離婚と親権

親の離婚が与える子どもへの影響 未成年の子がいる離婚での弁護士の役割

親の離婚は子どもに良い影響も悪い影響も与えることがあります。

通常は、悪い影響が多く、子どもの気持ちを傷つけないように気をつける必要があります。特に、親が他の親を批判する、家で親が喧嘩ばかりしている、そして親権争いに発展すると、子どもへのストレスはどんどん大きくなります。

問題を解決するには、子に関する紛争において、円満な解決を得意とすると離婚に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

1. 親の離婚は子どもにどのような影響を与える?

「子どものためには、親が二人揃っていた方がいいから一緒にいる」「自分さえ我慢すれば、温かい家庭を維持できるのではないか」という理由で、何度も離婚することを思いとどまってきた方は多いのではないでしょうか。

そもそも、親が離婚すると、子どもにどんな影響を与えてしまうのでしょうか?

とくに小学生から中学生の子どもは大きく心身が成長している時期です。そのため、この時期の子どもは、環境から、良い影響も悪い影響も非常に受けやすいということができますから、子どもが傷付かないように気をつける必要があります。また、子どもが知りたいと考えていることを隠すこともよくありませんので、気をつけましょう。

1-1. 悪い影響とは

親が離婚すると、子どもにとっても引っ越しや転校によって生活環境が大きく変化することです。また、他の親と毎日会えなくなるということもあります(親との別離)。親が離婚することが恥ずかしいという考えを持つ子どももいます。そのため、子が、戸惑ったり不安に思ってしまい、それまでと同様に勉強に集中することができなくて、成績が下がる子どももいます。

自分が良い子になることで問題が解決すると無理に頑張ってしまう子もいます。親の離婚問題で頭がいっぱいになってしまわないよう、子どものことをよく観察してあげましょう。成績が下がったり、様子がおかしかったら、責めないで話しかけてあげましょう。転居の後なら「あなたも新しい環境に慣れるのに大変だったよね。ごめんね。心配いらないからね。」と温かく励ますことが大切です。

1-2. 子どものメンタルの不調

親の離婚によって精神的に不安定になると、子どもがメンタルトラブルを抱える可能性があります。子どもによって現れるメンタルトラブルの症状は異なりますが、誰にでも優しかった子どもが急に攻撃的な態度をしたり、自分で自分の髪の毛を抜く行為を止められなくなるようなこと、チック症状がでるようなことも、あります。親も、離婚という困難な時期には、日々の生活に追われて忙しかったり精神的に鬱々となることもあるかと思いますが、子どもと一緒に過ごす時間を大切にしましょう。自分の鬱状態などは、専門的な医師に診てもらったりカウンセリングを受けて辛い気持ちをなくせるようにしてみましょう。辛いことは普通のことなので、専門家に頼りましょう。学校での行動に問題があるようなら、学校での様子を担任に聞くなどして、状況を認識して、気に掛けてあげることが大切です。また、子どもの心理カウンセラーに相談するという方法も、有効でしょう。親が自分で抱えないことです。

1-3. 離婚による子の心の傷

親の離婚を経験すると、親権者でない方の親に「捨てられた」と思い込んでしまう子どもがいます。それは自分のせいであると考えて、親からの愛情が喪失されたことを自分のせいであるとして責めます。生まれてからずっと一緒に過ごしてきた家族がいなくなると、喪失感があり、親の愛情に不安を感じてしまって、人間関係に対して不安を覚え、友人との関係性においてもうまくいかずに悩む子どもが増えます。学校に行かなくなる子もいます。

どんなに忙しくても、子どもの話はきちんと目を見て聞いてあげましょう。また、「あなたのことが何よりも大切だよ。お父さんもお母さんもいつも、大好きだからね。お父さんは離れているけど、あなたのことが大好きなのは変わりないからね。」ということを、きちんと伝えてあげましょう。

1-4. 離婚原因の説明

親の離婚を経験した子どもは、家族のあり方に懐疑的になる可能性があります。そうすると、家族で過ごすことの大切さや安らぎを実感できないまま大人になってしまいます。そのため、子どもが将来、大人になって結婚しても、自分の親と同じように離婚するリスクが高いと言われています。

離婚する時に、子どもに対しては、離婚の原因をきちんと親から説明しましょう。親の問題があって離婚を決めたこと、それは是対にまた、日常的に父親からも母親からも子どもを大切に思っているという気持ちを伝える機会を設けましょう。子は自分のせいで、離婚したという考えを持ってしまうことがよくあります。

1-5. 親の離婚が子どもに与える影響の良い面

離婚は、悪いだけではありません。良い影響も考えられます。たとえば、日常的に親同士の言い争いからストレスがあった場合や、DVを目撃していた子どもは、日々のそれによる苦しみから解放されます。

