離婚

日本人の離婚率は?離婚は増えているのか?専門弁護士が解説します。

日本人夫婦の離婚率は、今では、3組に1組と言われています。結婚生活の年数別における離婚件数を見てみると、昭和60年と令和で大きな違いが表れていることがわかります。離婚の際は1人で悩まず、弁護士に相談しましょう。

1. 日本人の夫婦が生涯のうち、離婚する確率は?

近年、芸能人の不倫報道や離婚報道などがよく目につくようになったことで、多くの方が離婚は特別なことではない…と考えるようになってきました。

そんな気になる日本人の夫婦間の離婚率データを見てみましょう。

その割合は令和元年のデータでは1.69とされています。この数値は、統計学の面から見た日本の人口の1,000人あたりの離婚者件数を示したもので、計算式は「離婚率=年間の離婚届の件数/日本の人口×1,000」となります。

率と聞くとパーセンテージを思い浮かべる人が多いと思いますが、この計算式から出る数値は、実際に結婚して離婚に至ってしまった夫婦のパーセンテージではありません。つまり、この統計学上の離婚率である1.69という数字は、100人あたりの数値ではなく、日本の人口の1,000人あたり、年に1.69人が離婚しているということを表している数字なのです。

日本では毎年、人口動態調査が厚生労働省によって行われており、この結果に基づく統計で離婚率も計算されます。令和元年は1.69、前年は1.68、そして前々年は1.73というのが、ここ最近の日本の離婚率です。

2. よく聞く「3組に1組が離婚している」という情報の真偽は?

日本人の夫婦の離婚率が気になって調べて見た方の中には、「日本人の夫婦は3組のうち1組が離婚している」という情報を目にしたという方も多いと思います。この文言だけを見ると、実際に結婚している夫婦のうち、3組に1組は離婚しているように思われますが、実際の現状は異なります。

この「3組のうち1組」という数字の根拠となっているのは、前述の厚生労働省が行っている人口動態統計の結果です。令和元年の統計結果によると、日本国内の年間の婚姻件数は約60万人で、離婚件数は約21万人でした。

この数値をもとに、離婚率を計算すると約3分の1になることがわかります。しかし、ここで注意が必要なことは、この婚姻件数の約60万人は令和元年内に行われた新規婚姻数ですが、離婚件数の約21万人のほうは、令和元年に結婚した人が離婚する数ではないので、過去に結婚したうちのその年度の離婚夫婦の数にすぎないという点です。

つまり、ここで言うところの離婚件数は、これまでの様々な年度に婚姻を結んだ人が、令和元年に離婚届を出したという数字であるということなのです。皆さんが知りたがっているような、実際に結婚した夫婦がどれくらいの割合で離婚しているのかを正しく計算するのは、なかなか難しいわけです。

厚生労働省の人口動態統計で、そこまで厳密な調査ができないので、この3分の1というのは単に同じ年に計算された、婚姻および離婚件数を比較しただけの数字にすぎないのですが、離婚する数と結婚する数の比較では、離婚する数は結婚する数の3分の1ということだけ頭に入れておきましょう。

また、婚姻届を出していないが、事実上結婚関係にあるという夫婦も相当数いるので、数値として結婚してから、離婚してしまう夫婦の割合を出すのは、ほぼ無理ともいえますね。いずれにしても、かなりの数の離婚が毎年、あるわけです。

3. 結婚生活の年数で離婚率は変わる?

前述の通り、離婚率の目安としてもっともわかりやすい、1,000人のうち1.6人くらいが離婚をしているという数値です。

次は少し見方を変えて、結婚生活の年数での離婚率の違いについて見ていきましょう。昭和60年と令和元年に、結婚生活5年未満、5~10年未満、10~15年未満、15~20年未満、そして20年以上という項目で離婚の件数を比較したデータを見てみると、離婚件数に大きな変化が表れていることがわかります。

1番離婚件数が多いのは、昭和60年も令和元年も、結婚生活が5年未満の夫婦です。しかし、2番目の年代からは大きく順番が異なります。昭和60年では2番めに離婚件数が多いのは順当に結婚生活が5~10年未満となりますが、令和元年における2番目はなんと、20年以上結婚生活を送った夫婦の離婚件数が多いという結果になっているのです。

これは、いわゆる「熟年離婚」の件数が増えているということを表しています。昭和60年における20年以上連れ添った夫婦の離婚率は最も低い順位であることから見ても、この順位の変動の極端さが見て取れるでしょう。つまり、長く婚姻をしたからといって、その後も我慢しない人が増えているということがわかります。

ポイント:

日本では熟年離婚が増えている!

