離婚と親権

子どもと離婚 子どもの気持ちに配慮しながら離婚を進める!子どもを守ってスムーズに離婚するために。

夫婦として離婚することが決まったら、子どもの気持ちに配慮しながら伝えましょう。大切なのは離婚しても変わらず両親はずっと子どものことが大好きで、親としていつでもそばにいるということを伝えることです。そして、離婚は、子どものせいではないと伝えることです。

子の心を守ってスムーズに離婚するため、子どもの心のケアを考えるも弁護士に相談することをおすすめします。

1. 離婚する時には子どもの気持ちにも配慮しましょう

離婚する時には、結婚した時の何倍ものエネルギーがかかります。人生の最難関といえる出来事です。離婚の原因は、性格の不一致、性生活の問題、パートナーの浮気、借金、生活のすれ違いなど、夫婦によってさまざまです。しかし、結婚生活の間に得た財産を分けたり、子どもの問題を解決するという課題が山積。すべてについてお互いが納得できるかたちで分けようとすると、多大なエネルギーを使うことになり、双方がヘトヘトになりますよね。これ、当然のことです。

そして、離婚した後もお互いに生活がありますし、居住地を変える必要があることも多く、つい金銭的なことばかりを考えてしまいがちですが、忘れてはいけないのが子どもの気持ち!

一生の傷にならないように、配慮が必要です。

離婚しても、親である事実は変わることはないので、相手が危険なDV加害者であるなど特別の事情がない限り、パートナーを親として認めて離婚協議を進めることが重要です。お互いが選んで決めた相手です。子どもの親として双方が何ができるか、よく考えましょう。

2. 子どもにはきちんと離婚することを伝えよう

離婚することが決まったとき、どうるすか?ですが、子どもにとって今までお父さんとお母さんがいて成り立っていた家庭が大きく変化して、離婚によってどちらかと住むことになり引っ越しや転校を伴うことは、とても大きな環境の変化となります。

そのきっかけとなる離婚については、当事者である子どもに、きちんと伝える必要があります。離婚について隠していると、子どもにとってそれは触れてはいけないことのように思われ、子どもにと大きな心の負担になります。

3. 子どもの気持ちと年齢に配慮することが重要

子どもの年齢によってベストな伝え方はさまざまですが、共通しているのは子どもの気持ちに配慮し、不安を解消してあげることです。これは離婚する本人が、不安である以上、とても難しい事ではありますが、子どもはもっと不安なので、それを理解してあげましょう。

3-1. 未就園児のお子さんの場合:

「ママとパパは、離婚することになったよ。」と聞いても、離婚という言葉がなにを意味するか、おそらくお子さんは分かりません。そのため、未就園児でも分かる言葉に言い換えて、「パパとママは、よく考えて、これからは別々に暮らす方が良いと思ったので、別々に暮らすことにしたよ。」と、親が別居するということを伝えるのがよいでしょう。このとき、お子さんは誰と住むのか、それが父母の合意によって決まったことを伝えるのも大切です。お子さんに「誰と暮らしたい?」というような質問をして、お子さんに選ばせることは、この年齢の子どもには通常は、不適切でしょう。

3-2. 小学生のお子さんの場合:

低学年でも、離婚という言葉の意味は分かりますので、これからの生活がどう変わるのかイメージできなくて不安を持つ子が多いでしょう。「どうして?」「一緒にいたい」などと言われることがあるかもしれません。子どもがきちんと受け止めることに時間がかかるかもしれません。親が決めた決断であることを、丁寧に説明しましょう。

子どもが不安にならないように、これからの生活の計画とか、いつでも別居する親も子どものことを考えているし、子どもと定期的に会えることを説明するのが良いでしょう。

小学校でも3年生以上であれば、部活動などをしていたり、習い事・スポーツなどの活動で、住む地域を変えたくないという希望があることが、予想できます。低学年でも離婚とともに、転校までして友人関係を新たにつくることは子どもには大きな負担です。子どもにとって、何が大切であるか、離婚という困難な時期を子が乗り越えられるにはどうするのがよいのかを父母がよく理解して「最善の暮らし方」を考えてあげるのがベストでしょう。