そんな子どもは親が離婚して欲しいと考えていたり、その結果、前向きに過ごしているのを見て、本来の明るい性格を取り戻すことができることもあります。子どもが、親の対立からどういう影響を受けているのか、そういった面も理解して子どもをしっかりと受け止めてあげましょう。

親が一緒にいないので喧嘩をしなくなり、別々に会えるようになってそれぞれの親との関係を子が構築できることもあります。DVの影響で、そもそも他の親には支援機関の支援なしでは交流ができない場合もあるでしょう。ケースバイケースなので、専門家に相談しましょう。

1-6. 子どもの感受性

子は、大人よりも非常に強い感受性を持っています。離婚前は、家庭内の雰囲気を敏感に感じ取って、正直に意見を言ったりわがままを言うのは遠慮していたという子どもは少なくありません。離婚後に、親が明るい顔をしていると、今まで閉じ込めてきた子どもらしさが解放されわがままも言えるようになることもあります。

今までは言わなかったわがままを急に言われると、「今までは聞き分けが良かったのにどうして?」と思ってしまうかもしれません。しかし、今までの方が無理していたということを受け止め、わがままを聞き流したり怒ったりするのではなく、「どうしてそう思うの?」と目を見てしっかりと話を聞いてあげましょう。

1-7. 子どもが親のサポートをする傾向

親の離婚によって、親との精神的な結びつきが強くなることがあり、子ども自身が「親を助けてあげたい」、「守ってあげたい」というように自立心や優しい心が養われることがあります。小学生の子どもは黒白をつけやすいので、一方の親に味方しようとすることもあります。そういった場合、子どもが親の離婚に巻き込まれていることになりますので、注意が必要です。特に同居している親に味方をする子が多くそれは親にとって、うれしいことかもしれませんが、子の健全な発達の阻害要因になりえます。子が子どもらしくいる期間を奪ってしまっているかもしれないのです。

それぞれの親のサポートをした子が、心のバランスを保って親になった時には、過去を振り返って、親の良い面は真似して悪い面はけっして自分の子どもにはしないようにと考えることができる場合もあります。

親も子どもも笑っているのが一番ですが、離婚という困難な時期には子どもも親の力になりたいと思ってくれていることを理解しておきましょう。

2. 親権争いに発展した時は?

子どもがいる夫婦が離婚する場合、親権争いがしばしば勃発します。特に、これまでの離婚制度では日本は離婚後、父母のいずれかが単独の親権を持つことになっていたからです。しかし、2026年から離婚しても親権者は父母とすることも可能になりました。

夫婦間の仲が冷え切っていて、これから連絡を取りたくないから、共同親権は避けたいという場合もあるでしょうし、そんなに今後揉めないようにできるなら、共同親権でもよいという場合もあるでしょう。

いずれの選択をするにしても、親子間の繋がりは別問題です。お互いに「子どもは渡さない!」という対立をすると疲弊しますので、いずれが親権を持つか決まらない時には、家庭裁判所での判断をはやめにもらう選択も良いように思います。「子どもは渡さない!」という対立ではなく、これから子がどんな暮らしをして、親が子どもに何をできるのか、双方ができることをリストしあってそこで解決点を見つけられるのが、ベストですね。

家庭裁判所では、多くの場合、母親が親権を持つのに有利な判断を下してきました。そのため、にわかには信じがたいかもしれませんが、不利に感じる父が子どもを連れ去るという強行突破に出るケースがこれまでにも多発しています。

幼い子どもは、いずれの親も好きなので付いていき、おかしいと感じても自力では家に帰ることができません。従前の監護が主たる監護者と言えない親が(主たる監護者であった親の場合もそうですが)、子どもの気持ちを無視して親子関係を断絶させるような形で連れ去ると、その事実によってその後、ますます父母の葛藤が高まってしまいます。子を引き渡すように家庭裁判所から命じられるという結果となることも、あります。

強行突破に出てしまうのは、「一緒にいるためには連れ去る方法しか思いつかなかった」というような切羽詰まった状況になるからのようです。そういった力による子の奪い合いは、子どもの気持ちに寄り添って実施したものとはいえないことが多く、転校なども伴って子への負担が大きいので、回避するべきです。

親権争いをしている場合、不利な方の親が有利な方の親に対して事実無根の証拠を裁判所に提出することがあります。たとえば、有利な方の親の精神状態が不安定だという証拠を捏造するためにおかしな言動を記録した日記を提出し、子どもを虐待しているように見える写真や音声を提出することまであります。

そんな証拠を提出されても、事実無根なのでそれを丁寧に反論しましょう。裁判所はこれまでにたくさんの離婚事例に対応してきたので、反論がきちんとされれば、断片的証拠に振り回されることはありません。しかし、当事者になると「子どもを取られてしまうのではないか」と焦燥感に駆られて、冷静さを失い怒るだけで冷静に反論をしないというミスをしてしまうことがあるので、そんな時には弁護士に相談しましょう。

3. 離婚問題を弁護士に相談するメリットとデメリットとは?

