ハーグ条約の枠組みでは、原則として子を元の居住国に返還することになっています。しかし、子の返還を求める親が子に対して暴力を振るうおそれや、もう一方の親に対して、子に悪影響を与えるような暴力等を振るうおそれ等のように、「子の心身に害悪を及ぼすこととなる重大な危険」があれば、それは子の返還拒否事由となりますので、裁判所の判断で、返還の拒否が認められることがありえます。
しかし、父が母にモラルハラスメントをして、母が辛い思いをしているということは、父母の問題であって子への害悪を及ぼす事象とはいえないことが通常です。
また、暴力も子への影響がない場合もあります。
また、子の返還拒否事由があったとしてもハーグ条約の適用対象外となるのではなくて、裁判に対応して、そこで子の「返還拒否事由」を主張して、立証をする必要がありますので、専門的な弁護士が必要でしょう。