具体的には、これまでの住まいを維持できて、親がひとり別居するというような方法が最も子の暮らしの変動が少ない方法です。こういった方向性を父母が冷静に話せるのが最も良いのですが、二人での協議が難しいなら、子どものことに理解のある弁護士を間に入れるとか、ADRなどを利用する方法があります。(ADRや弁護士の利用については、当事務所に具体的にお問い合わせください。)

小学生の子は、離婚が自分のせいではないかと考えることもあり、片親に忠誠を示すような行動を取り安い年齢です。自分のせいであるとか、有る親の生だと思って他の親の味方をする、いずれも親の紛争に子を巻き込み心に負担をかけてしまいます。自分のせいで離婚したという考えをもつと、その後の人生において一生、苦しむこともありますので、子どもには離婚は親の問題であり、親が解決することを伝える必要があります。

3-3. 中学生以上のお子さんの場合:

少し、なぜ離婚になっているのか、冷静に離婚の事実を受け止められるようになってくる年齢ですが、成長している分だけ内面をさらけ出してくれない子どもがいることの配慮が必要です。

親に反発したり、親の不仲を機に引きこもったり不登校になったりと、さまざまな反応をする子どももいるので、親の悩みも深くなります。

できるだけ親双方が、一緒に過ごす時間を作ることを心がけましょう。そして親がそれぞれ、子どもに愛情をもっていること、離婚という親の問題があっても愛情は変らないことを示してあげましょう。

また、適宜専門家を入れて子の本心を聞くことも有用であろうと思います。そういった専門家については、当事務所でご紹介が可能ですので、お問い合わせください。

中学生は思春期でもあり、大人のように見えてもまだまだ親を必要としている面もあります。自我も芽生えていて、経済面の問題も理解していることが多く、経済面の不安をもつ子どももいます。私立学校に言っている子どもは通学ができなくなるのではないかという不安を持つこともありますし、裕福で家庭環境の問題のない学友をうらやむこともあるでしょう。言葉でわかりあうことが困難な場合には、そばにいる時間を多く持ったり、おいしい食事をして楽しい会話をすることでも子どもの心の負担を軽くできるかもしれません。

子どもによっては、部活動や習い事の関係から住む場所について明確な意見をもっている可能性もあるので、子の意見を聴いて、子の活動が継続できる環境を親がつくれることがベストでしょう。

3-4. 子どもの心への対応:

年齢を問わず離婚することを伝えたら、号泣するとか話もしなくなる子、学校にいかなくなる子がいます。子どもにとって、お父さんもお母さんもどちらも同じくらい大切な存在ですし、安定した家族がなくなることは、親にとって以上に不安なのです。

不仲は多くの場合、親の問題です。離婚すると聞かされてもすぐに受け止めることは難しいので、一方的に話を進めるのではなく、子どもの様子を見ながら何がベストか父母で考えてから、伝えましょう。

冷静さを失って取り乱している子どもには、ハグをして「離婚してもお父さんもお母さんもあなたのことはずっと大好きだからね。お父さんとお母さんは離れて暮らすけれど、あなたが会いたいと思う時には会えるようにするし、何ひとつ心配に思わなくてすむからね。」と伝えてあげられるのがベストです。できたら、父母がそろって伝えましょう。

大人でもスキンシップで安心することがあるくらいなので、子どもには言葉と同時にスキンシップをすることで、落ち着きを取り戻せることもあるでしょう。しかし、寝る前とか、何かの機会で、再び感情が揺れ動いて号泣することもあります。その都度、「お父さんもお母さんもあなたのことが大好きだよ。」「安心してね!」と言って、落ち着くまで抱きしめてあげるのがよいでしょう。

親として今後の経済面が不安であるとか、離婚してからの交流がうまくできるか不安であるとか、親としての不安もあると思いますが、その不安をまず払拭できるような話し合いをすることが必要です。それができない場合には、ADR、弁護士をいれた離婚協議、調停というような選択肢を考えましょう。

4. 子どもは離婚の原因を自分の中に作り出してしまうこともあります。

子どもはお父さんとお母さんのことが大好きです。親が、大人げなかったと思えるほど怒ってしまった翌日でも、笑顔で「おはよう」「大好き!」と言ってくれる子どもさんが多いでしょう。このような子どもの親への愛情には、頭が下がってしまいますね。

