亡までの戸籍や相続人全員の戸籍を取るのは大変なので、そういう場合、便利なのは法務局の「法定相続情報証明制度」を利用する方法です。法務局の登記官の認証がある法定相続情報一覧図があると戸籍をそんなに集めなくてよいということが多いのです。
この制度は、相続人から相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)とともに、一定の戸除籍謄本等を登記所に提出すると、一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを登記官が確認してくれて、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付するというものです(平成29年5月に創設されています。)。
なお、戸籍を請求できる人は、決まりがありますので、戸籍を請求するときに、請求する権利があることの証明(直系血族であることが確認できる戸籍など)が必要になることがあります。