離婚と親権

離婚時の親権決定 専門弁護士に相談するのがベスト!

離婚し場合、これまでの日本の法律では父親と母親のどちらかしか親権を持てませんでした。

令和8年(2026年)に施行される改正民法では離婚しても、共同親権が可能ですし、今でも共同監護は可能です。子どもの気持ちを傷つけないように話し合いを進めましょう。子どもの心を守るなら、専門弁護士への相談がおすすめです。この記事では養育費の額の決め方や面会交流権についても、ご紹介しています。

1. 離婚したら父親と母親のどちらが親権を持つ?

日本では子どもがいる夫婦が離婚したら父親か母親のどちらかが親権を持ち、一方は親権を失うことが民法によって2025年現在は定められています。過去には、母親が親権を持ち、父親が面会交流をすることが多かったです。しかし、もちろん父親が親権を持つことができます。また、一度親権者が決定した後に変更することもあります。

2026年施行予定の改正法では、合意によって親権を父母がもちつづけることもできます。

いったん決めてしまった親権も、家庭裁判所に親権者変更審判・調停を申し立てれば変更できる可能性があります。

ただ、離婚によって生活環境が変えられてしまった子どもにとって、親権変更で、再び生活環境が変わることになるのは大きな負担になりかねませんので、申立ては慎重にしましょう。

そもそも、改正法では、離婚しても父母が共同で親権を持ち続け、子の状況に応じて一緒に住む親を変えるという選択も可能になっておりますので、親権者の決定は、話し合いを重ねて子どもが傷つかない方法を双方が協議して決定することがベストです。

さて、裁判所で決定される場合、親権者の決定においてはさまざまな判断基準に基づくとされていますが、どのような観点があるのかをまず、みてみましょう。

1-1. 過去の監護実績

まず、これまで子育てを主に行っていた親が離婚後に親権を持っている方が子どもの精神面が安定しやすいので、親権を持ちやすい傾向があります。これは幼児や小学校低学年の子には、特にその傾向が強いです。子が安定的な環境で育つには、離婚後に引っ越しや転校をしなくてすむ、これまで祖父母の協力を得ていたのならそれも継続できることが、子どもにとってベストです。子どもの課外活動やならいごとなどを続けられることも重要です。

1-2. 性別

性別では母親の方が母性があるように思われがちですが、父親にだって母性的な面はありますし、母親にも父性的な面があります。個人的な特性が性別より大きいでしょう。現在の裁判所では、父親と母親のうちどちらの方がより母性を持っているというより、過去において監護という役割を多くになってきたのはいずれであるか、そして、今後の監護の計画はいずれがより安定的で充実しているかを、みる傾向があります。主として、子どもを思いやりながら大切に育てていける親が子を主として育てていくのがよいという考えが背景にあります。合意できめるときにも、そう言う視点をもって主となる監護者を決めて、他の親は監護を分担してサポートするという選択が現実で有ることが多いです。あるいは、監護を半分分担することが現実的にできるのであれば、そういう共同監護をすること可能でしょう。共同監護をする場合には、大きなルールを決めておく必要があるでしょう。

1-3. 兄弟姉妹

兄弟や姉妹がいる場合は、できるだけ片方の親が複数の子どもと住むことが安定的な監護となるとされており、裁判所が判断する場合、兄弟姉妹を分けることは原則としてしません。離婚すると、いくら子どもの気持ちに配慮したとしても大きくそこで環境が変わることになるので、子どもは不安感を抱きます。その上、それまで一緒に過ごしてきた兄弟や姉妹までいなくなってしまったら、より大きな心の不安を抱えてしまうのです。離婚後は、親も新しい環境に慣れるのに必死になってしまうことが多いので、そんな時に子どもにとって親と同じくらい大切な兄弟や姉妹がいてくれることは、精神の安定を助けるでしょう。仮に、各親が子どものひとりと住むような合意をする場合には、兄弟姉妹がいつでも連絡できたり、交流できるようにしましょう。