子どもは、自分がお父さんとお母さんのことを大切に思っているのと同じように、自分もお父さんとお母さんから大切に思われているということを疑いをもっていないことが多いのです。そのことが、子どもの成長の根幹の部分となり、家庭内での安心感を作っているともいえます。

しかし、そんな子どもが、突然「離婚する」と伝えられたら、「もしかして、わたしがわがままを言ったから、お母さんに嫌われた?」「ぼくが言うことを聞かなかったから、お父さんが出て行っちゃうの?」などと、自分のせいにしてしまう子どもが多くいます。子どもは自分が世界の中心であるという認識をもちやすいので親とは異なって、すべてを自分の責任にしがちなのです。

そういう子どもにとって、大好きなお父さんとお母さんのどちらかと離れて暮らさなければいけないということになって、離婚する原因をきちんと教えてもらえなかったり、理解できなかったりすると、自分自身の中に原因を作り出してしまうので、要注意です。父母がどうしても考えが合わない、同居するとかえって喧嘩をしてしまう、だから一緒に住まない決断をしたというようなことを、子どもにはわかるように丁寧に何度も説明しましょう。

5. 離婚を伝える時に必ず一緒に伝えたいことは?

子どもが、離婚原因を自分の中に作り出してしまうと、本当は子どもはまったく悪くないのに自分を責め続けてしまい成長に悪影響があります。そんなことにならないように、離婚することを伝える時、「離婚するのは、お父さんとお母さんの決断の結果であって、絶対にあなたのせいではないからね。」と伝えることを、忘れないようにしましょう。子どもにとって、「あなたのせいではない」という言葉があるのと、ないのとでは、大違いです。この言葉を言われてもなお、「やっぱりわたしがあの時こうしていれば…」「ぼくがもっといい子にしていれば…」と思ってしまうのが子どもでしょうが、子どもがこれから前を向いて生きていくためにも子どもの様子を気にかけ、繰り返し伝えてあげましょう。

また、子どもは一緒に住まない親が寂しい思いをしているのでないかと心配してくれる優しい感情を持つことも多いので、別居親はその点も配慮しましょう。同居できなくて寂しいとか、辛いという感情は子には見せない方が良いでしょう。

最も親も人間なので、寂しいのは事実ですから、なるべく子どもとの交流時間を取りましょう。

6. 離婚の原因は子どもにどこまで説明すべき?

離婚の原因をどこまで子どもに説明すべきか?これに、悩む方は多いのではないでしょうか。

離婚の原因が何だったのか、子どもが理解できる年齢なのかによって、原因をどの程度説明するかはケースバイケースになります。初めて離婚することを伝えた時には大まかな原因だけを話しておき、子どもが離婚後の新しい生活になじんだタイミングや、成長したタイミングで詳細を説明するという方法もあります。子どもが質問したときに、誠実な対応をしていくことも重要です。子どもが「離婚については質問ができないようだ」と感じると、離婚そのものがブラックボックスになり、自分のせいではないのか、一方の親に捨てられたのではないかといった疑問が、長期的に子どもの心にくすぶってしまうかもしれません。

さらに大切なのは子どもの前ではもう一方の親の悪口を言わないことです。子は遺伝子を二人の親から引き継いでおり、片親は自分の分身のようなものですから、悪く言われると自分が悪い人のように感じます。

夫婦の問題は、親子の問題とは別の次元にあり、離婚すれば夫婦の関係はなくなりますが、親子の関係はなくなることはありません。そのため、もう一方の親は、子どもには必要な存在でありますから「養育パートナー」になると考えるべきでしょう。離婚しても子どもを中心としたパートナーであることには変わりないので、相手には節度をもった行動をし、子どもの前では悪口を言うのは絶対に避けましょう。

7. 子どもは二人をルーツに持っていることを忘れないで!