子どもの親権・監護権だけでなく、財産分与、養育費の額、面会交流のルールなど、離婚において決めなくてはならないことは多く、話が進まず膠着状態になるのはよくあることです。そんな時には、離婚調停を専門にしている弁護士に相談するのがおすすめです。どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

3-1. 弁護士に相談するメリット

* 親権争いとは何か?

* そもそも、子を奪い合ったり、親権争いが必要なのか?その争いをしたいのか?

* 自分が求めていることは何か?

* 親として、自分は何を恐れているのか?

そういった疑問に回答してくれる専門家がいることは、あなたの決定がより正しいものとなる可能性を高めます。

親権問題や養育計画を専門にしている弁護士は少ないですが、当事務所では、数々の事案に向き合って子どものための解決を考えてきました。

毎週半分ずつの監護で合意をした事案もありますし、遠く離れているのでオンラインをうまく使って親子の関係を維持したという方法をとった事案もあります。交渉時から、子のためにどうするのがもっともよいか?を考え、離婚調停から裁判にいたるまでの流れを考えて、依頼者一人一人が今何をするべきかを過去の経験から、アドバイスしています。また、交流の専門の支援機関のみではなく、子のカウンセリングをする専門家も提携しています。また、親の夫婦カウンセリングも適宜おすすめしています。

子どものことを、まず第一に考えた離婚をしたいのであれば、そのゴールを理解した専門弁護士に相談することが重要でしょう。プロがそばにいる安心感を得ることができるでしょう。反対に、子どもの心は関係なく、クライアントにとってのみ良い結果を出そうとする弁護士は、不向きです。

奪い合いや親権争いにいち早く決着を付けることができるということは、子どもにとっても良いことです。なぜなら、子どもは「調停」や「裁判」と言われても親がどんなことをしているのか想像しにくく不安になりますし、親が、相手の親の悪口をいうための書面作成をするような状況では、精神的に不安定になってしまう可能性が高くなります。

調停や訴訟で、父母が親権を奪い合う場合には、相手を低く評価する方向で活動をしがちになりますので、奪い合いではなくて、それぞれの親が、子へのどういう責任を果たせるのか、どういう親子関係の意地がよいのかを考える方向に、マインドをセットしなおしたほうが良いと、当事務所では考えています。離婚後の共同親権は、その意味で良い選択肢ですが、しかし慎重にいろいろなことを決めておかないと、かえってその後、紛争が再開します。

子の奪い合いをしないというのであれば、子どもにも「親が一緒に暮らせないから、これからどういうふうにしたらベストか裁判所でしっかり考えているので、心配しないように・・・」というメッセージを伝えることもできます。

司法手続が長くなると、親はたびたび裁判所に行かなければいけませんが、そのたびに子どもを預け、年齢によっては留守番をさせることになって、子にも負担ですので、なるべく協議は、短期間で終わらせることにメリットがあります。そのため、経験のある弁護士にはクライアントがこだわりっている点をあきらめるようにアドバイスし、クライアントがこだわっている事がさほど重要ではないことを教え諭すということも、必要になります。重要な事が争いのために見えていないクライアントがいるからです。

子どもは、多くの場合「いつでも二人の親と一緒にいたい」という気持ちを持っています。

その心を理解して、単独親権と共同親権のいずれの選択にするのか、共同養育にするのか、親子交流をしっかり決めるのか、弁護士に相談して子どものためのベストを探すことを、おすすめします。

3-2. 弁護士に相談するデメリット

弁護士の選択を間違えるリスクと弁護士費用がデメリットです。相談だけなら、無料であったり1時間5,000~1万円程度でアドバイスしてくれる弁護士もいますが、実際に受任するには、弁護士費用が必要となります。弁護士費用はお住まいの地域や依頼する弁護士によって異なりますが、一般的な費用相場としては、着手金が30万円から事情により50万円程度、報酬金は個別の状況によりますが30万円以上はかかるでしょう。財産分与がある場合には、その報酬も払います。

離婚時に、引っ越しなどさまざまなお金が掛かる時に、弁護士費用まで必要となると肩の荷が重いという方は多いかもしれません。しかし、子どもの心を傷つけないことは、これからのあなた方親の人生にとっても重要なことです。親としての責任はこれから続くのです。必要なアドバイスをもらえて、同じ目標に向かっていける弁護士を依頼し、それに必要な費用は必要経費だと割り切ることも重要でしょう。

メリットとデメリットを踏まえた上で弁護士に依頼し、あなたのこれからの人生と大切なお子様の成長のために、よりより離婚を実現して、親権や監護権の問題もなるべく早期に解決させましょう。