1-4. 15歳以上の子どもについて

家庭裁判所の事件では、必ず子どもの意見を聞き、それを尊重して親権者を決めることになっています。もっとも、これより小さい子でも家庭裁判所の調査により子どもの意見に耳を傾けることになっています。もっとも、子どもにとっては父親と母親のどちらか一方しか選べないということが通常ですので、意見聴取は聴き取り方によっては子の心を傷つけることもあります。離婚する時に、親が子どもに対しても「これからお父さんとお母さんのどっちと一緒に住みたい?」と聞くことが多くあるようですが、子どもは大人が思っている以上に親の顔色をうかがっていることやそもそも父母の離別を回避したいと考えていることにも鑑みて、子は、自分の気持ちを正直に伝えることに罪悪感を持ってしまうことも、考慮しましょう。子どもの意見も聴いて、親が責任を持って決めるまたは家庭裁判所が決めることを子には伝えておく必要があるでしょう。そして、父母の離別を悲しんでいる子には親はこれから親として愛情をもっていることは変わりがないことを、きちんと伝えましょう。

1-5. 他の親への対応について

家庭裁判所で親権者を決定する場合、他の親との交流をきちんと実施できるかという観点があります。これは、親が合意で親権者を決める場合にも、重要なことです。あなたがどうしても親権が欲しいと考えており、相手が子どもと自由に会えなくなることを恐れてそれに応じないような場合、子どもが他の親と充実した交流ができることを約束することで親権紛争が解決することもあります。この約束を明確にする方法は「養育計画の作成」という方法があります。これまで、面会交流要領とよばれていた他の親と子がすごす交流時間を明確にルールとしておく方法です。

2026年からは、共同親権という選択を父母がして、それぞれの監護分担を決める方法での解決も可能です。監護分担の取り決めもそのときそのときに合意するのでは、争いが起きやすいし子どもにこれからこうするんだよ!と説明ができませんので、養育計画の策定をすることが有用です。

2. どちらが親権を持つか決まらない!そんな時にはどうする?

未成年の子どもがいる場合、父親と母親のどちらが親権を持つのか、改正法のもとで共同親権にするのか、決められないと、離婚することはできません。なぜなら、離婚届には親権者を記入する欄があり、空欄のままでは受理してもらうことができないからです。どうしても決められないなら、話し合いだけで解決させる協議離婚とか調停離婚で離婚はできないことになります。離婚訴訟(裁判)を行って解決する必要があります。

2-1. 協議離婚の場合

協議離婚では、父親と母親、そして年齢によっては子どもを交えてよく話し合って親権者とこれから住む場所を合意します。離婚の原因は、正確の不一致・浮気・借金など夫婦によってさまざまですが、結果的に離婚すると決めた関係ですから、冷静に話し合おうと思っても声を荒げたり手が出てしまうこともあるかもしれません。そのため、子どもが同席するのは子どもの気持ちを聞く時だけにして、その他の時はできるだけ子どもに聞かれないようにした方がいいでしょう。メールなどで冷静にやりとりをするのも良い方法でしょう。片方が弁護士を雇ってその人と交渉をすることでまとまることもありますし、双方が弁護士をつけて早く交渉ができることもあります。

なお、弁護士費用ですが、当事務所では経済的な問題は当事者が合意で決められるような場合、親権に関する話し合いの交渉案件では、40万円から50万円程度でまとまっていることが多いです。

2-2. 話し合いが決裂すると・・・

父親と母親の話し合いだけではどちらが親権を持つか決められない時は、家庭裁判所で離婚調停を行うことになります。当事者だけでは解決できなかったので、調停でもまとまらないことも多いのですが経済面は弁護士をつけることで訴訟になった時の予想金額がわかりますので、調停で解決ができる可能性は高いです。親権については、もし離婚調停でも決まらなければ、離婚だけをして親権を審判手続きによって決めることが改正法で可能になりました。この審判手続きでは家庭の実態の調査やよく訓練された調査官によって子どもの意思確認が行われ、最終的には裁判所の判断で親権者が父母、父または母に、決められます。しかしながら、2025年現在の現行法では、親権が決まらないと離婚条件がまとまらないのでさらに離婚訴訟を行い、裁判所の判断を仰ぐことになります。