   

4. 熟年離婚増加の理由

なぜ、熟年離婚をする夫婦が急増したのかというと、2つ理由があるようにおもわれます。

4-1. 高齢化の進展(長生きになったこと)

昭和60年ではまだまだ高齢化は進んでおらず、長い夫婦生活を送る前に、どちらか片方が先に亡くなってしまうということが珍しくありませんでした。そのため、結婚生活が長くなればなるほど寿命に近づいていくわけですから、熟年離婚できるほどの長生きの人が、今との比較では、そんなに多くなかったといえます。

4-2. 年金の分割制度

年金分割とは、離婚した場合、夫婦間で婚姻期間中の厚生年金をそれぞれ分割して自分の年金を確保できるようにするという制度で、これにより専業主婦であった方でも、きちんと制度として自分の年金を確保できるようになりました。この制度ができたのは平成19年です。

このように夫が退職すると、女性が年金をわけてもらえることで、自分の力だけで自立して老後の生活できるようになったというのが、女性の離婚への決断に、大きく影響を与えているようです。また、人手不足から、パートタイムなどの就労機会は60才をこえた男女にもかなりありますので、年金をもらいつつパートで働くなどをすれば離婚しても生活の心配がないということもあるでしょう。

4-3. お互いの気持ちの尊重

日本国民全体の離婚率の増減ははっきりとはわかりませんが、結婚生活20年以上の離婚率は目に見えて増加しています。長く連れ添ったからこそ、心の中で不満などもたくさん溜まっていることもあるでしょうし、子育てが終わって一緒にいる意味がないということもあるでしょう。

何年も一緒にいるから大丈夫と油断していると、突然パートナーに離婚を突きつけられることも多いということですので、離婚されたくないなら、夫婦はまめにお互いの気持ちを確認し合ったり、感謝を示さないといけない、相手を尊重しないといけない・・・ということかなと思います。

5. 離婚をする際は弁護士への相談がおすすめ

一昔前ならば、結婚したら最後、離婚なんてもってのほかという認識が染み付いていましたが、現在はその認識も薄れてきており、離婚に対するハードルはかなり下がっていると言っても良いでしょう。離婚した女性や男性が、むしろ生き生きしているということも多く、周りにそういう方も多いのでは亡いでしょうか?

もちろん、長く夫婦生活を続けることが大切という考えもあるでしょうが、年を重ねてかえって無理ができなくなっているのに、無理して一緒に居続けることでお互いをますます嫌になるなら、それぞれの残りの人生を無駄にしてしまうから、離婚するという選択がむしろ人生を謳歌することになる、ということもあるでしょう。

思い切って離婚してしまったほうがお互いのためになることもあるでしょうし、別の関係を維持する選択もありえるかとおもいます(たまにはお茶をしたり、子どもと家族で食事はできるというような関係を維持する方はいます)。

離婚をする場合、夫婦2人でしっかりと話し合って、お互いが納得して行うのが最善ですが、なかなかそうもいきません。夫は妻がそんなに我慢していたことに気がついていないとか、妻は自分の無神経が夫を傷つけていたことに気がついていないなど、双方が同じ時期に離婚しようという気もちにならないことが、多いのです。

離婚の際には、お金に関することや住まい、そして子供のことなど、決めなければいけないことがたくさんあり、想像以上に大変です。まずは、別居してから年金をもらう段階でしっかりと法的にも離婚する方も多いし、子が結婚するのを待っている方もいます。

冷静に話し合える環境こそが、離婚をする上では何よりも大切になってきます。

お互いが納得した上で離婚できる夫婦もいますが、実際のところは多くの夫婦はなにかしらが原因となって揉めることのほうが多いでしょう。熟年夫婦の離婚では、淡々と同居はしているがほとんど会話がないとか、すでに別にパートナーがいて、事実上、完全に破綻しているので話し合いをするにしても連絡の取りようがないという場合もあります。メールを出したが、全く無視されて、困っているようなこともあります。

そんなときにぜひ頼ってほしいのが弁護士です。

なぜなら、弁護士は離婚時に抱える様々な問題やトラブルに関して、第三者の視点をもっており、相談に乗えるからです。

特に、パートナーのどちらかの不貞行為などで離婚をする場合、慰謝料などの金銭的な問題が出てきますし、財産分与は不動産とか有価証券などがあると複雑になります。

うまく合意できないなら、離婚訴訟も選択枝に考えないといけないかもしれません。弁護士は離婚をするとした場合の問題の説明や、その進め方について具体的にアドバイスしてくれるため、1人で思い悩まなくて良いのが、が最大のメリットです。

もし、あなたが離婚を考えているのであれば、まずは1人で悩まずに、弁護士に相談してみましょう。