子どもはお父さんとお母さんがいたからこそ、この世に生を受けることができました。妊娠したことを知った日、かけがえのない命が誕生した日、とても嬉しかったのではないでしょうか。それから月日が経って、家庭内にギクシャクした雰囲気が漂っていた日があったとしても、子どもにとっては「お父さんがお土産を買ってきてくれた」「晩ごはんに、好物をリクエストしたらお母さんが作ってくれた」など、些細な出来事が子どもにとって大切な思い出として記憶されていきます。

子どもに、もう一方の親を悪くいったり離婚によっていかに相手から傷つけられたかを説明したり、離婚で貧しくなっていることを嘆いたりしたら、子どもにとっては分身を攻撃されている感じがあることもあり、大切な思い出まで失くしてしまいかねないほど子どもは衝撃を受ける可能性すら、あります。そういった衝撃から、不登校になる子どもや鬱状態になる子どももいます。

離婚の原因を説明する時には、親がしっかりしていることを示して、感情的にならないように気を付け、子が二人の親をルーツにしていることを認識しておきたいですね。

8. 子どもだって言いたいことがある!きちんと話を聴いてあげましょう

子どもはいつまでも親の手助けが必要な赤ちゃんのままではなく、一人の人間としての人格を持っていて、知らず知らずのうちにたくましく成長しています。離婚することを伝えた時に、何か言いたそうにしていたら、きちんと向き合って話を聞きましょう。怒る子もいると思うので、怒りをぶつけられたらきちんと受けとめましょう。

「子はかすがい」という言葉があるように、子どもの言葉を聞いて離婚することを思いとどまる親もいます。そういう決断も一つの決断です。

一方、子どもの言葉に背中を押してもらって「この子のために離婚しよう」と決意する方もいるでしょう。子は、親の紛争が終わることで安心を感じることもあります。子が泣いてもこの決断はかえられないという決意から、親として子どもに真剣に説明をすることになるかもしれませんが、どんな場合も、誠実に向き合いましょう。うまく子どもに対して、回答できないなら、少し考えて回答するねと回答しましょう。

どうしても親として進み方を悩んだら、専門家の助けも借りましょう。親として悩むあなたも次のステップのために生きる「素敵な大人」なのですから、自分を卑下することはありません。

子どもは親より可塑性があり柔軟です。親が思っている以上に、周囲からあらゆることを吸収して、それをのりこえる力も持っています。そして、その場合には、加速度的に成長できます。子どもの声をおざなりにせず、きちんと耳を傾けること、自分も親として真剣に考えることをすれば、離婚も親が成長する機会となるでしょう。

9. 子どもだって当事者!変更することは早めに伝えよう

子どもは金銭的にも精神的にも、まだ親からは自立していません。しかし、だからと言って離婚に伴うさまざまな事柄について、直前に聞かされては親に振り回されてしまいます。それは不信感につながりますし無力感になるかもしれません。

住むところや学校のことなど、子どもに関係のあることは、先のことであっても決定した時点で伝えるようにしましょう。子どもなりに必要なものを準備をし、心の中で気持ちを整理する時間に充てることができます。子どもは、安心して過ごせる環境があってはじめて豊かに育ちます。反対に言えば、たびたび思いもよらない生活の変化が訪れるようでは、安心して成長ができません。

いつも、「自分が子どもだったらどうしてほしいか」と自分と子どもを置き換えて考えることを習慣にしましょう。

10. 子どもにとって一番良い方法をさぐるために専門家・弁護士に相談しよう

離婚するのが初めてな方はもちろん、そうでない方もスムーズに離婚は大きなハードルです。簡単にできるケースは未成年の子がいる場合、ほとんどありません。

財産分与はどうするか、どちらが親権者や監護者になるか、あるいは共同親権にするのか、養育費の支払額はどうするのか、子と別居親の交流頻度や場所はどうするのかといった、決めなければいけないことが山ほどあります。

離婚に至るほど関係をこじらせた相手と感情的にならずに冷静に話し合うのは当然にとても難しいのです。話がなかなか前に進まないこともよくあります。

そこで、頼りにしたいのが専門家であり、弁護士です。「弁護士に依頼する」と聞くと、大げさではないかと思われる方がいますが、当事者同士で冷静に話し合いができない以上、離婚にまつわるトラブル解決のプロである弁護士に、特に子どもの心に配慮できる弁護士に相談・依頼した方が、子どもの利益にそった解決がより少ないストレスで、できるでしょう。