子どもの心の観点からは、二人の親が紛争をなるべく早く終わらせ、各親が子どもとの関係を離婚しても落ち着いて続けて構築していくのが、ベストです。この視点から、できれば親権については早い解決を目指し余裕をもって子どもと向き合いましょう。

3. 養育費の額はどうやって決める?シングルペアレントが知っておきたい助成制度について

シングルマザー、もしくはシングルファーザーになった時に気になるのは、養育費の問題ではないでしょうか。子どもが小さいうちは食費や教育費はそれほど掛からなかったとしても、成長するにしたがって次第に見過ごすことができない額に変わってきます。とくに、教育費については「経済的な理由で子どもが望む進路を変更させたくない」というのが親心ではないでしょうか。

子育てというのは、そばにいて一緒に住むことだけではなく、子どもの成長に必要な費用を負担するという義務もあります。

3-1. 養育費の額

父親と母親の収入と子どもの年齢、人数によって裁判所が公表している算定表に当てはめて決定するのが標準的方法です。もちろん、夫婦間の話し合いによって計算式で求められた以上の金額の養育費を、親権を持たなかった方の親が支払うことを決めることもあります。

共同親権・共同監護にする場合には、算定表はそのまま使えないので、調整をする必要があります。子どもの習い事費用・学費は折半するとして、被服費とか食費などはそれぞれが購入して、高価な物だけは協議してから購入して折半するというような合意も可能です。

共同親権・共同監護の場合には、いろいろ決めておくべきルールがありますので、当事務所にご相談があれば、決定の交渉の代理人となることが可能です。

3-2. シングルペアレントへの公的援助

離婚をして、シングルペアレントとなった親が、国やお住まいの自治体による助成制度を利用できる可能性があります。

一定の手当や助成金を受け取ることができるほか、保育所に優先して入所できる、保育料が減免されるなど助成制度は多岐にわたります。しかしながら、どれも自治体により異なります。

https://www.single-ouen-navi.metro.tokyo.lg.jp/

たとえば、東京都では離婚して、離婚家庭となって子を育てる親に情報提供をしています。上記のリンクを見てみてください。

児童手当:0歳から高校生年代まで(18歳に到達後の最初の3月31日まで)の子供を養育している方がもらえます。

児童扶養手当:ひとり親家庭等の自立と生活の安定のために、対象年齢(18歳になった最初の3月31日〈障害児は20歳未満〉まで)の子供がいる家庭がもらえます。

児童育成手当:児童育成手当は、東京都独自の制度です。ひとり親家庭等で、対象年齢(18歳になった最初の3月31日まで) の子供がいる家庭がもらえますが、所得制限があります。また、同じ児童育成手当の中に、一定の障害のある子供を対象にした、児童育成手当(障害手当) があります。

各自治体で、お金の支給以外にも住宅や就労や保育への支援などがありますので、調べてみましょう。

4. 親子交流

4-1. 親子交流(面会交流)とは

父親と母親のどちらかと住むような場合、片方の親は子どもと一緒に住むことはできません。そこで、一緒に住んでいない方の親に認められているのが「面会交流・親子交流」です。この交流をする権利は、子どものための権利と考えられてきましたが、親にとっても、憲法の幸福追求権によって保護される権利であると考えられます。

残念ながら、日本では先進国の中で特に、この親子交流に対する制度の整備が遅れています。また、公的支援も限られています。上記で書いたように、夫婦が監護を分担していくということを合意する場合には養育計画を作ることになりますが、親子交流の量が多いものが養育計画というイメージでかまいません。

4-2. 親子交流(面会交流)ルール作り

親子が交流するにあたっては、養育計画でもそうですが、離婚前に親がルールを決めておくことでその後のトラブルを防ぐことができます。そして、ルールを守ることで子が安心して他の親と交流することができます。

これを決めるときには、親同士の意見を押し通さず配慮しないといけないのは子どもの暮らしとか成長です。習いごとをしていたり、通院が必要な場合には、そういった事にも配慮して現実的に可能なルールを決めましょう。

・交流の日程(毎月第二土曜から日曜まで等)

・子どもを受け渡す方法と場所

・開始時間と終了時間

・なにか交流中にしてはいけないこととして、決めておくべき事があるか?

・長期休暇はどうするか?

・直接にあう以外に、オンラインでの交流を認めるか

・学校や習い事などのイベントに参加してもいいか

・誕生日などにプレゼントしてもいいか

4-3. 親子交流(面会交流)ルールの変更

離婚前に決めた交流のルールであっても、子どもが成長するにつれてルールの変更が必要になることが、あります。父親と母親は養育パートナーであることには変わりありませんので、ルールの変更が必要な場合は、子どものためにきちんと話し合って争いがないようにしましょう。

交流は子が成長するに当たって、父母から愛されていることを感じられるために重要な制度です。

「養育費と引き換えに面会交流させてあげる」という態度をとるようなことはあってはならないことです。

「決められた養育費を支払ってもらえないなら面会交流はさせてあげない」という、子どもと養育費を天秤に掛けるようなことはやめましょう。仮に、決めた養育費が何かの理由で払われていないなら執行などの法的措置が可能ですので、それをせざるをえないことを説明するなどして問題を解決していくべきでしょう。「面会交流させてもらえなければ養育費は支払わない」という態度もおかしいので、切り離し考えましょう。

子を育てている親権者にとっては、子どもを育てていく上で養育費はとても大切なもので、養育費が不払いでお金がなければ生活の基盤が成り立たないので不安になります。心の余裕も生まれません。一方で、親権のない親にとっては、子どもとの交流は生きがいとなっていることも多い、他のどんなことにも代えがたく重要なことです。仕事をする活力にもなっているでしょう。双方の親が、冷静に自分がするべきことをする責任感をもちましょう。喧嘩しそうなときには、一旦落ち着いて子どもの立場になって解決してみましょう。

親の都合で離婚したとしても、子どもにとっては父親も母親もかけがえのない存在です。普段会えていない親と会えて遊べることを楽しみにしている子どもも多いことでしょう。普段は離れて暮らす親だからこそ、話したいこともあるのではないでしょうか。

養育費がきちんと支払われているかということと親権がない方の親と会えるかということは、子どもにとっては関係がありません。子どもの気持ちを最優先で考えるならば、養育費と面会交流は分けて考える必要があるのです。つまり、親権者は養育費の支払いが行われなくても子どもを面会交流に送り出すべきですし、親権がない親は、養育費の支払いは続けなければいけませんし、事情が変って払えないならそれをきちんと説明しておくべきです。

5. 離婚と子どもの心の問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです

普段は冷静な判断ができる方であっても、離婚時に、子どもの問題が絡んできた途端に冷静さを失ってしまう方もいるでしょう。

とくに離婚において親権を持てるかどうかは、今後子どもにどのように関わっていけるかを決定づけるものと感じしまう方も多いでしょう。お互いに必死になって子を奪い合うのは子にとって悲劇です。

子どもは想像以上に繊細な心を持っています。幼少期に、親の「子の奪い合い」を経験したことが大人になってもトラウマになってしまうことも少なくありません。そこで、子どもが安心して離婚を受け入れられるように準備するためにも、子どもの心に配慮できる弁護士に相談することをおすすめします。子どもと離婚の問題に詳しい弁護士なら、どうやって話し合うのが良いかアドバイスをくれるでしょう。双方がそういった弁護士を立てれば意見を伝えながらも冷静に話し合いを進めることができます。